2026年6月9日火曜日

【良品計画】「くつろぎを考えた木製アームレスソファ」の発売開始

良品計画は、コンパクトな住環境に対応した新製品「くつろぎを考えた木製アームレスソファ」を5月27日から全国の無印良品店舗およびネットストアで順次発売する。都市部を中心に住宅の小型化が進むなか、限られた空間でも快適に過ごせる家具へのニーズに応える製品として投入する。
同製品はアームを設けない構造を採用し、外形寸法を抑えつつ座面の有効スペースを広く確保した点に特徴がある。従来展開してきた「ゆったり座れるアームレスソファ」を見直し、クッションの厚みやフレーム形状を再設計することで、設置時の圧迫感の軽減と室内への調和を図った。色展開にはグレージュ、ブラウン、グレーの3色を用意し、さまざまな住空間に取り入れやすい仕様とした。
構造面では、同社の人気商品である木製ベッドフレームに採用しているウッドスプリング構造を取り入れた。これは床板の代わりにアーチ状にしなるスラットを用い、フレーム自体にばねのような弾性を持たせる仕組みで、身体を面で支える柔軟なクッション性を確保する。この構造に加え、座面クッションには独立したコイルを組み込むポケットコイルを内蔵し、長時間使用時のへたりを抑えながら安定した支持力を維持し、座るだけでなく横になるといった多様な使い方にも配慮した設計とした。
脚部には「脚付マットレス」や木製ベッドフレームと共通仕様の部材を採用し、木製脚に加えて細身のスチール脚を新たに用意した。高さは12センチと20センチから選択でき、利用者の体格や生活動線に応じて調整が可能となる。さらにカウチタイプやオットマンも同シリーズで展開し、組み合わせにより脚を伸ばしてくつろぐレイアウトや、単体でのスツール利用など、多様な生活スタイルへの適応を目指した。

同社は「感じ良い暮らしと社会」の実現を掲げ、「簡素が豪華に引け目を感じることのない価値観」を指針に商品開発を進めてきた。近年は住宅のコンパクト化やライフスタイルの多様化が進み、家具には省スペース性と快適性、さらに複数用途への対応力が求められている。こうした環境の変化を背景に、アームレス構造で座面を広く確保できるソファは支持を広げており、新製品はその流れを踏まえた改良モデルにあたる。
住宅事情の変化に対応しながら、居住空間の質を維持・向上させることは家具メーカーにとって重要な課題となっている。とりわけ都市部では限られた面積の中で居住性を高める工夫が求められており、機能と意匠の両面での最適化が進められている。今回の製品は、ベッド構造の応用による快適性の向上や、部材の共通化による使い勝手の拡張といった要素を組み合わせることで、生活空間への適応力を高めた点が特徴。良品計画は今後も、生活者の多様なニーズに応じた商品開発を進め、日常生活に寄り添う家具やサービスの提供を通じて住環境の質の向上を図る方針を示しており、今回の新製品は、コンパクト住宅向け市場におけるラインアップ強化の一環として、同社の家具事業における提案力の拡充につながる取り組みと位置づけられる。




2026年6月8日月曜日

【 The Chain Museum】元木大輔設計のGallery & Bakery Tokyo 8分で田島大介の個展を開催

 The Chain Museumは、京橋の複合施設「Gallery & Bakery Tokyo 8分」で、田島大介の個展「無限虚無」を2026年6月20日から7月21日まで開催する。会期中は無休、入場無料。

本展は、緻密な描写と誇張された遠近法で構成される架空の巨大都市を主題とし、新作と既存作品を織り交ぜながら構成する。田島はケント紙にインクで描く手法を用い、膨大な建築物や構造体が密集する都市風景を極端なパースで描き出す。画面には無数のディテールが重層的に配置され、視線を奥へ奥へと誘導する構図が特徴で、鑑賞者に圧倒的な量感と空間的な広がりを同時に感じさせる。左右対称や整然とした秩序ではなく、増殖を続ける都市の断片群を積み上げることで、現代社会の不均衡なエネルギーを視覚化する点に意義がある。

展示全体のコンセプトは「Liquid」ではなく、情報や商品が際限なく生成と消滅を繰り返す現代社会に内在する混沌と虚無の境界に焦点を当てる。均一化と加速が進む環境の中で、個人が感じる圧迫感や孤独感を、密度の高い都市表現として転写していく試みと位置づけられる。氾濫する情報に囲まれた状況を「呼吸困難に近い感覚」として捉え、その裏側に潜む空虚を同時に浮かび上がらせる構成とし、作品群を通じて観る者に両義的な感覚を喚起する。

会場となる「Gallery & Bakery Tokyo 8分」は、The Chain Museumとフォンスが共同で手がけるギャラリーとベーカリー・カフェの複合施設で、2024年開業のTODA BUILDING1階に位置する。設計は建築家の元木大輔氏率いるDDAAが担当し、美術館を思わせる展示空間と日常利用可能な飲食機能を併設する構成が特徴だ。鑑賞と滞在を一体化させることで、作品体験を拡張することを狙う。



The Chain Museum https://www.t-c-m.art/



2026年6月5日金曜日

茶室《カタラ庵》を出展 : UIA 世界建築家大会2026 バルセロナ・JIA 展示ブース


日本建築家(JIA)は、2026年6月にスペイン・バルセロナにて開催される国際建築家連合(UIA)のWorld Congress of Architectsに、食料廃棄物による構造体を実現した茶室《カタラ庵》を出展する。

カタラ庵》は「World Food Waste Tea House」プロジェクトの一環として構想され、世界各地で生まれる食料廃棄物を建材へと変換し、その土地の環境や文化に応答する新たな茶室を創出する試みである。

三菱地所設計の藤貴彰氏らが、これまでに《ベネチ庵》(ヴェネチア・ビエンナーレ2023)、《アラビ庵》(ドバイ・デザインウィーク2023)を制作・発表し、国際的な評価を得ている。


茶室を制作するにあたり、各地の緯度に基づいてパーツの形態を決定するアルゴリズムを構築。建材をつなげるパーツには、食料廃棄物を加工したコンクリート並みの強度を持つフードコンクリート(写真1)を使用し、利用する廃棄物や環境によって異なる茶室が生まれる可能性を持ったプロジェクトである。

▲(写真1) 食品廃棄物を利用した、「フードコンクリート」

2023年に制作された《ベネチ庵》では、ヴェネチアの経度から導かれた形態とイタリアの食品廃棄物であるパスタなどを建築材料として活用した茶室を生み出した。建材はすべてスーツケースに収まるサイズとすることで、自主運搬・セルフビルドを可能とし、輸送時のCO₂削減にも寄与した、サスティナブルなデザインがなされている


今回の出展会場であるカタルーニャ地域はワインやオリーブオイルの生産で知られる一方、大量の有機廃棄物が日々生み出されている。《カタラ庵》(写真2)はオリーブ搾りかすやコルクといった地域の素材を建材として利用することで、有機廃棄物を、土地の記憶や産業の痕跡を宿した資源として捉え、新たな建築へと転化するプロジェクトである。

▲(写真2)カタラ庵 茶室全景

また、今回の《カタラ庵》の発表にあわせて、会場では循環型社会をテーマとした建築プロジェクトも展示予定である。

■展覧会詳細

展覧会名(英):Catal-An Tea House, JIA Exhibition at UIA World

        Congress of Architects 2026 Barcelona

展⽰⽇程:6 29 ⽇(⽉)〜7 2 ⽇(⽊)10001700 

     ※7 2 ⽇は1400 まで

展⽰会場:DHubDisseny Hub Barcelona

     B1FExhibition: UIA Member Sections

主催 :(公社)⽇本建築家協会 協⼒:藤貴彰(株式会社三菱地所設計)

協賛:⽇本オリーブ株式会社、⽇本化⼯機材株式会社、NORDIC STEAM 株式会社、株式会社三菱地所設計、寺岡オート・ドアシステム株式会社、株式会社松⽥平⽥設計、株式会社JR 東⽇本建築設計、株式会社ユニオン、郡リース株式会社、株式会社総合資格、⽇新⼯業株式会社、株式会社オクジュー、株式会社オカムラ、東リ株式会社、株式会社⼤建設計、株式会社安井建築設計事務所、株式会社東畑建築事務所(6 1 ⽇時点)

展覧会公式HP:https://uia2026bcn.org/


【エクシィズ】リサイクルタイルブランド「ecorevo(エコレボ)」の特別サンプルキットを「世界環境デー」に数量限定で無償提供

エクシィズは、リサイクルタイルブランド「ecorevo(エコレボ)」の特別サンプルキットを6月5日の「世界環境デー」に合わせて数量限定で無償提供すると発表した。設計士や建築家、デザイナーなどを対象に、廃棄物から建材へと再生される過程を体感できる内容とし、環境配慮型素材の理解促進を図る。
キットには、同社の代表的製品であるリサイクルタイル「暁(あかつき)」1枚と、「モルテノヴァ」のカラーサンプル3種が含まれるほか、通常は可視化されにくい原料である溶融スラグと廃粘土を小瓶に封入した試料、自社の総合カタログを同封する構成とした。
溶融スラグは都市ごみを高温処理して生成される無機素材で、建材への再利用が進む分野として注目されている。廃粘土は陶磁器やタイル製造工程で発生する副産物であり、これらを再資源化した原料を実際に手で触れられる形式で提供することで、製造背景の理解を深める狙いがある。
「暁」はリサイクル率100%を掲げる製品で、愛知県豊田市由来のスラグを40%配合し、全体を再生原料で構成している。スラグ特有の霞がかった質感と還元焼成による発色が特徴で、意匠性と環境配慮を両立した建材として展開している。一方の「モルテノヴァ」は、溶融スラグを釉薬として用いることで多様な色彩表現を可能にしたシリーズで、形状や色を選択できるセミオーダー型として住宅から商業施設、公共空間まで幅広い用途に対応する。
今回、97ミリ角と22×147ミリのボーダー形状については一部色を在庫品として即納可能な体制も整えた。
サンプルキット提供の背景には、建築業界におけるサステナブル素材への関心の高まりがある。環境負荷の低減だけでなく、資材の由来や製造プロセスなど、いわゆる「ストーリー性」を重視する動きが広がっており、設計段階から素材選定の思想が問われる場面が増えている。同社はこうした流れを踏まえ、単なる製品紹介にとどまらず、廃棄物が建材へと転換される過程そのものを提示することで、設計者の理解と選択を支援する仕組みとして本キットを位置づけた。

同社は多治見市を拠点に国内外でタイルの製造・販売を行う専門企業で、自社製品に加えてオーダーメイドタイルの開発にも対応している。建築分野における環境配慮の重要性が増すなか、素材の再利用とデザイン性を両立する取り組みは、建材選択の新たな視点として広がりを見せている。今回のサンプルキットは、廃棄物を出発点とした素材の価値を再認識させる試みとして、設計現場での活用が期待される。


申し込み方法:
株式会社エクシィズ公式サイトのお問い合わせフォームより、必要事項を記入して申し込みが可能。※「モルテノヴァ」のカラーサンプルは全55色より3色を選択可能





2026年6月4日木曜日

【サンゲツ】カーテン見本帳「2026-2029 AC」を発刊

サンゲツは6月4日に、カーテン見本帳「2026-2029 AC」を発刊する。
収録は247柄552点に及び、同日からデジタルカタログも公開する。新見本帳では「カーテンで『つながる』豊かな暮らし」をコンセプトに掲げ、窓装飾としての従来用途に加え、間仕切りや目隠しなど空間を柔軟に扱う提案を盛り込んだ。
商品構成では、空間の分節と連続を状況に応じて切り替える「可変性」を重視する。巻頭企画「Just Right Living」では、カーテンを用いて洗練したゾーニングを実現する手法を、住宅に加えてオフィスや施設など非住宅分野の施工例とともに紹介する。縫製面では、吊元のフックを表裏いずれからも見えにくくする「吊元隠し仕様」を新たに採用し、パーティション用途でも両面の意匠性を保つ構成とした。
機能面ではシアーカーテンの充実が図られている。柄物やリネンライクな質感を持つ薄地において、遮熱や紫外線カット機能を備えた商品を拡充し、室内環境の快適性向上と家具の退色抑制の両立を図る。加えて、生地に小さな穴が生じた場合でも揉むことで目立ちにくくなる機能を持つシアーを新規にラインアップに加えた。糸が切断された場合は回復しない制約があるものの、日常使用における外観維持への配慮として、子育て世帯や公共空間にも推奨している。
デザイン領域では、ヘラルボニーと契約する作家の作品をファブリックとして展開する取り組みを導入した。障害のある作家による独創的な表現を製品に取り入れることで、多様性に配慮した商品開発を進める。あわせて、使用済みカーテンを回収し新たな生地へ再生する水平循環型リサイクル商品を掲載し、資源循環の仕組みをカタログに組み込んだ。これにより、製品のライフサイクル全体での環境負荷低減に対応する。
こうした構成の背景には、住空間と働く場の境界が緩やかになる中で、固定的な間仕切りに代わる柔軟な空間運用への需要拡大がある。リノベーション市場の広がりや生活様式の多様化も、用途の可変性を重視する商品開発を後押ししている。また、夏季の高温化や環境配慮に対する社会的関心の高まりが、機能性や循環型素材の採用につながっている。

同見本帳は、カーテンの役割を単なる装飾から、空間の可変性を叶える要素へと拡張する編集方針を掲げた点に特徴がある。サンゲツは、意匠性、機能性、環境対応を組み合わせた製品提案を通じて、住宅・非住宅の両領域での採用拡大を図る構えを示している。

カーテン見本帳「2026-2029 AC」
発刊日:2026年6月4日(木)
収録点数:247柄552点
デジタルカタログ(6月4日より公開)
 






2026年6月3日水曜日

【昭文社】 サグラダ・ファミリアの全貌に迫る! 『図解でスッと頭に入るガウディと サグラダ・ファミリアの世界』を発売

 昭文社は、建築家アントニ・ガウディと代表作サグラダ・ファミリアの全体像を解説する新刊『図解でスッと頭に入るガウディとサグラダ・ファミリアの世界』を、5月29日に発売した。2026年はガウディ没後100年にあたる節目の年であり、同年にはサグラダ・ファミリアで最高到達点となる「イエス・キリストの塔」が完成を迎える予定で、世界的な関心が高まる中での刊行となる。
本書は、歴史や文化を平易に伝える同社のシリーズ「スッと頭に入る」の一冊として、ガウディの建築思想と主要作品を豊富な図解と写真で整理した。奇抜な造形で知られるガウディ建築を、直感的な表現にとどめず、自然界の法則を応用した合理的な構造として読み解く点に特徴がある。逆さにつるした模型から構造を導き出す「逆吊り模型」や、荷重を効率的に分散させるパラボラアーチなど、ガウディが重視した構造力学の考え方を視覚的に示し、生命感あふれる造形がいかにして成立したのかを解説する。

構成は、人物像と思想に迫る章と、建築作品を網羅的に紹介する章の二部立て。前半では、病弱だった幼少期から建築家としての形成期、パトロンとの出会い、私欲を捨ててサグラダ・ファミリアに没頭した晩年までの歩みをたどり、独創性の源泉を探る。後半では、サグラダ・ファミリアの全体構成や三つのファサード、内部空間、18本の塔の意味をはじめ、「カサ・ミラ」「カサ・バッリョ」「グエル公園」など、バルセロナを中心とする世界遺産群を写真と図解で紹介する。
監修を務めたのは、長年ガウディ研究を牽引してきた建築史家の鳥居徳敏氏。スペイン滞在経験を背景に、建築史的文脈と現地での実見に基づく解説を加え、初学者にも理解しやすい内容にまとめた。A5判128ページと手に取りやすい体裁ながら、サグラダ・ファミリアの建設史や未完計画にも触れ、没後100年という時間軸の中でガウディの仕事を俯瞰できる構成となっている。

サグラダ・ファミリアは1882年の着工以来、100年以上にわたり建設が続けられてきた未完の聖堂で、完成に向けた節目を迎える今、ガウディの思想や建築の全貌を整理する意義は大きい。本書は、観光的な関心にとどまらず、構造や思想の側面からガウディ建築を理解するための入門書として位置づけられ、節目の年における一つの指標となりそうだ。




昭文社

2026年6月2日火曜日

【山口産業】2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で建設に関与したクウェートパビリオンの一部を佐賀県に寄贈

山口産業は、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)で建設に関与したクウェートパビリオンの一部を佐賀県に寄贈し、佐賀県立産業技術学院(多久市)へ移設することで合意したと発表した。

寄贈対象のクウェートパビリオンは、大阪・関西万博で「先見の明かり」を掲げ、翼を広げた鳥を思わせる有機的なデザインを特徴とする建築として来場者の関心を集めた。山口産業は膜構造技術を活用した施工に携わり、軽量で柔軟性に富む素材特性を生かしながら、大空間と自由度の高い造形を実現したとされる。移設後は展示として保存するだけでなく、来訪者が集い学び交流する場としての活用が計画されており、日常的に人が滞在する地域拠点としての機能が想定されている。


設置先となる産業技術学院との連携により、教育分野での活用も視野に入れる。多久市は伝統工芸や製造業など多様な産業基盤を有しており、学生の実習や地域住民との交流を通じて、実践的な技術習得と地域との結び付き強化を図る狙いがある。膜構造という先端的な建築技術を身近に理解できる環境は、次世代の技術者育成にも一定の役割を果たす可能性がある。

こうした取り組みの背景には、万博施設の活用方法に対する発想転換がある。一過性のイベント終了後、施設を解体または保存するだけにとどめず、地域社会の中で継続的に活用する方向へとシフトする動きが広がりつつある。山口産業は、万博で生まれた象徴的空間を地域に根付かせ、交流や創造を促す拠点として機能させることで持続的な価値創出につなげたい考えとみられる。人々が自然に集まり、関係性を築く場としての役割が期待されている。

同社にとっても万博事業は技術面での重要な経験と位置付けられる。国際的な舞台で培った施工技術や設計ノウハウを地域へ還元することで、自社の技術発展と地域振興の両立を目指す意図がうかがえる。産業技術学院を核として教育と産業、地域社会が交差する空間が形成されれば、人材育成や地域活性化への波及効果も見込まれる。

万博後の施設活用は全国的な課題の一つとされており、民間企業と自治体が連携して再活用を図る今回の取り組みは、その一例として注目を集める可能性がある。山口産業は万博の成果を地域で継承し、新たな価値創造の拠点として機能させることで、多久市から次世代に向けた展開を見据える動きとなりそうだ。


山口産業
https://www.yamasan-grp.co.jp/