2012年9月19日水曜日

ニコ設計室《尾曲さんの家》オープンハウス

ニコ設計室(代表西久保毅人)による《尾曲さんの家》オープンハウスへ。
構造設計:桑子亮/桑子建築設計事務所
施工:山懸建設(株)
現場は墨田区内の住宅街、角地でかつ裏の道にも2メートルほど接した珍しい三面接道の敷地(54平米)。「街の中の抜け道のような、シキチとしての風通しや見通しの良い感じをそのまま生かした家になるよう心掛けた」とのこと。

外装は1階が杉板、2階はジョリパッド。
1階の北西側壁面はカーブを描き、地面に砂利を敷いて「通り庭」とした。カーブの途中に玄関がある。砂利道以外は施主の要望で土を残して小庭を設け、枝が広がらず真っ直ぐのびるソヨゴをシンボリックツリーに、ほか複数の植物を選んで植えている。通り雨が降って濡れた土の色に緑が映えて鮮やか。

玄関を入ったところ。奥の階段まで土間になっている。右側のウッドの壁面は靴箱などの収納スペース。左側がトイレ、バスなどの水まわり。

2ヶ月前に見学した《三輪さんの家》でもそうだったが、ニコ設計室の住宅作品は色彩がとても美しい。今年の『コンフォルト』4月号で「スパイスの効いた壁」と評されていたが、まさにぴったり。設計者の西久保さんにとって「色は素材のひとつ」。
小さな縁側のある1階和室。右手は引き戸で仕切られたクローゼット。
1階浴室と洗面室。
1階トイレ。
1階土間がずいぶん明るいと思ったら、吹き抜けになっていた。会場配布物によれば「光井戸」とのこと。
1階から2階へ続く階段(後述・2階からの見おろし)。
2階、階段を昇りきったところ。カウンターデスクと椅子がふたつ。子供の勉強机やちょっとした作業スペースに。フレシキブルボードの床が続く先、奥にキッチンが見える。
キッチンカウンターはステンレス。対して、人の手が触れるデスクやテーブルは温かみのあるウッド仕様。
ニコ設計室のオープンハウスでは、家の中ができたてほやほやのガランとした空間ではなく、そこでの生活がイメージできるような小物類を毎回さりげなく配している。
キッチンからリビングにかけて大きなカウンターテーブルと、4つのペンダントライト(オーデリック社製)。キッチンとの境にできた段差は、人がよく通る側(画像右側)にはステップを設け、反対側はそのままにして大きめの引き出し収納に。
光井戸。桟の上に強化ガラスをわたした床には段差があるので光だけでなく風も通す。また家のあちこちに小さな小窓が開けられており、この日はまだまだ残暑が厳しかったが、キッチン上の冷蔵と自然風だけでとても涼しかった。
光井戸の横にもデスクが(5枚前の階段部分の画像は此処から1階を見下ろして撮ったもの)。
リビング見返り。左奥に上階に続く階段がみえる。 床はナラ材のフローリング。
上に上がる前にカウンターで一休み。すると窓の外に《東京スカイツリー》が! 画像では小さく写っているが、けっこう近い。
2階から上階へ。左側の壁は珪砂にAEPをまぜ、刷毛による手仕事を感じさせる仕上げ。
屋上テラスに続く右側の開口から光が差し込んでいる。
北側斜線ギリギリで設けた空間はロフトに。
テラスからの眺め。もしや夏の隅田川の花火も望めるのではなかろうか。

この日の見学者は、これまでの施主とこれから施主になるかもしれない方、そして近所の子供たち。あの子らはこれからきっと、通り庭を含むこの家の空間をフルに使いこなすことだろう。オトナになった身には羨ましい限りである。

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