

先月東京・丸の内にオープンした、
ハーマンミラー社の世界初の直営店「ハーマンミラーストア東京」にて、ストアデザインを手がけた
トラフ建築設計事務所によるトークショーが開催された。
「
空気の器の本」発売を記念して、エントランスには彼らが手掛けたプロダクト「
空気の器」
がディスプレイされている。カラフルで軽快な展示は、一足早く春の訪れを伝えているようでもある。


(写真左)鏡に映った空気の器。表裏の色の違いにより、鏡像に面白い変化が起こる。
(写真右)会場となったストア内にハーマンミラー社の名作椅子が並ぶ。これらの椅子は普段は写真奥のガラス棚にディスプレイされている。

写真左から、鈴野浩一氏、禿真哉氏(共にトラフ建築設計事務所、以下トラフ)、ストアのディレクションを行った天野譲滋氏(
ジョージ・クリエイティブ・カンパニー代表、デザインビジネスプロデューサー)、ファシリテーターの中田千彦氏(建築家、
宮城大学事業構想学部准教授)。
トラフの二人が目指したのは「人と家具が公演を散策するような空間」。三菱一号館との位置関係に着目し、三菱一号館で寛ぐ人々がその流れの延長で立ち寄りたくなるようなストアを目指してつくられた。

さまざまな床材をピクニックシートを広げたように配置されたデザインが特徴的だ。エンドユーザー向けのストアのため、自宅で家具を配置した様子をイメージしやすいように、との意図が含まれている。
コンペを勝ち抜き採用されたこのトラフのデザインは、全体的に柔らかくフレキシブルな雰囲気。ハーマンミラーが持つ固くロジカルなイメージとは少々趣を異にする。
「このデザインに対して疑問の声が無かったわけではない」と、ディレクションの天野氏。「しかし、初のB to Cストアということもあり、これまでのロジカルで男性的なブランドイメージに新風を吹かせたかった。例えば丸の内に勤務する女性もファンに取りこむなど、敷居を低くし、幅広い世代に受け入れられる店舗デザインをあえて目指した。」と、天野氏は語る。