南青山にあるTOTOギャラリー・間にて、中川エリカ展「JOY in Architecture」が1/21より開催中。
新型コロナウィルスの影響で、昨年から予定されていた展覧会のいくつかが延期となっていて、展覧会自体が一年ぶりの開催となる。また、本展も感染拡大防止対策として、会期中は事前予約制を導入して運営している。
今回の展示は、初期の代表作「ヨコハマアパートメント(西田司/オンデザインと共同設計)」、「桃山ハウス」で数々の賞を受賞するなど、エネルギッシュに活動の場を広げている若手建築家・中川エリカ氏の個展。
中川氏の原点は、「新しい建築の表現を追求したい」という、飽くなき探求心にあり、「新しい組み立て方」や「街の細部の法則をヒントにした材料の発見」、「内と外の関係」といったさまざまな課題に取り組み、周囲の環境や人びとの営みを巻き込みながら、生き生きとした建築の表現を生み出し続けている。
また、建築を身体的に考えることを大切にしており、そのための具体的な模型作りは重要な要素となっている。
本展は、3つのエリア(3F展示室、中庭、4F展示室)に分け、3F展示室で設計の現場で活用されてきたさまざまなスケールの模型を一挙に公開、中庭には今回のためにスケール・材料を統一した模型と居場所を制作、4F展示室では昨年行われた南米チリでのリサーチを展示。中川氏が考える建築の「よろこび(JOY)」が躍動感いっぱいに表現された展示となっている。
3F展示室
Gallery1 設計の現場 2014年以降、設計の現場で活用されてきた模型・ドローイング群
Gallery1 設計の現場 2014年以降、設計の現場で活用されてきた模型・ドローイング群
展覧会のためにつくられた模型ではなく、常日頃つくられてきた検討のための模型を展示。段ボールで作られたものやポストイットでコメントが貼られたもの、配管まで再現した模型もあり、言葉には出来ないパワーを感じられる。
「高柳邸」設計初期の1/30模型。段ボールで作られている。中庭
COURTYARD冬の庭 風・光をコントロールする縄屋根と、スケール・材料を統一した模型群が作る居場所
COURTYARD冬の庭 風・光をコントロールする縄屋根と、スケール・材料を統一した模型群が作る居場所
今回の展示のためにつくられた居場所で、分析を行った上で制作した風と光をコントロールする縄屋根と、スケール・材料を統一した模型を展示。
「桃山ハウス」1/50模型。展示室にあったものとスケールや素材の違いを感じてみるのも面白い。4F展示室
Gallery2 都市スタディのオルタナティブ 南米チリの6都市で行った、野外什器を手がかりに居場所を見出す人びとのリサーチと、その後の設計への展開
Gallery2 都市スタディのオルタナティブ 南米チリの6都市で行った、野外什器を手がかりに居場所を見出す人びとのリサーチと、その後の設計への展開
南米チリの小さな什器とともに現れる人びとの屋外での居場所のリサーチとその模型を展示。
これからの建築の生きた発見につなげるために行われたこのリサーチは、事務所全員で行き、約400のパブリックファニチャーを中心とした野外什器を記録。屋外での居場所のつくられ方、什器の組み立て方、そこに現れる人間それぞれの気質、街への態度の示し方などを学んだという。それについてを具体的に模型にしている。
人通りの多い交差点の車道側。必要に応じて増築を繰り返したジュース売りの屋台。