2012年12月25日火曜日

《TAKEO KIKUCHI 渋谷明治通り本店》オープン

神宮前6丁目に《TAKEO KIKUCHI 渋谷明治通り本店》が11月22日にオープンした。前日に内覧会を見学(11/21)。

店舗は神宮前の交差点から明治通りを渋谷へ向かった途中の右側に建つ。アパレルブランドショップやショールームが立ち並ぶ、平日でも人通りの絶えない華やかなエリア。
TAKEO KIKUCHI の商品群を、ひとつ屋根の下に集約し、グローバルも視野に入れて展開する旗艦店(フラッグシップショップ)という位置付けであり、ブランドとしてのこだわり、メッセージが随所に込められている。

ビルの間口は26.6メートル、奥行きは7メートル程度ほど。通りからガラス越しに店内を覗けば、奥までほぼ見通せてしまい、入口が限定されていると中まで入ってもらえなくなるところ、いかに店の内部へと誘導し、そこでゆっくりと過ごしてもらうかに考え、当初のプランでは1箇所だったエントランスを、側面を含めて4箇所に増やし、中に什器の基本形となる木箱をランダムに配置し、森の様に層状の動線をくみ、自由な動線を計画し、所々にサイズも変え、休憩の場所も設けた。
建築デザイン監修として参画したのは、スキーマ建築計画の長坂常氏。同時にTAKEO KIKUCHIのインテリアの設計を担当する長坂氏は、インターネットで容易にモノが買える今の時代、フラッグシップに何が求められるかを考えた時、ブランドのフィロソフィーの伝達と街との融合が重要なのではないかと考えた。
その一つのフィロソフィーとしてホスピタリティあるサービスを掲げたブランドの意向に、長坂氏はレジカウンターを介さずに人と人とが向き合う「one by one」の接客スタイルを提案し、そのための店舗空間を計画した。
長年親しまれてきたTAKEO KIKUCHIブランドは20代から50代、カジュアルからフォーマルと非常に幅広いジャンルを持つ日本でも数少ない層の厚いブランドである。ただ、それだけに空間としては一つのコンセプト、デザインでそれらを統合するのは難しいが、それがこの渋谷では実現している。新と旧、堅いと柔らかい、自然とケミカルなど相反する素材を同居させ、織りなす。それによって、どちらにも傾倒しないおおらかな余地をその空間は含み、長坂氏が言う「抜き差しなる関係」が生み出され、結果、TAKEO KIKUCHIブランドの多様なジャンルを違和感なく内包させる結果に至った。
立地エリアの都市計画の関係でセットバックさせた通りに、大小合わせて5つのベンチが置かれている。素材はコンクリートだが、型はビニールのガラ袋からとった。植栽は敢えて「雑草のようなありふれた植栽」を選んだとのこと。先に述べた一つの休憩場所である。
1Fはカジュアルウェアが中心。その一角に設けられた「Takeo knows」は、菊池武夫のこれまでの経験や知識をファッションに関心ある人、ない人にも、そして将来を担う若者にシェアし、ファッション業界を盛り上げていきたいという想いから立ち上げたプロジェクト。アドバイザーにランドスケーププロダクツの中原慎一郎氏を迎え、こけら落としは菊池武夫氏のアイコンである帽子にフォーカス。過去のコレクションで発表したものや、デザイナー自身のコレクションからの展示。 
店の左奥、同じく「Takeo Knows」のコーナー。
壁面はクッションのように見えるが、実はコンクリート。触れてみると、硬い。柔と硬、または新と古(旧)という見せ方の対比は、旗艦店のコンセプトを読み解くキーワードのひとつ。

その左脇、店の最深部に設けられた「ガーデン」。当初はこちらも最大限・売り場として計画されていた。
隣地は寺社で、銀杏の木がそびえている。せっかくなので、この木を借景に裏庭とし、腰掛けなども設けて憩いの場に。ここが「抜け」の空間となって、店内にも明るい光が差し込む。一つの休憩場所である。
ガラスファサードの外側、内側(店内)、裏庭の外という三層構造。柔らかく囲まれた場をつくり、入りやすい、親しみやすい店舗環境とした。
南側の階段の途中にも、キーアイテムである「ボーラーハット」を使用したオブジェの展示が。
スチームワイヤでかたどられたマネキン(計35体)も長坂氏のデザイン。
2Fはアトリエと、ドレスウェアやパターンオーダーのフロア。
2F/フィッティングルーム(FR)のひとつ。カーテンには英国ブランドのJOHN G.HARDYの生地を用いた。写ってはいないが、FR内のフックは古い様々なフックを焼付塗装し、荷物置きの台も古いものに塗装処理したもの。
2F/アトリエ。仕切りはあるものの、2F売り場に直に接しており、此処が菊池武夫氏の新たな創造の場に。客の側にとっても、ものづくりの現場の空気を感じ取れるので、作り手と使い手が相互に交流する場となる。

アトリエ中央に置かれたテーブルも長坂氏のオリジナル作品。表面に濃淡のグラデーションと背景を映り込ませる光沢があり、白い顔料を混ぜたエポキシ樹脂をアンフラットなアンティーク木材の上にフラットに流し込むことで生まれた。木材の厚いところが濃く、薄いところが透明に、まるで海のような表情をみせる。
白木のように見えるチェアは、アンティークのウィンザー チェアをわざわざ研磨して塗装をはがしたと聞いてビックリ。 
アトリエのキャビネットも古木と新しい素材の組み合わせ。扉など面材は古木だが、小口は古材と新材それぞれのカット面をつなげて構成。
ガラスファサードの所々には木サッシが取り付けられ、開閉して外気を取り込める。長坂氏は、季節や天候に関係なく年中締め切ったビルのあり方に、震災後は特に疑問を持ち、元々のプランにはなかった木サッシを採用し、呼吸するビルを考えた。
2F/アトリエ部分の外観。茶色の木サッシは、換気的にも視覚的にも内外をつなげる架け橋になる。

3Fは飲食店。京都に本店がある「Le Petit mec(ル・プチメック)」の都内2店舗めとなる。こちらのインテリアデザインはランドスケーププロダクツの中原慎一郎氏が手掛けた(仕様は事務所サイトのブログが詳しい)。建物の全体のプログラム的には最大の休憩スペースである。
京都と都内を含む既存の3店舗とは異なる、まったく新たな業態を目指し、デリやスープメニューも充実したサンドウィッチ専門店となる。店名の「REFECTOIRE(レフェクトワール)」は、フランス語の「食堂」からとられた。
分別用ゴミ箱に描かれたイラストもおしゃれ。
内覧時はオープンを翌日に控えて厨房は大忙し。
《TAKEO KIKUCHI 渋谷明治通り本店》
営業時間:11-20時
4F/REFECTOIRE(Le Petitmec):11-21時。

クリエイティブディレクター:菊池武夫/TAKEO KIKUCHI
デザインディレクター:福薗英貴/TAKEO KIKUCHI
キュレーター:田辺三千代
TAKEO KIKUCHIインテリアデザイン・建築デザイン監修:長坂常/スキーマ建築計画
TAKEO knows アドバイザー・3F/REFECTOIRE(Le Petit mec)インテリアデザイン:中原慎一郎/ランドスケーププロダクツ
設計・施工:竹中工務店

0 件のコメント: