2025年12月15日月曜日

【千年家具】 「建築と、木の対話。」隈研吾建築と描く、木が建築と響き合う空間

有限会社千年家具は、青山・浅草を拠点に一枚板の販売・施工を通じて培った木への知見と技術を、建築的・意匠的な領域へと広げるべく、コントラクト事業の本格的な拡大を発表した。同社は「家具単体ではなく、空間そのものを構成する木のデザイン」を目指し、建築家やデザイナーと共に設計段階から木の表現を考え、建築と木が共鳴する空間づくりに取り組む。

■木が持つ力を空間へ
木は単なる素材ではない。触れた瞬間に伝わる温度、陰影に宿る表情、そして長い時間を経てもなお呼吸し続ける生命の気配――千年家具はこうした木の可能性を空間づくりに生かすため、家具づくりで培った「素材と向き合う目」を空間全体へ展開する。
同社が手がけるのは、店舗やホテルのカウンター、壁面の羽目板やルーバー、光をやわらかく透かす組子のパーテーション、手仕事の跡が美しいナグリ加工の床材など、木の表現が主役となる設えだ。全国の工房や木工職人と連携し、無垢材の加工から塗装、設計、施工まで一貫対応。乾燥や反りへの配慮、空間演出に合わせた木目選定、セラウッド塗装などの機能性仕上げまで、プロジェクトごとに最適な提案を行う。
■隈研吾建築との取り組み
その象徴的なプロジェクトが、隈研吾設計事務所との協働だ。2025年10月、富士山麓の自然と共生する建築に、千年家具が納品した一枚板が設えられた。トチの一枚板が配置されたリビングでは、静寂の中で風が木を揺らし、光が壁を伝い木目にやわらかく触れる。建築と自然、そして木が互いの存在を静かに確かめ合うように響き合う空間が生まれた。
この空間を舞台に撮影される作品は「光と陰」「静寂と時間」「建築と木」という3つのテーマで構成され、余白を活かした構成とカメラワークで“静けさの中に力強さを宿す”世界観を描く。スピーカーを内蔵した特注テーブル脚など、ディテールにもこだわりが込められている。
■「木の哲学」を空間全体へ
千年家具は、過剰な装飾を排した“静かな存在感”を追求し、光と影の揺らぎ、素材の呼吸、空気の匂いが共鳴する瞬間こそ木の本質が最も美しく立ち上がると考える。青山のコントラクトオフィスでは、設計者との打ち合わせやサンプル確認を行う「木のアトリエ」を設置。浅草本店では無垢材や一枚板を中心とした展示を通じて、素材そのものの表情を直接感じられる空間を展開している。
コントラクト事業の拡大は、単なる新規事業ではなく、千年家具が培ってきた「木の哲学」を空間全体へ広げる“進化”である。建築、デザイン、そして木――それぞれの線が重なり合う場所に、これからの空間づくりの可能性がある。同社は「木のもつ物語性と建築の思想をつなぐ存在でありたい」と語る。




有限会社 千年家具(SENNEN KAGU Inc.)
https://sennenkagu.co.jp

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