2026年5月25日月曜日

小堀哲夫建築設計事務所「トプコン創業建築2号館リノベーションプロジェクト」内覧会

 板橋区蓮沼町にて、小堀哲夫建築設計事務所が手掛けた「トプコン創業建築2号館リノベーションプロジェクト」の見学会が5/20に行われた。

 

本計画は板橋区に本社を構える株式会社トプコン社屋の2号館のリノベーションプロジェクトであり、設計監修を小堀哲夫建築設計事務所が担当した。2号館は昭和初期の建築家であり、日本のコンクリート建築の開祖である阿部美樹志によって戦前に設計された建物である。築90年を迎え、老朽化が進み、当時は建て替えも検討されたが、2号館の歴史的価値と企業と地域の関係性を評価し、既存建物を活かした更新が選択された。

今回の計画について、小堀氏は“2号館が戦前に建てられ、数々の増築を経ているが、その記録が残されていないことから、解体していく中で初めて分かることがあった。判断すること、また見直すことをその都度積み重ね、結果として全体を成立させている”と述べている。

▲広場から2号館を臨む。手前の広場は社員や地域の方が集まる場として再編


既存建物は空間全体が逆梁工法と大開口によって、構造材のみで簡潔に構成されることで、大空間と採光・通風が同時に成立する構造と環境が一体となった空間であり、歴史的評価に値する建築であるが、度重なる増築や建物の老朽化によって、建物のポテンシャルが失われていることが課題として挙げられた。


▲既存建築内観。逆梁工法と大開口によって光溢れる空間となっている

リノベーションを行うにあたり、既存建物の「何を残し、どのようにつなぐか」、「設計思想をどのように引き継ぐか」、「新たな知や活動が生まれる場としてどのように更新するか」がプロジェクトの主題となった。それらに対して、本プロジェクトでは「既存建物の中庭の再編」、「適材適所による耐震補強」「エンジニアリング」によって応えられている。

 

建築全体の計画として、もともと中庭を塞いでいた増築建物を解体、外部化し、構内の主要動線と繋ぐことで、社屋全体とつながる中庭として再編された。中庭に面して工場、カフェテリア、大講堂等の各機能が配置され、それぞれの場所で起こる活動が日常的に共有される空間となっている。大講堂およびカフェテリアは可動間仕切りによってイベント時などは一体的に利用が可能となり、社員が集える場として機能する。また、中庭に対して新たにレンズをモチーフとした庇を新設し、大講堂および、カフェテリアへの光環境を調節しながら、社員が佇める半屋外空間を生み出した。

▲構内の主要動線と繋がった中庭および新設された庇空間

▲カフェテリアと大講堂は可動間仕切りを開放することで一体的な利用を可能とする

▲既存中庭の建屋や配管類を撤去し、室内に中庭からの「光や風」を導く


耐震改修においては、柱、梁、ブレースなどを適材適所に組み合わせた耐震補強を行うことで、オリジナルの建築外観への影響を抑えながら必要な耐震性能を確保し、既存建築の立面の美しさや空間性を再生しながら、耐震性能を向上させた。中庭に面する立面は過去の増築時に壁によって塞がれていたが、再び開口を開け、既存柱の2.6mピッチにあわせるように鉄骨フレームによって補強し、ブレース材は端部の2か所に施される。また、建築内部においても隠れる部分にはブレース補強を行い、通路が必要な部分は格子フレームによって補強するなど、機能や空間性に合わせた補強が行われている。開口部はペアガラスにするなど環境性能に配慮した設えとなっている。

▲既存柱のピッチに合わせた鉄骨フレームおよびブレース材による
適材適所な補強によって、既存立面の景観を継承する

また、90年の間に繰り返し増築、拡張されることで取り付けられた配管などの外部インフラ類を企業の自社技術によって点群データとして取得し、可視情報化を行った。その後、配管などを撤去し、オリジナルの構造が現れるように再整理が行われた。データはデジタルアーカイブとして保存することで、取り壊された1号館とともに建築資産を将来へと継承する。

▲屋上から中庭を臨む。立面に設置された配管などを撤去し、既存建築の美しい立面を再び現す

今回のリノベーションについてトプコンの渡邊氏は“建物は、完成した瞬間がゴールではありません。使われながら、少しずつ育ち、変わっていくものだと思っていますと述べる。実際に、建物の完成後、中庭で社員が楽器の練習を行っていたりや建物の周りで街の親子連れによる自転車教室が行われている様子が見られるなど、人の集まる雰囲気が徐々に醸成されていると言う。90年にわたり企業のものづくりを支えてきた建物は、リノベーションを経て、社員や地域連携の拠点として次の90年へと進んでいく。

▲阿部美樹志氏による2号館の青焼き図面について説明を行う小堀哲夫氏




2026年5月22日金曜日

【KANADEMONO】「THE LOW TABLE/テラゾー」と「THE STORAGE SHELF/テラゾー」を公式オンラインストアで数量限定発売

 KANADEMONOカンパニーは5月13日、本物の石素材を用いた家具シリーズ「THE LOW TABLE/テラゾー」と「THE STORAGE SHELF/テラゾー」を公式オンラインストアで数量限定発売すると発表した。いずれもテラゾー素材の質感を生かしたローテーブルおよび収納棚で、価格はローテーブルが6万〜12万7000円、ストレージシェルフが11万7000円〜15万2000円(税込)。サイズや仕様に応じて変動し、在庫がなくなり次第販売終了とする。

新商品は、大理石や花こう岩の砕石を樹脂で固めて研磨したテラゾー素材を天板に用いた点が特徴で、天然石特有の不均一な模様や光の反射による表情の違いをそのまま取り込んだ。一般的なプリントや壁紙による擬似的な柄ではなく、実素材ならではの質感を前面に打ち出している。指先に伝わる冷感や重量感といった触覚的な要素も含め、量産品では再現しにくい個体差を価値として位置づける。
デザイン面では、テラゾーの強い存在感と室内環境との調和を図るため、木製フレーム4色とスチール脚3色の組み合わせを用意した。ユーザーが室内の色調や家具構成に応じて選択できる仕様とし、素材の個性を損なわずに空間へなじませやすくしている。

ローテーブルは正方形1枚の天板を用いたコンパクトサイズ(幅61.8cm)と、2枚を並べたワイドサイズ(同121.4cm)の2種を展開。前者はベッドサイドや単身世帯向けゾーンでも設置しやすく、後者はリビングの中心的な家具として利用を想定する。ストレージシェルフは2段タイプ(幅86.5cm)と3段タイプ(同114.6cm)を用意し、奥行きや高さの違いにより設置場所や用途の幅を持たせた。2段は奥行きを確保しディスプレイ用途にも対応、3段は高さと省スペース性を生かした構成となっている。
背景には、テラゾー素材への関心の高まりがある。住生活領域のソーシャルプラットフォーム「RoomClip」におけるデータによると、2019年を基準とした場合、2025年までの6年間でテラゾー関連の投稿率は約21倍、検索率は約30倍に増加した。特に2023年以降の伸びが顕著で、直近2年間では投稿率が約2.1倍、検索率が約2.7倍と急増しているなど、これまで一部のデザイン志向層に限られていた素材が、一般的なインテリア選択肢として広がりつつある状況がうかがえる。

その一方で、石材家具は大型で重量があるものが多く、居住空間に取り入れにくいという課題も指摘されてきた。今回の製品はサイズバリエーションを十分に設けることで設置の自由度を高め、単身向けからファミリー向けまで幅広い住環境に対応する。また、カスタマイズ可能な構造とすることで、既存家具との調和を重視する消費者ニーズにも応える設計となっている。





【KANADEMONO】家具と本を組み合わせた体験型の展示「本と家具の物語展」の開催

 KANADEMONOは、二子玉川 蔦屋家電で家具と本を組み合わせた体験型の展示「本と家具の物語展」を、4月3日から5日までの3日間にわたり開催した。同ブランドはこれまでオンラインを中心に家具を販売してきたが、サイズ感や素材を実際に確かめたいという声が多く寄せられていた。こうした背景から、今回は実際の暮らしの場面を想定した空間を用意し、家具を体験できる場としてのポップアップイベントが開催された。
会場は「ワークスペース」「ダイニングスペース」「猫との暮らし」という三つのテーマで構成され、130点以上の家具が展示された。家具に加えて、蔦屋家電のコンシェルジュとKANADEMONOスタッフが選書した書籍が各空間に配置され、家具と本が重なり合うことで暮らしのイメージが立ち上がるような構成となり、来場者がコーヒーを片手に椅子に腰かけ、ゆっくりと時間を過ごす様子も見られた。

展示の中核となっていたのは、1センチ単位のサイズオーダーが可能な「THE SERIES」だ。限られた住環境に合わせて柔軟に寸法を調整できる点が評価され、半円やラウンド型などの天板のバリエーションとあわせて紹介されたことで、具体的な設置イメージを持つ来場者も多かった。その一方、来場者の目を引いていたのが「猫との暮らし」をテーマにした空間である。猫の写真をもとに制作するオーダーラグや、猫が通り抜けられる構造を持つテーブルなどが展示されるなど、ペットと共に暮らす生活に即した提案が行われていた。
会期中には建築や設計に関わる来場者の姿も多く見られた。家具の表面的なデザインだけでなく、裏面の構造やエッジの仕上げ、金属脚の溶接などに注目する様子が目立ち、プロの視点からもプロダクトの完成度が確かめられていた。また、初めての試みとなるインテリア相談会も実施された。法人向けに提供してきたスタイリングサービスを一般来場者に開放したもので、図面やコーディネートツールを用いながら、実際の部屋のレイアウトをもとに家具配置を検討する場が設けられた。来場者からは、動線やサイズ感を具体的に把握できたことや、色や素材の組み合わせに対する不安が解消されたといった声が聞かれた。

オンラインを起点とするブランドにとって、実際の空間を通じた体験の場を設けた今回の取り組みは、素材や質感を直接確認したいという需要の大きさを改めて示す結果となった。家具と書籍を組み合わせた展示手法も、単なる商品紹介を超え、来場者が自身の生活を具体的に思い描くきっかけを提供していたようだ。





KANADEMONO



2026年5月21日木曜日

[東京建築祭]現実では見れない、見ることが出来ない建築を体験

株式会社日建設計は5月23・24日に開催される東京建築祭2026に参加。日建設計DDL(デジタルデザインラボ)ではデジタル技術を活用した展示を行う。

展示では日建設計内部と大阪万博の日本館及び迎賓館内部を用意。これらは普段立ち入り禁止、既に現存しないものであり空間体験を行うことはできないが、スキャン画像とBIMデータを活用し、建物の平面図から建物の3D平面・立面を再現。建物の姿を自由に切断して体験することが出来る。

図面の座標読み取りは図面裏のQRコードを読み取ることで行う。

日建設計では、この展示のほかに過去の手書き図面を展示。

イベント情報:東京建築祭

【ロッシュボボア】SPEED UPコレクション誕生20周年記念新作アイテムを販売開始

 フランス発のインテリアブランド、ロッシュ ボボアは、コレクション「SPEED UP」の新作アイテムを発表し、日本国内での販売を開始した。ブランドを運営するRB Japanが発表したもので、同コレクションの誕生から20周年を機に、デザインの再解釈を加えた新シリーズとして位置づけられている。
今回の新作を手がけたのは、セルビア出身のデザイナー、サシャ・ラキッチである。1964年生まれの同氏は、自動車やモーターサイクルの分野でも活動するデザイナーであり、最先端技術への関心を背景に、流線形を基調としたダイナミックなフォルムを特徴とするデザインで知られる。硬質な素材を用いながらも、しなやかさを感じさせる造形は、同氏の代表的なスタイルとされている。

「SPEED UP」コレクションは、そのラキッチの造形的特性を色濃く反映したシリーズとして展開されてきたが、今回の新作では従来のデザインを踏まえつつ、より流動性とバランスを強調した構成が採用されている。ダイニングテーブルを中心に据えたラインナップとなり、空間の中で身体の動きや視線と呼応するような造形が意識されている。
国内では東京・表参道のロッシュ ボボア東京店でダイニングテーブルとアームチェアを、大阪・淀屋橋のロッシュ ボボア大阪店でダイニングテーブルをそれぞれ展示している。いずれも実物を通じてデザインの質感や構成を確認できる場となっている。コレクションの刷新を通じて、ブランドが長年掲げてきた「暮らしの芸術」という概念が、現代の住空間にどのように更新されていくのかが焦点となる。家具単体としてではなく、空間と一体で捉えるデザインの提案として、その動向に関心が集まりそうだ。





ロッシュボボア


2026年5月20日水曜日

【ジンズ】ヘザウィック・スタジオと協業したアイウエアコレクションを発売

ジンズは、英国を拠点とするデザイン集団ヘザウィック・スタジオと協業したアイウエアコレクション「JINS × Heatherwick Studio」を5月14日に発売した。一部の直営店舗とオンラインショップで取り扱う。建築や都市開発分野で知られる同スタジオにとって、アイウエアコレクションの展開は初めてとなる。

今回の企画は、これまでジンズが進めてきた外部クリエーターとの協業プロジェクトの一環で、従来の眼鏡に対する発想を広げる狙いがある。ヘザウィック・スタジオはロンドンと上海に拠点を構え、都市空間や建築、プロダクトなど幅広い領域で活動するデザインチームで、ニューヨークの公共施設「リトル・アイランド」や東京・麻布台ヒルズなどの開発に関わるなど、国際的に評価を高めてきた。
大規模建築からプロダクトへと領域を横断する試みとして、今回のアイウエア開発に取り組んだ格好だ。新製品では、「Liquid(液体)」というコンセプトを軸に据え、水の流れや波紋といった有機的な動きを造形に取り込んだ。従来の眼鏡に見られる直線的で左右対称のフォルムから意図的に逸脱し、左右非対称のデザインを採用している点が特徴となる。流動する一瞬を切り取ったような曲線構成により、顔周りに柔らかな印象をもたらす一方で、装着時の安定性やフィット感といった機能面にも配慮した設計とした。
素材には、表情の奥行きを引き出す樹脂フレームと、軽量で強度に優れるチタンフレームを使用し、それぞれ異なる質感を持たせた。ラインアップは全4型12種で、樹脂フレームが2型8種、チタンフレームが2型4種。色は自然界に存在する液体から着想を得た6色で展開する。価格は樹脂フレームが1万3000円、チタンフレームが3万円で、標準クリアレンズを含む。ジンズはこれまでも国内外のデザイナーや建築家と協業し、機能性とデザイン性を両立した商品開発を進めてきた。眼鏡を視力矯正器具としてだけでなく、ファッションや自己表現の一部として再定義する取り組みを続けており、今回のコレクションもその延長線上に位置づけられる。
特に建築家との協業では、空間設計の思想や造形感覚を小型プロダクトに落とし込む点が特徴となる。背景には、アイウエア市場における差別化の必要性がある。機能面での成熟が進む中、デザインやブランド価値による選択の重要性が高まっているほか、消費者の嗜好の多様化も顕著になっている。独創的な造形やコンセプトを打ち出すことで新たな需要を喚起し、市場の拡張につなげる狙いがあるとみられる。
ヘザウィック・スタジオは1994年にトーマス・ヘザウィック氏が設立し、現在は250人以上が在籍する。建築やインフラからプロダクトに至るまで幅広い分野で活動し、世界各地で約30件のプロジェクトが進行中とされる。従来は大規模案件が中心だったが、今回のような日常的に身に着けるプロダクトへの展開は、デザインの適用領域を拡張する試みともいえる。
巨大構造物を手がける設計思想と、生活に密着したアイウエアというスケールの異なる領域が交差することで、従来の眼鏡には見られなかった造形表現が生まれている。ジンズにとってはブランド価値の強化につながる一方、ヘザウィック・スタジオにとってもデザインの新たな可能性を探る機会となる。両者の協業は、成熟市場における付加価値創出の一つの方向性を示すものといえそうだ。






JINS










2026年5月19日火曜日

【東京建築士事務所協会】第3回女性交流会を開催

東京都建築士事務所協会の女性会員、会員事務所女性スタッフによる「第3回女性交流会」が5月14日に開催された。

交流会は、東京会女性会員等の交流と意見交換を目的とし、これからの設計事務所の展望や地域とのかかわり、女性活躍推進に期待することなどをテーマに、基調講演、トークセッション、懇談会が行われた。基調講演では、会場となった安井建築設計事務所設計部の小林寧々さんより「設計事務所がまちにひらくこと」をテーマに、新オフィスの設計概要、また「美土代クリエイティブ特区」のまちや人を巻き込んだ場所の使い方について話された。
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安井建築設計事務所設計部の小林寧々さんによる基調講演

トークセッションでは、働く環境やオンラインの環境をトピックに意見交換が行われ、オフィスにおけるフリーアドレスの利点と課題、社内でのデータ管理による業務の効率化、テレワークなどの選択によって家庭と仕事を両立する働き方など、様々な意見が交わされた。

交流会には東京の各支部から総勢40名ほどが参加し、参加された方からは、フリーアドレスであると組織内で自然なコミュニケーションを促すことが難しいことなど職場での実
体験から様々な切実な意見が話された。

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トークセッションの様子
また同日には、会場となった安井建築設計事務所の施設見学が行われた。
2024年1月に移転した新オフィスは、街や人の対話を通じた開かれた設計事務所を理念に、「美土代クリエイティブ特区」と名付けられ、1階は「まちとつながるスペース」、2階は会議室、応接室とワークスペース、3階はワークスペースで構成される。

1階のラウンジは社内コンペによって計画案を決定し、工事完了後もオープンハウスなどの企画を行うなど、社員ひとりひとりが主体的に場の運営に携わり、まちや人を巻き込みながら持続的な場所づくりが行われている。
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施設見学の様子
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吹き抜けをつなげる階段。築60年の既存躯体をあえて露出させ、
作りこみすぎないデザインとなっている
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「WORK VILLA MISATO」外観
1階から3階に「美土代クリエイティブ」特区が入る






東京建築士事務所協会