2025年4月18日金曜日

TOTOギャラリー・間、「篠原一男 空間に永遠を刻む――生誕百年 100の問い」

TOTO株式会社が運営するTOTOギャラリー・間(東京都港区)にて、建築家・篠原一男の生誕100年を記念した展覧会「篠原一男 空間に永遠を刻む――生誕百年 100の問い」が2025年4月17日(木)~6月22日(日)の会期で開催中。
篠原一男氏(1925-2006年)は東京工業大学(現:東京科学大学)で清家清氏(1918-2005年)に学び、卒業後は同大学で教鞭をとりながらプロフェッサーアーキテクトとして、退職後は自邸兼アトリエ「ハウス イン ヨコハマ」(1985年)に篠原アトリエを構え、設計と言説の発表を続けた。坂本一成氏、伊東豊雄氏、長谷川逸子氏に代表される「篠原スクール」と呼ばれる一群の建築家を輩出するなど、氏の薫陶や影響を受けた多くの建築家が現在、建築界の第一線で活躍している。
▲4/16に行われたプレスカンファレンスにて。キュレーター陣。
(右から奥山信一氏、貝島桃代氏、セン・クアン氏、小倉宏志郎氏)

今回の展覧会では建築家の奥山信一氏、貝島桃代氏、建築史家のセン・クアン氏をキュレーターに迎え、生涯を通して自らに「問い」を投げかけ続けた氏の建築家像を、「永遠性」をテーマに再考。会場では、東京工業大学篠原研究室作製の原図や模型・真筆のスケッチ・家具などのオリジナル資料を、氏の言説から抽出した「100の問い」と氏自らの分類による「第1の様式」から「第4の様式」に沿って構成し、その活動と人間性を浮かび上がらせる。さらに「第5の様式」を予感させる未完の遺作「蓼科山地の初等幾何」(2006年、計画案)のスケッチも展示。

3Fでは、導入部の位置づけで、「永遠性」表明の発端となった「白の家」(1966年)「地の家」(1966年)それに先立つ「から傘の家」(1961年)を、天井高いっぱいに引き伸ばした内観写真と模型・製本図面などの貴重な資料で紹介。奥とガラスを隔てて中庭には「谷川さんの住宅」(1976年)「上原通りの住宅(1976年)」の展示も。
中庭では活動年表展示とキュレーター陣によって選ばれた氏が遺した特徴的な100の言葉を「100の問い」とし、壁面に散りばめられている。また、この「100の問い」を1980年以降生まれの建築家・編集者・アーティスト100人に投げかけ「100の応答」としてまとめた印刷物が会場で配布されている(公式サイトからPDFのダウンロードも可能)。
4は、自邸兼アトリエ「ハウス イン ヨコハマ」(1985年)の主室空間をオリジナル家具の再制作で原寸で再現。ほか、生前に残した正方形の3冊の作品集、未完の遺作「蓼科山地の初等幾何」(2006年、計画案)のスケッチ、インタビュー動画などが展示。
会場で展示もされているTOTO出版による作品集『篠原一男』(1996年発行)は、生誕100年を記念し復刻。あわせて以前から海外からの要望も多かったということもあり、英語版『Shinohara Kazuo』 (英訳ブックレット付+豪華ケース入り) を発行。
▲復刻版の作品集

会場では、事前申込不要でキュレーターやアシスタントキュレーター、TOTOギャラリー・間館長によるギャラリーツアー、ディレクターによるツアーを随時開催している(スケジュールは公式サイトに記載)。

TOTOギャラリー・間は1985年より社会貢献活動の一環として運営、2025年10月には開設40周年を迎える。この展示は記念企画の1つで今後2つの企画が予定されている(7/24~「新しい建築の当事者たち」、11/21~「(仮称)マリーナ・タバサム展」)。

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