2013年3月21日木曜日

JPタワーの商業施設 「KITTE」 本日(大安吉日)オープン

《旧東京中央郵便局》の敷地に建つ《JPタワー》は、日本郵政グループが手掛ける大規模不動産事業初のプロジェクトで、地上38階・高さ200メートルの高層棟が昨年5月31日に竣工している。同タワーの商業施設である「KITTE」が本日オープンした。旧局舎の一部を保存・再生しており、愛称「KITTE」は「切手」と「来て」をひっかけている。
設計監理は三菱地所設計、提携建築家はヘルムート・ヤーン氏、商業施設「KITTE」の内装デザインは隈研吾建築都市設計事務所が担当。
1931年(昭和6年)竣工の《旧東京中央郵便局》の面影を残し、タイルや柱は旧素材を極力使用している(プレスキットで配布されたムック『a Hagaki Magazine』[文藝春秋]より)。昨年7月から既に営業中の1F/東京中央郵便局およびゆうちょ銀行本店の窓口ロビーも同様とのこと。
B2・3Fは駐車場。B1Fから6Fの7フロアに物販71店舗+飲食27店舗=計98店舗が入っている。
 2Fに昇るエスカレーターの途中より、1Fエレベータホール見下ろし。封筒をモチーフにした長方形の立体パターン。材は桜で、各階で意匠が異なる。
 2Fの壁面ディテール。
三角形のアトリウムにそって回廊がまわり、店舗は外周側に配置されている。この日はトップライトから陽が燦燦と差し込み、オフィス街というよりは、リゾートホテルに来ているかのよう。
東京駅側の店舗の窓からは、昨秋改修された東京駅舎が道を一本挟んでよく見える(店舗は3F/Onitsuka Tiger)。
アトリウムの天井から吊るされたボールチェーン。旧郵便局を支えていた八角形の柱を模している。隈氏によるデザインコンセプトは『商店建築』ブログ(2012.10.24取材日誌)に詳しい。
上階からアトリウムを見下ろすと、かつての柱の跡らしき模様が。中央に吊るされている大型パネルはKITTE開業記念アートプロジェクトの「想い桜」。千住博氏がスケッチした福島県三春町の滝桜の画の拡大プリントに、氏と一般参加者がペイントしたもの。オープンから4夜連続でインタラクティブアートイベントを開催予定(18~22時)。注/別窓リンク先は動画スタートするので注意

B1F「KITTE GRANCHE」から6Fレストラン街まで、 「Feel JAPAN」をコンセプトに、日本の奥深さ、心地良さ、愉しさを伝える選りすぐりのショップばかり。うち新業態は34店舗、商業施設への初出店は38店舗、東京初進出は48店舗にのぼる。

4Fは「古と新しい感性の融合フロア」。
4F「北麓草水(ほくろくそうすい)」は、無添加石鹸を製造・販売している松山油脂が立ち上げたスキンケアブランド。日本古来の素材や製法を生かした自然派化粧品と食品、生活雑貨を扱う。富士山麓に研究農園などを持つ。店舗のデザインは社長さんが手掛けたとのこと。
 4Fには目黒の「CLASKA Gallery & Shop "DO"」も出店。
同じく4F「中川政七商店(なかがわまさしちしょうてん)」の東京本店がオープン。奈良晒という麻織物の老舗で、初代の創業は享保年間、パリ万博に出展したこともある。ここ数年は茶房や新ブランド、商品コンサルにも積極的。2010年に奈良市に建てた《中川政七商店新社屋》を吉村靖孝建築設計事務所が手掛けて話題を集めた。
東京本店のデザインは、京都、博多、大阪の各ショップを手掛けたgrafが担当。
衣類やプロダクツのほか、grafがデザインした家具も扱う。純国産無添加にこだわったドライフルーツなど食料品も(内覧時に特別に試食しました。種類が豊富で、大変おいしかったです)。
同じく4Fにオープンした「マルノウチリーディングスタイル」は注目のショップ。文具や雑貨、書籍を販売するセレクトショップとカフェがひとつの店舗に。
モデルは大阪・心斎橋にある「スタンダードブックストア」。
カフェと本屋という取り合わせはこれまであったも、雑貨や文具まで扱う店はほかに類がないという(スタッフ談)。取次(本の問屋)の大阪屋が手掛ける新業態の店で、店内の本は、席で軽食をとりながら自由に読むことが出来る。読み終わったら返却台に戻せばOK。
奥のカウンター席は、山手線や新幹線の往来が一望できる特等席。

3Fは「日本の美意識フロア」。
3F「Floyd(フロイド)」は静岡のプロダクトレーベルで、初の東京直営ショップとなる。店舗設計は長坂常氏が手掛けた。
店は昇降エスカレーター前に位置しているので、2階から昇ってくると、面材を張らずに仕上げた天井が先ず目に飛び込んでくる。
店内はギフトにも使えそうな楽しいモノ達でいっぱい。「人々に感動と驚き、そして微笑を届けることを使命とする」Floydのコンセプトをベースに、デザインされた店舗。以下はスキーマ建築計画サイト>「Floyd KITTE Marunouchi」ページ>プレスデータより転載。

新築でありながら天井がない。当然、周りにはある。新築でありながら床はモルタル。周りはPタイルである。そこに様々な大きさのラワンベニヤの木箱が転がる。少し離れたところから見ると「工事中?」もしくは「荷さばき所?」と思われるような空間。近寄るとそこに非日常なまでに輝く天井の配管と、非日常なまでに手塩にかけられたラワンベニヤ製の木箱に気づく。そして店舗内に入ると自らの動きに連動し小口面の色がかわる。アクリルの棚板の繊細さに気づき、最後にその上にのるFLOYDオリジナルのプロダクトに目がいく。このように来客者の気づきのシークエンスを想像し、作った店舗空間である。
什器の天板に注目。店内を巡っていると、右と左、見る角度で、グラーデーションがかった小口の色がじんわりと微妙に変化することに気付く。
アクリル板の小口に塗装し、さらにやすりがけを施したこの什器は、商品を照らす照明を棚の中に設置しない方法を考えていた過程で誕生したとのこと。透明な天板は天井照明からの光をじゅうぶんに透過させる。
ラワンベニヤでつくられたオリジナル什器は、沼津のO.F.Cの制作。小口処理がおそろしく綺麗で、合板と聞いてイメージしがちなささくれなど皆無。指で撫でると見事にツルツル。
什器におされた金箔サインのデザインはスープ・デザインの尾原史和氏。

見どころは店舗だけではない。2-3FにオープンしたJPタワー学術文化総合ミュージアム「インターメディアテク(IMT)」は必見。
1877(明治10)年の開学以来、東京大学が蓄積してきた剥製や骨格標本といった学術標本、研究資料など、「学術文化財」と呼ばれるものを常設で展示する。日本郵便(株)と東京大学との産学協働プロジェクトで、入場無料というのがうれしい。11-18時開館(木・金曜は20時まで)、基本月曜休館。
元は郵便集配の業務に使われていた大空間。後述のギャラリー(COLONNADE2、3)とは差異をつけ、2Fホワイエは白を基調とした空間。
絶滅したモアの巨大卵殻、弥生時代の名称の起源となった第一号壺型土器、飛騨の老田野鳥館から寄贈された鳥類剥製標本、江田茂コレクションの大型昆虫標本、古代貨幣コレクション、幾何学数理模型などなど、見応えじゅうぶん。自然科学好きなら一日居ても飽きない筈。3Fにはアクセサリーなどの物販ショップも併設。
キリンの尾っぽの骨なぞ、なかなか拝めるものではない。
オープンしたてなのに、もう何十年もそこにあったような雰囲気。むき出しのモルタルの補修は最小限に留めた「展示スペースは、旧局舎が昭和初期を代表するモダニズム建築であるという与件を踏まえ、レトロモダンの雰囲気を醸し出す空間演出をデザインの基調としている。」――公式サイト>常設展示ページより転載。展示ケースや演示台の多くは、戦前に東大の諸部局で使われていた木製什器をリデザインしたもの。
東大医学部講堂の階段教室を再現した、向かい合わせのレクチャーシアター「ACADEMIA」。50名ほどが座れる。ゆくゆくは講演会やIMTカレッジの授業が行なわれる予定。
特別展示「コスモグラフィア(宇宙誌)」は、火星や太陽系内惑星の衛星の写真や抽象絵画など。
特別展示「アントロポメトリア(人体測定)」。1880年代から1890年代にかけてドイツのマルチン・シリング社で製作された三次元関数の石膏製実体模型のコレクションと、滝沢直己作品とのコラボレーション展示。
特別展示「インターメディアテク建設」では、吉田鉄郎(註/鉄は旧漢字)設計による旧局舎のありし日の姿を、模型や保存部材、写真などで再び目にすることができる。錆びついた八角形の柱も現物の一部が展示されていた。
写真のフレームは鋳鉄製。かつては旧局舎の窓枠だったものを再利用。
ミュージアム設計:東京大学総合研究博物館インターメディアテク寄付研究部門+(株)丹青社(株)SIMPLICITY
以上テキストはIMT公式サイトおよび館内配布物および展示パネル、「東大博物総合研究博物館ニュース vol.17」を参照した。

歩き疲れて、お腹が空いたら、5F-6Fのレストランフロアへ。
249席を有し、最大60名まで対応可能なお座敷個室もある5F/和食(京料理)「菜な」。宴会席からの眺めが素晴らしい。
同店宴会席の窓ガラス越しに、東京駅の眺め。ライトアップされた夜の姿は想像するのみ。
お金を使わずにナイスビューを、という人には、4F「旧郵便局長室」が休憩室になっているのでこちらのご利用を。

6Fの屋上庭園「KITTEガーデン」からも東京駅が一望のもと。こちらも入場無料。
JR東京駅舎、発着する鉄道各線はもちろん、今秋完成を目指して建設が進む大丸口の「グランルーフ」もよく見える。
東京駅舎に続き、丸の内口にまた新たな東京名所が誕生。

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