2026年4月10日金曜日

ADFデザインアワード2026 審査結果発表

NPO青山デザインフォーラム(ADF)が主催する国際建築アワード「ADFデザインアワード2026」の審査結果が3月19日、発表された。世界の建築家を対象とした本アワードでは、最優秀賞に建築家・小池啓介氏(Thirdparty/K2YT)が選ばれたほか、優秀賞にはJeravej Hongsakul氏(IDIN Architects)およびJannis Renner氏(ATELIER BRUCKNER)の2名が選出された。

「ADFデザインアワード」は、建築・デザイン分野で国際的に活躍する著名人を審査員に迎え、総額2万ドルの賞金を設けた大規模なデザインアワードとして知られる。受賞者には、2026年4月21日から始まるミラノサローネ期間中に行われる授賞式への招待に加え、ミラノ建築家協会が主催するミラノ工科大学の卒業制作アワード、ならびにインテリアデザイン会社GARDEと連携した合同展示に参加する機会が用意されている。

最優秀賞に選ばれた小池啓介氏は、文化的建造物カテゴリーにおいて、宮崎県都城市に建つ眼科クリニック「都城こみぞ眼科」を手がけた。
1974年、神奈川県逗子市生まれの小池氏は、早稲田大学大学院修了後、建築家・古谷誠章氏が主宰するNASCAで実務経験を積み、2008年にK2YTを設立。2012年には大規模建築にも対応するためThirdpartyを共同設立した。現在は設計活動に加え、早稲田大学および武蔵野大学で非常勤講師を務めている。

受賞作となった「都城こみぞ眼科」は、医療施設における待ち時間を単なる受動的な時間と捉えず、患者が意味のある体験として過ごせる空間へと再解釈した点が高く評価された。建物は一体化した大きなボリュームを避け、天井高の異なる複数の屋根を分節する構成とすることで、公園のように開かれた空間と、親密で落ち着いた空間を併せ持つ。屋根の間に設けられた庭は柔らかな自然光を内部に導き、内外の境界を緩やかに溶かす役割を果たしている。廊下も単なる動線にとどまらず滞在の場として機能し、屋内外に点在する座席によって、利用者は自らの居場所を選びながら穏やかな時間を過ごすことができる。地域に開かれつつ、安心感と静かなプライバシーを両立させた医療空間である。
都城こみぞ眼科△

優秀賞の一つには、ホスピタリティカテゴリーでJeravej Hongsakul氏の「Harudot」が選ばれた。独立型カフェとして計画された「Harudot」は、「成長」と「新しい始まり」をテーマに、建築と自然の一体化を象徴的に表現する。著名なカフェブランドNana Coffee Roastersと、植物愛好家である敷地オーナーとの協働によって実現した本作は、単純化された切妻屋根をわずかに引き離す構成によって、その隙間から樹木が建築の内部へと成長する余地を生み出している。黒く焼いた木材による外装が落ち着いた外観を形づくる一方、内部では流れるような曲線と温かみのある木の色調が広がり、外観とは対照的な豊かな空間体験が展開されている。
Harudot△

もう一つの優秀賞には、2025年大阪・関西万博の「ウズベキスタン館」を手がけたJannis Renner氏が選ばれた。ウズベキスタン館「Garden of Knowledge:未来社会のためのラボラトリー」は、同国の変革を建築と展示、没入型ストーリーテリングによって紹介するパビリオンである。歴史的なキャラヴァンサライ(隊商宿)に着想を得た建築は、交流と学びの場としての空間を現代的に再構築している。屋上には、ヒヴァのジュマ・モスクの列柱ホールを想起させる木造構造のルーフトップガーデンを備え、内部ではサステナビリティやイノベーション、教育をテーマとした展示が360度のマルチメディア体験とともに展開される。会期後には再利用可能な構造としてヌクスへ移設され、子ども図書館の一部として再建される。
2025年大阪・関西万博 ウズベキスタン館△

審査では、造形や素材における美しさ、社会変化に応答するイノベーション、利用者や環境に対する有益性、地域性や文化性、時代性との調和といった観点が総合的に評価された。賞金は最優秀賞が3万ドル、優秀賞が各5,000ドルで、受賞作品はミラノサローネ期間中にフォーリサローネのADF会場で展示されるほか、ADFが運営するバーチャルミュージアムやギャラリーでの展示、PR支援などの副賞も用意されている。



ADF

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