2012年7月10日火曜日

設営進む、都美館「Art & Life : 生きるための家展」

東京都美術館にて「Art & Life : 生きるための家展」ほか記者発表会および内覧会が休館日の7/9(月)に開催され、7/15(日)からの展覧会開始に先立って、設営中の同展コンペ最優秀賞作品がマスコミ関係者に公開された。
同展では、都美館リニューアルオープン記念として、「生きるための家」をテーマに、学生または卒業後5年以内という応募条件で案を公募(要項はこちら)、159案の中から選ばれた39作品が会場に展示されるのだが、なかでも最優秀受賞の1案は、改装を終えた前川國男設計の空間の中に、1/1スケールの原寸大で建ち上がる(最終審査の結果発表はこちら)。

作品は前日に上棟式を終えたばかり。この時点での公開は建築作品ならでは。最終形と比較できるのでオープンが待ち遠しい。

会場公開に先立ち、同館1Fの佐藤慶太郎アートラウンジにて、審査委員長を務めた小嶋一浩氏、最優秀受賞者の山田氏紗子氏、同企画展担当学芸員が登壇したトークセッションが行なわれた。
小嶋氏は「3.11後にこのテーマは審査する側にとってもプレッシャーだったが、住まいに真摯に向き合う機会と捉えた。またその姿勢こそがアートの入口となる。受賞作品は床や柱が斜めになっていて、ふつうの感覚では家ではないが、人が生きる、生活するための明るさと強さを持った作品」と受賞理由を説明した。次世代から寄せられた今回の応募案全般に対しては、「もっととんでもない案が出るかと思っていたが、やや引いていた。若い世代にはもっと飛べよと云いたい。もっと前に出てきて欲しかった」と審査委員長として苦言も呈した。
最優秀受賞作品《家族の生きるための家 ―大柱と屋根のつくる、住むための濃度》は、数本の大柱(大黒柱)をもつ4層の住まい。1Fは土間で、1層めの床が大きなダイニングテーブルにもなる。
主催側がYoutibe上に公開している最終プレゼンの動画に拠れば、「従来のように壁で閉じず、柱や床が折り重なることで、様々な住む為の濃度をもつ空間が生まれ、それらが重層することによってつくられる内部空間を有する家」とのこと。

当初は木造で考えていたが、搬入制約があったので鉄骨に変更した。床面積も半分となり、屋根も外したが、「オープンでもクローズドでもない、皆が集まれる豊かな内部空間をもつ家」という主題をほぼ具現化できたという。なお構造については金田充弘氏の協力を得た。
また作品には、受賞者が被災地で避難所の手伝いをしたり、仮設住宅を見学した体験も反映されている。床や柱の幾つかが傾いているものの、決してネガティヴな発想ではないという(傾斜角度に関しては、プレゼン時に審査委員の西沢立衛氏、平田晃久氏から質疑が飛んでいる)。
山田氏は東京藝術大学大学院の2年生で、4年生大学では建築を専攻せず、設計事務所勤務の後、大学院に入り直した経歴を持つ。学部と事務所名は会場での「囲み取材」で判ったが、プレス資料には公になっていない。受賞者の過去の略歴は問わず、まっさらな目で作品を見て欲しい、この作品自体が応募者そのも のである、という主催側の意図を汲み、これ以上は触れない。

展覧会は同館地下ギャラリーA・Bにて、会期は7/5(日)~9/30(日)、休室は祝日を除く月曜と、7/17(火)・9/18(火)、開室時間は9:30~17:30、入場料は一般600円、65歳以上300円、学生400円、高校生以下は無料。初日にオープニング・レクチャー(要事前申込)、会期中に計3回のアーキテクト・トークが開催される。


なお、隣接するギャラリーCでも、リニューアルオープン記念として、「東京都美術館ものがたり ―時代を駆けぬけた芸術家たち」が同じ会期で開催される。こちらは特別に観覧無料。

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