2019年11月22日金曜日

YAMAGIWA「フランク・ロイド・ライトへのオマージュ展 (2019) 」

外苑前にあるYAMAGIWAのショールーム、yamagiwa tokyoにて開催中の「フランク・ロイド・ライトへのオマージュ展 (2019) 」へ。
この展覧会は、フランク・ロイド・ライト生誕150年を迎えた2017年に、ライトのデザインの素晴らしさと、今日まで復刻を続けてきたYAMAGIWAのものづくりを伝えることが出来ないかと考え、開催がスタートし3回目となる。
2017年の第1回目では、建築家 坂茂氏、インテリアデザイナー 橋本夕紀夫氏、デザインスタジオ groovisions、2018年は第2回目として、建築家 伊東豊雄氏、デザイナー 皆川明氏、彫刻家 名和晃平氏を迎え、照明タリアセン2を原型とし、それぞれの解釈で表現されたオマージュ作品を展示・限定販売した。
ライト建築が世界文化遺産に登録された今年2019年は、第3回目として、建築家 妹島和世氏、建築家 永山祐子氏、プロダクトデザイナー 鈴木啓太氏が参加し、また新たな作品が生み出された。
(以下、作品についてのコメントはオフィシャル資料転記)
FORM OF LIGHT 透明な明かり  妹島和世氏(建築家)
透明な明かりは透明なアクリル球を重ねることでつくられる。タリアセンのように同じ形が連続することで表裏のない、どこから見てもきれいな形として空間に現れる。昼間はアクリルが周囲の光をやわらかく反射し、空間に溶け込むように佇み、周りがだんだん暗くなると、明かりとともに形が浮かび上がる。時間の移り変わりや置かれる場所によって、様々な表情を見せ、柔らかい光がかたちをつくる。
TALIESIN® LIGHT 永山祐子氏(建築家)
ライト建築の有機的で重厚な空間から繊細で軽やかな空間へ、時代とともに変化する建築に合わせタリアセンを現代的に読み替えた。オリジナルの要素はそのままに面の構成から線の構成へ、木から金属へ。素材を薄く細く突き詰めることで構造物としての存在は消え、さらに遮光板のスチール表面に風景が映り込む事で空間に溶け込み、光のみが浮かび上がる。まさにニュースタンダードと呼ぶにふさわしい表現となった。
TALIESIN® ELEMENTS 鈴木啓太氏(プロダクトデザイナー)
物を生む現場からデザインを考えていたライト。帝国ホテルのタイル制作では新しく工場まで作ったという彼を称え、考えたのは「今彼が生きていたら、どのような素材と技法に挑んだのか」。ライトの建築や装飾に見られる正方形から着想を得て、3Dプリントで成形したセラミックパネルと、日本の伝統的な焼き物技術の融合を目指した。釉薬ならではの揺らぎと崩しが空間に表情を生み、ライトの不完全さをも愛でる感性を反映している。
これらの作品は、特別限定モデルとして11/21より期間限定で発売する。
また会場では、今回の作品の他、これまでの作品も一堂に展示。
会期は今週末11/24まで。

「Steven Holl:Making Architecture」内覧会

建築倉庫ミュージアム 展示室A、Bにて、8日(金)から開催中のSteven Holl:Making Architecture」内覧会へ。
スティーブン・ホール氏、田中友章氏(明治大学)
アメリカを代表する建築家、スティーブン・ホールは72歳になった現在も、ニューヨークと北京にオフィスを構えながら精力的に活動を続けており、世界中で多くのプロジェクトが進行している。
ホールの設計の源は、毎朝描かれる水彩画であり、
愛用する5”x7”(12.7cm×17.8cm)のスケッチブックに描かれた水彩画はのべ3万枚を超える。
水彩画のイメージを基にし、3Dモデリングツールによってスタディされ、模型が制作され、またスケッチに戻る。原初的なアプローチと最先端デジタルツールの双方を駆使し、
検討を繰り返すというプロセスからホール独自の建築が生み出されてきた。


本展では、上海展から追加された6作品を含め、ホールの近作17作品を中心に、100点を超えるドローイングのほか、スタディ模型、プレゼンテーション模型、建築図面や映像など、のべ150点が日本初展示。
模型とドローイングによるスタディを繰り返し、ホールがどのようにアイデアから実作に進めていくかのメイキング(プロセス)を垣間見ることができる。

展示室AではPART Ⅰ:THINKINGとPART Ⅱ:BUILDINGが展示される。
PART Ⅰ:THINKINGではドローイングやコンセプト模型が6つのテーブルに並ぶ。テーブルはプロジェクトごとではなく、ホールの「構築する思考」と呼ぶ考えに従ったグループに分類される。ホールは毎日儀式のように、頭が最もクリアで、建築の創造で求められる直感的・創造的な考えを取り入れやすい1日の始めにドローイングを描く。

テーブル1:分野横断的空間とソーシャル・コンデンサー
このテーブルでは、従来切り離されていた分野間の対話を促す建築空間をつくるというアイデアが展開。
ルイス・センター・フォー・ジ・アーツのドローイングや、初期コンセプトスタディ模型など。

PART Ⅱ:BUILDINGでは、空間的関係性を認識し、建築内部の表現豊かな物質性の直接的な経験が高められるかを示すための模型が展示。縮尺の大きな模型の制作は、実現する建物の現象的・感覚的な体験を生み出すためにホールが行う膨大な認識・リサーチプロセスの綿密なスタディの一段階である。

到着ホールと色ガラスのトップライトのスタディ模型(縮尺:1/50)、2017年
金宝山景観墓園(台湾、台北市)
仏殿と生命の木 内部スタディ模型(縮尺:1/50)、2017年
金宝山景観墓園(台湾、台北市)

PART Ⅲ:CITY WITHIN A CITYでは、中国で過去10年間行われた、都市を対象にした複雑で大規模なプロジェクトが展示。入れ子状になった都市と建築のスケールに取り組み、都市空間に秩序を与えて配置する新しい方法を提案している。
展示室AとBをつなぐ廊下。展示室Bを含め、壁には45点のドローイングを展示
PART Ⅳ:REFLECTINGでは、ホールの著作や関連書籍、プロトタイプが展示され、スピリット・オブ・スペース・フィルムズによる映像が上映。ホールはコロンビア大学建築学部で終身在職権を持つ教授であり、30年以上にわたり小規模な設計スタジオの授業を教えている。

エックス・オブ・イン テーブルランプ
エックス・オブ・イン カーペット、2015年
『Making Architecture』、建築をつくる、そのシンプルかつ信念に溢れるホールの手法と、建築家がこだわり続ける創作の姿勢が見られる本展は1月18日(土)まで。
詳細はこちら

2019年11月21日木曜日

エーディコア・ディバイズ「2020モデル新作発表会」

東京・広尾にあるエーディコア・ディバイズのショールームにて「2020モデル新作発表会」が11/20~22の期間で開催。今回の新モデルは、“エフォートレスシック”をテーマに、NEO CLASSICO Heritage(ネオクラシコヘリテージ)より、1920年代のアメリカンアール・デコをデザインイメージとしたシリーズを発表。また、昨年発表したA-mode(エーモード)ブランドのMD-901シリーズに、ラウンジチェアとテーブルを追加した。

NEO CLASSICO Heritage 
061A MODEL アメリカンバレルバックチェア
アメリカンアール・デコをイメージしたフォーマルなチェア。ゆったりしたサイズでフォーマルダイニングチェアとして、オフィスでのカンファレンスチェアやリビングに合わせるラウンジチェアとしても使える。座用として特別仕様のキルティング加工を施した天然皮革のバージョンも用意。
A-mode MD-901L〈ラウンジチェア〉
フォーマルな空間にも使用できるラウンジチェア。人間工学的に設計されたモジュールで小柄な人から大柄な人まで快適に座れる。ローバックとハイバックの2タイプ。
A-mode MD-905〈ダイニングテーブル〉
昨年発表したMD-901に合わせてデザインしたテーブル。楕円形状の柔らかな脚部とそれにつながるように削り込まれた天板が一体感を生み出すシンプルなデザイン。
 その他、リビングテーブルやコンパクトソファなどの新作も。
東京・広尾ショールームでの開催は明日まで。大阪・心斎橋ショールームと名古屋・大阪ショールームにて開催予定。
あわせて新カタログ2020-2021を発刊。会期中は限定のオリジナルバックに入れて配布している。

2019年11月19日火曜日

HILLSIDE TERRACE 1969-2019 ―アーバンヴィレッジ代官山のすべて―

2019年にヒルサイドテラスは第1期の竣工から50周年、重要文化財・旧朝倉家住宅は100周年を迎える。それを記念し、ヒルサイドテラス各会場では展覧会、シンポジウム、コンサートなどのイベントを開催している。
今回は、ヒルサイドフォーラム、エキシビションルームにて開催中の「HILLSIDE TERRACE 1969-2019 ―アーバンヴィレッジ代官山のすべて―」へ。


ヒルサイドテラスの成り立ちが模型やスケッチからわかるエリア
「生成するアーキテクチュア」

本展は、朝倉家、ヒルサイドテラスの150年にわたる歩みを、ジオラマ、映像、写真、パネル等によって、建築、まちづくり、文化事業、商業活動等、様々な角度から照らし出す内容。
槇氏の当時のスケッチ


パブリックスペースの使われ方の変遷をたどるエリア
「ヒルサイドテラスの文化活動」 

SDレビューは建築家たちの登竜門として現在まで38回開催、多くの建築家を輩出 

 代官山時期重ねジオラマ

 ヒルサイドテラス、旧朝倉邸を中心に周辺地域の移り変わりが一目瞭然


本展は12月8日(日)まで。
他イベント等詳細はこちら

2019年11月18日月曜日

「AnyTokyo2019」開催中

東京・九段下にあるkudan houseにて、クリエイティブの祭典「AnyTokyo(エニートーキョー)2019」が11/16~24の会期で開催中。AnyTokyoは2013年度からスタート、4年ぶり4回目となる今回は、“Crazy Futures/かもしれない未来”をテーマにジャンルを超えた各分野のイノべーターたちが集結。
会場のkudan house(旧山口萬吉邸)は、1927年に竣工、2018年5月に登録有形文化財に登録された、地下1階地上3階のスパニッシュ式洋館。来客用の和室や、元々ダンスホールとして設計された3階居室、新たに整備された日本庭園など、和洋折衷の要素が取り入れられ、現在は会員制ビジネスの拠点として運営している。
江戸時代に生まれ刀の鞘の装飾で用いられてきた「ひび塗り」を使った展示(「予想外の美」鈴木啓太)、浮かぶシェードなど小さな驚きをもたらす照明(「LIGHT OF YOY」YOY)、見る角度や位置によって動的な効果が生じるガラスモザイク(「MIST」大城健作)、光で固まる樹脂をつかったインスタレーション(「glow⇄grow」TAKT PROJECT)など22組のアーティストの展示が見れる。
会期中は、出展者によるトークイベントも開催される。

2019年11月11日月曜日

「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」内覧会

東京国立近代美術館にて11月1日(金)より開催中の「窓展:窓をめぐるアートと建築の旅」内覧会へ。
アンリ・マティス 《待つ》 1921-22年 油彩・キャンバス 61×50cm 愛知県美術館

東京国立近代美術館と、「窓学」を主宰する一般財団法人 窓研究所がタッグを組んで行われている展は、アンリ・マティスやパウル・クレー、マルセル・デュシャンなど20世紀の巨匠から、ゲルハルト・リヒターやヴォルフガング・ティルマンスなど現代美術の巨匠までが勢ぞろい。
また、東北大学 五十嵐太郎研究室制作の、窓を切り口に建築とアートの歴史をたどる全長12メートルの年表の展示や、「窓研プロジェクト」として、同館前庭に建築家 藤本壮介の《窓に住む家/窓のない家》が出現するなど「窓」の切り口が今までにない新しい企画展となっている。

14の章には、絵画に描かれた窓、室内・屋外の接点としての窓、窓をめぐる建築とアートの歴史などのテーマでさまざまな作品が並ぶ。絵画、写真、版画、映像、インスタレーション、建築など、ジャンルを超えて58作家、 117点を紹介している。 (会場構成:西澤徹夫建築設計事務所)


■1. 窓の世界
バスター・キートンの名作映画《キートンの蒸気船》(1928年、株式会社アイ・ヴィ―・シー)からスタート。窓の世界へいざなうイントロダクション。


■2. 窓からながめる建築とアート
東北大学 五十嵐太郎研究室が、時代や洋の東西を問わず窓と建築とアートの歴史をたどる全長12メートルの年表を制作。ル・コルビュジエ、ルイス・カーン、ジェームズ・スターリング、ピーター・アイゼンマンなどの建築家による窓のドローイングや貴重書もあわせて展示。


■3. 窓の20世紀美術 Ⅰ
アンリ・マティス、パウル・クレー、岸田劉生など20世紀絵画でおなじみの巨匠が描く窓を紹介。あっ、これも窓だったのか!という驚きの一枚も。


■4. 窓の20世紀美術 Ⅱ
四角を用いた抽象絵画のイメージ源は窓?難しそうな抽象絵画を「こころの窓を開くもの」と捉えることで、鑑賞がぐっと楽しくなる。マーク・ロスコ、 ロイ・リキテンシュタインなどの作品を展示。


■5. 窓からのぞく人 Ⅰ
外の世界はこわいもの。でも窓から外をのぞいてみずにはいられない。安井仲治、林田嶺一、ジェイムズ・キャッスルなどの緊張感に満ちた作品を紹介。

■6. 窓の外、窓の内:奈良原一高〈王国〉
日本を代表する写真家、奈良原一高の名を一躍高めた初期の作品。男子修道院と女子刑務所、閉ざされた場所で暮らす人々と窓の姿を追う。


■7. 世界の窓:西京人(小沢剛、チェン・シャオション、ギムホンソック)《第3章:ようこそ西京に―西京入国管理局》
歌ったり踊ったり笑ったりしないと前に進めない入国管理局⁉ 架空の国の入国管理局で、世界に開かれた窓について考える。


■8. 窓からのぞく人 Ⅱ:ユゼフ・ロバコフスキ《わたしの窓から》
ポーランドを代表する映像作家。22年にわたり自宅の高層アパートの窓から中庭を実況中継した、驚異の、かつユーモアあふれる作品。


■9. 窓からのぞく人 Ⅲ:タデウシュ・カントル《教室―閉ざされた作品》
戦後を代表するポーランドの演劇人。その原風景となるふるさとの小学校の教室をかたどった大型インスタレーションを日本初公開。
Tadeusz Kantor ©Maria Kantor&Dorota


■10. 窓はスクリーン
現代において、絵画の代わりに遠い世界の光景を室内まで運んできてくれるのは、テレビやPCといったスクリーン。ロバート・ラウシェンバーグ、ナム・ジュン・パイク、久保田成子などの作品でクールな電子の窓を紹介。


■11. 窓の運動学
空気や光を入れたり、湿気や暑さ、寒さを追い出したり。窓には私たちの生活に欠かせない機能がある。でもその機能を取り払って、ただ開いたり閉まったりするものとして窓を捉え直してみたら?ひたすら動く窓が、なんだかいとおしい生き物のように思えてくる。スイスの大御所、ローマン・シグネールや、伝説のアート・ユニット、THE PLAYの破天荒なプロジェクトを紹介。
ローマン・シグネール《よろい戸》
ズビグニエフ・リプチンスキ《タンゴ》


 ■12. 窓の光
自室を丸ごとピンホール・カメラに変えた青年、山中信夫。山中に対するオマージュ作品〈Camera obscura — thirty six views of mount fuji〉より、新作を含め展示予定のホンマタカシ。世代の異なる二人のアーティストの作品を紹介。


■13. 窓は希望:ゲルハルト・リヒター《8枚のガラス》
8枚の大きなガラス板が鑑賞者の姿をさまざまに映し出す、ドイツの巨匠ゲルハルト・リヒターの超重量級立体作品。


■14. 窓の家:藤本壮介《窓に住む家/窓のない家》
同館前庭に建築家、藤本壮介の《窓に住む家/窓のない家》(2019年)が出現。高さ約7m、藤本の代表作の一つ、《House N》(2008年)の大型コンセプトモデル。


夜間開館(毎週金、土曜は夜20時まで開館)を中心に、同展担当キュレーターによるギャラリートークを開催。詳しいスケジュールは随時同館WEBサイトにて。
会期は2020年2月2日(日)まで。