2011年4月7日木曜日

エマニュエル・ムホー《巣鴨信用金庫志村支店》見学会

3/18にオープンした《巣鴨信用金庫 志村支店》の見学会へ。
建築設計・インテリアデザイン:emmanuelle moureaux architecture + design(旧エマニュエル・ムホー一級建築士設計事務所)、構造設計:織本構造設計

施主である巣鴨信用金庫は、「お客様に喜ばれることに喜びを」を合い言葉に、巣鴨本店3Fを地元とげぬき地蔵(高岩寺)の縁日に「おもてなし処」として開放するなど、サービスにホスピタリティの精神を取り入れている。訪れた人がゆっくり、くつろいで、リラックスできる空間、また来たくなる、もっと居たくなる店舗づくりを目指している。

《巣鴨信金 志村支店》は都営三田線志村坂上駅近く、交通量の多い中山道沿い。両隣を高い建物に挟まれた現地を見て、ムホー氏は自然に空を見上げたくなるような空間づくりを目指した。ムホー事務所は2009年《同新座支店》の空間デザインやロゴデザインほか、2010年の《同常盤台支店》の設計も手掛けており、今回で3作品め。

エントランスの脇の表記を見なければ、金融機関とは判らない。特徴的な12層12色のファサードが、いわば店の看板。大通り側(画面右)に最大で3メートル張り出している層の下の面だけが彩色されており、日中は光の反射の加減でまさに虹のように外観の表情が変わって見えるという。「虹のミルフィーユのような建物を作りたかった」とムホー氏。

1Fエントランス、足下に楕円。見上げた天井にぽっかりと楕円。壁にはタンポポの綿毛が描かれている。

常盤台支店》ではカラフルな木の葉(リーフ)をモチーフに、森の中に居るような空間をつくり上げたが、此処《志村支店》のモチーフはタンポポ。

常盤台支店》でもみられたカラフルなオープンスペース。呼ばれる順番を待つだけではなく、ふらりと立ち寄り、リラックスして過ごしていって欲しいという、巣鴨信金のポリシーと店舗コンセプトが表現された空間。

1Fの天井一面に舞うタンポポの綿毛。天井高は4メートルもある。

ミーティングスペースの上部。パーテーションの下の方は曇らせているが、基本的に店内は開放的で、従来の銀行店舗空間にはない気持ちよさがある。

屋上まで貫通した楕円の吹き抜け。この穴からは青い空だけが見えるようにした。

楕円の穴が上にいくほど大きかったり、逆に狭めていたり、吹き抜けの角度も微妙につけているので、楕円形に切り取られた視界の中に、屋上の構造物など余計なものが入ってこないかを検証するのがとても大変だったという。

上階の事務所フロアも今回特別に見学できた。階段の壁にもカラフルなタンポポ。

会議室と食堂フロア。可動式パーテーションで3つの空間に仕切れる。あつらえたかのようなオフィスチェアはPLUS社製。

一見してアクリルかと思ったが、幅90〜100強のガラスで、シリコンで繋いでいる。旭山動物園のアザラシ館をつい想起する。これを模型でつくるのが難儀だったらしい。

階下・オープンスペース見下ろし。カーペットの一部が楕円形に明るい色になっているのは、陽が落ちているイメージ。中央部分の照明は、夜間に下から吹き抜けを照らし、楕円のガラスから光が漏れて、建物を内側からほんのりと染める。

ふわふわと浮いて、空へと上がってゆくタンポポ。こんなふうに、自然と空を見上げたくなるような空間が《志村支店》における大きな設計コンセプト。なお、ムホー氏が生まれ育ったヨーロッパには、綿毛を吹いて飛ばす時に願いごとをする風習があるという。

男性化粧室のドア。随所にタンポポが描かれている。店内で使われている色は計24色。

1F/ATMコーナー。

建物の外、エントランスの横に設けられた木のベンチ。通りに面したガラス壁にはポスターなどは張らず、ロールカーテンも下ろさない。文字通りの"ガラス張り"。これはムホー氏が常々抱いていた日本の銀行のイメージに対するアンチテーゼでもある。

陽が落ちてからの外観は、昼とはまた異なるという。夜間ライトアップ用のLEDは、季節に応じて演出に変化をつけることも可能。

オープン前に行なわれる予定が、先の震災の影響で延期になっていた今回の見学会。施主である巣鴨信用金庫の厚意により、特別に閉店後に行なわれた。

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