2024年10月21日月曜日

日本空間デザイン賞 2024年度 KUKAN OF THE YEAR【在る美】【馬場川通りアーバンデザインプロジェクト】【tobe】の3作品に決定


DSA(一般社団法人日本空間デザイン協会)とJCD(一般社団法人日本商環境デザイン協会)が共同主催する日本空間デザイン賞は、3次・最終審査会にて金賞・銀賞・銅賞の合計38作品を選出し、金賞に選ばれた12作品の中から【在る美】、【馬場川通りアーバンデザインプロジェクト】、【tobe】の3作品を今年度グランプリの「KUKAN OF THE YEAR 2024」に決定し、大手町三井ホール(東京・大手町)で贈賞式が開催された。

 贈賞式会場ステージ 撮影:HIROSHI TSUCHIDA

作品名:在る美
受賞者:資生堂クリエイティブ株式会社 金内 幸裕
撮影: 林 雅之
作品名:馬場川通りアーバンデザインプロジェクト
受賞者:株式会社ランドスケープ・プラス 平賀 達也
撮影: 浜田 昌樹
作品名:tobe
受賞者:kufu 成田 和弘 + 成田 麻依
撮影: TOREAL 藤井 浩司 

審査員選評
在る美
審査員:山本 尚美(株式会社NY4 代表取締役 / 東北大学特任教授(客員) )
単に日本の伝統工芸の美しさを再解釈・再構成するだけでなく、美の本質を追求する行為として捉えた。「神は細部に宿る」という言葉を思い起こさせ、竹骨や糸に込められた作者の想いが映し出されているようだ。完璧で完成された美ではなく、不完全さの中に美を見出そうとする姿勢が感じられる。ディテールにこだわりつつも、全体として一つの造形にまとめ上げている。静寂の中にも、詩を詠むかのような動きのある作品に仕上がっている。
 
馬場川通りアーバンデザインプロジェクト
審査員:芦沢 啓治(建築家、芦沢啓治建築設計事務所 主宰)
このスペースは、都市再生推進法人の前橋デザインコミッション(MDC)とデザイナーは理想を実現することの難しさから行政とタッグを組み、仕組みから作ることによってできあがった。できあがったその空間は、まるで昔からそうであったかのようにすでに定着している感があり、むしろなぜそれらができなかったのか、日本におけるアーバンデザインの問題が逆に浮き彫りにされるかのようである。日本において公共空間は、誰のためにあるべきなのかは実に曖昧である。多くの場合、公共空間を管理する人たちによって管理のしやすいものとなる。このプロジェクトにおいては、その管理においても官民で行うこととしている。また、改修や管理に関わるお金の多くが地元有志によって寄付されていることも特筆すべきことであろう。この意欲的なプロジェクトが地方都市における一つのモデルケースとなり新たなプロジェクトの呼び水になればと心から思う。
 
tobe
審査員:鈴木 康弘(アーティスト )
一見すると煉瓦造りの美術館建築を思わせるような外観が目を引く。思わず触れてみたくなる煉瓦の質感、周囲や小道を圧迫しない細かな配慮が建物全体に優しさを感じさせる。小部屋ごとに空いた隙間や道に沿った壁面によって、風通しのよい柔らかな境界線を描き出している。差し込む光や通り掛かる人の気配を招き入れ、住宅とギャラリー、生活とアート、プライベートとパブリック、それらを分けることなく和えるような、感性による「しきり」の提案が成されている。この敷地でしか生まれ得ない空間が立ち現れていることを評価した。
 


日本空間デザイン賞

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