2013年2月22日金曜日

松島潤平建築設計事務所《Qilin》オープンハウス

松島潤平建築設計事務所による個人住宅《Qilin》オープンハウスを見学。
作品名は「キリン」と読み、平面形状と内装の関係に由来している。約720平米の敷地面積に対し、予定された建築面積は約100平米。加えて、家屋の南側に増築予定地、工事搬入路と接道、広めのアプローチ、設備機器置き場と裏動線を確保することが求められた。さらに南面の庭と、駐車スペースを北側の屋根下に収めた結果、「Qilin」が自然とかたちづくられていった。
模型画像の手前がアプローチ、奥が庭と増築予定地。微妙な勾配がつけられた屋根下に、ワンルーム空間が緩やかに統合されている。
Qilinの前脚の蹄にあたるところが玄関。ウォークインクローゼットのスペース、水まわりをおさめた箱型空間、一番奥はベッドルームという配置。
1Fリビングとキッチン。南面の開口からは冬の日差しが差し込み、長い影を室内に落とす。
1Fリビング見上げ。薪ストーブで暖められた空気や、夏場に天井付近に溜まりがちな空気を循環させるシーリングファンが2つ回っている。

床の仕上げはオーク材の無垢、壁はラワン合板の乱尺張り(詳細後述)、天井はラーチ材。梁や柱には集成材を採用。なお構造設計はオーノJAPANが手掛けた。
総ステンレスのキッチンは、なんと奥様がデザインし、自ら図面もひいたという特注品。玄関前にあった黒いパイプ付きのクローゼットも同様とのこと。ご夫妻はデザイン業界にお勤めと聞き、成る程と納得。
薪ストーブ越しに、書斎の眺め。Qilinの後ろ足にあたるスペース。
書斎から、外の屋根付き駐車場に直接出入りできる。Qilinの前脚と後ろ脚の間にあたる。黒いパイプは駐輪バー。
書斎から、南側の眺め。「手の届く範囲の南面の庭」というのが、施主リクエストのひとつ。
L字のデッキは端に腰かけられて、かつ昇降に支障のないレベル。両端には、手摺りと布団干しを兼ねたバー(写真手前)と、ランドリーパイプ(写真左奥)を設置。天井にはソーラーパネルも。
東南側に突き出した、Qilinの首から胴体にあたるところの壁の上部は、庭に面して大きくハイサイドライトが開いており、また寝室へと続く廊下の天井は桟になっているので、光を取り込んで、室内のどこに居ても暗さを感じるということがない。
取り外し可能なスノコを敷いた寝室。部屋いっぱいにマットを敷いて家族が川の字で寝たいという希望を受け、清掃しやすく通気性も良いスノコを設えた。後から入れる予定の収納ボックスがすっぽり入る高さ。

壁材は150ピッチのラワン合板に、白色塗装を一度だけかけたもの。製造過程でどうしても生じてしまう合板の色味の差異を、逆に利用して、施主と相談しながら、モザイクをかけるように張っていった。「キリンの目立ちすぎる体の輪郭をぼかし、固体認識を紛らわせるようなあの網目模様の発生原理にも似た操作である」(配布資料より転載)。
玄関前のステップを上がったところから、ロフトと、寝室上部の眺め。 配布資料に書かれている通り、「中に入り込む光の強さで(壁の色の)濃さが変化」する。床や壁の白っぽい色に対して、天井扇やサッシの黒い色が、空間を引き締めるようなアクセントにもなっている。
ロフトの下は、白で統一された水まわり空間。
洗面室の洗面ボウルは2連。奥が脱衣所と浴室。
トイレの扉の白いドアノブは、施主が見つけてきた海外メーカーのもの。寝室で使われていた黒いドアノブも同様。
「設計者と施主、建築家とデザイナーの緊張関係が、空間図式とテクスチャのせめぎ合いへとそのまま転写された住宅が立ち上がった」(配布資料より)。

本作品は松島潤平氏にとっていわゆる処女作品となる。都心から2時間ほどかかるにも関わらず、現場は見学者で溢れていた。

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