7/6 三田の建築会館で、創立130周年を迎える建築学会の学会賞受賞者による記念講演会が開催された。2016年の受賞者は、以下の通り。
●『流山市立おおたかの森小・中学校、おおたかの森センター、こども図書館』
【受賞者:赤松佳珠子(法政大学教授、CAt/(株)シーラカンスアンドアソシエイツ代表取締役/小嶋一浩(横浜国立大学大学院Y-GSA教授、CAt/(株)シーラカンスアンドアソシエイツ代表取締役)】
●『武蔵野プレイス』
【受賞者:比嘉武彦(kwhgアーキテクツ主宰)/川原田康子(kwhgアーキテクツ主宰)】
●『竹林寺納骨堂』
【受賞者:堀部安嗣((有)堀部安嗣建築設計事務所代表取締役社長)】
「作品を語る」という副題の通りに、各受賞が受賞作品に懸けた想いや考え方について以下のように語った。
『流山市立おおたかの森小・中学校、おおたかの森センター、こども図書館』を設計した赤松、小嶋両氏は、「人口増加が著しく設計の基本条件が変動し、なかなか骨が折れた」と語った。
『武蔵野プレイス』を設計した比嘉、川原田両氏は「武蔵のプレイスは『居場所』の集合体」、「人を包む」が一つのテーマと語った。また、2004年のプロポーザルから政治的な紆余曲折や姉歯問題の影響を受けたがなんとか完成にこぎつけたと語った。
『竹林寺納骨堂』を設計した堀部氏は、「歴史的な立派なものを見ると、到底自分は敵わないという前向きなあきらめを感じてしまう」と語った。また、木の根を迂回するアプローチは、人の前に自然があることを考えさせるようにしたと語った。納骨堂が学会賞を受賞するのは今回が初めてだ。
最後に、学会賞はどうあって欲しいかと問われ赤松氏は「建築の力を信じられるものであって欲しい」、小嶋氏は「何年経っても人や社会に響くもの」、比嘉氏は「建築に何が可能か常に問いかけて欲しい」、川原田氏は「建築の力で社会に影響を与えられる、社会に還元できるもの」、堀部氏は「建築は物理的な大きさではない、建築のあり方を示していって欲しい」とそれぞれ答えた。