2012年10月31日水曜日

南三陸町・あさひ幼稚園オープンハウス

東日本大震災で津波による塩害によって立ち枯れてしまった大雄寺参道の杉。この杉を使用し、被災したあさひ幼稚園再建を手塚建築研究所が行った。
再建されたあさひ幼稚園は、避難所として使用されたベイサイドアリーナ向かいの高台に建設された。
高台に建つ保育園は、下から見上げると寺院の様に見える。
建物外周は回廊で囲まれている。いつもは園児が走り回っているとの事。床材にも参道の杉が使用されている。
参道の杉が屋根を支える。
ベランダ手摺
ベランダからベイサイドアリーナを見る。
保育室
職員室
空調機器は床下に収納。
あさひ幼稚園は、日本ユニセフ協会の支援のもとに建設された。

2012年10月27日土曜日

谷尻誠「MOUNTAIN GYM」夜間ライトアップ

Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2012」の会期中、「DESIGN TOUCH Park」に出現した谷尻誠設計「MOUNTAIN GYM(マウンテンジム)」の夜間ライトアップの様子。


11時から17時までは大人も子供も遊べるジャングルジム。以降は23時までライトアップされ、柵の外から「オブジェ」としての姿を楽しめる(前日10/26掲載:昼間の様子はコチラ)。

 「MOUNTAIN GYM」の下の方に小型のLED照明が取り付けられている。

7分くらいで全ての照明が落ちていったん真っ暗に、その後で再び光を帯びる。

 じんわり明るくなって、じんわり暗くなっていく。照明計画はアーキコンプレックス
ところどころに張られた蓄光ネットが見える。光がぼうっと溜まって見える効果が。
 裏側にまわると、LEDの光が単色ではなく、若干の色味がつけられているのが判る。

道を挟んだデッキの上からの眺めもおススメ。

会期は11月4日(日)まで。

2012年10月26日金曜日

谷尻誠氏による「MOUNTAIN GYM」が東京ミッドタウン・ガーデンに出現

東京ミッドタウンで「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH 2012」がスタート(会期:2012年10月26日~11月4日)。 「デザインを五感で楽しむ」をコンセプトに秋に開催される恒例のイベント。今年のテーマは「デザインと遊ぶ」。
展示のひとつ、ミッドタウン・ガーデンの芝生広場「DESIGN TOUCH Park」に、谷尻誠氏(Suppose Design Office)が設計した「MOUNTAIN GYM(マウンテンジム)」が出現した。
「MOUNTAIN GYM」は直径にして約15メートル、高さ4メートルの大きさ。用材のパーチによる構造物で、昼は子供たちの遊び場に、夜はライトアップされて闇に浮かぶオブジェに。
構造物を縫うようにして巡る白いパイプと、転落防止か所々にネットも見える。
「遠くから見ると山のようで、近付いて、中に入ると建築物のよう。手を掛けてよじ登っていけばジャングルジムになる」という、「人の行為によって空間の名前が決まる」と常々語っている谷尻氏らしい作品。

「MOUNTAIN GYM」は単純なパターンで出来ているものの、複雑そうに見えるようにしたとのこと。ジムの周辺には構造物の1単位が椅子になって置かれている。
敷地は奥(北)から手前(南)に緩やかな傾斜になっており、水平垂直をきっちり出すのに、現場でかなりの苦労があったという。素晴らしき日本の大工の技。構造設計は金田充弘氏。
ミッドタウン・タワーの日陰に入らないうちは、ジムの中にグリッドの影が落ちる。
張られたネットは落下防止の策でもあるが、蓄光(ちっこう)塗料が施されていて、夜になるとこの網の面にライトがあたり、幻想的なオブジェが芝生の上に浮かび上がるらしい(照明計画:アーキコンプレックス)。
近所のインターナショナルプリスクールの一団が通りかかり、歓声をあげてジムに一直線、みるみるうちに上までよじ登って行った。まさに谷尻氏が思い描いていた光景。
真下からの見上げ。子供たちの歓声が落ちてくる。もちろん大人でも乗れます。
白いパイプはいわば「電話」で、上と下、横に繋がった先で「もしもし」。教えなくても、子供たちにはすぐ解る。
この子供たちにとって、この構造物は夢中になれる遊具にすぎない。だが間違いなく、建築家・谷尻誠氏による作品である。
小さな子供にとっては上に昇る為の大きな階段であり、足場であり、顔を出すところ。大人が腰掛ければ、椅子になったりテーブルになったり。
DESIGN TOUCH 」の会期中、「MOUNTAIN GYM」は11時から17時まで中で遊ぶことが出来る(利用者多数の場合は入場制限あり)。夜は17時から22時までライトアップされる。入場無料。ジムの周りでは、27日(土)、28日(日)に各種ワークショップも予定(雨天中止)。
晴れた日には、ジムの横に移動式本屋「BOOK TRUCK」もオープン(11-17時)。

2012年10月23日火曜日

浅草《ザ・ゲートホテル雷門 by HULIC》見学

台東区雷門2丁目、浅草寺雷門ななめ前という好立地に、今年8月10日開業した《ザ・ゲートホテル雷門 by HULIC》へ。
ヒューリック(株)による初のホテルで、外観デザイン監修およびインテリアデザインを内田繁氏(内田デザイン研究所)、シンボルマークや館内サイン計画を佐藤卓氏(佐藤卓デザイン事務所)が手掛けている。ホテルと関係者のはからいで宿泊室ほかを見学。
「《ザ・ゲートホテル雷門 by HULIC》は、「心から寛げる特別な場所」と感じていただける、そんなインティメント(intimate)なホテルを目指しています。」――ホテルのパンフレットより(画像は地下鉄東西線日本橋駅ホームの広告)。
メインエントランスの左の壁に見える、漢字の「門」をモチーフにしたシンボルマークは佐藤氏のデザイン。
1Fエントランス、エレベータ前。静止画ではわからないが、足元の光がゆらゆらと揺れ動いている。天井の開口の中に水盤とその上に照明があり、海の中に居るような柔らかい光を落とす。
3Fから12Fが客室フロアで、レセプション・ロビーはその上の13Fにある。
13Fレセプション・ロビー。
目を引くシャンデリア「cloud(クラウド)」はその名の通り、雲をイメージした作品。円を描くように置かれた 青いソファも内田氏がデザインしたソファ「SO IN LOVE(ソー・イン・ラブ)」の変形パターン。その奥(北側・雷門通り側)は総ガラス張りで、仲見世通りの賑わい、その先に鎮座する浅草寺、隅田川の向こうにそびえる《東京スカイツリー》が一望のもと。
ロビー壁面のアートワークも内田氏の作品。
反対側にレストラン&バーが隣接し、こちらも北側は一面ガラス張り、13Fフロア全体でゆるやかな一体空間となっていて、外部の景観を内部に引き込んでいる。
周辺情報に詳しい浅草コンシェルジュが立つレセプション・カウンター。壁の絵は、ホテル開業前に行なわれたアートパフォーマンスにおいて、日比野克彦氏が描いたもの(創作の様子は「FIGARO.jp」コラム>デザイン・ジャーナル2012.7.19掲載号が詳しい)。

カウンター正面の階段から最上階へ、屋上テラス「T-テラス」を特別に見学(通常は宿泊客のみ利用可能)。
14F「T-テラス」からの眺めがまた素晴らしい。周辺に高い建物がなく、朝日も望めるのでは。《東京スカイツリー》はもちろん、首都高を流れる車のランプ、フィリップ・スタルクによる《スーパードライホール》の炎のオブジェほか一望できる特等席。

なお、今月は《東京スカイツリー》の展望回廊や展望デッキの照明がハロウィン仕様(オレンジ色)になっているので注目(ニュースリリース参照)。
テラスに置かれたチェアは屋外仕様。
この「T-テラス」にも内田氏による水と光の作品「Dancing Water」が。内田氏が長年研究している「弱さのデザイン」を追求したもので、はかない揺らぎがどれほど人の心を和ませることができるかという想いから生まれた作品。
屋上「T-テラス」に面してバーもあり。サインデザインは佐藤卓氏。
エレベータの天井が美しかったので、思わずパチリ。

客室は計7タイプで全137室。24平米のダブルまたはツインが主体で、うち3室を見学した。

32平米のコーナーツイン「Scenic(シーニック)」タイプ。「シーニック」とは、眺めの良い、生き生きとしたという意 。
雷門通に面したコーナーに位置し、窓からは《東京スカイツリー》と浅草寺が見える。
ベッドは英国スランバーランド社のものを採用。 既に計3泊した同行の利用者によれば、「お世辞でなく、他のホテルでは味わえなかった最高の寝心地」との高評。
縁取りがカラフルなミラーは、先月、ギャラリー ル・ベインでの「内田繁・家具コレクション展」にも出展されていた「ソフィスケィテッドレディ」。
水まわり。洗面と浴室はセパレート。右側が窓付きのビューバス。
ホテルでは珍しいことに、洗い場に風呂椅子と風呂桶が用意されている。各室常設アメニティは自然派コスメ「ゼミド」で、ホテルオリジナルのダージリンティーの香り。

階を移動し、次なる部屋へ。
客室フロアのカラーリングは、奇数階は暖色系、偶数階は寒色系に分かれている。カーペットは内田氏がデザインし、(株)スミノエが制作した。コーナーに置かれた卵型の照明も内田作品「l'uovo(ウォーボ)」(ヤマギワ)。

見学2室め、24平米の「Essential(エッセンシャル)」ツイン。

室外のEV前のミラーと同じ色の「ソフィスケィテッドレディ」。
ベッドの上に掛けられたファブリックのパネルは、テキスタイルデザイナーの鈴木マサル氏による。内田氏と内田デザイン研究所のスタッフが部屋の雰囲気にあわせて絵柄を選んだ。

10~12F以上、「Classy(クラッシー)」タイプへ。 
廊下に整然と並ぶガラスの照明は、1998年に内田氏がアルド・ロッシ氏とコラボレーションした門司港ホテル》でデザインした照明の復刻版。

「Classy(クラッシー)」タイプは37平米。10F以上に位置する部屋なので、窓からは《東京スカイツリー》の全体がきれいに見える。
ゆったりとしたソファのファブリックはINNOVASIA(イノベイジア)社製。
スランバーランド社のキングサイズベッド。
 同行のドリンカーが狂喜したバーカウンター。コーヒーマシーンまであるのも嬉しい。

雷門通に面したビューバス。


いよいよ最後の部屋へ。客室最上階に位置する「ザ・ゲート」は、137室中 1室だけのスペシャルスイート。1泊8万円(税・サービス別)なり。
この「ザ・ゲート」にのみ、ウィリアム・モリスの壁紙が使われている。これは、近代以降、デザイナーも建築家も装飾を嫌い、真っ白な空間がもてはやされる昨今において、果たして本当にデザインにおける装飾性は罪悪なのかを改めて世に問う、内田氏からのメッセージ。
部屋の広さは58平米。黒い大型ソファは内田氏デザインによる特注サイズ。素材はビニールレザーだが、革と見まごう高級感漂う仕様。液晶テレビは(憧れの)大迫力52型。
スモークガラスの向こうに別に用意された寝室。
寝室にも32型の液晶テレビあり。ベッドはスランバーランド製のホースヘアーベッド仕様。
ひときわ大きなシャワーヘッドは、ハンスグローエ社のレインダンスシャワー。
洗面室を挟んでバスルームの反対側に位置するトイレ。
アルネ・ヤコブセンの名作椅子「エッグチェア」で寛げば、雷門通の先にそびえる《東京スカイツリー》が目の前に。

この後、13Fレストラン&バーで、壁に掛けられた日比野作品と窓の外の《東京スカイツリー》を眺めつつ、食事を大いに楽しんだのだが、ピアノの生演奏に聴きほれ、おいしい料理に舌鼓をうつうちに、カメラを構えるのを失念してしまった。