2026年7月8日水曜日

【HAY】プロダクトデザイナー倉本仁氏がデザインしたコートラック「KNIT」に新色「Bordeaux(ボルドー)」を追加

HAYは、プロダクトデザイナー倉本仁氏がデザインしたコートラック「KNIT」に、アジア限定カラー「Bordeaux(ボルドー)」を追加し、7月3日に発売した。販売はHAY TOKYO、HAY OSAKA、HAY ONLINE STOREで行う。

「KNIT」は、ロープや金属棒を“編む”ように扱う実験的なプロセスから生まれたコートラックだ。3本のスチールパイプが立体的に交差しながら互いを支え合う構造を採用し、装飾を排したシンプルなデザインでありながら、空間の中で彫刻作品のような存在感を放つ。機能を成立させるための構造そのものが造形となる点に、この製品の大きな魅力がある。
デザインを手掛けた倉本氏は、家具や家電、生活用品など幅広い分野で活躍する日本人デザイナー。素材に触れながら試作を重ねるプロセスを重視することで知られ、Red Dot Design AwardやiF Design Awardなど国際的なデザイン賞も受賞している。「KNIT」にもそうした姿勢が色濃く表れており、見た目の軽やかさと安定性を両立させながら、最小限の構成要素で豊かな表情を生み出している。
今回登場したボルドーは、既存のブラック、グレー、トフィー、ホワイトに続く新色として開発された。深みのある赤褐色を基調としながらも彩度を抑えた色調で、落ち着きと温かみを併せ持つのが特徴だ。近年のインテリアトレンドではニュートラルカラーや木質感のある素材使いが主流となる一方、空間に個性を与えるアクセントカラーへの関心も高まっている。ボルドーはそうした需要に応える色といえ、主張しすぎることなく空間に奥行きや品格を与える。この色は「KNIT」が持つ造形的な魅力をより際立たせる効果もある。ブラックでは構造の輪郭が引き締まり、ホワイトでは軽快さが強調されるのに対し、ボルドーは光の当たり方によって陰影を柔らかく表現し、立体的に交差するパイプの造形をより印象的に見せる。単なるカラーバリエーションの追加ではなく、プロダクトの見え方そのものに新たな解釈を与える提案といえそうだ。
用途面では、玄関や寝室、ウォークインクローゼットといった住宅空間はもちろん、ホテルの客室やラウンジ、オフィス、レストランなどの商業空間にも適する。壁面に固定する必要がない自立式であることからレイアウト変更が容易で、収納家具という役割にとどまらず、空間を構成するインテリアエレメントとしても機能する。コートラックという日常的な家具でありながら、構造美と色彩によって空間の印象を大きく変える存在として、あらためてその魅力を発信するモデルとなりそうだ。価格は4万1800円(税込)。



【HAY】
https://www.hay-japan.com/

2026年7月7日火曜日

【KAMIYA】大阪市北区梅田に、近畿エリア初となる無人ショールームを開設

KAMIYAは7月1日、大阪市北区梅田に近畿エリア初となる無人ショールームを開設した。ショールームでは発売前の新商品を含む20点を展示し、建具の展示にとどまらない空間提案の拠点として展開する。

同社が目指すのは、ドアを単なる設備や建材ではなく、建築空間を構成する重要な要素として捉える提案だ。フルハイトドア®は、一般的なドアに見られる垂れ壁をなくし、天井まで伸びる開口によって壁面との連続性を高めることで、空間をより広く、端正に見せるデザインを特徴としている。近年、住宅設計では性能や設備だけでなく空間そのものの質が重視されるようになっており、開口部のあり方が住まい全体の印象を左右する要素として注目されている。
ショールームには国内最大級となる高さ3メートルのドアをはじめ、発売前の新製品など計20点を展示する。なかでも京都の職人が手作業で仕上げた漆のドアは初公開となり、工業製品の精度と伝統工芸の質感を融合させた提案として位置付けられる。

空間構成にも力を入れた。高価格帯住宅を想定し、海外ブランドの照明や家具を採用。ドア単体を見せるのではなく、建築空間の中でどのように見え、どのような役割を果たすのかを体感できる展示とした。設計者にとっては、素材の組み合わせや光の表情、空間全体のバランスまで含めて検討できる場となる。
運営はスタッフが常駐しない無人形式を採用する。
来場者への案内は神奈川県の本社スタッフがアバターを介して遠隔で対応し、リアルタイムで相談や説明を行う。見学は2時間の完全予約制で、他の来場者を気にすることなく空間と向き合える環境を整えた。

新ショールームは、建具を選ぶ場所という従来の役割を超え、開口部が空間にもたらす価値を体感する場として位置付けられる。ドアを「仕切るための部材」ではなく、「空間をつくる建築要素」として捉え直す提案が、設計者の新たな発想につながりそうだ。


【KAMIYA 大阪無人ショールーム】
所在地:大阪府大阪市北区梅田三丁目4番5号 毎日インテシオビル2F
営業時間:10:00‐17:00 
定休日:不定休
駐車場:なし




KAMIYA






2026年7月6日月曜日

【土のミュージアムSHISO】淡路島の土を使用した家具ブランド「TSUCHI」を発表

淡路島の土から生まれた新たな家具ブランドが始動する。近畿壁材工業が運営する「土のミュージアムSHIDO」は、淡路島の土を用いた家具ブランド「TSUCHI(ツチ)」を立ち上げるとともに、その初の発表の場となる展覧会「LAND/TRACE ― 大地のプロダクト展 ―」を2026年7月4日から開催する。

TSUCHIは、淡路島の土や地層、風土の中に刻まれた時間の痕跡を、家具や照明、生活道具として現代の空間へと移し替えることを目指すブランドだ。土を単なる素材として扱うのではなく、その土地の成り立ちや風景、人々の営みの記憶を内包した存在として捉え直し、暮らしの中で触れられるかたちへと再構成する。
本展では、スツールやローテーブル、ベンチ、照明、お香立てなどを展示する。いずれも土が本来持つ粒子感や凹凸、不均質な質感を生かしたデザインが特徴で、光の当たり方によって変化する陰影や素材の揺らぎが、そのままプロダクトの表情として表れている。均質さや効率性が求められる現代の空間に対し、自然素材ならではの静けさや奥行きを持ち込もうとする試みといえそうだ。
ブランド誕生の背景には、土のミュージアムSHIDOがこれまで続けてきた活動がある。同施設は、土や左官文化、アートを通して新たな豊かさを社会へ発信する拠点として運営されており、TSUCHIはその理念を建築空間から家具やプロダクトの領域へと広げる取り組みとして生まれた。土の深層に眠る時間や風景、そこに残された手の痕跡を読み取りながら、日々の暮らしの中で自然と向き合うきっかけを形にしていく。

素材として淡路島の土を用いることにも意味がある。淡路島は日本神話において国生みの最初の島とされる土地として知られるが、TSUCHIはそうした物語性を前面に押し出すのではなく、大地そのものに向き合うための起点として捉えている。土や石、地層、ひび割れ、風雨が刻んだ痕跡は、自然の造形であると同時に、その土地が積み重ねてきた時間の記録でもある。ブランドは、そうした土地固有の質感や記憶を読み取りながら、現代の住空間に調和するプロダクトとして立ち上げることを目指している。
近年は家具やインテリアの分野においても、地域素材や自然素材への関心が高まっている。一方で、多くの製品が均一な品質や整った表面を追求する中、TSUCHIはあえて土の不均質さに価値を見いだす。粒子の違いや微細な凹凸、光によって移ろう表情は、一つとして同じものがない自然素材ならではの魅力であり、空間に穏やかな存在感をもたらす要素として位置付けられている。

展覧会名の「LAND/TRACE」には、大地とその痕跡という意味が込められた。展示されるプロダクトは、機能やデザインだけを語るものではなく、土地と時間の積層を可視化する存在でもある。建材として親しまれてきた土が、家具や照明としてどのような表情を見せるのか。展覧会は、素材の可能性を探る場であると同時に、私たちの暮らしと大地との距離をあらためて見つめ直す機会にもなりそうだ。


LAND/TRACE  - 大地のプロダクト展 -
会期:2026年7月4日(土)- 8月16日(日)
時間:平日 13:00 - 17:00 / 土日祝 10:00 - 18:00
休館:火・水 ※予約の場合開館
会場:土のミュージアムSHIDO
住所:〒656-1521 兵庫県淡路市多賀2150
入場:500円 ※予約優先制
お問い合わせ:info@tsuchi-japan.com



TSUCHI

2026年7月3日金曜日

【関西大学】キャンパス内にある学生会館の建替計画を始動し、エントランスに大屋根リングで使用された木材を活用と、象徴的な木組みの構造を再現すると発表

 2025年の大阪・関西万博を象徴した大屋根リングが、閉幕後も大阪の地で新たな役割を担うことになりそうだ。関西大学は、千里山キャンパス内にある学生会館「誠之館群」の建替計画を始動し、新施設のエントランスに大屋根リングで使用された木材を活用すると発表した。万博の象徴的な木組みの構造を再現し、その理念や記憶を学生たちの日常空間へと受け継ぐ考えで、2029年3月の完成を予定になっている。
大阪・関西万博を巡っては、閉幕後に膨大な施設や資材をどのように未来へ生かすのかが大きなテーマとなってきた。その中で関西大学は、大屋根リングを単なる保存対象として扱うのではなく、人が集い、学び、成長する場所へと移し替える道を選んだ。新施設では、回遊動線の起点となるエントランスにリングで実際に使用された木材を再利用し、特徴的な木組みと貫工法を再現。「多様でありながら、ひとつ」というリングの理念を建築空間として継承する。

建替えの対象となる誠之館は、文化会や学術研究会、体育会など数多くの課外活動団体が利用してきた学生会館群である。現在の2号館、3号館、5号館は建設から半世紀以上が経過し、施設の老朽化に加え、活動の多様化に対するスペース不足も課題となっていた。関西大学は今回の再整備を、単なる施設更新ではなく、学生同士の交流や新たな挑戦を育む場づくりとして位置付けている。
新たな誠之館は、地上11階建て、高さ約45メートル、延床面積約2万2000平方メートルの規模で整備される。「アクティブ・グリーンヒル・キャンパス」をコンセプトに掲げ、部室や活動拠点に加え、トレーニングジム、共通講義空間、音楽やスポーツ活動のための施設などを配置する計画だ。課外活動に所属する学生だけでなく、すべての学生や教職員が利用できる環境を整え、キャンパス内の多様な人々が自然に交わる交流拠点を目指すという。

大学側が描くのは、学生会館という枠を超えた「キャンパス・コア」の創出だ。日々行き交う学生たちが偶然出会い、異なる分野や価値観に触れることで、新たな挑戦や活動が生まれる。そうした場所に万博のレガシーが組み込まれることで、かつて世界中の人々を迎えた建築が、今度は未来を担う若者たちを迎える空間へと姿を変えることになる。

さらに今回の計画は、資源循環の観点からも意味を持つ。大屋根リングの木材を再利用することで、解体後の資材を次世代へと引き継ぎ、環境負荷の低減や国産材活用の促進につなげる。関西大学は、本事業をSDGs推進の象徴的な取り組みとして位置付けており、サーキュラーエコノミーの実践という側面も担わせる考えだ。

全国各地で万博レガシーの活用が模索される中、今回の計画は建築そのものを保存するのではなく、「使い続けること」で価値を継承しようとする試みといえる。万博の記憶を展示物として残すのではなく、学生たちの学びや交流の風景の中に溶け込ませる。大屋根リングが、その理念とともに新たな世代へ受け継がれていくことになりそうだ。





関西大学
https://www.kansai-u.ac.jp





2026年7月2日木曜日

タカラスタンダード、初の高級キッチンブランド「Artevo(アルティーボ)」をローンチ

 システムキッチン・バス等を展開する住宅設備機器メーカー・タカラスタンダード株式会社は、2026年6月26日(金)に、初めての高級キッチンブランド「Artevo(アルティーボ)」をハイエンドな新築分譲マンション向けにローンチした。また、ブランドのコンセプトスタイルを体感できるショールームを東京・浜松町にオープンした。【写真1】

【写真1】ショールームに展示される「Artevo」のコンセプトスタイル


「Artevo(アルティーボ)」は素材や設備、空間設計までを一体で提案する、メーカー初のキッチンブランドのラグジュアリーライン。自由設計を特徴とした、フルオーダーキッチン空間を提案する。【写真2】

【写真2】住戸やインテリアと調和した「キッチン空間」


製品の特長として、メーカーの強みである10mmピッチの自由設計を基軸とした新たな構造を探求。マテリアルや仕上げには国内外の先進素材、技術を採用されることで、シームレスで木口の目立たないデザインが可能となった。製品全体を通して、ハイエンド層へ向けた高級感溢れる仕様となっている。
【写真3】【写真4】

【写真3】扉材には左官仕上げ塗料
「OLTREMATERIA(オルトレマテリア)」を採用

▲【写真4】石材をテーパーカットしたデザイン


「Artevo」ブランドショールーム

ショールームには、「Artevo(アルティーボ)」のブランドを象徴する3つのキッチンモデルを展示。国内外の先進素材、技術を採用したモデルや、ホームパーティーやプライベートダイニングに対応したモデルなど、多様化したライフスタイルや使い方に合わせたキッチンが収納や素材など、空間とあわせて体験可能なショールームとなっている。

キッチンモデルが展示される各エリアには、デザイナーによってそれぞれのコンセプトスタイルに合わせた照明、フレグランス、環境音が演出されることで、「Artevo」ブランドの世界観をショールーム全体で体感することができる。

コンセプトスタイル:【The Artevo】

コンセプトスタイル:【Chefs Artevo】

コンセプトスタイル:【Casa Artevo】


〈商品概要〉
■ブランド名  Artevo(アルティーボ)
■ローンチ日  2026年6月26日(金)
■料金     プラン内容や使用に応じて個別見積
■発売元    タカラスタンダード株式会社
■お問合せ先  06-6962-1515(10:00~17:00 ※土日祝・夏期・年末年始を除く)
※ショールームの一般公開はしておりません。
 当社営業担当者を窓口とした事前予約制となっております。

2026年7月1日水曜日

【NPO法人HOME-FOR-ALL】石川県珠洲市飯田町の商店街に、新たな交流拠点「飯田のみんなの家」が誕生

能登半島地震からの復興が続く石川県珠洲市飯田町の商店街に、新たな交流拠点「飯田のみんなの家」が誕生し、2026年4月にオープンした。被災地に建てられた数ある施設の一つではあるが、この建築が目指したのは単なる居場所づくりではない。震災によって失われつつある地域の記憶や風景を建築の中に再び息づかせ、未来へ受け渡していくことにある。

運営を担うのは、震災以前から寺子屋活動などを通じて地域づくりに取り組んできたNPO法人ガクソー。建設地となったのは、かつて商店街で額装店として親しまれていた細長い敷地で、日常的に人が行き交っていた場所の記憶を引き継ぐように計画された。

建物に足を踏み入れると、まるで一本の路地を歩くかのような空間が続く。軒下から小上がり、キッチン、スタジオへと緩やかに連なり、その先には子どもから高齢者までが自由に過ごせる居場所が点在する。2階にはフリースペースやコワーキングスペースが設けられ、学びや仕事、地域活動など多様な使い方を受け止める構成となっている。用途ごとに部屋を区切るのではなく、人の滞在や偶然の出会いを促すように居場所を散りばめた計画は、商店街が本来持っていた交流の機能を現代的に再構築したものともいえる。

この建築でとりわけ印象的なのは、復興を「新しく造り替えること」としてではなく、「残されたものを生かすこと」として捉えている点にある。屋根には解体家屋からレスキューされた能登特有の黒瓦が葺かれ、柱やカウンターには古材を再利用した。壁には地域住民らが製作に携わった日干しレンガが用いられ、館内には古家具も配置されている。

建築の世界では近年、環境負荷低減の観点から資材の再利用が注目されている。しかし、飯田のみんなの家における再利用は、単なるリサイクルの枠を超えている。黒瓦も古材も、それぞれがかつて誰かの暮らしを支えていた素材であり、その土地の風景を形づくってきた存在だ。建物が失われても、素材に刻まれた時間や記憶は残る。その記憶を新たな建築へ組み込むことで、復興後の風景に地域の連続性を取り戻そうとしている。
また、この建築は完成した建物だけで評価されるものではない。古材の活用や日干しレンガづくりには地域住民も参加し、上棟式にも多くの人々が集まった。建築を「つくる過程」そのものが、人と人とのつながりを生み出す機会となったのである。震災後の復興では建物の再建が注目されがちだが、本来失われたのは建物だけではなく、人々が集まり、語り合う場でもあった。飯田のみんなの家は、その関係性の再生にも取り組んだプロジェクトといえる。
同施設は、建築家の伊東豊雄氏が代表を務めるNPO法人HOME-FOR-ALLが推進する「能登のみんなの家」プロジェクトの第2号施設として整備された。設計はPERSIMMON HILLS architectsが担当し、日本財団の助成を受けながら、自治体や地域住民、多くの企業・団体の支援によって実現した。

夜になると建物は商店街の中で柔らかな光を灯し、ぼんぼりのような存在として周囲を照らす。その姿は、新しいランドマークというよりも、以前からそこにあった居場所が戻ってきたかのような佇まいを感じさせる。



「飯田のみんなの家」概要
【建築概要】
場所:石川県珠洲市飯田町
敷地面積:247.02平方メートル
建築面積:157.01平方メートル
延床面積:229.5平方メートル
用途:店舗、スタジオ、コワーキング、住居
竣工年月:2026年4月

【クレジット】
運営:NPO法人ガクソー
設計:柿木佑介+廣岡周平+清水康平/PERSIMMON HILLS architects
構造:井上健一構造設計事務所
施工:家元
助成:日本財団(「みんなの憩いの場」プロジェクト)
協力:瓦バンク、堀瓦工業、モノクローム、新出製材所、社会福祉法人進和学園、エフラボ、大阪万博英国パビリオン、VAN、木からつくるまちプロジェクト、UK駅伝




企画
NPO法人HOME-FOR-ALL 
https://www.home-for-all.org/


2026年6月30日火曜日

【フクビ化学工業】再生木材製品「プラスッド」に、隈研吾建築都市設計事務所 監修の「ルーバー KKAA」を追加

フクビ化学工業は、建築外構などで使用される再生木材製品「プラスッド」のルーバーシリーズに、新製品「ルーバー KKAA」を追加し発売したと発表した。隈研吾建築都市設計事務所の監修のもと、木材の経年変化を意匠として再現した高付加価値製品として展開する。

同製品は、墨流し柄を取り入れることで、時間の経過とともに風合いを深める天然木の表情を表現した点に特徴がある。木粉と樹脂を融合した再生木材でありながら、質感や陰影の細やかさを追求し、建築空間における意匠性の向上に寄与する設計となっている。従来の後付け部材とは異なり、空間全体のデザインを構成する要素としての役割を持たせた点に位置づけがあるとみられる。
機能面では、福井県産の間伐材と再生プラスチックを原料の一部に採用し、未利用資源の活用と環境負荷低減を図った。加えて、火源から離すと燃焼が自然に収まる自己消火性を備え、安全面にも配慮している。耐候性に優れる樹脂の採用により、長期にわたり色調の安定を期待できるほか、ABS樹脂の特性を生かして高い剛性と耐久性、加工性を確保した。製品は受注生産方式とし、設計条件に応じた柔軟な対応を可能としている。

開発の背景には、2025年に投入したデッキ材「デッキND KKAA」が高い評価を得たことがある。今回、その意匠性を踏襲しながら用途を拡張し、ルーバーとして製品化した。デッキと組み合わせることで、屋内から屋外へと連続する空間構成や、床から壁、天井へとつながる一体的なデザインが可能となり、光と影の変化を取り込んだ立体的な空間演出を実現する。こうした構成により、再生素材でありながら天然木に囲まれたような質感を空間全体で表現できる点が特徴となる。

再生木「プラスッド」は、森林保全の観点から発生する間伐材などの有効活用を目的に開発された素材で、地域資源の循環や地産地消といった考え方を背景としている。こうした思想に隈研吾建築都市設計事務所が共鳴し、機能性と意匠性を兼ね備えた建築素材の開発が進められてきた経緯がある。近年は脱炭素化への対応に加え、建築における質感やデザインへの要求が高まっており、環境配慮型素材にも高い意匠性が求められる傾向が強まっている。

同社は今後、デッキやルーバーといった関連製品を組み合わせることで、環境性能と空間価値を両立させた提案を強化していく考えを示している。再生素材を用いた建材市場が拡大する中で、意匠面での差別化と空間全体での提案力が浸透の鍵を握るとみられる。




フクビ化学工業
https://www.fukuvi.co.jp/