2020年10月19日月曜日

織田建築設計室「妙蓮寺の住宅」内覧会

 神奈川県横浜市港北区に織田建築設計室設計の「妙蓮寺の住宅」が竣工した。今回は10月3日にあった内覧会に参加。


開発中の分譲地の一画に建つ戸建て住宅の計画。
画一的な分譲住宅がそれぞれの敷地いっぱいに建ち並ぶことが想定されるため、注文住宅ならではの周囲との差別化と、建て込んだ環境下でいかに心地よく日常を過ごせる空間を作れるかということが設計に求められた。

2階居間からテラス越しに外の景色を望む

周囲が建て込んでいる立地ということ、南側を道路に接道しているという条件から、日当たりがよいからといって南側に安易に大きな開口部を開けることは得策ではないと考え、外部との間にテラスを介し、そこに大きく開口部を設けられるプランを考えた。

食堂から居間を見る
右手に畳張りの客間。梯子を上るとロフトがある

2階は居間食堂を中心として仕切りのほとんどない空間であるため、空間を覆う大屋根は屋根なりの勾配天井とし、余剰空間としての小屋裏は居間の吹き抜けと程よい距離間でつながりを持たせた書斎的な場所として活用することで、空間の広がりを縦方向にも感じられるような構成とした。

木の香りに包まれたロフトは書斎を想定している

ロフトから居間を見下ろす

迫力ある勾配天井の梁
米松の構造材をあらわしとし、断熱材充鎮の後にシナベニヤを貼った天井仕上げとしている

客間から食堂・居間を見る
右手開口は階段とつながり、その先はテラスを介して外の景色が望める

客間梯子側から見返す
収納の下には地窓がある

客間から台所を見る
キッチンユニットにはGRAFTEKT(グラフテクト)を採用
左手にはトイレがある

トイレ
左手の建具で客間を仕切れる

台所奥には食品庫がある
食品庫内の壁には北欧デザインの輸入壁紙が貼られている。手前の食堂の照明器具は真鍮製のソケットに裸電球を取り付けたシンプルなもの

回り階段を見下ろす

階段吹き抜けを見上げる。アールの壁が柔らかい印象をつくる


1階玄関ホール
背後には大容量のシューズインクローゼットがある

玄関から見て右手に各個室が並ぶ
手前から主寝室、子供室、納戸、子供室

開放的な2階とは対照的に1階には実用的な個室をできるだけ無駄のないように配置しているが、各室をつなげる玄関ホールに少しゆとりを持たせることで窮屈に感じることのないようプラン上の工夫をしている。

主寝室

振り返ると一面紺色の壁がある

実用的な部屋が並ぶ1階の各個室には暗い印象をやわらげるようにビビッドな色の壁面を一面ずつ配置している。

子供室1

子供室2

納戸

洗面室
洗面ボウルはカウンターと一体成形された人工大理石で、継ぎ目のないミニマムなデザインが特徴

浴室

玄関扉が特徴的。米杉の羽目板を表面に貼ったオーダーの扉を採用

居間とフラットにつながるテラスは周囲の視線を感じることなく、南西側に向かってなだらかに下る地形による開けた景色を望むことができ、建て込んだ住宅地の一画であることを忘れさせてくれるような場所になった。


所在地:神奈川県横浜市
主要用途:専用住宅
意匠設計:織田建築設計室 織田遼平
施工:渡邊技建株式会社 小櫃光晴
構造設計:中村哲建築設計事務所 中村哲平
構造:木造
規模:地上2階+ロフト
敷地面積:104.31㎡
建築面積:51.32㎡
延床面積:113.82㎡

0 件のコメント: