2026年2月13日金曜日

【文化庁】国立新美術館で「建築文化サミット ~ まちづくり×ビジネス×デザインのシナジー ~」を開催

 文化庁は、国や地域が持つ文化資源を活用し、官民が協力することで新たな価値の創出と持続的な活用を進める取り組みを続けている。令和5年3月に閣議決定された「文化芸術推進基本計画(第2期)」では、建築文化の振興が価値創造や社会・経済の活性化を支える重点施策として新たに位置づけられ、注目が高まっている。

こうした動向を背景に、文化庁は近現代建築を中心とする建築文化の保存・活用を推進し、制度の検討や普及啓発を進めてきた。各地では、長く市民に親しまれてきた建造物や景観を、現代のニーズに合わせて継承し、新たな役割を持つ空間へと生まれ変わらせる取り組みが広がり、文化と経済の循環を生み出す動きも見えはじめている。

こうした状況を踏まえ、文化庁は3月6日に「建築文化サミット ~ まちづくり×ビジネス×デザインのシナジー ~」を国立新美術館で開催する。取り組みの最前線に立つ実践者を招き、事例紹介や専門的な視点を通じて、建築の歴史的価値と現代的価値をどのように結びつけ、次世代へ引き継ぐかを議論する場として企画されたもの。建築文化振興の今後を展望し、都市や地域づくりが持つ新たな可能性を探る狙いがある(参加無料、事前申込制

建築文化とは、建物や街並みを単なる不動産として扱うのではなく、地域の文化資産として手を入れながら使い続けることで、地域の魅力や経済、暮らしの活力につなげる取り組みを指す。文化庁はこの概念を軸に、建築文化の価値向上をめざした制度や事業を進めている。
サミットは国立新美術館講堂を会場とし、定員は約160人。15時30分の開場後、16時に開会する。イントロダクションに続き、テーマごとの講演が進められる。

テーマと出演者
■テーマ「まちづくり」
株式会社デキタ代表取締役 時岡壮太
NPO法人尾道空き家再生プロジェクト代表理事 豊田雅子
株式会社竹中工務店設計本部伝統・レガシー建築グループ 中嶋徹

■テーマ「ビジネス」
株式会社エンジョイワークス代表取締役 福田和則
一般社団法人創造遺産機構理事 金野幸雄
株式会社リノベリング取締役 水上幸子

■テーマ「デザイン」
株式会社再生建築研究所代表取締役 神本豊秋
東京藝術大学准教授・RFA主宰 藤村龍至
株式会社スペースRデザイン代表取締役 吉原勝己

■「パネルディスカッション」
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授 加藤耕一
工学院大学総合研究所教授 後藤治
株式会社オープン・エー代表取締役 馬場正尊
READYFOR株式会社文化部門長 廣安ゆきみ




参加申し込み

2026年2月12日木曜日

【ディスカバー・ジャパン】2026年3月号「訪ねる建築 暮らす建築」が2月6日に発売

ディスカバー・ジャパンが発行する月刊誌『Discover Japan』2026年3月号「訪ねる建築 暮らす建築」が発売された。近年、全国各地で近現代建築の再生や活用が注目を集め、価値ある建築を次世代へ継承するための法整備も議論が進むなか、建築文化に新たな広がりが見えはじめている。今号では建築の記憶を大切にしながら、時代や地域の個性に沿って新たな役割を得た建築を訪ねる企画と、心地よさを追求した住まいの姿を紹介する特集が組まれ、旅や暮らしの中にある建築の豊かさを読み解く内容となっている。
巻頭では、全国で再生や新たな活用が行われている建築を「訪ねる建築」として取り上げる。さらに「暮らす建築」では、心地よさを追求した最新の住宅事例や、名建築家の自邸などを通じて理想の住まいのかたちを紹介。旅の愉しみから日常の暮らしまで、建築を軸に未来のヒントを探る構成となっている。
モデルで俳優の菊池亜希子が訪ねたのは、東京・豪徳寺に立つ「旧尾崎テオドラ邸」。1888年に尾崎三良男爵が日本と英国の血を引く令嬢テオドラのために建てた水色の洋館で、2020年に取り壊しの危機に直面したが、漫画家たちが保存会を組織し、現在は喫茶とギャラリーとして再生を遂げた。建築と喫茶を愛する菊池が、建物にこもる記憶や魅力を体感する様子が紹介されている。

建築家・堀部安嗣の自邸も取り上げられている。「竹林寺納骨堂」や船のような客船施設「ガンツウ」などで知られ、風土を生かし居心地のよさを追求する堀部が、自身と家族のために設計した住まいを詳しく紹介。生身の人間が感じる心地よさを追求した工夫が随所に見られ、住まいが“実験の場”として機能してきた様子が語られている。あわせて、一般公開されている名建築家の住まいとして、藤井厚二の「聴竹居」、土浦亀城の「土浦亀城邸」、前川國男の「前川國男邸」、池田武邦の「邦久庵」も掲載されている。

「ニッポンの建築をめぐる旅」では、その土地の魅力を映す建築を訪ねる旅を特集。山口・下関では関門海峡を望む「リゾナーレ下関」を紹介し、村野藤吾の名作に滞在できる「ザ・プリンス 京都宝ヶ池」「ザ・プリンス 箱根芦ノ湖」を取り上げる。さらに「アート県かがわ」を巡り、丹下健三設計の香川県庁舎や、画家・猪熊弦一郎の精神を継ぐ丸亀市猪熊弦一郎現代美術館を訪ねる旅も案内。福井県敦賀・若狭地域の風土に触れる旅も収録し、建築を通して地域の魅力に出合う時間を提案している。

沖縄の首里城正殿の復興状況にも焦点を当てる。アジア諸国との交易で栄えた琉球王国の象徴である首里城は、2019年の火災で9棟が被災したが、現在は復元工事が進み、今秋には正殿の完成が予定されている。特集では復元工事の現場に迫り、独自の建築様式から琉球王国の歴史文化を読み解いている。若い世代へ伝統技術を継承する取り組みも紹介し、ユネスコ無形文化遺産登録を目指す沖縄の伝統文化についても、伝統工芸、琉球料理、伝統芸能、空手・古武道、しまくとぅばの五分野から解説が加えられている。

近現代建築の再生や活用をテーマにした「ニッポンの近現代建築 再生・活用案内」では、用途変更を含むコンバージョンを取り上げ、歴史や文化と現代の営みが重なる空間に滞在することで地域の風土に触れられる建築の魅力を紹介。監修・文は建築史家の倉方俊輔が担当。北野メディウム邸(兵庫県)、半田赤レンガ建物(愛知県)、弘前れんが倉庫美術館(青森県)、PORT ART&DESIGN TSUYAMA(岡山県)、札幌市資料館(北海道)、敦賀市立博物館(福井県)、さらさ西陣(京都府)、墨会館・小信中島公民館(愛知県)、ガーデンオリエンタル大阪(大阪府)、笠間の家(茨城県)、nimbus(福井県)、ある町医者の記念館、南の家(鹿児島県)、明治安田CAFE 丸の内(東京都)など、全国の建築が幅広く紹介されている。




ディスカバー・ジャパン

2026年2月10日火曜日

東京大学発AIスタートアップ・燈、TSUCHIYAと構造計算ソフト「SS7」連携の新システムを共同開発

東京大学発AIスタートアップの燈が、TSUCHIYAと共同で、構造計算ソフト「SS7」への入力作業をAIで自動化する新システム「構造設計支援ツール」を開発した。建築図面を読み取り、構造計算に必要な要素を自動抽出する仕組みを備え、設計者の負担を大幅に軽減する構成となる。

本システムは、平面図や断面図などの建築図面をアップロードするだけで、AIが情報を解析し、構造計算に必要なパラメータを抽出する仕組みを採用。抽出したデータを構造計算ソフト「SS7」に取り込み可能な形式で自動生成し、従来の手入力中心の作業にかかっていた工数を削減する役割を担う。

建設業界では、深刻な人手不足が続き、生産性向上が急務となっている。特に構造計算業務では、図面からスパン長、階高、部材位置などの情報を読み取り、構造計算ソフトへ手動入力する作業が大きな負担となる状況が続いてきた。燈はAIによる図面解析技術を保有し、一方TSUCHIYAは建築実務で蓄積したノウハウを持つ。両社はそれぞれの技術を融合する形で新システムの開発に着手し、業務効率化を目指す取り組みへと結び付けた。

「構造設計支援ツール」の特徴
1. 地域情報(積雪量・風速)の自動反映
プロジェクトの住所を入力するだけで、AIが地域ごとの垂直積雪量や基準風速を自動探索し、システムに反映する仕組みを用意。設計者が個別に調査していた作業の負担が軽減される構成となる。
 2. 図面からの高精度情報抽出
AIがレイヤー情報を解析し、利用者が柱・通り芯・梁などの属性を指定することで、階高、符号、スパン長、外壁や床、柱などの部材配置を自動抽出する方式を採用。図面読み取りにかかる時間削減を目指す。
 3. 構造計算ソフト「SS7」へスムーズに連携
抽出データは「SS7」に取り込めるエクセル形式で自動生成され、入力ミスの防止につながる。3Dでのモデル確認や、HELIOSやArchicadなどのBIMソフトとの連携にもつながりやすい構成となる。

入力の自動化により、図面読み取りと構造計算ソフトへの反映作業を中心に、約半分の業務時間削減が可能という。構造計算後は3Dモデルでの確認やBIM連携が容易となり、建築設計全体の効率向上にも寄与する。



燈株式会社(Akari Inc.)
https://akariinc.co.jp/

2026年2月9日月曜日

MUJI×UR「団地をみんなで考える研究所」の始動、「無印良品 東京有明」店舗内に 新モデルルームがオープン

独立行政法人都市再生機構(以下、「UR都市機構」)と「無印良品のリノベーション」を展開する株式会社MUJI HOUSE(以下、「MUJI HOUSE」)は、「MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト」において、団地や暮らしの新しい価値創造とリノベーションの更なる展開を目指す新プロジェクト「団地をみんなで考える研究所」の始動、及び全国で初めてとなる屋外空間を再現した新モデルルームが、2月6日(金)、「無印良品 東京有明」店舗内(東京都 江東区)にオープンした。

モデルルームは、団地暮らしの本質的な魅力を体感できる空間として、建替えのため除却されることとなった東中神団地等から梁や玄関扉、マンホールなどの資材を取り寄せて制作。また、無印良品の家具を使用することで、新築にはない温かみや味わいを残しながらも、現代的で洗練された暮らしを提案している。

UR都市機構とMUJI HOUSEは、平成24年6月「MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト」を立ち上げ、平成25年1月に大阪でリノベーション住戸の供給を開始。令和7年11月末までに累計で79団地まで拡大し、供給戸数は約1,500戸に達している。また、令和3年から、団地住戸だけでなく団地外観、屋外広場、商店街区にもリノベーションの対象を拡大し、新たに地域コミュニティの形成にも取り組む事業として、「MUJI×UR団地まるごとリノベーション」を開始。これまで全国4団地で展開している。 

新プロジェクト「団地をみんなで考える研究所」では、新プロジェクトに賛同・参加する方々を、年間で2万人集めることを目指し、店舗内モデルルーム(オフライン)とWEB(オンライン)の両方で、顧客からの声を幅広く収集し、従来の提案型の枠を超え、顧客との対話を通じて、団地や暮らしに関する商品やサービスを共創する新しいプロセスを確立していく。

 モデルルーム概要:https://www.muji.net/ie/mujiur/modelroom/ariake

MUJI×UR団地リノベーションプロジェクト:https://www.muji.net/ie/mujiur/

MUJI×UR 団地まるごとリノベーションプロジェクト:https://www.muji.net/ie/mujiur/whole_renovation/ 


【トーヨーキッチンスタイル】名作チェアをソフトなアームチェアへと進化させる専用クッション

トーヨーキッチンスタイルは、日本総代理店を務めるイタリアのインテリアブランド Kartell から、新たに名作チェアをソフトなアームチェアへと進化させる専用クッション「アリスズフラワーズクッション」の取り扱いを開始した。花をモチーフにしたこのクッションは、バレンタインの贈り物や新生活を迎える人へのエール、さらには日々の感謝を伝えるギフトとして、暮らしの中に心地よい安らぎを届けることを目指している。

このクッションは、おとぎ話に登場する語りかける花々から着想を得て誕生したもので、デザインを手がけたのはティツィアーノ・グアルディーニとルイージ・チュフレーダ。Kartell を象徴する名作チェアに花びらを思わせるフォルムを組み合わせることで、身体をやさしく包み込むような快適な座り心地を実現した。実際、花びらのように立体的な形状は座る人をそっと支え、ポリカーボネート製チェアの硬さを和らげることで、まるで新たなアームチェアに生まれ変わったかのような使用感を与えてくれる。

素材にはペットボトルなどを再利用した100%再生ポリエステルを採用し、接着剤や異素材を用いない単一素材設計により、使用後も再リサイクルしやすいサステナブルな構造となっている。サイズは Kartell の名作チェアに合わせて設計されており、Masters や Louis Ghost をはじめ、A.I.、ヴェニス、ハイレイチェアアーム、ジェネリックA、ジェネリックC など計7種類のチェアと互換性があるため、既存の家具を買い替えることなく、新鮮な座り心地や表情をプラスできるのも魅力だ。

カラーは豊富な10色展開で、パイピングとのコントラストが際立つ5色のソリッドカラーに加え、遊び心あふれるストライプ2色とポルカドット3色をラインナップ。コンテンポラリーからナチュラルまで幅広いインテリアにアクセントを添えることができる。価格は税込58,900円で、再生ポリエステル繊維を用いた環境配慮型のプロダクトとしても注目される。




トーヨーキッチンスタイル
https://www.toyokitchen.co.jp/

2026年2月6日金曜日

【広浜】端材を活用したサステナブルチェア「バンナ」を発売

広浜が、畳の製造工程で発生する「い草の端材」を再利用した椅子「バンナ」を1月27日に発売した。これまで廃棄されてきた素材に新たな用途を与える取り組みとして、サステナブルなものづくりを志向する同社の新たな展開となる。

本製品は、畳に使われるい草の端材を紐状に加工し、座面として編み上げた点が特徴。天然素材ならではの風合いと香りを生かし、軽さや通気性、適度な弾力を備えた座り心地を持つ構造で、長時間でも蒸れにくい仕様となっている。畳の上に座る感覚に通じる自然な心地よさが残る仕上がりに整えられている。
・開発の背景:製造現場の「もったいない」から始まった挑戦
畳づくりの現場では、畳表を裁断する際に質に問題のない端材が大量に生まれる。しかし畳としては使用できないため、長年にわたり廃棄される状況が続いてきた。広浜株式会社は、これらの端材を資源として活かせないかという視点から再利用の可能性を探り、「い草を最後まで使い切る」という理念のもと製品化に取り組んだ。
椅子の製作では、自社で製造したフレームに職人がい草の紐を手作業で編み込む工程を採用。廃材を用いながらも手仕事による丁寧な仕上げを行い、新たな価値を持つ家具として成立させた。

・天然素材ならではの機能性と空間性
い草は軽さや通気性の高さに加え、優しい弾力を持つ素材。編み込み構造の座面は体を柔らかく受け止め、湿気がこもりにくい特徴を備える。い草特有の自然な香りが空間に穏やかな落ち着きを与え、住宅や店舗、公共施設などさまざまな空間に馴染むデザインを形成している。今回の椅子はアップサイクルの観点に留まらず、日本の暮らしと深く結びついてきた「畳文化」の新たな可能性を示す製品として位置付けられている。今後は別デザインの展開も予定されている。

2026年2月5日木曜日

DICと国際文化会館のアート・建築分野を起点とする 協業本格始動・深化フェーズへ

DIC株式会社と公益財団法人国際文化会館とのアート・建築分野を起点とする協業プロジェクト本格始動記者発表が2月5日国際文化会館にて行われた。

(左からDIC池田氏、ロスコ・チャペル アンテプリ氏、国際文化会館近藤氏)

DIC と国際文化会館は、アメリカ・ヒューストンにあるロスコ・チャペルと各々が新たにパートナーシップ提携を締結。DIC川村記念美術館に展示していたマーク・ロスコの<シーグラム壁画>7点すべてを国際文化会館が建設する新西館に移設し、新設する「ロスコ・ルーム」を共同運営していくにあたり、アメリカのマーク・ロスコの中核拠点であるロスコ・チャペルと連携し、海外との文化的ネットワークを形成する。

国際文化会館の新西館に開設する常設展示室「ロスコ・ルーム」の設計は建築ユニットSANAAが手掛ける。

(建築ユニットSANAA:右から妹島和世氏、西沢立衛氏)

「ロスコ・ルーム」へは、新設される緑豊かなエントランス庭園に囲まれたエントランスホール、自然光を感じることのできる地下のメディテーションスペースからアプローチ。国際文化会館新西館建設計画(仮称)のメインコンセプトの一つである親自然空間体験と、「ロスコ・ルーム」の単独的な空間体験のふたつを両立させ、ひと続きの体験となる構成を目指す。

「ロスコ・ルーム」は、地下の展示室内に設けられる。他の展示と連続しながらも、独立した場となるように計画される。「ロスコ・ルーム」自体が明確な存在感を持ち、訪れる人に象徴的な体験をもたらす空間を目指す。 

© 1998 Kate Rothko Prizel & Christopher Rothko / ARS, New York /JASPAR, Tokyo G4115

建築ユニットSANAAのコメント

「このたび国際文化会館の新西館建設計画の一環として、シーグラム壁画を展示するロスコ・ルームの設計に関わる機会に恵まれ、たいへん光栄に思います。静かな展示環境の中、そこを訪れる人々が作品と深く向き合える場となるよう、設計を進めてまいります。」 

国際文化会館HP:http://dic-ihj.org/