2018年7月13日金曜日

「ユニヴァーサル・プリンシプルズ:環境的課題をリセットするオーストラリア建築の試み」展内覧会


「ユニヴァーサル・プリンシプルズ:環境的課題をリセットするオーストラリア建築の試み」展77日より六本木ヒルズ展望台東京シティビュー内スカイギャラリー3にて開催中。
(建築情報サイト『KENCHIKU』内イベントページにも情報有)

本イベントは「オーストラリア now」の一部で、現代オーストラリアの文化・ライフスタイル、斬新なイノベーションを紹介する目玉の企画として開催されている。

「オーストラリア now」は、オーストラリアの今の姿を紹介するためにオーストラリア政府が送る20184月から11月にかけての8か月間集中プログラムである。
日本とオーストラリアの協力関係と交流を中心に据えていて、テーマはイノベーション、ライフスタイル、文化・芸術の3つで構成される。



オーストラリアは気候や地質学などの観点から見て、両極端の要素が共存する広大な大陸である。本イベントでは、オーストラリアの南北4千キロ近くにわたる国土で繰り広げられている「建築の旅」を体験できる。

コンテクストと自然とに対応し、責任を持った形で、これからの建築がいかに開発されていくべきなのか–この差し迫った課題への答えを探っていく旅でもある。


内覧会当日は建築家であり本展示キュレーターのウェンディ・ルーウィン氏と千葉工業大学教授の今村創平氏による解説が行われた。




▲「ワンブライ・ストリート」(アーキテクトゥスとインゲンホ―ヘン・アーキテクツ設計)
雨水・汚水の再利用、光・風を取り込むなど環境性能に優れたシドニーのオフィス街に位置するビル。中心の吹き抜けから風を取り込む自然換気をルーウィン氏は「チムニー(煙突)」となぞらえた。






▲「コンセプチュアル・フレキシフレーム・ハウスとサービス・ユニッツ」(マイケル・トラジョンとクラウド・プロダクションズ設計)
本展示の中で唯一実際に建設に至っていない、いわゆるプロジェクトである。
水回りを家の中で自由に動かせる設備の計画で、フレキシブルとサステナブルがキーワードになる。写真下段左のユニットはバスタブと洗面、トイレがセットになっていて、使用したシャワーの水が中で処理され再利用できるという機能を持つ。
同時にキッチンユニットの計画もあり、自動洗浄機と流し台、オーブンの機能を持つ。





▲「ワンセントラルパーク」(アトリエ・ジャンヌーヴェルとPTWアーキテクツ設計) 
シドニーの中央駅そばに位置する集合住宅と商業施設の複合施設である。「積水ハウスをパートナーにシンガポールのゼネコンが担当し施工にあたった」とルーウィン氏。さらに「雨水・排水・汚水の浄化を施設内で行い、エネルギーの無駄遣いをしない、環境性能に配慮された最先端の建築である」と強調した。




▲「羊毛狩り場とケリーズ・コテッジ」(ジョン・ウォードル・アーキテクツ設計)

▲「クランブルック・スクール」(アンドリュー・バーンズ・アーキテクチュア設計)

▲「ムルンバ・ハウス」(アンドレセン・オ・ゴーマン・アーキテクツ)




合計12の建築を、ドローイング、模型、映像で紹介。

「建築界のノーベル賞」と呼ばれるプリツカ―賞を受賞した建築家などを含む著名な建築物にまつわる作品も展示。
建築がこれからの私たちの未来に、国境を越えてどのようにアプローチしていくことができるのかを考えさせられる展示になっている。

異なる環境が混在するオーストラリアでは、様々な様式の建築が進化を遂げており、この展覧会では、オーストラリアの最先端の建築に触れられる。


8か月間のプログラムには本イベントの他にも
見て・触れて・学べる体験型ショー恐竜どうぶつ園~ティラノサウルス×トリケラトプスの戦い?!~」など家族で楽しめるショーや
オーストラリアのライフ・サイエンス最新情報@バイオジャパン」など最新のイノベーションを体感するイベントも開催される。

本プログラムはオーストラリアが誇る創造性や技術革新、多様性について知る機会になるだろう。

「ユニヴァーサル・プリンシプルズ:環境的課題をリセットするオーストラリア建築の試み」展会期は2018年7月7日(土)~ 8月26日(日)。
詳細はこちらを参照のこと。

なお本チケットで森美術館にも入館可。「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」展も要チェックである。(本ブログにて過去記事にしています。)

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