2013年9月1日日曜日

川辺直哉建築設計事務所《コモレビハウス井の頭》オープンハウス

川辺直哉建築設計事務所が手掛けた賃貸住宅《コモレビハウス井の頭》のオープンハウスを見学。京王井の頭線三鷹台駅からほど近く、歩いて2-3分の距離。
敷地は、南側を一般道路、北と西の2面を私道に接し、かつ南北方向に約1メートルの高低差がある。 元は駐車場だった206.76平米の土地に、都内の高級住宅地で2つの物件を共に手掛けたことのある建築主からの依頼で、共同住宅(賃貸)を設計した。

『この場所で、様々な生活スタイルを受け入れながら、限られたスペースを最大限活用し、どのように敷地周辺との関わりをつくりだすかが課題となりました』 ――会場配布物より、一部を転載(以下、二重カッコ内のテキストは配布物より引用)。

敷地は第一種中高層住居専用地域と準防火地域の制約を受ける。 建物はRC造、地下1階+地上3階建て。構造設計は多田脩二構造設計事務所、施工は松井建設(株)
道路側(南西側)からみた建物外観。

出入口は、道路側の階段を数段あがった1階フロアと、傾斜を下りて建物の北側に回り込んだ側の2か所に設けられている。オープンハウス開催時は後者の出入口が受付。
北側のコーナーに設けられた駐輪スペース。
不動産上の計算では最寄駅まで「徒歩3分」で、おそらく走れば1分という近さだが、井の頭恩賜公園と動物園が隣の駅という好立地で、この配慮はうれしい。土地の元所有者の私道なので、設置が可能となった。
北東側・北側道路からの見上げ。
吹き抜けになっているところから、地下(0フロア)に入る。
共有部の階段は建物の中心に据え、階段を取り囲むように、0-1階は各3室、2-3階は各4室というフロア構成。住戸数は計14。
建物のあちこちに意図的に「開口」があるので、廊下のどこに居ても明るく、風も通り抜けていく(仔細は後述)。階段も蹴上げ無しのキャンティレバーとなっている。
階段を上がってすぐ右にある、1階/102から見学。
玄関ドアを開いた状態。共有部のエクステリアが、そのまま玄関の床、室内へと続いている。

『共有部からテラスを介して、専有部まで床仕上げをそのまま住戸のインテリアにまで連続させ、専有/共有、インテリア/エクステリアといった領域の境界と、仕上げの範囲を意図的にずらしている』とのこと。 
東南の角地に位置する102の室内。
キッチン側から、リビングを見る。ファミリーを想定した部屋で、家賃設定も一番高い。ガスコンロの数は4つ、シンクもやや大きめ。
リビングの床フローリングは、テラスを含めた外部と連続したタイルに一部を切り取られるようなかたちで、実際の床の広さより視覚的には小さくなっている。前述の引用テキストで『仕上げの範囲をずらしている』というデザイン処理。
 地下の002は102とほぼ同じ間取りだが、キッチン背面が「光庭」になっている。
外部への出入りは出来ないが、外の光と空気を内部に入り込める。南に面しているので、ガーデニングも楽しめそう。
地階002のテラス。 外部からの視線は植栽で遮断。左隅に見えている小さな階段は、消防指導で定められたもの。

1階共有部、一般道路側の出入口付近。 
ドアは共有部側からのタッチセンサー式。
郵便受け以外に、不在時の宅配受け取りボックスもついている。

続いて、1階/103を見る。
103の室内。
玄関の段差から先の床は、木のフローリング。リビングの照明は、全戸でMAXRAYのペンダント(いわゆる裸電球)。
外部と同じタイルが張られた、北西に面したテラス。
キッチン。ガスコンロは2口。
洗面室。
ロータンク付便器と洗面台。
浴室。
広さとレイアウトの違い以外は、水まわり全戸でこれに準じた仕様。

1階101を見学した後、階段を上がり、2階/201へ。
それらしいドアを探すが、見当たらない。インターホンに仮で貼られた号数表示と、配布資料のフロア平面図を見てやっと、共有廊下の「外」に出てから入室するのだと理解する。
共有廊下と専有部を仕切る防犯扉の表面はメッシュで、外部の光と空気を内部にもたらす。
201の専有廊下およびテラス。
ガラスの框ドアと窓サッシを挟んだ右側が居室。
テラス側から、201室内の眺め。
外部のエクステリアが部屋の中央まで連続し、1段あがってフローリングとなる。奥に洗面室のトイレが見えている。
201洗面室と浴室。
上階の301も同じ間取り。

2階/202の室内から、玄関を通して共有廊下側の眺め。
突き当りに見えているのは、前述201のメッシュの防犯扉。
 この部屋も、リビング、玄関、外部の共有廊下へと、エクステリアが連続している。

202のリビング。
上階の302も同じ間取り。

202のテラスから、外の眺め。 
目隠しにもなっている白いアルミ製ルーバーは、要所でピッチを変えて、パッチワークのように並べている。
室内からではピッチの変化に気付きにくいが、建物の外から全体を見ると、成る程わかりやすい(下の画像は北側私道からの建物見上げ)。

2階に戻り、203を見学。
画像手前がリビング。手前右がテラス。左側・共有廊下からの仕上げが内部にまで連続しているのは、他の住戸と同様。
キッチンと、配管スペース確保の為に1段あがった奥に水まわり空間。
203と同じ部屋タイプの3階/303のテラスとコーナー部分。
タイルが室内から外部へと繋がり、ガラスのサッシで区切られているものの、境目が曖昧になる視覚効果をあげている。


2階/204および3階/304も、前述の201・301同様に、共有廊下の「外」に住戸のドアがある。
L字の専有廊下とテラスは、住まい手のライフスタイルにより可能性が広がりそうな空間。
204と同じ間取りの3階/304。 部屋の奥からテラス越しの外の眺め。 テラスの窓サッシはペアガラスを全戸で採用。

3階の天井、共有階段の上には、たまった熱を外に逃がすガラリ付きのトップライトが設けてあり、このおかげで階下までかなり明るい。まさに「コモレビハウス」。
内外の境目と、仕上げの範囲を意図的にずらすことにより、『生活領域の境界が曖昧になり、物理的な専有領域がその境界を越えて、共有部や外部と関係付けられる』ことを意図した共同住宅。要所に開口部を設けているのもそのひとつで、「視覚的なデザイン処理だけでなく、外部からの光や風が、そのまま室内にも連続して入り込むような、そんな効果をあげることができた」と川辺直哉氏は語った。

0 件のコメント: