2012年7月2日月曜日

アトリエ・天工人《バウンダリーハウス》オープンハウス

鎌ヶ谷市で開催されたアトリエ・天工人による《バウンダリーハウス》オープンハウスを見学(2012.6.23)。

道路と梨園に挟まれた木造平屋建て。敷地は市街化調整区域に位置し、住宅地と農地、都市と地方の境界(boundary)―いわば宙吊りの状態を建築として視覚化し、かつ外部と内部の境界をなくすことを目指した。
道路側からの外観。交通量が多いので、雨天時にできる水たまりの水ハネから建物をまもる高さに、ジンチョウゲとオタフクナンテンが交互に植えられている。
短辺側片方は広い空き地。農地なので今のところ新たな建物が建つ予定はないという。
梨園側からの外観。
外壁は焼杉(美杉)で、窪んでいる部分は「そと庭」。内部にも2つの「うち庭」を有した住宅。
構造を担当したなわけんジムと共に、柱か壁のどちらかわからないような厚みを持つ集成材を凹凸に組み合わせた工法を新たに開発。模型画像で見える桟のような構造が柱で、間隔は300ミリ、この間に壁材が入る。 模型は道路側(北側)から見たところ。まるで迷路のよう。

梨園側・南に面した「そと庭」のひとつ。右にまわったところがメインの玄関。

玄関にも前庭あり(植栽は後日、見学会当日はアプローチ部分をビーニルで養生中)。 開いた玄関ドアから、外部と連続したような室内の仕上げと、中心部の「うち庭」が見えている。
玄関を入り、右側に1室(平面図の名称は予備室)。

室内の仕上げはレッドシダーの集成材で、300ミリピッチの柱の間に壁材が入り、凹凸の表情が生まれている(凹凸の差は20ミリ、凹凸の裏に生まれたスペースを利用して配管・電気配線を納めている)。
玄関を挟んで反対側に書斎。本の収納が課題の1つ。

壁の仕様と色が強めなので、天井と壁はシンプルに白一色。但し単純なマットな白は避け、床は人造石研ぎ出し(水研ぎ)、天井はグロス塗装で、微妙な表情をつけた。
リビング・ダイニング(LD)。
天井には目立った照明器具は見当たらないが、とても明るい。この奥にある個室を含めて1室につきひとつトップライトを設けている(こちらのLDには写っていない手前にもうひとつ、計2箇所)。
「うち庭」に対して大きくとった開口。奥に見えているのはキッチン。
LDからキッチンへ。廊下の左右にドアがあり、右側の前述「うち庭」と、もうひとつのコの字型「うち庭」の両方に出入りできる。
廊下の途中、左側に水まわり空間(トイレ、洗面室、浴室)。
人工大理石カウンターとキャビネットは茶色で統一。浴室のタイルも木目調の製品を選んだ。握りバーに至っては茶に焼付塗装した。

水まわり以外の部屋においても、照明スイッチやコンセント盤も茶色で統一。ハンドルやノブなどの出っ張った金具はドアには取り付けず、大工さんに頼んで専用穴を開けてもらい、手作り感を出した。
中庭に面したキッチン。レンジフードなど一部は未だ工事中とのこと。
「うち庭」との境の開口部はガラスを入れず、蔀戸を上下逆さにしたような仕様で、下からつっかえ棒で支えればテーブルに。
廊下を曲がり、突き当たりは個室。
手前の開いたドアの外はコの字型「うち庭」に続く。
室内外の床レベルを揃え、仕上げも「うち庭」には滑り止め塗装を施している以外は同じなので、この辺りで自分が今、家の外に居るのか中なのか、わからなくなってくる。

《バウンダリーハウス》は窓が多いのも特徴のひとつ。見学した日の最高気温はお隣りの船橋市で25.5℃、やや蒸し暑い日だったが、閉じたような外観のイメージを良い意味で裏切っていて、室内は思いのほか風の通りがよく、冷房なしでもとても快適だった。
個室など要所は曇りガラスのFIX窓で、プライバシーに配慮。開け閉めしない箇所は既製のサッシではなく造作でスッキリと納めた。
廊下をリビング・ダイニングの手前まで戻り、コの字型「うち庭」に出る。廊下と同じ床レベル。
南面テラスなどを設けなかった代わりに、「うち庭」上部にランドリーパイプを設置。開放的なこちらの空間は飼い犬が占拠するかもしれないとのこと。
窓も多いが、植栽とプランターもとても多い。見学会用にレンタルした訳ではなく、提案のひとつ。内と外との空間の境、建築と自然の境をなくす狙い。トップライトの位置は検討に検討を重ねて決めた。
空き地との境・三角形の「うら庭」に出られるドア。担当した庭本氏に開けてもらった先、足元にちょうどオタフクナンテンが。植栽は山下保博さんと二人で植栽屋に行って選んだ。
「うち庭」を戻り、屋上に続く階段を昇る。
屋上の端からの眺め。此処はいずれ菜園になる予定だという。
13ものトップライトの周りには、雨水の通りが走っている。できればもっと室内天井高さをとりたかったが、排水勾配と、パラペットの高さの関係で、ギリギリの調整となった。ちなみに雨樋は、玄関付近・靴箱横のスペースに隠されて見えない。
トップライトの1つから「うち庭」の見下ろし。個室の場合、この僅かな空間に空調ファンや照明が設けられているらしい(下からは確認できない位置)。

全室を見終わって、でもどこかに見逃した部屋があるような気がして、会場で配布された平面図を手にスタッフに確認すると、「してやったり」な様子。まんまと《バウンダリーハウス》の術中にハマってしまった。

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