公益財団法人日本デザイン振興会は、有明ガーデンにて2024年度グッドデザイン賞 受賞祝賀会を開催。「2024年度グッドデザイン大賞」及び「みんなの選んだグッドデザイン」を発表した。(11月5日)
グッドデザイン大賞は審査員及び受賞者による投票の結果、遊具研究プロジェクト「RESILIENCE PLAYGROUND プロジェクト」がグッドデザイン大賞を受賞した。
この作品は「障害の有無に関わらず誰もが遊ぶことができる遊具」の開発を医療と遊具の分野を越えて実現したプロジェクト。医療的ケア児を起点した遊具を開発し、「遊びたくても遊べない」という子どもたちの課題を解決し、大人の「重度な障害児は遊べないだろう」という先入観を排除し、家と病院以外の居場所を増し、遊具をきっかけに遊び場に参加できる人を増やし、誰もが自分らしく楽しいと感じられる社会を作ることを目的としている。
齋藤精一審査委員長(左)大賞受賞株式会社ジャクエツ田嶋宏行氏(左)
齋藤精一審査委員長は「福祉がデザインの領域に入ってきたことが、今まであまりなかったと思う。今年は大きな波になった。福祉領域は社会的にはやれることがあるだろう。いまは小さな活動かもしれないが、そこにいろいろなデザイナー、建築やプロダクトなどの方々が参入し、大きなこの波が生まれるのではないかと感じる。その先駆けとして具現化したプロジェクトではないかと思う。グッドデザインの役割として、まだ小さな活動だが、グッドデザインが大きなメガホンとして多くの人に知ってもらい、多くの応援者を求めることがグッドデザインの役割だと考えている。審査員や受賞者がこの作品を選んだということは、ココをもっと推していかなくてはいけないというグッドデザインのメッセージではないか。昨年の「52間の縁側」や「おてらおやつクラブ」等、マイノリティに対してデザインがどう救いの手を出すことができるか、その場所の作り方が去年からの潮流でもあるし、そのような場所が増えてきた」と述べた。
大賞受賞者の株式会社ジャクエツ田嶋宏行氏は「自分も周りの社員も、このプロジェクトがこんなに凄いことに気が付いていなかった。今回の受賞でたくさん発信することができる。今回の作品は当初、社内から安全基準等で反対意見もあったが、社外の人たちがこのプロジェクトを推して社内の風向きが変わった。インハウスデザイナーの自分一人では説得できなかったが、周りの方々力で実現できた。自分が勇気を出して一歩踏み出したことに対して、地域の方々やケアスタッフの方々が巻き込んでくれて、会社の意識が変わり、顧客も子供たちが楽しく遊んでいる姿を見てどんどん意識が変わっていき、地域の人たちが自分の小さな勇気を少しずつ押し上げてくれて、ゆっくり有機的に広がっていった。」と述べた。
また「会社の役割として大きかったのは、医療的ケア児向けになり過ぎないように、健常児と医療的ケア児両方の遊具でないといけないと言われたこと。この言葉が無かったらどちらかに偏っていたと思う。ビジネス的な目線でちゃんと市場に投入できる遊具になったことは会社の役割が大きい」と述べた。
この遊具は都立明治公園や「東戸塚オーロラシティ」イオン棟屋上の「水の広場」に設置されている。
今年が初開催となった「みんなの選んだグッドデザイン」は東京ミッドタウンで開催されていた「GOOD DESIGN EXHIBITION 2024」来場者および祝賀会来場者による投票により「多世代共生の複合型福祉施設 深川えんみち」に決定した。
JAMZA長谷川 駿氏
「みんなの選んだグッドデザイン」について齋藤精一審査委員長は「あのような施設があったら素敵だよねと思うから皆さんが投票されたと思う。これは大きなムーブメントだと思う。福祉をデザインの分野みんなで仕上げていけるといいと思う」と述べた。