2014年3月31日月曜日

千駄ヶ谷緑苑ハウス オープンハウス

共同住宅及び事務所の入居する昭和45年に建設されたRC造7階建てのビルを、青木茂建築工房がリファイニングし、新たに共同住宅及び事務所ビルとして販売するにあたり、オープンハウスが行われた。(3月22日)
既存建物は1、2階を事務所、上階は賃貸マンションとして使用されていた。JR千駄ヶ谷駅から近く、新宿御苑の緑や屋上からは新宿のビル群や神宮外苑花火を眺めることが出来る好立地ながら、間取りや設備の陳腐化により入居状況は芳しくなかった。
元所有者がこの建物を相続し、先代から譲り受けた建物を残したいという思いから、現事業主が元所有者から敷地と建物を買い取り、賃貸マンションを分譲マンションとして、リファイニングした。
オープンハウス時には既に殆どの部屋が売約済で、リファイニングによって建物の価値が再評価された事になる。
構造設計は金箱構造設計事務所が担当。建物が旧耐震基準の為、耐震補強を行った。補強はブレースなどを用いず、意匠性を損なわない方法を採用した。
施工の際、既存の内外装及び設備の全てを解体、撤去を行い、建物をスケルトン状態にし、経年劣化や施工不良等の補修補強を行った後、外装、防水等の更新を行った。
外観および内部は、築43年が経っている建物とは思えず、耐震補強の箇所も分からなかった。
この建物は新宿御苑に隣接しており、窓からは新宿御苑の緑が見える。
屋上はウッドデッキと緑化がされている。屋上からは神宮外苑の花火が見えるとの事。
唯一この階段から建物の年代を見て取れることが出来た。

環境教育施設「eコラボ(エコラボ)つるがしま」見学レポート



東武東上線鶴ヶ島駅から徒歩約20分、養命酒製造(株)鶴ヶ島太陽光発電所の隣接地に建てられた「eコラボ(エコラボ)つるがしま」を見学。「eコラボ(エコラボ)つるがしま」は、鶴ヶ島市養命酒製造(株)が平成253月に締結した「養命酒製造株式会社埼玉工場跡地の共同活用に関する協定」により、養命酒製造(株)の「地域貢献事業」として建設された環境教育施設だ。


eコラボ(エコラボ)」とは、「エネルギー(energy)」「電気(electricity)」「電気自動車(electric vehicle)」などの意味を持つ「e」、「エコロジー」、「コラボレーション」、「ラボラトリー」を組み合わせた造語で、『環境にやさしい生活を様々な主体とともに考える場』、『産学官がコラボして建設』などをイメージして命名された。

                                     特徴的な屋根の構造部分。県産材が採用されている。
少々見づらいが、正面モニター下部では「Nゲージ」と呼ばれる鉄道ジオラマが走行中(写真下)。ソーラーパネルで発電した電気で動き、子供たちに発電を目に見える形で知ってもらうための装置。



設計は「鶴ヶ島・未来との対話プロジェクト 2013」というテーマの元、東洋大学の支援やパブリックミーティングにより市民参加型で行われ、建設は地元の共同企業体が担当した。メガソーラーに近接する恵まれた立地を活かして、鶴ヶ島市では同施設を「エネルギーと地球環境問題、防災を考える」をコンセプトに、再生可能エネルギーや地球環境問題を学習する場として活用していく予定だ。
 
中庭の様子。出入り口の門は常時開放されるとのこと(※施設建物の利用には予約が必要)。
中央にはノウゼンカヅラが植えられる(協力:大井造園土木)。

災害時に地域住民がライフラインを確保出来るよう、浄水機能や非常用電源設備など防災に対する備えが充実。充電された電気自動車(EV、日産リーフ)によって近隣公民館へ電力を供給出来る。

浄水器や受水槽等の設備関係と屋外用トイレ。この一角はまだ未塗装で、4月に開催されるワークショップで東洋大学の学生と地域住民によって塗装される予定。このワークショップを以て、地域住民へ施設の管理がバトンタッチされる。


・設計協力:
東洋大学ソーシャルデザインスタジオ(担当/工藤和美+藤村龍至)

・実施設計:
(株)藤村龍至建築設計事務所
(株)佐藤淳構造設計事務所
(株)佐藤設備設計
(株)ニュウファニチャーワークス
tuki lighting office(吉楽広敦)
安東陽子デザイン
neucitora(刈谷悠三)



※利用方法等の詳細については、下記URLを参照されたい。
■鶴ヶ島市 ホームページ・・・環境教育施設"eコラボつるがしま"3月1日開館
■養命酒製造(株) ホームページ・・・埼玉県鶴ヶ島 太陽光発電について

2014年3月28日金曜日

「GRAPHISOFT BIMcloud」ワールドワイドプレスイベント

六本木ヒルズクラブにて「GRAPHISOFT BIMcloud」のワールドワイドプレスイベントが3/25に開催された。グラフィソフト社(本社:ハンガリー)新製品の世界的なリリースを日本で開催するのは初の試みで、ここ数年の日本ユーザーによるBIM活用が大きな発展遂げたことにより今回の開催に至ったという。この日は世界各国からも関係者が集まった。
「GRAPHISOFT BIMcloud」は同社BIMソフトのクラウド対応の製品で、インターネットの接続環境が整っている場所であれば、世界のどこからでも無数のユーザーがひとつのデータにアクセスでき、作業に参加できる。優れた“リアルタイム性”だけでなく、“安全性”“堅牢性”“柔軟性”“統合”の5つを機能を兼ねそろえた製品となっている。
会場では、新しい「GRAPHISOFT BIMcloud」を使ってリアルタイムでグラフィソフトの香港支社およびハンガリーの本社と接続をしデモが実施された。
またArchiCADを使用しているゼネコン・設計事務所(大林組鹿島建設日建設計)のプレゼンテーションもあり、それぞれBIMクラウドのメリット、BIMを導入し始めた頃の話から今後のBIMクラウド活用についてを話した。
「GRAPHISOFT BIMcloud」は、日本では3/25より先行して販売を開始し、今年の夏頃「ArchiCAD 18」と共に全世界で展開される予定。

2014年3月26日水曜日

「札幌国際芸術祭2014(SIAF2014)」記者発表

今年の7/19~9/28までの72日間に渡り開催される、札幌初の国際アートフェスティバル「札幌国際芸術祭2014(SIAF2014)」の記者発表が3/13に都内にて行われた。 開催テーマは「都市と自然」で、今回から3年に1度の頻度で継続的な開催を予定している。世界的に著名なアーティストであるゲストディレクター坂本龍一氏は「近代化を担ってきた札幌で過去の歩みをふりかえりながら、最先端のアートを発信していく芸術祭にしたい」と芸術祭の概要を説明した。
市内9つの会場で展示・パフォーマンス・プロジェクト・ライブなどの20の事業が行われる。
展示の拠点の一つとなる北海道近代美術館の会場構成は建築家の青木淳氏と丸田絢子氏が担当。野外プロジェクトのひとつである「コロガル公園 in ネイチャー」では、五十嵐淳氏とYCAM InterLabがコラボレーションし設計を手掛ける。
また関連して国際公募のコンペがすでに開催中で、札幌資料館のリノベーションアイデアと都市空間のサウンドの2つの募集をかけている(詳細)。

2014年3月25日火曜日

京都国立博物館「平成知新館」

建て替えが行われていた京都国立博物館 (京都市東山区)平常展示館が新たに京都国立博物館「平成知新館」となり、9月13日より開館する。
開館に先駆け、京都国立博物館「平成知新館」が報道関係者らに公開された。(3月18日)
京都東山に向かって設定された正門から本館へと続く東西軸に対し、平成知新館は敷地南側に位置する蓮華王院(三十三間堂)の南大門の中心線から、博物館南門の中心を通る歴史的な南北軸を想定し、その軸線上に新しい出入口を定め建築を配置した。
平成知新館入口上から。正面奥に南大門が見える。

平成知新館は敷地を掘り下げ高さを抑えている。蓮華王院側から京都国立博物館を見ると、京都国立博物館本館、平成知新館共に高さが抑えられているのが分かる。
建設工事に先駆け発掘調査が行われた。その際に方広寺の遺構が発見された。遺構は石垣の南辺基礎部分と、回廊の柱跡、そして南門跡があり、石垣は平成知新館前に再現、柱跡は印が付けられた。
建物全体を耐震構造とし、展示ケース毎にも免震装置を設置。小さい揺れを建物で、それ以上は建物と展示台で揺れを吸収する。
 展示台免震装置
免震装置にカバーがついた通常の状態

展示ケースはドイツ・グラスバウハーン社製。高い気密性能に加え、極力、展示ケースの存在を消す、ケース毎の意匠を統一し、汎用性を高める事が求められた。
環境面では、LED照明、太陽光パネルを採用。CASBEE評価Aランクの基準を満たしている。
BEMSの導入によって、建物全体のエネルギー消費量を低減している。

設計を行った谷口吉生氏は「京都国立博物館「平成知新館」設計を始めて16年が経った。博物館の設計に基本は、保存することと見せる事という相反することを両立する事。
京都国立博物館「平成知新館」は設計のほとんどは16年前に設計したもの。古くも新しくもない建築であり、どの時代でも生きて行ける建築。私の建築の特徴は、敷地の条件にいかにかかわっていくか。自然や歴史といかに関係を作って設計するかを考えて設計している。
京都国立博物館「平成知新館」では、京都らしい建築を作る事を考えたが、単に和風にするのでなく、現在の日本にふさわしい現代建築として設計した。
本館の建築はルネサンス期の建築の特徴として非常に強い対称性を持っているが、これに対し、日本的建築は非対称であり「平成知新館」では全てを非対称にしている。乳白色の硝子は間接的な光の差し込みで、障子的表現にした。直接的な表現はではないが、日本の風土文化にふさわしい建築を設計した。
内部に関しては、博物館は展示物が入って完成。これは床の間のようなもので、床の間の空間は非常に光の関係などを大切に考えられた何もない空間。そこに物が飾られる事で空間が完成する。博物館の展示も同じように、展示物が飾られて初めて生きる。と考えている。」と述べた。




2014年3月20日木曜日

花畑団地 団地再生プロジェクト

UR都市機構・花畑団地(東京都足立区)で進められている、団地再生プロジェクトの一つとして、昭和41年に建設されたボックス住棟をリノベーションが終了。一般応募に先駆け公開された。
(左記写真提供:UR都市機構)
リノベーションはデザインコンペ入賞作品を基に、一棟丸ごと改修された。
キッチン、和室3部屋の3K46㎡の構成を、リノベーションでは一部屋をルームテラスに変更、1DKと1LDKの構成となった。部屋のタイプは4種類。ルームテラスの場所は各部屋ごとに異なる。
1DKタイプは洋室とダイニングキッチンを引き戸で仕切っているので、部屋の自由度が高い。
窓には木製サッシを採用。外観のアクセントになっている。
サッシはペアガラス、玄関ドアには断熱改修を行い、省エネルギー対策もされている。
洗濯機は室内に設置されているが、室内から見えないよう収納されている。
当日は雨で日差しは無かったが、花畑団地は初期の公団住宅の為各住居との空間に余裕があり、北側の部屋でも暗いと感じる事は無かった。

募集開始(募集戸数10戸)は平成26年3月15日~3月23日まで