2012年10月31日水曜日

南三陸町・あさひ幼稚園オープンハウス

東日本大震災で津波による塩害によって立ち枯れてしまった大雄寺参道の杉。この杉を使用し、被災したあさひ幼稚園再建を手塚建築研究所が行った。
再建されたあさひ幼稚園は、避難所として使用されたベイサイドアリーナ向かいの高台に建設された。
高台に建つ保育園は、下から見上げると寺院の様に見える。
建物外周は回廊で囲まれている。いつもは園児が走り回っているとの事。床材にも参道の杉が使用されている。
参道の杉が屋根を支える。
ベランダ手摺
ベランダからベイサイドアリーナを見る。
保育室
職員室
空調機器は床下に収納。
あさひ幼稚園は、日本ユニセフ協会の支援のもとに建設された。

2012年10月22日月曜日

中川政七商店旧社屋増築オープンハウス

2年前に中川政七商店新社屋を設計した吉村靖孝氏が、中川政七商店旧社屋前面に幅20000mm奥行2000mmの増築棟を建設した。
ファサードは2年前に竣工した新社屋と同じサッシュで統一感が保たれている。
旧社屋と増築棟は構造的に接続せず、それぞれ独立している。

旧社屋の外壁だった壁には庇の跡を見ることが出来る
増築棟の構造は建物奥の5本の柱で支えるやじろべえ。(補助として窓側に細い柱あり)
トイレ前に増築部分を支える柱を見ることが出来る。 
休憩室。
予算が限られていたので、既存棟は窓枠上端以下の壁と柱を白くし、上部を既存ママ(一部塗装)とした。
室内の色に合わせてカーテンもツートンカラーになっていてインテリアとして楽しめる。
大きな作業テーブルの下は、もともと階段だった床開口部。


什器は壁の色に合わせた特色。色が剥がれやすいので、加工に手間取ったとのこと。

2012年10月18日木曜日

「工学院大学125周年記念総合棟」内覧会

八王子に竣工した「工学院大学125周年記念総合棟」の内覧会へ(9/30)。2009年の公募プロポーザルにおいて最優秀案として千葉学建築計画事務所が受賞し、進行されてきたプロジェクト。
建築設計:千葉学建築計画事務所
構造設計:金箱構造設計事務所
設備設計:環境エンジニアリング
施工:大成建設東京支店

建物の全体のプランはL字型の4つのボリュームが寄り添うようなプランとなっている。緑に囲まれた郊外のキャンパスでありながら、外部空間にパサージュを形成し、都市的な要素も組み込んでいる。
L字の屈折部は小さなラウンジスペースになっており、学生たちが溜れる場所が多くある。
サイン計画、ファサードデザインはデザイナーの野老朝雄さんが担当しており、ファサードの有孔折板は落ちる影によって、自分の居場所がわかるようにとのことで4つのボリュームによって違うデザインになっている。例えば下の写真はE棟の有孔折板で4種類の円の大きさを使ってデザインされている。
またこの建物自体が教材になってほしいという思いから、仕上げ・素材・開口部など建物の成り立ちを素直に仕上げに表現している。なので同じ教室でも仕上げが異なったり、窓の大きさも異なっていたり。(デザイン的にどうなのかと議論にもなったそうだが、最終的にはサッシの黒いスチール部分がパンダの目みたいでかわいいということで落ち着いたとか。)
各部屋の空調は基本的には居住域空調の床吹空調となっているが、空調椅子になっている教室がいくつかある。これは同大学・野部達夫先生とコトブキシーティングの共同での研究の一貫となっている。
小さな教室はすべて家具が可動式になっており、フレキシブルに使用できるようになっている。廊下側の木のサッシも全面開閉が可能。
内覧会当日は多くの人が集まり、午前と午後の二回、千葉氏自ら建物の案内をした。

2012年10月17日水曜日

TOTOギャラリー・間「山下保博×アトリエ・天工人展 Tomorrow-建築の冒険-」

TOTOが企画運営するTOTOギャラリー・間にて10/13より「山下保博×アトリエ・天工人展 Tomorrow-建築の冒険-」が開催中。山下保博氏とアトリエ・天工人初の個展で、代表作である土ブロック構造の『アース・ブリックス』をはじめ、20年にわたる活動を総覧する展示内容。

会場には土ブロックによる構造の次の展開として山下氏が計画している『土の礼拝堂』の1:1スケールでの展示もされている。すべて土ブロックで積み上げる予定だったが荷重の関係で、土のタイルや木のタイルを使用している。
会場をはいるとすぐにアトリエ・天工人を知るための「モノ・コトめがね」と名付けられたマトリックスが。これまでの活動を「モノとしての7つの冒険」「コトとしての7つの冒険」の両面の見方で整理し、主要20作品を紹介しており、これに基づき展示がされている。
『土の礼拝堂』のモックアップは内部と中庭、3階と4階をまたぐようつくられており、会場の中に作られているのか、『土の礼拝堂』の中に会場がおさまってしまったのか、どちらにも捉えられる大きさ。この大きさの模型の展示は2008年に開催された安藤忠雄建築展の『住吉の長屋』原寸模型以来だという。

下の写真は「土の礼拝堂」の模型。実際に施工するとなった場合には、信者たちが力をあわせて土ブロックを作り、積み上げて建築を作りあげる想定をしている。
中庭には土ブロックの作り方や型枠も展示。
4階展示会場では、大学の学生たちと行っている街づくりのプロジェクトの展示もあり、今年から実現しそうなプロジェクトだという。
こちらはオーストラリアのプロジェクトの『ライディング・プロジェクト -アンバー・ブリックス-』半透明の固まる素材で破棄する素材を琥珀のように封印し、住民の手により積み上げる建築を計画中。
11/1には関連の講演会が開催される。事前申込制で申込はすでに終了しているが、Ustreamで配信予定。同時発行で書籍「Tomorrow--建築の冒険」も発行している。作品の紹介だけではなく、藤森照信氏と伊東豊雄氏との対談も掲載。展覧会は12/22まで。