2022年7月29日金曜日

ムサビ美術館にて「みんなの椅子 ムサビのデザインⅦ」開催中

武蔵野美術大学 美術館・図書館にて「みんなの椅子 ムサビのデザインⅦ」が

[前期日程]2022年7月11日(月)–2022年8月14日(日)

[後期日程]2022年9月5日(月)–2022年10月2日(日)まで開催されている。 



ムサビ美術館では1967年の開館以降、近代デザインの椅子の収集を始め、現在の所蔵数は

400脚を超えている。今回の展覧会ではその中から精選した約250脚の近代の椅子を

展示している。 



展覧会場は美術館の1階2階の全フロアに展開しておりこの規模の展示は美術館にとって

初めての試みとなった。展覧会の監修は、五十嵐 久枝 氏(武蔵野美術大学 造形学部空間

演出デザイン学科教授)と寺田 尚樹 氏(建築家・デザイナー/株式会社インターオフィス

代表取締役社長)である。会場構成は IGARASHI DESIGN STUDIO が手掛けている。

 


1つひとつの椅子には、技術や素材、時代や地域、思想の背景などがあり、実際に座って

比べることで、特徴や椅子デザインの変遷を体感することができる。 



デザインの歴史的変遷を軸に、近代以前から現代に至るまでを全10章に分けて展示して

いる。全10章の中には前期のみ、あるいは後期のみの展示となっているものもあるため

注意が必要である。 



会場にはそれぞれQRコードが設置されており、それを読み込むことで特設サイトから

作品情報や解説動画を見れるようになっている。特設サイトは展覧会を見るときは

もちろん、帰ってからゆっくりと動画を見たり、行く前に予習として視聴することも可能

であるため、みんなそれぞれの楽しみ方ができる。 




武蔵野美術大学美術館展示室3では「原弘と造型:1920年代の新興美術運動から」が

同期間、開催されている。日本におけるグラフィックデザインの黎明期を牽引した

デザイナー・原 弘 氏の作品が展示されている。館蔵作品に加え、特種東海製紙株式会社の

原弘アーカイヴ資料をあわせて展観し、原 弘 氏の造型思考の検証を試みている。 





「みんなの椅子 ムサビのデザインⅦ」 


会期:[前期]2022年7月11日(月)–2022年8月14日(日) 

   [後期]2022年9月5日(月)–2022年10月2日(日) 

開館時間:12:00–20:00(土・日曜日、祝日は10:00 - 17:00) 

休館日:水曜日 

入館料:無料 

会場:武蔵野美術大学 美術館 展示室1・2・4・5、アトリウム1・2 他 

  ・西武国分寺線「鷹の台」駅下車 徒歩18分 

   JR中央線から「国分寺」駅乗換、「東村山」行(2駅目) 

   西武新宿線から「東村山」駅乗換、「国分寺」行(2駅目) 

  ・西武バス「武蔵野美術大学正門」停留所下車すぐ 

   JR中央線「国分寺」駅北口下車「国分寺駅北口」4番停留所より

   「武蔵野美術大学」行 または「小平営業所」行に乗車(バス所要時間:約25分) 

  ・立川バス「武蔵野美術大学」停留所下車すぐ 

   JR中央線「立川」駅北口下車「立川駅北口」5番停留所より「武蔵野美術大学」行に 

   乗車(バス所要時間:約25分) 

  ※ お車でのご来館はご遠慮ください。 

会場構成:IGARASHI DESIGN STUDIO 

公式ウェブサイト:みんなの椅子 (musabi.ac.jp)

2022年7月28日木曜日

街並みをつくる 「サーフェスデザイン&テクノロジーの現在」展

六本木にある AXIS ビル 4 階の AXIS ギャラリーで 7/8(金)~7/14(木)に

「サーフェスデザイン&テクノロジーの現在」展が開催された。 




本展の企画は、k/o design studio の押野見 邦英 氏、展示作品は SHIOYA Tokyo の

塩谷 嘉章 氏が グラフィックデザインを手掛けていて、写真はナカサアンドパートナーズの

中道淳氏が撮影している。ファサードの写真をメインに、図面や詳細文が記載されていた。




一部試作のモックアップも展示されていた。 

今後の街並み形成や持続可能な建築を考える上では、サーフェスデザインはさらに重要に

なると考えられている。 こうした傾向をロンドン大学の建築史家マリオ・カルポは建築の

ルネッサンス以前のゴシック期への回帰であると位置づけ、「デジタル・ターン」と

いっている。 その先駆けとなる建築を本展で見ることができた。



「サーフェスデザイン&テクノロジーの現在」展


会期:2022 年 7 月 8 日(金)~2022 年 7 月 14 日(木)

開館時間:11:00~19:00(最終日は 19:00 まで)

会場: AXIS ギャラリー (AXIS ビル 4階)

入場料:無料

企画・監修:押野見邦英(k/o design studio)

写真:中道 淳(ナカサアンドパートナーズ)

グラフィックデザイン:塩谷嘉章(SHIOYA Tokyo)

協力:彰国社/アクシスギャラリー

主催:AGB

公式ウェブサイト:【AXIS協力展】「サーフェスデザイン&テクノロジーの現在」展 開催|お知らせ|AXIS Inc. - 株式会社アクシス

2022年7月27日水曜日

amanaTIGP にて 個展 安藤忠雄「時をつなぐ建築」開催中

六本木駅から徒歩 10 分ほどの AXISビル の 2 階にある amanaTIGP安藤忠雄「時をつなぐ建築」が開催されている。安藤忠雄氏にとって、本展は amanaTIGP での初めての個展となる。 


会場内には本展に合わせて発表される安藤忠雄シリーズ第七弾のポートフォリオ集『ANDO BOX VII』より写真作品 4 点、模型作品 2 点に加え、安藤直筆のオリジナルドローイング、 2019 年に発表された自身のポートフォリオ集『ANDO BOX VI』より写真作品 15 点の計 22 点 が展示されている。 




会場に入り、受付を通ると『ANDO BOX VII』の作品が最初に展示されている。 『ANDO BOX VII』では、2つの歴史的建造物の再生プロジェクトに焦点を当てていて、これらの建築物はともに公的機関から現代美術館へとその機能を引き継いだ。安藤にとって歴史の刻まれた建物の再生は、長いキャリアの中で挑戦的に取り組み続けているテーマだ。安藤は再生において、新旧の融和を目標にしてはいない。それぞれの空間の独立性を認め、安藤が新旧の仲介者となることで対話を促し、再生へ繋いでいく。 


『ANDO BOX VI』の作品 15 点は安藤が活動の過程で追い求めてきた「建築の光」を、自身で撮影した作品だ。安藤は、表層の装飾的な要素に頼らない、裸体の空間を試みるようなコンクリート打放しの造形にあらゆる角度から光が差し込んでいる建築を特徴としている。自らの足で世界を渡り歩き様々な建築を目の当たりに経験を積み、今でも忘れ難い建築として言及する「ロンシャン礼拝堂」のような、静かで柔らか、それでいて人々の心の中に永遠に生き続けるほどの強烈な美しさを持つ光を追い求めている。


以下、プレスリリースに記載している安藤のメッセージ

文化とは、その場所に息づく共同体の歴史、「都市の記憶」の堆積の上に育まれるものだ。その意味で古い建物に手を加え再生するリノベーションは、単なる建物の再利用というのではない、極めて本質的な建築創造の手段だといえよう。そこで目指すべき地点として、私が心に描くのは、表層的な「更新」でも「付け足し」でもない、新旧がそれぞれに自立した存在として対峙し、対話する関係性の構築である。その一つの答えとして、私は、旧いものを徹底して旧いままに残した上で、その内側に新たな空間を挿入する、新旧の入れ子構造を試みる。「建築の中の建築」となるべき「新」の空間は、それを取り巻く「旧」の圧倒的存在感に対峙するに足る「強さ」を持たねばならないだろう。その「強さ」を、私は、プラトン立体のごとく原初の幾何学が持つ純粋性に期待する。激しい新旧のコントラストは、当然のごとくぶつかり合い、場に不和を生じる。だが心配はいらない。悠久の時を生きる自然の光が、その葛藤を生命の手で包み込み、「対話」へと昇華してくれる。そうして過去から現代、未来へ――時間がつながっていく。 


2022 年安藤忠雄「時をつなぐ建築」 安藤忠雄「時をつなぐ建築」

会期:2022 年 7 月 9 日(土)~2022 年 8 月 13 日(土) 
開館時間:12:00~18:00 休館日:日曜・月曜・祝日
会場: AXIS ビル 2 階 amanaTIGP
   六本木駅(3 番出口)より徒歩 8 分 (都営大江戸線)(東京メトロ日比谷線) 
   六本木一丁目駅(2 番出口)より徒歩 8 分 (東京メトロ南北線) 
   麻布十番駅(7 番出口)より徒歩 8 分 (都営大江戸線)
入場料:無料

2022年7月26日火曜日

「こどもの国」のデザイン ー 自然・未来・メタボリズム建築が開催中

文京区湯島にある国立近代建築資料館にて「こどもの国」のデザイン ー 自然・未来・

メタボリズム建築 が 2022 年 6 月 21 日(火)~8 月 28 日(日)まで開催している。







「こどもの国」(横浜市青葉区)は、1965 年 5 月 5 日に開園した児童厚生施設である。

当時の皇太子殿下(現上皇陛下)のご成婚を祝して全国から寄せられたお祝い金を、

子供のためになる施設に使ってほしいという殿下の御意向を受け、多摩丘陵に広がる

約 100 ヘクタールの自然豊かな土地を活かして子供の遊び場を開発した。




資料館は「こどもの国」の開園前後の資料が収蔵されている。今回の展示会では、開園当時

の施設の図面と写真を中心とした展示がなされている。




「こどもの国」の施設デザインは主に浅田孝氏、大髙正人氏、菊竹清訓氏、黒川紀章氏らが

中心となり結成されたメタボリズムグループのメンバーに加え、大谷幸夫氏、イサム・

ノグチ氏など現在の日本建築に影響を与えている建築家やデザイナーが担っている。



実施された図面の他に、実現されなかった計画の図面も展示されている。開園前の

マスタープランをよく見るとこのアンビルド案が描かれており、実現に向けて検討が

なされていたことがわかる。




展示会場では「こどもの国」の資料とは別に新規収蔵資料の紹介もなされており、

これまでの企画展で紹介されたものや、今後の展示会でまとめて紹介予定のものを除く

7件の資料群が展示されている。



「こどもの国」のデザイン ー 自然・未来・メタボリズム建築


会期:2022 年 6 月 21 日(火)~ 8 月 28 日(日)

開館時間:10:00~16:30 

休館日:毎週月曜日(但し、7 月 18 日は開館し、7 月 19 日休館)

会場: 文化庁国立近現代建築資料館(東京都文京区湯島 4-6-15 湯島地方合同庁舎内)

入場料:無料

    ※土・日・祝日は旧岩崎邸庭園のみからの入場(有料)となります

公式ウェブサイト:令和4年度収蔵品展 「こどもの国」のデザイン ー 自然・未来・メタボリズム建築 | 文化庁 国立近現代建築資料館 (bunka.go.jp)

2022年7月25日月曜日

東京ミッドタウン「MIDTOWN SUMMER 2022」開催中

赤坂にある東京ミッドタウンにて、7/15~8/28の期間で『MIDTOWN SUMMER 2022(ミッドタウン サマー)』が開催中。「何もしない時間に身をゆだねて季節の流れを感じ、贅沢な時間を過ごしてほしい」という思いを込め、“SLOW SUMMER”をコンセプトに、コンテンツを展開する。

 <CHANDON SECRET GARDEN MIDPARK LOUNGE>ミッドタウン・ガーデン
都会にいながらも非日常空間を味わえる森のラウンジ。夏の風を感じさせてくれるカーテン状のインスタレーション『Twindy』がゆらめき、日が暮れ始めると、蛍のような優しい明りが灯り、夏の夕暮れ時の空の色が浮かびあがる。
(※写真1枚目は東京ミッドタウン提供)
<ASHIMIZU> ミッドタウン・ガーデン
ミッドタウン・ガーデンを流れる小川に足を浸し、都会にいながら夕涼みを体験できる<ASHIMIZU>。ウッドデッキの背もたれ、白いラグとクッションといったリゾートを思わせる設え。また、見上げると、青い空を横切る飛行機の翼のようなシェードが心地よく開放的な空間を演出。夜はライトアップで日中とは違う雰囲気も楽しめる。
座席は50席程度。先着順だが誰でも無料で利用できる。
 <Daydreaming>館内ガレリア各所
夏を想起させる雲の形をしたバルーンのインスタレーション。ふんわりと浮かび、雲の影の中には夏の心象風景が映し出され幼い頃の記憶を呼び起こしてくれるノスタルジックな仕掛けも施されている。 こどもの頃、空に浮かぶ雲をぼーっと眺めて何に見えるか想像していたように、各所にちりばめられた遠い夏の日の風景を探しながら、館内を探検してみるのもおすすめ。
<CHANDON SECRET GARDEN MIDPARK LOUNGE>のカーテン状のインスタレーション『Twindy』、<ASHIMIZU>、<Daydreaming>を手掛けるのは、「TOKYO MIDTOWN AWARD 2018」のデザインコンペにて優秀賞を受賞したデザイナー仲野 耕介氏が所属するtunnel design。 
(「TOKYO MIDTOWN AWARD」は、東京ミッドタウンが次世代を担うデザイナーやアーティストの発掘・応援、コラボレーションを目的として、デザインコンペとアートコンペの2部門で開催するコンペティション。今年は15回目となる「TOKYO MIDTOWN AWARD 2022」が開催中。)
このように東京ミッドタウンでは、受賞した様々なクリエイターやアーティストとのコラボレーション活動も行っている。

屋外のコンテンツは、開催時間が決まっているので詳細は公式サイトにて要確認。

2022年7月22日金曜日

MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO 設計「ルーフラッグ賃貸住宅未来展示場」建築紹介

豊洲駅から徒歩 10 分ほどにある大東建託のルーフラッグ賃貸住宅未来展示場

MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO原田真宏氏と原田麻魚氏により設計されており、

この建物は「未来の暮らしを示すようなフラッグシップとなる建築」をテーマに

つくられている。

この設計の特徴は大屋根と転写されたコンクリート、ガラスファサードにある。

国内最大級の大屋根は国産材の杉の CLT で作られていて、その上部のトップライトからは

自然の光がたくさんはいってくる。

アトリウム部分は地上4階建ての吹き抜けになっていて、大空間が広がっている。



この屋根を支えるコンクリートには木目が転写されていて、森のような

奥行きのある空間が作られている。




ファサードは厚さ 25mm のガラスで作られていて、この空間が街に染み出している。



なお、現在ギャラリーでは「未来を覗く、大東建託の建築展 ~collaboration projects~」

が開催されている。




ROOFLAG(ルーフラッグ)賃貸住宅未来展示場 

(東京都江東区東雲一丁目4番1号) 

 

アクセス:豊洲駅(6a 出口)より徒歩 11 分 (ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線)

     (東京メトロ有楽町線) 

     東雲駅(出口 b)より徒歩 14 分 (東京臨海高速鉄道りんかい線) 

     辰巳駅(出口 1)より徒歩 17 分 (東京メトロ有楽町線) 

公式ウェブサイト: 「ROOFLAG(ルーフラッグ)賃貸住宅未来展示場」 (kentaku.co.jp)


「未来を覗く、大東建託の建築展 ~collaboration projects~」 ルーフラッグギャラリーにて開催中

豊洲駅から徒歩10分ほどの大東建託のルーフラッグ賃貸住宅未来展示場1F ギャラリー

にて「未来を覗く、大東建託の建築展 ~collaboration projects~」が開催されている。

会場であるルーフラッグ賃貸住宅未来展示場はMOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO

原田真宏氏と原田麻魚氏により設計されており、この建物は「未来の暮らしを示すような

フラッグシップとなる建築」をテーマにつくられている。(建築の詳細は別記事にて紹介)



展示内容は

・大東建託が建築家とコラボレーションした模型

・「賃貸住宅コンペ」の受賞作品

・横浜市立南高等学校模型展示

・大東建託の木材への取り組み 

『木が魅せる×未来に映える』建築フォトコンテストの入選作品 である。 


建築家とのコラボレーション作品は藤本壮介氏、谷尻誠氏+吉田愛氏、MOUNT FUJI 

ARCHITECTS STUDIO の原田真宏氏・原田麻魚氏の作品が展示されている。



「賃貸住宅コンペ」は「賃貸住宅が持つ魅力」をより多くの方と考えていきたいという

思いのもと、2012 年から開催している。本展では、これまで開催した第4回から第9回まで

の受賞作品 模型(約 30 点)の展示の他、作品ごとに審査員の講評も紹介している。




大東建託の環境保全の取り組みとして、木材にスポットを当てた展示がなされている。 

木材加工の過程や、木の伐採、保存方法など、実際の木材や模型を用いて紹介されている。

木材を使うだけでは失われてしまう自然の保全活動について詳細に語られている。




「未来を覗く、大東建託の建築展 ~collaboration projects~」


会期:2021 年 11 月 1 日(月)~2022 年 9 月 30 日(金)予定

開館時間:10:00~17:00

休館日:毎週月曜・毎月第 1 第 3 日曜・祝日

    ※8 月は館内清掃のため予約可能日を限定させていただきます

会場:ROOFLAG(ルーフラッグ)賃貸住宅未来展示場 1F ギャラリー

   (東京都江東区東雲一丁目4番1号)

   豊洲駅(6a 出口)より徒歩 11 分 (ゆりかもめ東京臨海新交通臨海線)

   (東京メトロ有楽町線)

   東雲駅(出口 b)より徒歩 14 分 (東京臨海高速鉄道りんかい線)

   辰巳駅(出口 1)より徒歩 17 分 (東京メトロ有楽町線) 

入場料:無料(事前予約制)

公式ウェブサイト:ルーフラッグギャラリー展 予約フォーム|大東建託 (kentaku.co.jp)

2022年7月21日木曜日

オカムラデザインスペースR 第18回企画展『Tamping Earth』-オフィス空間にあらわれる土の実験劇場-

紀尾井町にある オカムラ ガーデンコートショールームにて、オカムラデザインスペースR 第18回企画展「『Tamping Earth』-オフィス空間にあらわれる土の実験劇場」が7/19~8/5の期間で開催中。 
オカムラデザインスペースR(ODS-R)は、2003年から企画建築家と建築以外の領域の表現者との協働の形で、“いま最も関心のある、だが建築だけでは達成できない空間創生”をテーマに年1回のペースで開催されてきた企画展。コロナ禍のために2年ほど休止していたが、今回で20年目となる。
7/19の制作発表にて
右:企画実行委員会委員長・川向正人氏、中央:齊藤正氏(企画建築家)、左:高井浩子氏(協働)

今回の展示で着目する素材は土。
企画建築家は、版築という素材・技術を用いて、世界的なネットワークで新たな人間環境のあり方に取り組んでいる齊藤正氏。版築は土に硬化材を混ぜて突き固めたもので、この展示では齊藤氏の活動拠点の香川より約14tの土が運び込まれ、3次元的に構成される実験劇場がつくられた。
協働するのは、本広克行氏の率いる映像・演劇集団「本広組Creative Salon FOE」で、会期中にここを舞台として、新作の演劇を完成させていく練習の様子やダンスを見せる。
演劇やダンスにみられるアフォーダンスや見立ての手法により、版築をアクティブに生活に転化する姿をみることを目的としている。
7/28には、企画コンセプトを紐解くシンポジウム「土・アフォーダンス・見立て」も開催。 展覧会は入場無料(イベントに参加する場合は予約が必要、予約ページ)。

2022年7月8日金曜日

再生建築研究所「(仮称)神田錦町旧岡田ビル再生計画」見学会

千代田区神田錦町にて、再生建築研究所が手掛けた「(仮称)神田錦町旧岡田ビル再生計画」の現場見学会が7/1に行われた。
再生建築研究所は、“建築の不可能を可能に”をテーマに建物の調査から企画・設計・運営までをトータルプランニングする会社。代表の神本豊秋氏を中心に、古い建物に新しい価値を見つけ、新築では生み出すことができないバリューを与え、新たな不動産価値をつくることをこれまでも行ってきた。(※写真1,9枚目は再生建築研究所提供)
今回は、築53年の鉄筋コンクリート造のオフィスビルの再生計画。検査済証がなく、確認申請図と齟齬があり、既存建物の調査と是正工事が必要であった。クライアントは安田不動産で、同社が進める神田錦町のまちづくりに活用するため、再生を行うこととなった。
大きな是正箇所は、容積率の超過と道路斜線の制限違反の2つ。それに加え、建物のバリューを上げる自主的な是正対応として、旧耐震基準の建物であるため耐震補強を伴う改修計画、採光通風が満足にとれない執務環境の改善、既存不適格である避難経路が緊急時に人命を守り得ない防災計画の改善が求められた。
是正によって生まれたファサードが公共性を帯びた余白をつくり、光や風や人の通り道を生み出すべく、これらの与条件を解き、減築を軸に大きな気積をもつ豊かなオフィスビルへと再生させた。
▲見学会で概要を説明する代表の神本豊秋氏

〈斜線制限・容積超過を是正するため減築〉
単純に上層部から必要とされる床を削っていくことも出来るが、各階で少しずつ減築を行うことで建物のアウトラインは変えることなく、吹き抜けやバルコニーを作り出した。吹き抜けに面したバルコニーが専有面積の一部のように感じられることで実際の面積以上に広く感じることができる。
▲吹き抜け部分、光・風の通り道もでき室内環境を向上させた
▲道路斜線制限の都合でバルコニーの手すりはセットバックされている

〈耐震補強を伴う減築〉
塔屋の一部解体と各階の床に開口を設け、建物重量を軽減することで、耐震性能を大幅に向上。補強量を当初案の約1/3と大きく減らし、袖壁をなくした補強を実現することで、テナントの計画に自由度を与え、耐震基準は新築の1.3倍となった。
▲袖壁がないためレイアウトの自由度が向上

岡田ビルのグランドレベルの壁面の減築を行うことで両隣の公開空地を建物内に引き込み、ひとの通り道をつくることで公開空地の賑わいも生み出すことも考えられた。(両隣地も安田不動産が管理。両隣地の公開空地がつながり、町会と共同で縁日などの地域イベント等も企画されるという。)
▲隣地敷地にあった高さ2mの塀も一部撤去された
エレベーターはバリアフリー対応の9人乗りに変更。また、一方向避難で適法(既存不適格)であったが、防災性能を大幅に向上すべく、避難はしごを設けたバルコニーをつくり、物理的に2方向の避難経路を計画。既存の階段室は煙が逃げるよう開放した。
▲既存のEVは階段室の数段あがったところに設置されていた
▲既存階段と新設階段が切り替わる部分

屋上はウッドデッキを設置。既存手すりでは高さが不足していたため、高さを付け足している。
再生型の計画に共感したテナントが1棟で借りることがすでに決まっており、1・2階はカフェ(2022年11月頃オープン予定)、3~6階はオフィスとして利用される予定。