2013年10月11日金曜日

東京都現代美術館にて「吉岡徳仁-クリスタライズ」開催中

東京都現代美術館(MOT)にて、吉岡徳仁氏の個展「吉岡徳仁-クリスタライズ(TOKUJIN YOSHIOKA_Crystallize)」が10/3(木)より始まっている。以下は前日の内覧会の様子。
国内の美術館における近年の吉岡氏の作品発表は、2008年に21_21 DESIGN SITE で開催された企画展「セカンド・ネイチャー」展、2009年に東京国立博物館で開催されたカルティエ特別展『「Story of ・・・」カルティエ クリエイション~めぐり逢う美の記憶』、2010年に森美術館で開催された「ネイチャー・センス」展がある。カルティエ特別展以外の前述2展はグループ展だったが、今回は吉岡氏単独の大規模かつ包括的な待望の個展であり、公共の美術館では初の展覧会となる。

本展では、吉岡氏が2007年から取り組んでいる「Crystallized Project(クリスタライズド プロジェクト)」の新作や動画を含む36点が、各展示スペースに分かれて展示されている。

 B2F展示A:《Water Block(ウォーター・ブロック)》
半透明のストローによるインスタレーション《Tornado(トルネード)》も吉岡氏の作品。国内では初の展示。
展示室の奥に置かれたガラスのベンチ《Water Block》は、2002年に始まった光学ガラスによるプロジェクトから生み出された作品のひとつ。パリのオルセー美術館の印象派ギャラリーにも常設展示されている(参考リンク:サイト[excite.ism] 2011.10.28 記事)。

B2F展示室B:《Swan Lake(白鳥の湖)|Crystallized Project》。
《Swan Lake(白鳥の湖)》は、水槽の中の自然結晶に音楽を聴かせながら成長させ、結晶化させた絵画作品。

2008年の21_21 DESIGN SITEでの企画展「セカンド・ネイチャー」では、ベートヴェンの楽曲を聴かせた作品《運命》と《月光》が発表されたが、本作の楽曲はチャイコフスキーの《Swan Lake(白鳥の湖)》。中央に置かれた水槽の中の結晶は成長中の作品で、会期中も展示室内では「白鳥の湖」の曲が流れる。
壁に額装された4作品は、同じ「白鳥の湖」でも聴かせたパートが異なり、結晶の形状もそれぞれ変化する。

作品名《Swan Lake, Op.20. Introduction|白鳥の湖》2013(Crystallized Project 2007)の結晶はブロック状。
白い壁に直接、明記されている作品キャプション。こういったところにも吉岡氏の美意識の高さ、こだわりを感じる。

作品名《Swan Lake, Op.20. No.10scene|白鳥の湖》 2013(Crystallized Project 2007)は、結晶の先端が鋭く尖っている。

B2F展示室C:《Rose》
前室の作品が「結晶の絵画」だとすれば、こちらは「結晶の彫刻」。生きている1本のバラ(Rose)をそのまま結晶化させた。その成長過程を写しとったものが、壁に掛かっている写真《The Rose》で、吉岡氏としては初めての写真作品となる。

バラの先端部・花の部分はほんのりと赤い。これは人為的なものではなく、内部のバラのエキスが吸い上げられて結晶化したもの。
本展では作品を収めているガラスケースの美しさも特筆に値する。これは光の反射を極限まで抑え、周囲の映り込みが発生しない特殊なガラス。ケース越しの作品も、向こう側の展示空間も極めてクリアーに見ることができる。

《蜘蛛の糸(Spider's Thread)》と題されたB2F-D展示室。
前述「セカンド・ネイチャー」展で発表された作品《ビーナス―自然結晶の椅子》では、結晶の生成に繊維のかたまりを用いたが、本作品《蜘蛛の糸》では、たった7本の糸から作品をスタート。
展示室の奥に置かれているのが、最終的に結晶化させた作品。そこに辿り着くまでの左と右に、原型となる7本の糸だけの作品と、途中経過のプロセスが展示されている。
画面上では、何もない、空っぽのケースに見えるかもしれないが、マスキングされた7本の糸の構造体が収められている。至近距離でも目を凝らさないとディテールが確認できないほどの繊細さ。
反対側には、水槽から切り出された結晶した作品が展示されている。


アトリウム・高さ12メートルの吹き抜け大空間での展示作品《Rainbow Church(虹の教会)》は、国内では初めての公開。

天井付近まで積まれているのは、計500個のクリスタルプリズム。これをステンドグラスとして、場内に虹色の光がもたらされる。
《Rainbow Church(虹の教会)》は、吉岡氏による建築プロジェクトの一部を再現したもの。約20年前に吉岡氏がアンリ・マティスが晩年に手掛けた「ロザリオ礼拝堂」を訪れた時の空間体験に端を発する。「明るくまばゆい、圧倒的な光と色に包まれる不思議な体験」をそこで得たのだという。展示室の壁には、吉岡氏の手によるイメージ・ドローイングも。
こちらの展示室では、贅沢なことに《Waterfall》に座って作品を鑑賞できる。

いつか実際の建築物として実現させたいという《Rainbow Church(虹の教会)》。B2Fの最後の展示室Fには、教会内に置くことを想定した椅子《Rainbow Chair(レインボーチェア)》と《Ray of light(レイ オブ ライト)》が展示されている。

1F展示室B:《Honey-pop(ハニーポップ)》」と《PANE chair(パーネチェア)》。
共に、吉岡徳仁氏の名を世界に広めるきっかけとなった椅子作品。
パンを焼くような制作過程を経て完成させるという《パーネチェア(PANE chair)》。その途上の工程が見られる展示も今回併設されている。
《Honey-pop》は120枚の紙を僅か1センチに積層した紙を広げていくことで、ハニカム構造が生まれ、人が座れる強度を有する。

1F展示室Bの奥には、吉岡氏が店舗デザインを手掛けた《スワロスキー銀座店》や、国内外でのエキシビジョンなど、空間作品も見られるムービーも上映中(所要50分)。

1Fのミュージアムショップ[NADiff contemporary]の奥のスペース:ホワイエ/ウォールギャラリーにも、、1990年から来年にかけての企業各社とコラボレーションしたプロダクツの展示があるのでお見逃しなく。
イッセイ・ミヤケから発表された《Silicon Hat》と《Ring Bag》は、吉岡氏の原点ともいえる作品。
このほか、YAMAGIWAから2007年に発表した照明《Tear Drop》、KDDIの携帯電話《X-RAY》、SEIKOの腕時計《O》なども一堂に。

「今回の企画が立ち上がったのは2009年頃、その後に震災がおこり、自分の表現の中で、何かができるのではないかと考えた。画家が絵具や絵筆を使うように、自分は自然と共に、光や自然のエネルギー自体を作品にした作品を生み出そうと思った」と吉岡氏談。展覧会タイトルの「Crystallize」にも、「形を与え、結実させる」という意味が込められている。造形や技法という概念から解放された作品、吉岡氏独自の世界観を具現化する会場構成となっている。

展覧会カタログ『吉岡徳仁-クリスタライズ』は鋭意制作中、会期中に青幻舎より発行される予定。NADiffでは先行予約特典(特製しおり4枚セット付)あり。

会期は来年1/19(日)まで。休館日や入場料についてはMOTサイト内の企画展ページ「吉岡徳仁-クリスタライズ」を参照。

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