2012年3月29日木曜日

日吉坂事務所《house I》オープンハウス

寳神尚史氏が代表を務める日吉坂事務所のオープンハウスへ(2012.3.25)。

《house I》は都内郊外の閑静な住宅街に建つ、アトリエ併設のコートハウス住宅。施主はアシストタント数名を抱える作家で、外部の出入りが頻繁な外向けの空間と、家族が暮らす生活空間とを分離しつつ、渡り廊下で繋いでいる。寳神氏いわく「一筆書きの動線」を持つ空間構成。

敷地面積420平米弱に対し、中庭を大きくとって、建築面積は167.68平米。構造は在来木造(構造:金箱構造設計事務所)。

玄関に入る手前の前庭。左右に駐車場と駐輪場が設けられている。

見上げると四角い青空が。この日はオープンハウス日和の快晴。

玄関アプローチ。

渡り廊下を通って、次の棟へ。奥へ奥へと空間が繋がっているのが見える。

中庭に面したリビング。壁は漆喰塗装仕上げ。

リビングからテラスに出る。周囲は住宅密集地だが、完全にプライバシーが護られている。

中庭テラスから、リビングの振り返り。収納棚の中に、小さな窓が仕込んである。

ずっと此処に座っていたいが、腰を上げ、段差を上がり、暖炉の前を通って奥のダイニングへ。

専用ポーチを有するダイニング。置かれている家具類は、オープンハウスと撮影用に寳神氏が自宅から運び込んだものというから恐れ入る。

キッチン。右側にパントリーあり。

ダイニング側からはシャープな金属質のキッチンに見えたが、勝手口のグレーの扉を挟んで、柔らかいテイストを配している。

キッチンシンクの前から、ダイニング側の眺め。

キッチンやダイニングの照明があまり見たことのないデザインだったので、聞くと、寳神氏が厳選した国内メーカーのもの。この後、各部屋の照明やドアノブなど、設計者と施主のこだわりの数々を目にする。

ポーチの奥は吹き抜け。足元のマリンランプもあまりヨソでは見かけない形。

ポーチから、ダイニングの振り返り。
テーブルの向こう、黄色い壁の小部屋が見える。図面には「作業部屋」とあり、中庭に面して敷地のほぼ中央に位置している。実はこの小さな1室が、《house I》のキィともいえる重要な空間である。

この小部屋は夫人の作業スペースで、キッチンで火を使っていても見にいける距離。夫人の「基地」ともいえる部屋を住宅の真ん中に据えたことで、その他の間取りも自然と 決まっていった。

小窓からはリビングと中庭が見え、小さいながらも居心地の良い空間。

生活空間から、仕事場があるアトリエへ向かう。

左に中庭、右に坪庭を従えた廊下を抜ける。

廊下の途中、中庭の眺め。

廊下の突き当たりは書庫や収納ほか。ここを左に曲がった奥、螺旋階段の先にアトリエがある。その手前には台所とアトリエ専用玄関、トイレが2つ。

吹き抜けを有し、大型照明が吊られた広いアトリエ。資料や本を収納する棚を2面で大きくとっている。此処が「コの字の一筆書き」の到達地点。

スタッフや外部関係者との打合せには、アトリエを見下ろせる2階に1室設けている。

ミーティングルームも日差しがいっぱい。こんなに快適で仕事になるのだろうか? などと凡人はつい邪推してしまうが、かなり忙しい職場のようで、スタッフが休憩できる部屋が別に用意されていた。

螺旋階段を降り、再び1階へ。なお地下にも1室あり。

渡り廊下を通って、ダイニングまで戻る途中。奥に見えるのは、中に籠もって過ごせる「読書室」。

読書室は茶室のような小さなスペースだが、上が吹き抜けていて縦に長い。

読書室と書庫の上階にもさらに収納庫あり。施主の蔵書の多さがうかがえる。

見落とした部屋がないか、平面図で確かめながら、ダイニングを抜け、暖炉の前まで戻ってきたところ。リビング、渡り廊下の先が玄関。その上階にはゲストルームがある。

計5箇所あったうち、玄関横のトイレ。

2階の生活空間には、ストーブの脇にある階段から。

階段を昇りきると、サンルームが。思わず感嘆の声が洩れる。

中庭に面したベランダに出る。この日はクローズだったが、更に上に屋上テラスがある。

サンルームを中央に介して、子供部屋と夫妻の空間に分かれている。

子供部屋。ベッドは梯子の上、その下は小部屋に。


子供部屋の小窓からの眺め。換気扇は窓の眺望を遮らない位置にもう30センチ下げる予定とのこと。

淡いピンク色の引き戸を開けると、洗面室と浴室が。

坪庭側からの光が差し込み、とても明るい洗面室と浴室。

南に窓がある物干部屋。手前の柱は隠さずに敢えてそのまま(照明スイッチ板が付いていた)。

南に窓を設けた物干部屋はとても暖かかった。

寝室(上)とクローゼット(下)。前述の洗面室も含め、壁は柔らかい色の塗装仕上げ。

さて、ここまで幾つかの部屋を見学してきたが、各部屋の照明、壁や床の材と色などが、それぞれ少しずつ異なっていたことにお気付きだろうか。

表立って見えないところのドア上がアーチ形状だったり、計4箇所あった階段のステップや手摺り、ドアノブ等も然り。これは施主、特に夫人が日中ずっと家の中に居るので「この家に飽きないようにして欲しい」という要望に応えたもの。

植栽も多種多様な草花や樹木が植えられていた(植栽:江田俊子氏)。花が咲くこれからの季節が楽しみ。

単に広くて大きいだけではなく、いろんな場所にいろんな居場所がある、これから新たに居場所がつくられるであろう、期待がどんどん膨らんでいく楽しい家だった。

住宅以外にも店舗内装デザインの経験も多い寳神氏は「用意された空間の中での取り組みではなく、空間ボリューム(気積)そのものを自分でコントロールできるのは、とても幸福なこと」と嬉しそうに語っていた。

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