2017年10月30日月曜日

マルニ木工 創業90周年イベント「The History of Maruni Chairs」

東日本橋にあるマルニ木工東京ショールームにて、創業90周年イベント「The History of Maruni Chairs」が開催中。
「工芸の工業化」をモットーにモノづくりを続けてきた同社は、2018年に創業90周年、MARUNI COLLECTION発売10周年を迎えるのを記念し、2017年秋から2018年までの間に異なる3つの企画展を開催。
今回がその第一弾で「The History of Maruni Chairs」と題し、創業当時の椅子からHIROSHIMAアームチェアに至るまでのアーカイブを集めたチェアコレクションを公開している。
職人たちが椅子に込めた思いとともに精緻なモノづくりを体感してほしいとのこと。
 <銀行椅子(1928)>
生産第一号の曲木椅子。中国山地のブナ材を生かせる製品開発に挑戦。材料の蒸し・曲げ・乾燥と各工程で試行錯誤を重ね、工場完成から七か月後にようやく完成した。
 <鉄道回転椅子(1947)>
羽脚のより足元がすっきりとした実用性にあふれるデザインで、回転と上下機構を持った機能的な椅子。国鉄の貨物列車で、最後尾車掌車の腰掛けに使用された。座面は当時には珍しいもモケット素材を採用した。
ロゴマークにも変遷があり、この当時は孔雀が入ったマークが使用されていた。詳しい変遷についてはHPで確認できる。
 ほかにも、前脚と後脚を三角形に組み合わせた<デルタチェア(1958)>や、猫脚スタイルが特徴の<ベルサイユチェア(1968)>、当時は曲げ加工が鬼門とされていたカリン材でつくられた<ショパンロッキングチェア(1971)>など、、
そして、プロダクトデザイナーの深澤直人氏デザインの MARUNI COLLECTION<HIROSHIMAアームチェア(2008)>
なめらかな曲面で一つとして基準面を持たない加工者泣かせの名作。
展示は11/5(日)まで。

2017年10月25日水曜日

“日本と台湾をコーヒーでつなぐ「DOMO CAFÉ」グランドオープン

“日本と台湾をつなぐ”をコンセプトとしたDOMO CAFÉ(ドウモカフェ)が、919日(火)にグランドオープンした。東京におけるアジア文化の発信地・新大久保で、「家のようにくつろぎながら、世界各国の友人と出会える場」を提供する。

©KAI NAKAMURA
▲新大久保の住宅街の一角、階段を降りた地下階に店を構える

こちらを運営するのは、台湾に拠点を置く旅行会社から事業を拡大してきたDOMO株式会社。大の旅行好きという代表の廖 惠萍(リョウ ケイヒン)氏は、店名に「ドウモ」という言葉を採用した経緯について「日本への出店を迷っていた際、知人からの『日本語ができなくても“すみません”“どうぞ”“どうも”―――この3つの言葉さえ理解できれば大丈夫』との励ましに背中を押され来日しました。すると、中でも「どうも」という言葉の汎用性が高く、非常に助けられました。また、ヨーロッパ圏を旅していた際には、道を尋ねた際、必ずと言っていいほど「あの尖った建物を目指せば迷わないよ」と“DUOMO”という言葉が伝えられました。“DUOMO”とは“教会”を意味する言葉です。“どうも”と“DUOMO”―――言語は違えど、この2つの言葉に非常に親和性を覚え、世界各国の人々が集い、家のようにくつろぐことのできる空間にしたい、と考え“DOMO CAFÉ”と名付けました」と語った。

▲メインビジュアル
カップや壁の色にもこのビジュアルが反映されている
©KAI NAKAMURA
▲左がカジュアルエリアで右がリラックスエリア
©KAI NAKAMURA
▲リラックスエリアの奥にはソファ席も

 グラフィックデザインは台湾の人気イラストレーター・Milly(ミリー)氏、インテリアは台湾の新しい観光スポットとして注目を浴びる台中の“オペラハウス”の設計を長年担当した元・伊東豊雄建築設計事務所の建築家・佐野健太氏が担当し、クリエーターでも日台のコラボレーションを実現した。

「内装については特別なことはせず、あくまで素直に、誠実に設計しました。ここは元々は住宅で、真ん中には動かせない壁がありましたが、無理に動かさずに2つの異なる世界をつくろうと考え、ちょっと立ち寄った人や、一人で来た人が気軽に使える空間としてのカジュアルエリアと、複数人できたり、ゆっくりと過ごす人がうれしいリラックスエリアの2つの空間を展開しました」と佐野氏。また、天井の高さを思い切って変えてみたり、カウンターをひとつながりにするなどの試みも。カウンターは、主役であるコーヒーに注目が集まるよう、コーヒーを淹れるときの所作やマシーンを魅せるステージのようなイメージで設計したのだそう。

また、ブランドカラーのパステル調の“ピンク”と“グリーン”の壁をカフェスタッフが自らの手で仕上げるなど、「台湾と日本の国際交流が長く続くように」というメッセージを随所に込めている。



佐野健太(佐野健太建築設計事務所 代表)
一級建築士。東洋大学非常勤講師。

1997年     早稲田大学卒業(地理学)
2004年     横浜国立大学大学院修了(工学)
2004~2015年 伊東豊雄建築設計事務所に勤務
2015年     佐野健太建築設計事務所設立




また、空間だけでなくカフェメニューでも台湾と日本の「2者の個性(対比)」を感じられるよう、コーヒー豆は台湾の“浅煎り”と日本の“中深煎り”をご用意。ロースターの世界チャンピオンになった実績を持ち、昨今盛り上がりを見せる台湾コーヒー界をリードするFika Fika Café(フィカフィカ カフェ)と、廖氏が京都で感銘を受け、海外でも“レジェンド”と知られる田口護氏に師事した続木義也氏が営むカフェ・ヴェルディのコーヒーを味わうことができる。台湾で人気のあるお茶のような“軽い飲み心地”と日本の純喫茶で提供されるような“しっかりと深い味わい”を比べることで、新しいコーヒーの楽しみ方を提案する。


 ▲左からカフェ・ヴェルディの続木義也氏、Fika Fika Caféのジェームス チェン氏と
スタッフの○○さん

さらには、カフェ・ヴェルディの看板メニューである宝泉堂謹製丹波大納言の粒あんと求肥を使用した“小倉ホットサンドウィッチ”などの軽食や、新鮮なフルーツを使用した“台湾フルーツティー”も。台湾関連の書籍や台湾スタッフの在籍により、台湾文化を楽しめるカフェとしても利用することができる。
▲ほっとする甘さがうれしい小倉ホットサンドウィッチ





DOMO CAFÉ(ドウモカフェ)
住所 東京都新宿区百人町1-15-29 パティオ新宿G2号室
最寄り:JR新大久保駅
電話番号 03-3360-2545
営業時間 9002200(※9001100は朝食メニューを提供)
席数 35

2017年10月24日火曜日

青木茂建築工房「(仮称)林マンションリファイニング工事」解体現場見学会

大田区北馬込で青木茂建築工房が進行中の「(仮称)林マンションリファイニング工事」解体見学会へ。青木茂氏は、“リファイニング建築〈再生建築〉”の提唱者で、リファイニング建築については、事務所HP内コンセプト参照。

 (以下小文字、計画概要について配布資料より)
本計画は昭和41年に新築された「検査済証のない共同住宅兼店舗」を耐震補強と同時に「大規模の修繕」で検査済証を取得するリファイニング計画である。 オーナーは当建物が耐震性の問題、老朽化が進行していることから、三井不動産、青木茂建築工房と総合的に検討を行い、建替えた場合、現行法の日影規制・ 高度地区の高さ制限・容積率制限等(既存不適格箇所)により、既存建物のボリュームが確保できないことを踏まえ、最終的には既存建物のボリュームが維持で き、コスト削減・相続対策・環境負荷低減などにつながるリファイニング建築手法を選択された。行政対応について検査済証がないことから、平成26年7月国土 交通省から公表された「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」、及び大田区建築指導課 の指導を基に「建築基準法第12条5項の規定に基づく既存建築物調査結果報告書(法適合状況調査報告書及び既存不適格調書等)」を提出した。既存EVは 当初確認申請図書には記載がなく、完了検査までに現行法に適合するよう是正する前提(既存EVシャフト拡幅を伴う)で確認申請の提出が承認された。さらに、 建築基準法による確認申請では既存屋内避難階段(既存不適格)を屋外避難階段(避難規定は既存不適格対象外)に是正する必要があったため、最終的には耐 震促進法による認定に伴う確認申請提出を行い、確認済証を取得している。構造補強について既存フレーム内に耐震補強壁を新設(地下1階;柱鉄板巻き及び 柱増打ち補強)、塔屋の解体、廊下側壁の乾式化等による軽量化により、耐震指標Is値を0.6以上確保することで耐震評定を取得している。計画について既存3 つのフレーム(スパン)内に各階4住戸(界壁:CB)だった既存計画を、フレーム内に新規耐震補強壁を設け、各階3住戸に変更(現ニーズに合う間取り、住戸面積 確保)、1階を店舗から長屋へ(用途変更対象外)変更している。なお、特定緊急輸送道路沿いの耐震助成金の交付が予定されており、2018年3月末日には建物全体にて検査済証を取得する予定で、三井不動 産レジデンシャルリースがサブリースすることになる。

概要を説明する青木茂氏。
今回の見学会では中性化対策として亜硝酸リチウム圧入工法「リハビリカプセル工法」(4~6F梁)の様子が見れた。
「リハビリカプセル工法」は、アルカリシリカ反応(ASR)によって著しく劣化した小規模なコンクリート構造物または部位を根本的に治療する補修技術で、劣化した範囲全体に浸透拡散型亜硝酸リチウム40%水溶液を内部圧入することにより、ASRの原因であるアルカリシリカゲルを非膨張化するため、以後のASR劣化の進行を根本的に抑制するしくみ。
土木では採用事例があるが、建築では初めての採用・実施となる。
開口移動・閉塞補強
住戸計画は、既存3つのフレーム(スパン)内に各階4住戸だった既存計画を、フレーム内に新規耐震壁を設け、各階3住戸に変更している(現ニーズに合う間取り、住戸面積の確保)。
既存EVシャフトは現行法を満たすEV設置のため、壁一面を解体し拡幅工事。
竣工は2018年3月末の予定で、竣工の様子も本ブログにて掲載予定。

2017年10月23日月曜日

スタジオノイ「BOCCI “Site Specific installation”」

恵比寿にあるファッションブランドThe Viridi-anneのフラッグシップショップにて、お披露目となったBOCCIの照明インスタレーション“Site Specific installation”へ。

BOCCIは、スタジオノイが取扱・販売をするバンクーバーの照明ブランドで、クリエイティブディレクターOmer Arbel(オマー・アーベル)氏のもと、独創的なアイディアと巧みな手仕事技が個性的な照明を生み出しているのが特徴。
いくつかあるシリーズの中で今回は73シリーズ「73.19」を用い、BOCCI監修のもと国内初プロジェクトとして、ファッションブランドThe Viridi-anneのフラッグシップショップの空間提案した。
 73シリーズは、吹きガラスが熱いうちに、ひだを寄せておいた高耐熱のグラスファイバーのファブリックの上にゆっくりと落とし込むことで、ファブリックの布目模様が写りこませた照明。この空間では真っ直ぐ吊り下げるのではなく、有機的に横方向にのびやかに広がる照明プランとしている。
ご案内のインベンションカードも凝ったデザインのものが届いた。
 現在もThe Viridi-anneフラッグシップショップ店内にて誰でもみることが可能。

2017年10月17日火曜日

「Tokyo Midtown Award 2017」授賞式・作品展示

東京ミッドタウンにて「Tokyo Midtown Award 2017」の授賞式が10/13に開催された。 今年で10回目となる同アワードは、〈アートコンペ〉と〈デザインコンペ〉の2部門で実施している。2部門総計1489点(アートコンペ327件、デザインコンペ1162件)の応募作品の中から〈アートコンペ〉では鉄板に都市の名前を刻んだ『地図の沈黙を翻訳せよ』、〈デザインコンペ〉では「東京タワー」がモチーフのパーティー用クラッカー『東京クラッカー』がグランプリに選出された。(アートコンペについては、六本木エリアのアートの祭典「六本木アートナイト」のプログラムのひとつとして10/1に最終審査が公開で行われた。)
他、受賞作品については下記の通り。
〈アートコンペ〉テーマ:応募者が自由に設定
■グランプリ(賞金100万円) ※下写真が作品
『地図の沈黙を翻訳せよ』金子 未弥(アーティスト)
■準グランプリ(賞金50万円)
『rainbows edge Ⅵ』七搦 綾乃(彫刻家)
■優秀賞(賞金10万円)
『Invisible City』遠藤 有奈(アーティスト)
『顔の小屋』大野 光一(アーティスト)
『imagine the crowd』松本 千里(学生)
『四つの階段』山根 英治(美術作家)
〈デザインコンペ〉テーマ:「TOKYO」
■グランプリ(賞金100万円) ※下写真が作品
『東京クラッカー』加藤 圭織
■準グランプリ(賞金50万円)
『母からの仕送りシール』山中 桃子
■優秀賞(賞金30万円)
『東京はしおき』6(本山 拓人、不破 健男)
■審査員特別賞
・小山薫堂賞(賞金5万円)
『江戸前ブラシ』平井 良尚、吉野 萌
・佐藤卓賞(賞金5万円)
『スカートせんす』佐藤 翔吾、嶋澤 嘉秀、深澤 冠、木川 真里
・柴田文江賞(賞金5万円)
『ゲタサンダル』富永 省吾、綿野 賢、浅井 純平
・原研哉賞(賞金5万円)
『TOKYO 影皿』田村 有斗、岡 駿佑、阿部 真里子、佐藤 絢香
・水野学賞(賞金5万円)
『TOKYO WAGARA』須田 諒、鹿野 峻、柳澤 駿
また受賞者に授与されるトロフィーも魅力のひとつで、毎年違ったデザイナーにより個性あふれるトロフィーが生み出されている。今回はデザインコンペの審査員佐藤卓氏のデザインで、台の上面中央部からトロフィーの芽が出てきたところを表現したもの。Tokyo Midtown Awardの受賞者は、この受賞によって、社会に芽を出したような段階で、この時を忘れないようにとの想いで、このトロフィーデザインを考えたとのこと。そしてこのトロフィーの芽には、ペットボトルの口がちょうど差し込めるサイズになっていて、ペットボトルを好きな形に変形させてオリジナルのトロフィーができるという遊び心のあふれる仕掛けもされている。
入賞作品は11/5まで東京ミッドタウンのプラザB1Fオープンスペースにて展示。あわせて同期間で一般投票で人気作品を選出するオーディエンス賞も実施している。デザインコンペについては、Tokyo Midtown Award 10回目の実施を記念して、これまでの9回のデザインコンペ受賞作品全77作品を一挙に展示している。展示会場は、2016年デザインコンペグランプリ受賞者である市川直人さんがクリエイティブディレクションを行っている。