寺田倉庫は保存・保管のプロフェッショナルとして、お客様にとって本当に価値のあるモノを大切にお預かりし、未来へ届ける「蔵」でありたいという考えのもと、2016年春に模型を『展示しながら保存する』新しい発想のミュージアムとして東京・天王洲アイルに「建築倉庫ミュージアム」をオープンした。
昨年末より更なる展示の充実化を図るために一時休館していたため、今回の「ル・コルビュジエ / チャンディガール展 ‐創造とコンテクスト‐」はリニューアルオープン初の企画展になる。
内覧会当日は特別鑑賞会と監修を担当した千葉学氏(建築家/東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授)によるオープニングレセプションが行われた。
千葉氏は寺田倉庫からギャラリーを一新するので企画をできないかと持ち掛けられ、今回の展覧会全体のアドバイザリーとして加わっている鈴木布美子氏からル・コルビュジエあるいはチャンディガールをやれないかという話をいただいたため、企画・構想はもともとあったという経緯を話す。
千葉氏は約10年前にチャンディガールへ行き、コルビュジエのインドでの建築に大変感銘を受けたそう。チャンディガールはコルビュジエの構想した都市全てが出来ているわけではないが、そこで彼が考えた事やあるいはそれがインドの町、社会でどう受け止められたのかという事を改めて考えたいと語る。
▲展示は模型やスケッチ、コルビュジエがしたためた文章もあり、様々なことが感じ取れる。 |
最近、建築家が都市について語ることが大変少なくなってきている。また今の時代に都市を0から構想することはほとんどリアリティがないことだがそれでも都市について考えを巡らすことは価値があるはずである。
今回の展示を通じて彼が一体何を当時考えていたのか、インドというその土地・文化に触れたことが彼にどんな影響を与えたのか、あるいは今の時代に改めて都市を計画するということにどんな価値や意味があるのかを考えるきっかけになると良いと思い企画をしたそう。
▲周辺環境を伴った議事堂の透視図 |
▲スタディスケッチや図面、表 |
▲インドの気候・風土を感じる写真家ホンマタカシ氏の写真・映像。 フロアはチャンディガール計画の図面をもとに模型が配置される。 |
▲ピエール・ジャンヌレによる家具とヒマラヤ山脈を背景にした計画全体の立面図 |
最後に、初めて見る資料も多く拝見し展覧会の企画を進めていくプロセスでも興味深い時間を過ごせた。今回この展示でいろんな形で協力いただいた皆さんに改めて深く感謝申し上げたい。監修の加藤氏はコルビュジエの専門家なので質問は彼に。僕も一緒に講義を受けたいと締めくくる。
また、建築倉庫ミュージアムは今回のリニューアルで展示室が2つになり、もうひとつの展示室では「建築倉庫ミュージアムが選ぶ30代建築家 –世代と社会 が生み出す建築的地層−」が同時開催中。
どちらの展示も7月16日(月・祝)まで。
「ル・コルビュジエ / チャンディガール展 ‐創造とコンテクスト‐」展では6月2日(土)にシンポジウム「ル・コルビュジエー都市への眼差しー」、6月30日(土)にギャラリートークが開催される。
詳細は以下を参照のこと。
建築倉庫ミュージアムURL:https://archi-depot.com/
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