2026年5月15日金曜日

グッドデザイン賞 公式年鑑『GOOD DESIGN AWARD 2025』、初の二巻構成で刊行

公益財団法人日本デザイン振興会(以下:JDP)は、「2025年度グッドデザイン賞」の受賞作1,619点を収録した最新の受賞年鑑『GOOD DESIGN AWARD 2025』を発刊し、5月11日に株式会社宣伝会議より販売を開始した。

本書はグッドデザイン賞年鑑として初めて二巻構成。グッドデザイン・ベスト100とその中から決定した「グッドデザイン大賞」をはじめとする特別賞各賞の受賞作をより詳しく紹介するとともに、新たに1,619点すべての受賞作の評価ポイントを掲載することで、各分野の最新の受賞デザインを詳しく伝えている。

なお、グッドデザイン・ベスト100と特別賞各賞を収録した巻は『GOOD DESIGN AWARD 2025 Special Awards and Best 100』として、単体1冊でも販売される。

本書の主な特徴:

・2025年度に国内外の企業やデザイナーなどから応募された製品、建築、サービス、プロジェクトなど多様な領域の受賞作1,619件を紹介。

・最高賞であるグッドデザイン大賞(DLT木造仮設住宅/受賞者:坂茂建築設計+株式会社家元+株式会社長谷川萬治商店)1点とグッドデザイン金賞19点は、担当デザイナーなどへのインタビュー記事20本を収録。

・受賞作の担当デザイナー名などを掲載。

・新たにすべての受賞作の評価ポイントを掲載。

・長年にわたり支持され続けるデザインを対象とする「ロングライフデザイン賞」と、若年層のデザインチャレンジに贈られる「ニューホープ賞」の受賞作も掲載。

・「フォーカス・イシュー」提言を新たに収録

・“日本のグッドデザイン賞”を表現したブックデザイン

本書の仕様:

GOOD DESIGN AWARD 2025

ISBN978-4-88335-655-3 定価:22,000円(税込)

A4判 並製 242ページ+876ページ(2巻1組/専用ケース入り)

https://amzn.to/4mLCIwQ

GOOD DESIGN AWARD 2025 Special Awards and Best 100

ISBN978-4-88335-650-8 定価:4,180円(税込)

A4判 並製 242ページ

https://amzn.to/41NalVy

ブックデザイン:株式会社サン・アド 

発行所:公益財団法人日本デザイン振興会

発売所:株式会社宣伝会議

【プロダクトデザイン研究所】名作椅子を巡る都市回遊型のデザイン展「名作椅子のエクスペディション」を福岡で実施

福岡の街を舞台に、名作椅子を巡る都市回遊型のデザイン展が開催される。一般社団法人プロダクトデザイン研究所は、「名作椅子のエクスペディション」を5月15日から31日まで福岡市内で実施する。本展は、福岡を拠点に活動したインテリアデザイナーであり、世界的にも稀有なコレクターとして知られる永井敬二氏のコレクションをもとに企画された。永井氏は半世紀以上にわたり、約2万5000点にも及ぶデザインプロダクトを収集してきた人物で、今回はその膨大なコレクションの中から「椅子」に焦点を当てる。
展示は天神エリアを中心に、市内20カ所で展開される。
ONE FUKUOKA BLDG.をメイン会場に、カッシーナ・イクスシー、六本松蔦屋書店、九州大学大橋キャンパス、太宰府天満宮、福岡県立美術館など、商業施設や文化施設、公共空間が会場となり、各所に名作椅子1脚ずつが期間限定で設置される。

特徴は、特定の会場に集約する形式ではなく、街全体を会場と見立てた点にある。主催者は本展を「Chair Expedition(椅子をさがす探検)」と位置づけ、来場者が福岡の街を歩きながら椅子を探し、偶然の出会いや発見を通じてデザインを体感する新しい鑑賞体験を提案する。

また、会期中は関連イベントも行われる。展示会場を巡ってシールを集めるスタンプシールラリーでは、特典や抽選券が用意され、抽選でカッシーナ・イクスシー提供の名作椅子が当たる企画も実施される。また、アーカイブホテル「BUNSHODO HOTEL」では、永井敬二コレクションに関連する家具や資料、書籍を客室内に展示する特別企画を展開。期間中の宿泊者向けに割引キャンペーンも予定されている。

入場は無料(一部会場を除く)。デザインプロダクトを「見る」だけでなく、「探し」「出会う」行為そのものを通じて、都市とデザインの関係を問い直す試みとして注目される。




名作椅子のエクスペディション特設サイト

2026年5月14日木曜日

【ベントレーモータース】ベントレーホーム新作家具コレクションを発表

ベントレーモーターズは2026年4月21日(英国現地時間)、ミラノデザインウィーク2026の会場で公開された「ベントレーホーム」の新作家具コレクションを発表した。素材の質感や快適性、クラフツマンシップへの新たなフォーカスを通じてブランドのデザイン言語を進化させると同時に、同社が長年培ってきたラグジュアリーの哲学を住空間へと拡張する試みとなっている。洗練された素材選定とその表現の深化、さらにはサステナビリティへの関心の高まりを背景に、コレクションはテーブルやソファ、アームチェア、トランクといった幅広いアイテムで構成される。いずれもイタリアの職人技の伝統に根ざしたもので、ベントレーホームが掲げるグローバルなデザインアイデンティティの新たな方向性を示す内容だ。
コレクションの中核を成すのは、環境負荷の低減を意識しながらも、奥行きや豊かさを損なわない仕上げにある。天然樹脂と、手作業でブラッシングされたシェラックラッカーを重ねることで、光と表面が繊細に呼応する表情を生み出した。その佇まいは装飾性に依存することなく、静謐で洗練された印象を湛え、視覚的な華やかさよりも持続性を重んじる建築的な美意識を体現している。
テキスタイルもまた重要な要素の一つだ。地元で調達された天然繊維を用い、ウールやアルパカ、コットン、リネン、モヘアベルベットジャカードなどを採用。控えめでありながら奥行きのある快適性をもたらし、触覚を通じて空間への没入感を高める設計となっている。時間とともに風合いと個性を深めていく素材のあり方を肯定し、変化を受け入れる姿勢が全体を貫いており、カルロ・コロンボ氏やフェデリコ・ペリ氏といった長年のパートナーであるデザイナーと、ベントレーモーターズのデザインチームとの協働によって生み出された。建築的な明快さと柔らかさを併せ持ち、統一感の中に豊かなニュアンスを備えた構成が特徴となっている。
発表に際し、ベントレーモーターズのライフスタイルデザイン責任者であるベン・ソルトマー氏は、「クルマと家具に通底する原則を融合させ、快適性と素材の質感をさらに深化させた。美しく機能するだけでなく、時を経るごとに魅力を増す素材を採用している」とコメントし、サステナビリティと持続性が不可分であるとの認識を示した。また、ラグジュアリー・リビング・グループのクリエイティブディレクター、モニーク・ザッパラ氏は、本コレクションを「ベントレーホームの進化を象徴する取り組み」と位置づけ、長期的な価値を重視するインテリアへの需要の高まりに応えるものだと述べている。





ベントレーモータースジャパン

2026年5月13日水曜日

【デュラビット】バスルームコレクションBalcoonにカウンター一体型洗面ボウルを追加

 ドイツを代表するデザイナーズバスルームブランド「デュラビット(Duravit)」は世界的デザイナー、パトリシア・ウルキオラが手がけるバスルームコレクション「Balcoon」に、カウンター一体型洗面ボウルを新たに追加した。洗面空間における造形と機能の関係を再定義する試みとして注目される。

Balcoonは、異なる高さや形状を組み合わせる構成によって、空間に開放感と奥行きをもたらすコレクションとして展開されてきた。今回登場した新しい洗面ボウルは、セラミック製の直方体フォルムにボウルをシームレスに一体化したモノリシックなデザインが特徴だ。フラットなカウンターからボウルへと連続する滑らかなラインと、オーバル形状で立ち上がる繊細なリムが外形を引き締め、控えめでありながら洗練された印象を生み出している。十分な広さを確保したカウンタースペースは、機能性にとどまらず、洗面台そのものを一つの建築的要素として際立たせる。過度な装飾に頼らない造形は、現代の住空間に自然に溶け込みつつ、長く使われることを前提としたタイムレスな佇まいを備えている。

製品は、幅600ミリ、800ミリ、1000ミリに加え、ダブルボウル仕様の1300ミリの全4サイズを展開。カラーはホワイト、マットホワイト、テラコッタ調のクレイテラマットの3色が用意され、ナチュラルからモダンまで幅広い空間演出に対応する。Balcoonシリーズは、洗面ボウルとファニチャーを一体として捉えた設計も特徴の一つだ。精緻な造形の洗面ボウルと多様なキャビネット構成が調和し、統一感のある洗面空間を構成する。ホワイトやアースブラウン、アンスラサイトといった落ち着いた色調のバリエーションにより、さまざまなインテリアとの組み合わせが可能となっている。さらに、水栓もクローム、ブラッシュドステンレス、マットブラックの3種をラインアップし、空間全体の完成度を高めている。

上質な仕上げと耐久性の高い素材を用いながらも、中価格帯を実現している点もBalcoonの特徴だ。住宅用途からハイエンドなプロジェクトまで、幅広いシーンでの採用を想定し、ウルキオラの美学をより多様な空間へと広げる狙いがある。



デュラビット・ジャパン
www.duravit.co.jp


2026年5月12日火曜日

【YKK AP】エクステリア商品シリーズ「オルフェス」第一弾「オルフェス ポストユニット」を発売

YKK AP株式会社は、住宅のファサードをシンプルに演出するエクステリア商品シリーズ「オルフェス(allFACE)」を新たに立ち上げ、その第一弾として郵便ポストと宅配ボックスを一体化した機能ポール「オルフェス ポストユニット」を、2026年6月1日に発売する。
「オルフェス」は、住宅の“顔”となる外観デザインに着目したシリーズで、水平・垂直基調のシンプルな造形と、余計な装飾を抑えた洗練されたディテールを特長とする。どの角度から見ても美しく整ったファサードを実現することをコンセプトに掲げ、建物全体と調和するエクステリアの提案を行う。
背景には、近年の新築住宅に見られるフラットで直線的な外観デザインの広がりがある。こうした住宅では、カーポートや機能ポールといった外構アイテムも建物の一部として視認されるため、エクステリアのデザイン性がこれまで以上に重視されつつある。YKK APはこうした市場動向を踏まえ、住宅と一体となって外観を形づくる商品シリーズとして「オルフェス」を設定した。

シリーズ第1弾となる「オルフェス ポストユニット」は、表札・インターホン、郵便ポスト、宅配ボックス、照明といったエントランスに必要な機能を一本のポールに集約した製品だ。省スペース化や外観の統一感に加え、使い勝手や防犯性の向上といったメリットを備えている。オープン外構の増加や宅配需要の高まりを背景に、住宅の利便性とデザイン性を両立させたいというニーズに応える商品として開発された。
デザインは、幅150ミリ、高さ1500ミリという建築モジュールに基づいたスリムなプロポーションを採用。水平・垂直ラインを強調したスクエアなフォルムにより、住宅や外構と自然に調和する佇まいを実現している。また、360度どの方向から見てもフラットで整った形状とし、敷地条件に応じて側面を正面に向けて設置することも可能とするなど、配置の自由度にも配慮した。

機能面では、郵便ポストと宅配ボックスに「二重扉構造」を採用し、外扉で操作部を覆うことで、荷物の受け取り状況が外部から見えにくくなり、防犯性を高めている。宅配ボックスは、小型荷物を想定した80サイズまで対応し、ネットショッピングの利用増加にも応える設計となっている。
カラーは、住宅外観に取り入れやすいブラック、ダークグレー、ライトグレーの3色が用意され、マットな質感の粉体塗装により、高級感と耐久性を両立させており、玄関ドアやカーポートなど、YKK APの他商品とのコーディネートを意識した色調設定も特徴。
さらに、シンプルな造形に調和する照明一体型の表札も新たにラインアップすることで、夜間の視認性を高めると同時に、不審者の侵入抑止にもつながるとして、防犯意識の高まりに対応する。

YKK APでは今後、「オルフェス」シリーズを住宅のエントランスを中心としたエクステリア商品へと順次拡充していく方針だ。デザイン性と機能性を兼ね備えた商品展開を通じて、暮らしの質を高める住まいづくりへの貢献を目指すとしている。





YKK AP




2026年5月11日月曜日

【エクスナレッジ】文化遺産を「体験する」視点を提示する一冊『異世界図鑑』刊行

エクスナレッジは文化遺産の新たな体験価値を提案する書籍『異世界図鑑』を出版した。NPO法人J-heritageの代表を務める前畑洋平によって、産業遺産や廃墟が持つ圧倒的な景観を通して、文化遺産を「見るもの」から「体験するもの」へと再定義する内容となっている。 
これまで文化遺産は、保存や学習の対象として整備され、価値が伝えられてきた。一方で、過度に整えられた空間では得がたい没入感が存在するのも事実だ。前畑氏は、産業遺産や廃墟が醸し出す非日常的な景色こそが、人を過去へと旅させる装置になり得るのではないかという問いを出発点に、本書を構想した。そこでは、時間の痕跡を色濃く残す空間そのものが、文化遺産の価値を体感させる媒介として位置づけられている。

 本書に収録されているのは、日本各地に実在する産業遺産や廃墟など全45件。巨大な構造物、崩壊の途上にある建築、自然と溶け合うように存在する景観など、長い時間の堆積が可視化された空間が紹介されている。これらは単なる記録写真ではなく、訪れる者に異世界に迷い込んだかのような感覚を呼び起こし、過去と現在を往還する体験をもたらすものだという。大阪市の安治川トンネルや、横浜市の根岸競馬場一等馬見所など、かつての社会や産業を支えた場所は、役割を終えた後もなお、独特の存在感を放ち続けている。本書は、そうした風景に宿る価値を掘り起こし、文化遺産を巡る新たな観光や体験のあり方を提示する。
前畑氏の取り組みが重視するのは、観光の軸足を「知識の提供」から「没入体験」へと移す視点である。文化遺産は保存だけでなく活用と一体で考えられるべきであり、現地に足を運ぶことで初めて立ち上がる価値があるとする考え方が、本書全体を貫いている。『異世界図鑑』は、こうした思想を社会に広く共有するための媒介でもある。

書籍で紹介される“異世界の風景”は、いずれも実在する場所だ。読者がページをめくり、やがて現地を訪れ、空間に身を置くことで過去を体感する――その行動のきっかけとなることも、本書の狙いの一つとされている。




エクスナレッジ

2026年5月8日金曜日

松竹によるアートスペース「SHUTL(シャトル)」2026年7月に空間リニューアル決定

 松竹が運営するアートスペース「SHUTL(シャトル)」(東京都中央区築地)が、2026年7月に空間リニューアルを行うことが決まった。設計・デザインを手がけるのは、近年注目を集める若手建築家、板坂留五(RUI Architects)。同スペースが掲げる「伝統と現代を接続し、『未来のオーセンティック』を生み出す実験場(ラボ)」という理念を、より立体的に体現する場へと更新される。

SHUTLは、演劇や映像、現代美術など多様な表現を横断する拠点として、松竹が立ち上げた実験的なアートスペースだ。今回のリニューアルでは、メタボリズム思想の文脈を引き継ぎつつ、空間が常に変化し続けるための新たな仕組みを取り入れる。フラットで中立的だった従来の空間に、より柔軟で時間性を孕んだ構造を加えることで、展示やイベントの在り方そのものを問い直す。
左:板坂留五(Photo:Nanako Ono) 
右:板坂 留五(RUI Architects)によるコンセプトスケッチ

設計を担う板坂留五は1993年生まれ。建築設計を軸に、展覧会の会場構成やプロダクトデザインなど、領域を横断した活動で知られる。住宅作品「半麦ハット」(西澤徹夫との共同設計)をはじめ、「DESIGNTIDE TOKYO 2024」の会場構成や、WHAT MUSEUMでの展示「波板と珊瑚礁 ─ 建築を遠くに投げる八の実践」など、建築と表現の境界を探る仕事を重ねてきた。

板坂の特徴は、情報や要素、時間や人の営みといった複層的な文脈を丁寧に読み解き、空間に落とし込む柔らかなアプローチにある。今回のリニューアルでは、展示やイベントに応じて配置を変えられるモジュール型の什器を導入。自由度の高い構成でありながら、時に制約ともなり得る仕組みが、作家と空間の対話を促すことを狙う。対象は表現者に限らず、作品そのものや鑑賞者、さらには周辺環境や時間の移ろいまでを含む。
板坂はコンセプトとして、「いつもってなんだっけ?」という問いを掲げる。「常に変わり続ける」ことによって場所やモノの価値を測るとき、その基準となる“いつも”とは何なのか。見過ごされがちなものに気づき、受動的に表現を消費するだけでは得られない喜びを生み出す場を目指すという。昼夜や季節、一年の時間軸の中で、空間が生き生きと変化し続ける状態を構想している。

SHUTLは今回のリニューアルを通じ、展示のための受動的な箱から、表現を引き出し、関係性を育む「持続可能でアクティブなギャラリー空間」へと進化を遂げると位置づける。工事は5月下旬に着工予定で、その期間は一時休館となる。6月中旬には空間の全容とリニューアルオープン記念展示の内容を発表し、7月下旬に新装オープンを迎える予定だ。1895年(明治28年)創業の松竹は、演劇や映画を軸に日本の文化産業を牽引してきた企業であり、SHUTLはその歴史を背景に、次世代の表現や創作のあり方を探る拠点の一つとなっている。伝統と現代、建築と表現のあいだを行き交う「実験場」が、どのような風景を更新していくのか注目される。


(板坂氏による過去設計事例)
新築住宅兼店舗「半麦ハット」Photo: Nanako Ono
会場構成「DESIGNTIDE TOKYO 2024」Photo: Nanako Ono
カフェの内装「ミヤチ商店」Photo: Nanako Ono