2026年4月8日水曜日

第35回村野藤吾賞は飯田 善彦 氏の「大熊町立 学び舎ゆめの森」に決定

 2026年3月3日(火)、古谷誠章、磯達雄、栗生明、竹原義二、田名網雅人の5名の選考委員により厳正に行なわれ、3月30日(月)に開催された村野藤吾記念会委員会において、飯田善彦 氏の設計した「大熊町立 学び舎ゆめの森」が第35回村野藤吾賞に決定した。

「大熊町立学び舎ゆめの森」は、認定こども園と義務教育学校を一体化した施設で、0歳から15歳までの子どもたちが共に遊び、学び合う場となっている。東日本大震災に伴う原発事故で全町避難となったが、2019(令和元)年の避難指示解除(大川原地区)を受け、復興のシンボルとして計画された。未曾有の災害を経験した町だからこそできる、どこにもない新しい公教育を目指している。

二等辺三角形グリッドの鉄骨造の躯体と、本棚や階段席などの機能を備えた木製什器を組み合わせ、吹き抜けた「図書ひろば」を囲んで多様な機能が配されている。新たな移住者も誘引し、当初30人弱であった園児・生徒数は開校後3年を経て100人を超えている。
原発事故による全町避難から少しずつ町民が戻りつつある中、学校づくりをまち復興の中心に据えて計画し、建築自体が住民を呼び戻す原動力となっていることが、建築の力を再認識させるという指摘や、建築化した家具による空間構成、子どもに程よい小さな空間の集まりなどが評価された。
「大熊町立 学び舎ゆめの森」
所在地 福島県双葉郡大熊町大川原南平2019-1
設計  飯田善彦+渡邉文隆/アーキシップスタジオ + 鈴木弘二/鈴木弘人設計事務所
施工  大成建設
敷地面積 33,170.44㎡
建築面積  7,732.78㎡
延床面積  7,917.60㎡
階数  地上2階
構造  鉄骨造
工期  2021(令和3)年12月〜2023(令和5)年7月
写真はいずれも 鈴木研一 撮影



村野藤吾記念会


2026年4月7日火曜日

【美術出版社】 建築で読み解く東京という都市—『TOKYO ARTRIP 建築 改訂版』刊行

東京を建築の視点から巡るガイドブック『TOKYO ARTRIP 建築 改訂版』が、2026年4月11日に美術出版社より発売される。
本書は、東京のアート&カルチャーを紹介してきた人気シリーズ「TOKYO ARTRIP」の一冊として位置づけられ、2018年刊行の建築編を全面的に見直し、再構成した改訂版となる。
都市を歩く体験を「建築」という切り口で編み直し、東京という巨大都市に内在する多層的な魅力を可視化する構成が特徴となっている。既存記事の刷新に加え、新たな建築スポットも収録され、時間の経過とともに変化し続ける都市の現在地を捉える内容へとアップデートされた。

専門的な知識を前提としない語り口で構成されており、建築に親しみのある読者はもちろん、これから建築に触れる層にとっても無理なく読み進められる編集となっている。ページをめくることで、東京の街並みや空気感を追体験できるよう、写真とテキストのバランスにも配慮されている点が印象的である。
『TOKYO ARTRIP 建築 改訂版』は、都市を旅するための実践的なガイドブックでありながら、読むことそのものが体験となる構成を志向している。
持ち歩きやすいハンディサイズを採用し、街歩きの最中にも参照しやすい設計である一方で、写真は大きく大胆に配置され、視覚的な満足度を確保。テキストは簡潔でありながら情報密度が高く、建築そのものだけでなく、建築が都市や文化とどのように関係してきたかを読み取れる内容となっている。日常の隙間時間に読むことでも、東京を建築的に旅する感覚を味わえる一冊といえる。
4組の専門家が選ぶ東京の建築
掲載される建築スポットは、4組のアドバイザーによる推薦をもとに構成されている。
建築史家の五十嵐太郎、訪日外国人向け建築ツアーを手がける「Showcase Tokyo」、書籍『TOKYOインテリアツアー』の著者である浅子佳英と安藤僚子、そしてレトロ建築に造詣の深い作家・木村衣有子といった多様な視点が交差する構成となっている。
名建築家による代表作、ブランドの世界観を体現した商業建築、昭和期のレトロ建築まで幅広く取り上げられており、東京という都市が内包する多様性が浮かび上がるラインナップ。

「1冊1テーマ」が生む心地よい深度
『TOKYO ARTRIP』シリーズは、「1冊1テーマ」を編集方針として掲げている。
情報を網羅的に詰め込むのではなく、テーマを建築に限定することで、都市の見方を明確に提示し、読者との距離感を適切に保ち、深すぎず、軽すぎない情報量が特徴で、建築を専門的に学ぶ読者にも、街歩きの延長で建築に触れたい読者にも対応する構成となっている。
本文はすべて日本語と英語の併記となっており、訪日外国人に向けたアーキテクチャーガイドとしても機能し、東京を初めて知るための一冊として、また土産やギフトとしても選びやすい内容に仕上げられている。


書籍概要
書名:『TOKYO ARTRIP 建築 改訂版』
発行:カルチュア・コンビニエンス・クラブ
発売:美術出版社
発売日:2026年4月11日
価格:2,000円+税
仕様:128ページ/A5変型/並製/カバー・帯付き
ISBN:978-4-568-10599-5


美術出版社
https://bijutsu.press/

2026年4月6日月曜日

多摩美術大学 上野毛キャンパス新棟内覧会実施

3月30日(月)に多摩美術大学 上野毛キャンパス新棟内覧会が行われ、各フロアを回るツアー形式で開催された。



参考記事:多摩美術大学 上野毛キャンパスに新棟(本部棟・講堂)が竣工


特殊塗料を使った壁3面に映像を映す地下展示フロア

地下1階には、壁一面に映像を映すことのできるような設備を配置。
授業にも使用しながら、学生の展示も今後利用できるように考えられており、
学生の間ながらにも室内の壁3面に壮大に映像を映すことができるのは、貴重な経験になるといえる。
屋内において映像をきれいに映すことができるようにグレーの特殊な塗料を使用されている。




統合デザイン学科大学院設立

4階には、今年度より新たに設立された大学院の統合デザイン専攻の学生が実際に企業と共同で利用することができるように5つのセキュリティも万全なミーティングルームを設置。
プロジェクトルームとしても使用できるようになっている。
このフロアは、新棟の2階から5階の中では、一番階高を高く作られており、広々とした空間となっている。

ミーティングルーム

深澤副学長は、このフロアと大学院について「統合デザイン学科は大学の学部にある中でよりそこからブラッシュアップしていこうということで、今年度より新たに大学院での学科を設立いたしました。
ミーティングルームは企業の方にも使っていただき、企業とプロジェクトごと入っていただく仕組みににすることで学生の勉強にも経験を積む場にもなり、結果を出せる場として非常にタイミングが良く作っていただくことができた。」とコメントされた。

深澤直人副学長

環状八号線沿いに残されたヒマラヤスギ

上野毛キャンパスは、環状八号線沿いに面しているが、そこにヒマラヤスギの木が建て替えられる前から残されていた。
一つのシンボルとして残したいという思いから倒木の恐れがないように建物に結び付ける形で残されている。






北川交差点より新棟外観(奥)・講堂(手前)

敷地内よりガレリア

1F ギャラリー


講堂

講堂の天窓は日の光を取り入れられるように設計されており開閉が可能
講堂外観

5階バルコニー

5F共有空間

敷地内より本部棟外観

 敷地内より本部棟外観

外部階段

外部階段




多摩美術大学上野毛キャンパス(本部棟・講堂)模型


2026年4月3日金曜日

【中村キース・ヘリング美術館】建築家・北川原温氏特別イベントを開催

中村キース・ヘリング美術館は、同館の設計を手がけた建築家・北川原温氏による展覧会「北川原温 時間と空間の星座」の閉幕を前に、建築と展示をより深く体験できる特別イベントを、4月にかけて開催する。同美術館の開館記念日にあたる4月27日を中心に、建築家本人の解説による一般非公開建築の特別ツアーや、約40年に及ぶ創作活動を振り返るギャラリートークなどが企画されている。
同展は、北川原氏の建築思想を「星」、建築作品群を「星座」に見立て、2007年に開館した同美術館を核に、その方法論や生成過程を読み解く内容となっている。展示後半では、設立者である中村和男氏との出会いを起点に、美術館完成に至るまでの対話や試行錯誤の過程を、ドローイングや模型、建築家自身の言葉によって紹介している。会期は2025年6月から2026年5月17日までと長期にわたり、その総括として今回の特別企画が位置付けられている。

最大の見どころとなるのが、4月12日に実施される「建築家・北川原温と巡る『一般非公開建築』特別ツアー&トーク」である。中村キース・ヘリング美術館を中心に、周囲の森に点在する《スパ・キーフォレスト》《ホテルキーフォレスト北杜》《ヴィラ・キーフォレスト》といった建築群を、北川原氏自らの案内で巡る内容で、通常は宿泊者以外立ち入ることのできない建築を含む。八ヶ岳の自然や縄文文化から着想を得たこれらの建築について、設計意図や空間構成を直接聞くことができる貴重な機会となる。定員は約15人で、予約優先。参加費は無料だが、当日の美術館入館券が必要となる。

続いて4月26日には、北川原氏によるギャラリートーク「『時間と空間の星座』展から紐解く40年の軌跡」を開催する。1978年竣工の《ナジャの家》から、1980年代の《ライズ》、1990年代の《アリア》、さらには《ミラノ国際博覧会2015日本館》に至るまで、代表作の模型やドローイングを前に、自身の建築家としての歩みを語る。2025年には北川原温建築都市研究所を株式会社METへ改組し、新たな立場に就いた同氏が、これまでの活動と現在の視点を来館者と共有する場となる。事前予約は不要で、参加費は無料(入館券別途)。



また、4月12日、19日、26日、27日の4日間には、展覧会をより深く理解するための解説リーフレットを来館者に無料配布する。建築を「星」、それらを結びつける構想を「星座」として整理した図版をもとに、代表作を10項目で解説する内容で、展示室内の模型やテキストを読み解く手助けとなる。配布数には限りがあり、チケット購入者が対象。15歳以下の来館者にはジュニア向けガイドも用意されている。


中村キース・ヘリング美術館
https://www.nakamura-haring.com/exhibition/13607 

2026年4月2日木曜日

【NOT A HOTEL】BIGが日本で初めて完成させた建築作品「NOT A HOTEL SETOUCHI」が4月1日に開業

 世界的建築家ビャルケ・インゲルス率いる建築設計事務所BIG(Bjarke Ingels Group)が日本で初めて完成させた建築作品「NOT A HOTEL SETOUCHI」が、4月1日、瀬戸内海に浮かぶ広島県三原市の佐木島で開業した。開発・運営を手がけるNOT A HOTEL株式会社によると、本施設は単なる高級別荘にとどまらず、建築、自然、移動、食、体験を一体として設計することで、オーナーの滞在価値を立体的に拡張する拠点となることを目指している。

「NOT A HOTEL SETOUCHI」は、穏やかな海と多島美が広がる瀬戸内海の風景に着想を得て計画され、敷地内には視界の広がりをテーマにした三つのヴィラ「180」「270」「360」が配置された。佐木島の岬や丘陵の地形と呼応するように設計されたこれらの建築は、それぞれ異なる角度から風景を切り取り、円形を基調とした構成によって自然と建築が溶け合う空間体験を生み出している。設計には、日本の平屋建築や障子、畳の思想を現代的に再解釈した要素を取り入れると同時に、現地の土を用いたラムドアースの壁など、土地の風土を感じさせる素材も積極的に用いられた。

施設では滞在そのものを物語として設計する考え方のもと、島へ向かう移動時間も体験の一部と位置づけている。広島本土側には出航前に利用できる専用ラウンジ「NOT A HOTEL CLUB HOUSE SETOUCHI」を整備し、そこから専用クルーザーやヘリコプターで島へアクセスする仕組みを用意。到着後はヴィラ滞在に加え、海に開かれたプライベートビーチやレストランを通じて、陸と海が緩やかにつながる時間を演出する。
食の体験にも力を入れており、瀬戸内の食材を生かしたプライベートディナーや鉄板焼き、ビーチに面したレストランでの食事、滞在スタイルに合わせたミールキットなど、多様な選択肢を整えた。さらに、プライベートクルーズやシーカヤック、SUPといった海のアクティビティに加え、周辺地域の工房や寺院、アートの島々を巡る体験プログラムも用意し、瀬戸内という土地の魅力を多層的に味わえる滞在を提案している。

BIG創業者のビャルケ・インゲルス氏は、「日本で初めて完成した本プロジェクトは、自身の建築観に大きな影響を与えてきた日本文化と真正面から向き合う機会だった」とコメントし、伝統と現代、内向性と開放性といった相反する要素を統合した“ホスピタブル”な建築を目指したと語っている。アートや建築の発信地として存在感を高める瀬戸内に、新たな象徴的建築が誕生した形だ。




NOT A HOTEL
https://notahotel.com/

2026年4月1日水曜日

【リベラルアーツ協会】伊東豊雄氏監修、子ども建築模型展をミラノ・サローネ2026で開催

一般社団法人DESIGN ASSOCIATION リベラルアーツ協会は、世界最大級のデザインイベント「ミラノ・サローネ(Salone del Mobile.Milano)」の会期中に、建築家・伊東豊雄氏の総合監修による「国際子ども建築模型展—One Earth こころの家」を開催すると発表した。
本展は、日本、イタリア、ポルトガル、フィンランド、スウェーデンの5カ国から、約100人の子どもたちが参加し、「こころの家」をテーマに制作した建築模型を展示する国際的な教育・文化プロジェクト。展示空間では各国の児童作品が連結され、象徴的なランドスケープ「PEACE ISLAND(平和の島)」を形成するというもの。

プロジェクトの原点は、伊東氏が2011年に東京・恵比寿で始めた「伊東豊雄 子ども建築塾」にある。DESIGN ASSOCIATIONはその理念を受け継ぎ、これまで弘前、愛媛、札幌、東京・青山などでワークショップを開催。今回の「One Earth - こころの家」は、その活動を国際的に拡張した位置づけとなる。
日本では2月21日から23日にかけて、東京大学本郷キャンパスでワークショップを実施。全国から公募で選ばれた小学5・6年生20人が参加し、千葉学・東京大学教授らの指導のもと模型制作に取り組んだ。最終日には参加児童が伊東氏に直接プレゼンテーションを行った。

子どもたちは各国の大学生(ティーチングアシスタント)とペアを組み、建築家や教授陣の指導を受けて作品を制作。参加大学は、東京大学(日本)、Politecnico di Milano(イタリア)、ESAD Arte & Design(ポルトガル)、Umeå School of Architecture(スウェーデン)、Aalto University(フィンランド)の5校。

参加建築家
会場では、子どもたちの集合作品「PEACE ISLAND」を囲むかたちで、6組の建築家による同テーマの模型も展示される。参加は、伊東豊雄、妹島和世、千葉学、藤本壮介、クラインダイサムアーキテクツ、大西麻貴+百田有希(o+h)。

開催概要
名称:国際子ども建築模型展
テーマ:One Earth - こころの家
会期:2026年4月21日(火)~26日(日)
会場:Superstudio(Via Tortona, 27, 20144 Milano MI, Italy)
参加国:日本、イタリア、ポルトガル、フィンランド、スウェーデン
展示:子ども建築模型 約100作品
総合監修:伊東豊雄
企画・会場構成:川崎健二(クリエイティブディレクター)
主催:一般社団法人DESIGN ASSOCIATION リベラルアーツ協会
後援:外務省
協賛・寄付:エイブル&パートナーズ、佐藤茂、JT、TDW、ローソン、ベネッセコーポレーション、アジア経営研究機構、大林組、鹿島建設、清水建設、竹中工務店、森浩生、川崎健二



一般社団法人DESIGN ASSOCIATION リベラルアーツ協会

2026年3月31日火曜日

架空のミュージアム[MINA/ミーナ]4月1日オープン

東急株式会社は現代美術ユニット L PACK.(エルパック)と協働し、カフェを中心にアーティストの展覧会、作品販売・コレクション等、様々な活動を展開する場として、架空のミュージアム[MINA/ミーナ]を4月より渋谷にオープンする。

MINAはカフェを併設。日常使いのカフェとして、また、展示会ごとに限定メニューを楽しめる場となっている。

MINAではL PACK.のキュレーションのもと、ラーニングプログラムや季刊誌「COFFEE TABLE BOOK」とも連動しながら季節ごとの内覧会を開催する。


MINA/ミーナ:https://mina-shibuya.org/