2020 GOOD DESIGN AWARD 受賞作品の「港区立伝統文化交流館」内覧会に参加。
この建物は昭和11年に建てられた都内に現存する唯一の木造見番建造物である。「見番(けんばん)」とは「置屋」「料亭」「待合」からなる「三業」を取りまとめ芸者の取次や遊興費を生産する施設。「目黒雅叙園」の棟梁である酒井久五郎が手掛けている。
階段手摺支柱の擬宝珠装飾
組子細工木製引き戸
再利用された正面玄関床モザイクタイル
戦後は協働会館となり港湾労働者宿泊所や集会所として貸し出されていたが、老朽化のため平成12年に閉鎖、一時は解体が決まったが、平成21年に港区指定有形文化財に指定され、保存整備工事の後、令和2年4月「港区立伝統文化交流館」として生まれ変わった。
保存整備計画では「文化財建物の歴史的価値を現地保全する」ことと「積極的に利活用するための安全・安心の確保」が求められた。保存整備監修を行った青木茂建築工房は文化財的価値を損なわないよう、外観・正面玄関・階段・大広間など特徴的な部分を中心に保存することで文化財としての価値を保全した。
腐食等の部分は同材で交換。経年劣化により馴染むように着色は行われていない
耐震性能を確保のため西側に耐圧盤を打設、建物を8m西に曳家し新たな基礎・耐圧盤を整備した。曳家で空いたスペースには公共施設として必要なエレベータやスロープ等や、防火対策として放水銃を設置された。
交流館左側が増築部分
駐車場から
完成間近の外構工事で雨水貯留槽のために掘削した際に、地中から発掘された床柱が中庭に展示されている
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