2011年2月9日水曜日

「1/9の小宇宙」 歴史的名車をスクラッチモデルでつくる

六本木AXIS地下1F[シンポジア]にて、高梨廣孝氏によるスクラッチモデル作品展「1/9 の小宇宙」展が開催されている。

スクラッチモデルとは、"スクラッチ"の語源である「start from scratch(ゼロから始める)」の通り、自分で図面を収集したり、実際の寸法を計ったりして、部品や道具から全てを自ら工夫して作り上げたモデルをいう。
YAMAHAの"赤トンボ"などの名車が1/9サイズで再現されている。バイクに興味のない者でも、その精緻さに目をみはり、息をのむ。

この「ハーレイ」は1/6サイズ。この迫力! (特別にドームカバーを外していただきました)。


ヤマハの通称「赤トンボ」こと「YA-1」1955。
えび茶色のカラーリングにまつわるエピソードなど、製作者の高梨廣孝氏にいろいろと話を伺う。氏は元ヤマハ(株)のデザイナーで、同社デザイン研究所室長などを務め、静岡文化芸術大学デザイン学部でも教鞭を執った。AXISでの展示は1991年から数えて4回め。作品完成まで1~2年かかっており、積み重ねてきた歴史も垣間見える。

「Bohmerland 598cc」1925年当時は珍しかったツートンカラーに触発されて製作。

「Shelby Cobra 427」1966

「SUZUKI RL67」1967
モデルの設置面が鏡になっていて、見えない細部も確認できる。会場は年輩男性の姿が目立ち、食い入るように作品を鑑賞していた。高梨氏への質問も同好の士と思われる具体的なもの。

作品に添えられた解説にも目を配って欲しい。使われている写真は、完成される前段階のものだったり、細かな部品だったり。「プラモデルと勘違いされることが多々あるので」と高梨氏。

作品も美しいのだが、特筆したいのは箱である。作品によって仕様が異なる。この木材も、新木場まで足を運び、これといった種類の木を探し、この木目ならあのモデルに合いそうだな、と思いながら作っているとのこと。しかも箱には取っ手が付いていて、蓋をパタンと閉じて、ネジをキュッと回せば、ヒョイと簡単に持ち運べる。この"身軽さ"が素晴らしい。

「DUCATI 851 Superbike Racing」1990


「MV AGUSTA CORSA 500」1959

会場では、これまでの作品映像や製作過程の一部などのイメージ映像も楽しめる。
「NER-A-CAR(ネラカー)」は1/1(編集部註:実物なのか、これもモデルなのか、確認を忘れました。私の目には実物に見えたのですが)。

高梨氏は販売を目的に作っておらず、あくまで趣味、ヤマハ在籍時代から、1台1台こつこつと作ってきた。作る過程が楽しくて、全て手元に置いている。「売って欲しいと云われませんか?」と訊くと、「その為に同じものをもう1台に作る時間があったら、別のもう1台を作る時間にあてたい」と笑った。

昨日の朝日新聞夕刊「窓」欄に記事が出ていて、読んで気になっていた展覧会。会場で高梨氏にいろいろと話を伺うことが出来たのは幸いであった。
会期は2/17まで、入場無料。

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