2013年3月13日水曜日

HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION

お台場・青海駅前特設会場で3/2(土)から始まった「HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION」。オープン前夜の内覧会の様子。
主催画像提供

エネルギーや移動、住宅取得状況の変化、成熟マーケティングや美意識資源の発露など、これからの産業が多角的に交差する場として「家」を捉え、日本の潜在力をわかりやすく具体的にヴィジュアライズする試み――プレスリリースより転載。
会場構成は隈研吾氏。最も標準的とされる断面10.5センチ四方の角材をできるだけ加工せずに使用。会期終了後は福島県・川内村に運ばれ、橋や建築物として再利用される予定。
エントランスから会場最深部までまっすぐのびるウッドデッキから、7つのパビリオンに繋がったブリッジを渡って、それぞれの展示を見て回る。
以下、テキストはプレスリリースおよび会場配布物より引用して転載。

パビリオン1:LIXIL×伊東豊雄 「住の先へ ――懐かしい未来の家を考える」
外気や庭の草花の香りを家の中に取り込む可動縦型ルーバー式の戸(参考商品)。右の2枚を残してルーバーが開き、中が透けて見えている状態。
床は保水性タイルで、家の中に打ち水をして涼をとる提案(参考商品)。画像は主催者提供。
日本の暮らしに昔からある土間、縁側や縁台などを復活させた住まい。テーブルの中央には囲炉裏が。
野菜を育てる素焼きプランター(参考商品)などが置かれた開放的なエリアとは対照的に、高気密かつ防音効果も高い「蔵」のような空間も奥(画像右側)に設けている。会場では伊東氏自身による作品解説を上映中。


パビリオン2: Honda×藤本壮介 「移動とエネルギーの家」
創電・蓄電・熱循環、乗り物、生活そして街。その全てが境なくシームレスにつながる家。
同――外部と内部、パブリックとプライベートを隔てるシェルターとしての家ではなく、三層のレイヤー構造で段階的に内と外を融通させる新たな空間の重なりと連続性を提案。
垂直環境緑化はサントリーミドリエが提供、植生空間設計は東信氏が担当。
ホンダスマートホームシステム(HSHS)は、都市ガスやプロパンガスで発電しながら、給湯や冷暖房、電動四輪車や二輪のエネルギーに循環させ、余剰分は蓄えられる。会場内には高齢者の生活をサポートする体重支持型歩行アシストや「UNI-CLUB」も登場。


パビリオン3:未来生活研究会(参加企業:東芝、ローム、KDDI研究所、ミサワホーム、日本ペイント、昭和飛行機工業、メックecoライフ[三菱地所グループ]、三井不動産レジデンシャル、野村不動産)×山本理顕末光弘和仲俊治による「地域社会圏」
未来生活研究会とは、住環境や先進技術がどんな「生活知」を育むかを、暮らしのリアリティから考えていこうとする企業の集合体。山本氏が提唱してきた地域社会圏のモデルを、会場では500人が暮らすための集合住宅「イエ」として1/5スケールで表現。外部に開かれた「ミセ」と固有スペースとしての「寝間」をそれぞれ1ユニット単位で賃貸し、住まい手のライフスタイルで数と組み合わせを変えられるという提案。

模型の中の家具模型は藤本泰司アトリエとBENAが提供。
照明:岡安泉照明設計事務所。此処に限らず、各パビリオンでは内部の家具や各機器をさまざまな企業が協力提供している。


パビリオン4:住友林業×杉本博司 「数寄の家」
国内に多くの森を所有し、木材を環境形成の基点に置く住友林業と、現代美術作家として多彩な顔をもつ杉本氏とのコラボレーションの妙。
苔庭の4つの敷き石は、古墳時代の石棺の蓋、昭和初期の組井戸の縁、江戸初期の石橋、京都の鞍馬石とのこと。
茶室建築の手法と意匠を取り入れた「数寄の家」は、現代の中古マンションにも適用できるという。
五輪塔スツールと米ヒバのテーブルは、杉本氏が2011年にニューヨークの自邸に開いた茶室「今冥途」と同じ型か。
仰ぎ見ればトタン屋根、沓石には富士山麓の河川でとれた川石、にじり口前には光学ガラスの沓脱ぎ石を配した茶室「雨聴天」。字のまま、トタン屋根をうつ雨の音を聴く一室。千利休が建てた現存茶室で日本最古とされる国宝「待庵(たいあん)」からの本歌取り。

パビリオン入口から奥まで続く敷き瓦は、法隆寺などの瓦葺きを手掛ける、鬼師と呼ばれる熟練の瓦職人の手によるもの。茶室は水澤工務店が、いけ花は慈照寺(銀閣寺)で華務花方を務める珠寳さんが受け持った。その反面、竹箒を三段に重ねた生垣のホウキは計500本で、1本150円の廉価品と人づてに耳にする。日常の品から名品と呼ばれるものまで、杉本氏の見立てのもとに配され、圧倒的な芸術世界へと昇華している。


パビリオン5: 無印良品×坂茂 「家具の家」
収納棚などの家具そのものを家を支える構造体とする住まい(1枚めの画像は主催者提供)。
パッと見ただけでは設計コンセプトが判らないのだが、配布物に目を通し、公式サイトなどに掲出されている屋根がとられた模型のビジュアルを見るとさらに解り易い。
スタイリング:岡尾美代子氏。
無印良品が培ってきた収納モジュールと、坂氏の合理的設計が結びついた住まい。


パビリオン6:TOTOYKK AP×成瀬友梨・猪熊純 「極上の家」
「トイレ」と「窓(開口部)」に特化し、究極の心地良さを追及した。外の空気や風、光、緑のにおいなどを感じるトイレ。
白いキューブの内側壁面は、サントリーミドリエによる垂直緑化システムで、主にウレタンでできた新素材を土替わりとする手のひらサイズの「パフカル」が、一面に埋め込まれている。植生デザインはフラワーアーティストの東信さん。1苗ずつ現場で植栽を調整した。紫の花もさりげなく配されているのでお見逃しなく。
壁の「窓」にはガラスはなく、逆に床の開口部には強化ガラスが嵌め込み、従来の役割を反転させた。「トイレは使用時は人間一人が専有する“個室”だが、家族や不特定多数の人が入れ替わり立ち代りに使うので実は“共有空間”ともいえる」と成瀬さん。究極かつ逆説的な家の提案。
2つの開口の向こう、宙に浮いたように見える壁掛け式トイレ。


パビリオン7:蔦屋書店×東京R不動産 「編集の家」
典型的なマンションをスケルトンの状態に初期化した空間で、「家」の編集権がユーザーに移行した時代における家づくりの提案。
DIYでつくる犬小屋や、車がついた可動式ブースの個室など、住まい手のライフスタイルに合わせたさまざまな具体例の展示を過ぎると、東京R不動産がこのほど新たに立ち上げたサイト「R不動産toolbox」で取り扱っている建材やパーツがズラリ。
「toolbox」はその名の通り「道具箱」。ドアノブやフローリング材など、住まい手が「家」を編集するための素材の提供以外にも、なかむらしゅうへい氏による特殊塗装や、大工や職人によるDIYサポートといったサービスも提供している。

蔦屋書店はメインホールにもサテライトショップを出店中。「住まい」をテーマに約3000冊をセレクト。 
展覧会図録『HOUSE VISION 2013 TOKYO EXHIBITION』は3/8から先行発売(一般書店では3月中旬より)。
隣接したイベントホール[PAROLE]では、出展関係者を中心としたトークイベントが連日開催されている(最終日を除く)。 聴講には入場料(一般:1800円、学生:1500円、各3回通し券あり)が必要。
隈研吾氏も出席したオープニングの席上、展覧会ディレクターを務めた原研哉氏は「家は産業の交差点になりうる」とし、「建築家と企業が1対1でタッグを組むことで、世界に類をみない日本の家を、文化として発信できると考えている。本展は美意識の発露となるような場に」と、昨年6月の記者発表や著作『新しい常識で家をつくろう』などで繰り返し触れている持論を皮切りに、「会場にある7つの家は決して特殊界ではない。リノベーションの可能性を含めた具合案」と説明した。
会期は3/24(日)まで。開場時間は11時~20時(最終入場締切は19:30)。ライトアップされる夜間はまた昼とは違った雰囲気に。

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