2026年4月14日火曜日

「TECTURE AWARD 2025」グランプリは〈奄美大島の家〉に決定

建築・インテリア業界向けの空間デザインプラットフォームを運営するtectureは、主催する「TECTURE AWARD 2025」の受賞作品を決定し、その全容を特設サイトにて公開した。あわせて2026年3月31日には、本アワード初となる授賞式が都内で盛大に執り行われた。

2回目となった今回のアワードは、1,033作品という膨大な応募の中から、まず専門家で構成されたアンバサダーが「ロングリスト」を厳選。その後、約1ヶ月にわたり、一般ユーザーも参加可能な2段階の公開投票(1st Round/Final Round)が実施された。
特筆すべきは、その圧倒的なエンゲージメントの高さである。総投票人数は9,681人、総投票数は16,506票※を記録。業界関係者の評価に留まらず、社会全体の「共感」が受賞結果を左右する、まさに「開かれたアワード」としての側面を強く印象づける結果となった。
※1st RoundとFinal Roundともに複数作品に投票できる仕組み。

1st Roundを通過した28作品のファイナリストによる最終投票の結果、栄えあるグランプリには、酒井建築事務所の〈奄美大島の家〉が選ばれた。同作品は、その卓越したデザイン性と地域との調和が、専門家と一般投票者の双方から高く評価された形となった。
グランプリ受賞作品「奄美大島の家」▲

その他の主な受賞作品は以下の通り。
■ 建築部門
GOLD:〈報恩寺納骨堂〉/株式会社酒井建築事務所
SILVER:〈緑の家〉/青木真研究室
BRONZE:〈MIRU AMAMI〉/ADX
■ インテリア部門
GOLD:〈KURUTO〉/株式会社クル
SILVER:〈DAIKI〉/shirotokuro
BRONZE:〈Red Earth Clinic〉/AAAA
■ 特別賞(各テーマ最多得票作品)
TECH賞:〈The Warp〉/三菱地所設計
SUSTAINABLE賞:〈報恩寺納骨堂〉/株式会社酒井建築事務所
U-35賞:〈兜町に伝播する "黄色い" パブリックスペース『ki-ten』〉/parkERs

※全受賞作品は特設サイト(https://award.tecture.jp/)にて公開中。




tecture

2026年4月13日月曜日

【学校法人桑沢学園】新たな教育・文化拠点「BAU SHIBUYA」を開設

学校法人桑沢学園が運営する東京造形大学は、渋谷区神南に新たな教育・文化拠点「BAU SHIBUYA」を開設した。同法人が2022年に取得した新施設を活用し、社会に開かれた創造発信地として運営していく。
桑沢学園は、設立当初よりドイツの総合的造形芸術学校「バウハウス」の思想と実践に強い影響を受けており、東京造形大学の教育理念にもその精神が色濃く反映されている。多様な文化や流行が交差する渋谷という立地において、同思想を現代的に継承・発展させることを目的に、施設名を「BAU SHIBUYA」とした。
建物は地上4階、地下1階建ての鉄筋コンクリート造で、専門学校桑沢デザイン研究所の本校舎から徒歩1分という至近距離に位置している。1階および地下階には、展示やイベントを通じて創造的な活動を社会へ発信するスペースとして「Forum 1」「Forum BF」を設置。2階以上には、桑沢デザイン研究所の交流スペースや授業教室、テラスなどが配置され、学びと実践、発信の場が立体的に構成されている。

同施設では今後、さまざまな展覧会や企画を通じて、教育と社会を結ぶ取り組みを展開する予定だ。2026年5月からは、東京造形大学の創立60周年を記念した事業が開催され、「ゲシュタルトゥング企画」や「生きるキャンパス展 in 渋谷 ~ZOKEI 学びの環境とその広がり~」、「SILKSCREEN TRIAL 2026」などの企画展が順次実施される見込みとなっている。詳細については、今後、公式ウェブサイトを通じて案内される。




学校法人桑沢学園
https://www.kuwasawa.ac.jp/

2026年4月10日金曜日

ADFデザインアワード2026 審査結果発表

NPO青山デザインフォーラム(ADF)が主催する国際建築アワード「ADFデザインアワード2026」の審査結果が3月19日、発表された。世界の建築家を対象とした本アワードでは、最優秀賞に建築家・小池啓介氏(Thirdparty/K2YT)が選ばれたほか、優秀賞にはJeravej Hongsakul氏(IDIN Architects)およびJannis Renner氏(ATELIER BRUCKNER)の2名が選出された。

「ADFデザインアワード」は、建築・デザイン分野で国際的に活躍する著名人を審査員に迎え、総額2万ドルの賞金を設けた大規模なデザインアワードとして知られる。受賞者には、2026年4月21日から始まるミラノサローネ期間中に行われる授賞式への招待に加え、ミラノ建築家協会が主催するミラノ工科大学の卒業制作アワード、ならびにインテリアデザイン会社GARDEと連携した合同展示に参加する機会が用意されている。

最優秀賞に選ばれた小池啓介氏は、文化的建造物カテゴリーにおいて、宮崎県都城市に建つ眼科クリニック「都城こみぞ眼科」を手がけた。
1974年、神奈川県逗子市生まれの小池氏は、早稲田大学大学院修了後、建築家・古谷誠章氏が主宰するNASCAで実務経験を積み、2008年にK2YTを設立。2012年には大規模建築にも対応するためThirdpartyを共同設立した。現在は設計活動に加え、早稲田大学および武蔵野大学で非常勤講師を務めている。

受賞作となった「都城こみぞ眼科」は、医療施設における待ち時間を単なる受動的な時間と捉えず、患者が意味のある体験として過ごせる空間へと再解釈した点が高く評価された。建物は一体化した大きなボリュームを避け、天井高の異なる複数の屋根を分節する構成とすることで、公園のように開かれた空間と、親密で落ち着いた空間を併せ持つ。屋根の間に設けられた庭は柔らかな自然光を内部に導き、内外の境界を緩やかに溶かす役割を果たしている。廊下も単なる動線にとどまらず滞在の場として機能し、屋内外に点在する座席によって、利用者は自らの居場所を選びながら穏やかな時間を過ごすことができる。地域に開かれつつ、安心感と静かなプライバシーを両立させた医療空間である。
都城こみぞ眼科△

優秀賞の一つには、ホスピタリティカテゴリーでJeravej Hongsakul氏の「Harudot」が選ばれた。独立型カフェとして計画された「Harudot」は、「成長」と「新しい始まり」をテーマに、建築と自然の一体化を象徴的に表現する。著名なカフェブランドNana Coffee Roastersと、植物愛好家である敷地オーナーとの協働によって実現した本作は、単純化された切妻屋根をわずかに引き離す構成によって、その隙間から樹木が建築の内部へと成長する余地を生み出している。黒く焼いた木材による外装が落ち着いた外観を形づくる一方、内部では流れるような曲線と温かみのある木の色調が広がり、外観とは対照的な豊かな空間体験が展開されている。
Harudot△

もう一つの優秀賞には、2025年大阪・関西万博の「ウズベキスタン館」を手がけたJannis Renner氏が選ばれた。ウズベキスタン館「Garden of Knowledge:未来社会のためのラボラトリー」は、同国の変革を建築と展示、没入型ストーリーテリングによって紹介するパビリオンである。歴史的なキャラヴァンサライ(隊商宿)に着想を得た建築は、交流と学びの場としての空間を現代的に再構築している。屋上には、ヒヴァのジュマ・モスクの列柱ホールを想起させる木造構造のルーフトップガーデンを備え、内部ではサステナビリティやイノベーション、教育をテーマとした展示が360度のマルチメディア体験とともに展開される。会期後には再利用可能な構造としてヌクスへ移設され、子ども図書館の一部として再建される。
2025年大阪・関西万博 ウズベキスタン館△

審査では、造形や素材における美しさ、社会変化に応答するイノベーション、利用者や環境に対する有益性、地域性や文化性、時代性との調和といった観点が総合的に評価された。賞金は最優秀賞が3万ドル、優秀賞が各5,000ドルで、受賞作品はミラノサローネ期間中にフォーリサローネのADF会場で展示されるほか、ADFが運営するバーチャルミュージアムやギャラリーでの展示、PR支援などの副賞も用意されている。



ADF

2026年4月9日木曜日

難病者の社会参加をテーマにしたシンポジウム「『難病×はたらく』の未来をデザインする

 NPO法人両育わーるどと株式会社日建設計は、2026年4月7日(火)、インクルーシブデザインの実践拠点「PYNT竹橋」にて、難病者の社会参加をテーマにしたシンポジウム「『難病×はたらく』の未来をデザインする~ クリエイティブの力で“RDワーカー”の可能性を引き出す ~」を開催した。

ディスカッション「誰もが働きやすい職場・社会とは?をデザインから考える」には、日建設計より山梨知彦氏(日建設計チーフデザインオフィサー、シニア上席理事)、西 勇氏(日建設計インクルーシブデザイン研究チーム)が参加。RDワーカーを提唱する重光 喬之氏(NPO法人両育わーるど 理事長)、外崎 郁美氏(電通 クリエイティブ・ディレクター/コピーライター)とのディスカッションが行われた。

山梨氏は1回目の日本建築学会賞受賞後に発病、その後、新たな病気を発病し、病気と向き合うようになった。今回のイベントで自身がRDワーカーだと認識したとのこと。
山梨知彦氏、西 勇氏(左から)

ひとりひとりが何が出来るか、皆が働きやすくするためにどういう風なことができるかの問いに「多様性の時代と言われているが標準を設計するのではなく、個別解を数多く設計するかという時代になってきているのではないか。設計は将来ビジョンがあってそこに到達する予測するようなデザインの仕方だが、最近は状況を見て軌道修正することが大事になってきている。リノベーションすることで建築の魅力が増す。社会はそういう方向にきているのではないか。設計をして作って御仕舞でなく、建築が出来てから反省し、どうやって軌道修正をしていくかが重要になってきているのではないか。社会が健常者を含め、皆に合った設計をしていく時代でないか」と述べた。

会場には電通クリエイティブチームによるRDワーカーをテーマにした作品が展示され、各クリエイターより作品発表が行われた。

RDワーカーは“Rare Disease Worker”の略。Rare Diseaseは英語で「希少疾患」を指すが、RDワーカーにはIntractable Disease(難病)、Chronic Disease(慢性疾患)も含み、指定難病や難治性慢性疾患の人々を指す。RDワーカーとはそのような難病と共に働いている、働こうとしている人々の総称。

NPO法人両育わーるど:https://ryoiku.org/

【a.school】建築×探究学習の教材 こども建築塾向けに「探究ブック」2冊を発行

教育事業のa.schoolは、類設計室が運営する学習プログラム「こども建築塾」と協働し、子どもが建築の本質に触れながら探究を深める冊子教材「こども建築塾 探究ブック」2冊(各20ページ)を企画・制作したと発表した。建築の知識伝達にとどまらず、観察・発想・表現・制作へと学びをつなげる構成が特徴だ。
教材は、同塾の1年目カリキュラム(A日程・B日程)に対応。「建築の原点をつかむ」を統一テーマに掲げ、①建築の成り立ちと役割を基礎からたどる、②身近な建物や空間を観察し問いを立てる、③パースや図面、模型づくりなど実践的技法に踏み込み建築提案に挑む、④建築士や職人らのインタビュー、道具・技術の紹介、参考施設・書籍へと学びを広げる――の4本柱で組み立てた。随所にミニワークや探究ミッションを配置し、自主的な行動を促す。

背景には、建築業界における人材の偏在と若手育成の課題がある。こども建築塾は、類設計室の現役一級建築士らが講師を務め、模型制作、計測、かんな削り、彫刻、野外でのツリーハウス設計など、手と身体を使う体験を重視。インターンやコンペの機会も用意し、「プロの現場」に触れる学びを提供してきた。エイスクールは、そうした現場の知見を子ども向けの言葉と文脈に翻訳し、探究が自然に立ち上がる紙面設計に落とし込んだ。
エイスクールは探究・創造的学習の企画編集に強みを持ち、これまでに三井住友フィナンシャルグループの「森づくり自然塾」ワークブック、土屋鞄製造所の「ものづくりサマーキャンプ」教材、日本科学未来館と共同での教員向けガイドブックなどを手がけてきた。今回も、専門性を損なわずに「仕事」や「社会」の本質を学びへ接続する設計を志向したという。

関連イベントとして、4月6日(月)20時30分から、制作の狙いや進め方を解説するオンラインイベント「マナビのこれから〈第10回〉探究ブック制作の裏側」を開催する。事後視聴プランも用意する。詳細や申し込みはa.schoolのウェブサイトで受け付ける。

2026年4月8日水曜日

第35回村野藤吾賞は飯田 善彦 氏の「大熊町立 学び舎ゆめの森」に決定

 2026年3月3日(火)、古谷誠章、磯達雄、栗生明、竹原義二、田名網雅人の5名の選考委員により厳正に行なわれ、3月30日(月)に開催された村野藤吾記念会委員会において、飯田善彦 氏の設計した「大熊町立 学び舎ゆめの森」が第35回村野藤吾賞に決定した。

「大熊町立学び舎ゆめの森」は、認定こども園と義務教育学校を一体化した施設で、0歳から15歳までの子どもたちが共に遊び、学び合う場となっている。東日本大震災に伴う原発事故で全町避難となったが、2019(令和元)年の避難指示解除(大川原地区)を受け、復興のシンボルとして計画された。未曾有の災害を経験した町だからこそできる、どこにもない新しい公教育を目指している。

二等辺三角形グリッドの鉄骨造の躯体と、本棚や階段席などの機能を備えた木製什器を組み合わせ、吹き抜けた「図書ひろば」を囲んで多様な機能が配されている。新たな移住者も誘引し、当初30人弱であった園児・生徒数は開校後3年を経て100人を超えている。
原発事故による全町避難から少しずつ町民が戻りつつある中、学校づくりをまち復興の中心に据えて計画し、建築自体が住民を呼び戻す原動力となっていることが、建築の力を再認識させるという指摘や、建築化した家具による空間構成、子どもに程よい小さな空間の集まりなどが評価された。
「大熊町立 学び舎ゆめの森」
所在地 福島県双葉郡大熊町大川原南平2019-1
設計  飯田善彦+渡邉文隆/アーキシップスタジオ + 鈴木弘二/鈴木弘人設計事務所
施工  大成建設
敷地面積 33,170.44㎡
建築面積  7,732.78㎡
延床面積  7,917.60㎡
階数  地上2階
構造  鉄骨造
工期  2021(令和3)年12月〜2023(令和5)年7月
写真はいずれも 鈴木研一 撮影



村野藤吾記念会


2026年4月7日火曜日

【美術出版社】 建築で読み解く東京という都市—『TOKYO ARTRIP 建築 改訂版』刊行

東京を建築の視点から巡るガイドブック『TOKYO ARTRIP 建築 改訂版』が、2026年4月11日に美術出版社より発売される。
本書は、東京のアート&カルチャーを紹介してきた人気シリーズ「TOKYO ARTRIP」の一冊として位置づけられ、2018年刊行の建築編を全面的に見直し、再構成した改訂版となる。
都市を歩く体験を「建築」という切り口で編み直し、東京という巨大都市に内在する多層的な魅力を可視化する構成が特徴となっている。既存記事の刷新に加え、新たな建築スポットも収録され、時間の経過とともに変化し続ける都市の現在地を捉える内容へとアップデートされた。

専門的な知識を前提としない語り口で構成されており、建築に親しみのある読者はもちろん、これから建築に触れる層にとっても無理なく読み進められる編集となっている。ページをめくることで、東京の街並みや空気感を追体験できるよう、写真とテキストのバランスにも配慮されている点が印象的である。
『TOKYO ARTRIP 建築 改訂版』は、都市を旅するための実践的なガイドブックでありながら、読むことそのものが体験となる構成を志向している。
持ち歩きやすいハンディサイズを採用し、街歩きの最中にも参照しやすい設計である一方で、写真は大きく大胆に配置され、視覚的な満足度を確保。テキストは簡潔でありながら情報密度が高く、建築そのものだけでなく、建築が都市や文化とどのように関係してきたかを読み取れる内容となっている。日常の隙間時間に読むことでも、東京を建築的に旅する感覚を味わえる一冊といえる。
4組の専門家が選ぶ東京の建築
掲載される建築スポットは、4組のアドバイザーによる推薦をもとに構成されている。
建築史家の五十嵐太郎、訪日外国人向け建築ツアーを手がける「Showcase Tokyo」、書籍『TOKYOインテリアツアー』の著者である浅子佳英と安藤僚子、そしてレトロ建築に造詣の深い作家・木村衣有子といった多様な視点が交差する構成となっている。
名建築家による代表作、ブランドの世界観を体現した商業建築、昭和期のレトロ建築まで幅広く取り上げられており、東京という都市が内包する多様性が浮かび上がるラインナップ。

「1冊1テーマ」が生む心地よい深度
『TOKYO ARTRIP』シリーズは、「1冊1テーマ」を編集方針として掲げている。
情報を網羅的に詰め込むのではなく、テーマを建築に限定することで、都市の見方を明確に提示し、読者との距離感を適切に保ち、深すぎず、軽すぎない情報量が特徴で、建築を専門的に学ぶ読者にも、街歩きの延長で建築に触れたい読者にも対応する構成となっている。
本文はすべて日本語と英語の併記となっており、訪日外国人に向けたアーキテクチャーガイドとしても機能し、東京を初めて知るための一冊として、また土産やギフトとしても選びやすい内容に仕上げられている。


書籍概要
書名:『TOKYO ARTRIP 建築 改訂版』
発行:カルチュア・コンビニエンス・クラブ
発売:美術出版社
発売日:2026年4月11日
価格:2,000円+税
仕様:128ページ/A5変型/並製/カバー・帯付き
ISBN:978-4-568-10599-5


美術出版社
https://bijutsu.press/