昭文社は、建築家アントニ・ガウディと代表作サグラダ・ファミリアの全体像を解説する新刊『図解でスッと頭に入るガウディとサグラダ・ファミリアの世界』を、5月29日に発売した。2026年はガウディ没後100年にあたる節目の年であり、同年にはサグラダ・ファミリアで最高到達点となる「イエス・キリストの塔」が完成を迎える予定で、世界的な関心が高まる中での刊行となる。
本書は、歴史や文化を平易に伝える同社のシリーズ「スッと頭に入る」の一冊として、ガウディの建築思想と主要作品を豊富な図解と写真で整理した。奇抜な造形で知られるガウディ建築を、直感的な表現にとどめず、自然界の法則を応用した合理的な構造として読み解く点に特徴がある。逆さにつるした模型から構造を導き出す「逆吊り模型」や、荷重を効率的に分散させるパラボラアーチなど、ガウディが重視した構造力学の考え方を視覚的に示し、生命感あふれる造形がいかにして成立したのかを解説する。
構成は、人物像と思想に迫る章と、建築作品を網羅的に紹介する章の二部立て。前半では、病弱だった幼少期から建築家としての形成期、パトロンとの出会い、私欲を捨ててサグラダ・ファミリアに没頭した晩年までの歩みをたどり、独創性の源泉を探る。後半では、サグラダ・ファミリアの全体構成や三つのファサード、内部空間、18本の塔の意味をはじめ、「カサ・ミラ」「カサ・バッリョ」「グエル公園」など、バルセロナを中心とする世界遺産群を写真と図解で紹介する。
監修を務めたのは、長年ガウディ研究を牽引してきた建築史家の鳥居徳敏氏。スペイン滞在経験を背景に、建築史的文脈と現地での実見に基づく解説を加え、初学者にも理解しやすい内容にまとめた。A5判128ページと手に取りやすい体裁ながら、サグラダ・ファミリアの建設史や未完計画にも触れ、没後100年という時間軸の中でガウディの仕事を俯瞰できる構成となっている。
サグラダ・ファミリアは1882年の着工以来、100年以上にわたり建設が続けられてきた未完の聖堂で、完成に向けた節目を迎える今、ガウディの思想や建築の全貌を整理する意義は大きい。本書は、観光的な関心にとどまらず、構造や思想の側面からガウディ建築を理解するための入門書として位置づけられ、節目の年における一つの指標となりそうだ。
昭文社




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