2013年2月5日火曜日

手塚建築研究所《高床の家》オープンハウス

手塚建築研究所による《高床の家》オープンハウスを見学。
立地は東京の郊外、駅から徒歩20分ほどの閑静な住宅地。三方を隣家に囲まれ、南が道に面した敷地面積136平米に対し、建築面積は51平米。
作品名が示す通り、1階のレベルが大人の胸の高さくらいまで上がっている。この理由は後述。
これまでの手塚作品を雑誌などで見た上で、施主からの要望は「開放的な住まい」。手塚氏は設計前に敷地を見に来た際、取り壊しを待つ古い家が建っていて、印象が暗く、風通しもあまり良くなかった。「床を上げよう」と手塚氏がひらめいたのは、その時だという。

S造の地上2階建て、構造はオーノJAPANが担当。
床レベルを上げれば当然、住宅地の厳しい北側斜線規制を受けて、天井高が圧迫される。また1階2階共にオンドル式床暖房を採用したので、この設備スペースも確保しなくてはならない。そこで、家屋を敷地の真ん中に配し、北側に空いた土地は黒土の庭に。南側の駐車スペースと繋がった空間は、子供たちにとって格好の遊び場になるに違いない。
玄関は向かって右側。ウッドデッキの階段を上がり、1階には「乗船」するような感じ。外壁の仕上げは白の漆喰(ファインフォールデコ)。
1階長辺東側から 対面を見る。
手前がリビング・ダイニング、奥がキッチン。北(画像右)と南(画像左)は、腰高より上に大判のペアガラスが嵌った窓がそれぞれ4枚。風はもちろん、冬の長い陽差しがフロアの真ん中まで差し込んでくる。いずれはカーテンが付く予定。床の仕上げはパイン材、壁はプラスターボード+AEP塗装。
1階キッチンカウンターの中から、リビング・ダイニングの眺め。1階の天井高は2300ミリを確保した。照明は白熱灯の裸電球(照明計画:ぼんぼり光環境計画)。天井仕上げはプラスターボード+AEP塗装。
注/リビングに置かれた黒いキューブストーブの位置を覚えておこう。
1階 対面式キッチン。
床のスリットはオンドル式床暖房の噴出口。
キッチン裏がトイレ。便器の後ろ側に、2階への階段が設けられている。
階段で2階へ。四方は白く、ステップのみウッド。
2階の寝室。
1階と同様に、右(南)を見ても左(北)を見ても大開口。床レベルを上げている分、隣家の床レベルとは異なる視界を獲得している。天井高は2100。数字を聞けばギリギリの寸法だが、窓からの光が白く塗装した天井や腰壁に反射して、圧迫感を感じさせない。

写ってはいないが、寝室の天井から白い紐がぶら下がっている。天井白熱灯の点灯紐である。ダイヤルで調光可能な最新式なのだが、スイッチ点灯しか知らないきょうびの子供たちへ、あかりのオン・オフは手動でという手塚氏からのメッセージ。
2階にもオンドル式床暖房が入っている。今回の《高床の家》では、この床下設備スペースを確保するのにとても苦労したそうだ。

部屋の奥に収まっている収納棚は可動式。いずれお子さんが増えて大きくなったら、パーテーションとして用いる予定。
2階から南西側の眺め。庇は白いテント膜。住宅密集地に建っていることを忘れさせる眺望。
2階寝室の南西のコーナーから、階段の見下ろし。この家にはあちこちにこのような借景のような「抜け」の空間がある。
2階 北側の廊下。合わせて10枚の引き戸で部屋との間が仕切られている。
大判ガラスは空気層6ミリのペアガラス。木枠は堅いニヤトー材を使用。片手でなんとか開けられるよう、窓の下には百キロ単位の荷重に耐えうるステンレスの戸車が入っている。
今のところは狭くしている納戸スペース。左側の収納棚も可動式で、2階フロアは3つの空間に仕切ることが出来る。
2階洗面室と浴室。
階下のキューブストーブの煙突はここで貫通させている。
浴室。この大きさで、こちらの窓も可動式。
2階廊下の突き当たりに、2階と1階を繋ぐ外階段あり。
階段踊り場から、建物北面を見る。右側(北)が庭。外に出ると、隣家との距離がけっこう近いと改めて判るのだが、室内に居るとそれを感じさせない。いずれカーテンが付けば互いに気にならなくなるだろう。
1階に腰を下ろして、北側窓からの眺め。

「セオリーでは南側に大きく庭を設け、建物を北側に寄せるが、そうしてせっかく外部に開いても、車を停めてしまえば、室内からの眺めを塞ぎ、台無しになってしまう。そこを、ほんの少し床レベルを上げることで、眺望、通風、採光といった、楽しいことが少しずつ増えていった。面白くなりそうなことが積み重なった、そんな住まい(現場を担当したH氏の談)」。その言葉通り、この立地条件で、この開放感は驚くほど素晴らしい。

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