ポーラミュージアム アネックスにて「松井龍哉 展 花 鳥 間 -The space of flowers and birds-」開催中。
松井氏は1969年生まれ、丹下健三・都市・建築・設計研究所を経て渡仏、2001年にフラワー・ロボティクス社を設立、代表を務める。これまでにヒューマノイドロボット「PINO」はじめ数々のプロダクツのデザイン、また《ダンヒル銀座本店》の店舗設計なども手掛けている。
3.11後の日本で、これからのものづくりはどうあるべきか、導き出されたのが、来場者を迎える三次元のインスタレーション作品。「自然」という大きな世界における、 日本人とは切り離せない「花」と「鳥」をモチーフに選び、人間と環境と人工物との理想の関係を問いかける。
作品の中に数羽とまっている黒い小鳥は、青い目を光らせて動きます。花は一週間に一度、木曜の夜に全て取り替えるので、週ごとに違う作品に生まれ変わる(撮影はちょうど取り替える直前、次は白い花になるとのこと)。
2001年から2011年にかけて発表された作品の展示。
右端から、フラワーガールロボット「Posy」(2001)、航空会社スターフライヤーの機体模型(2007)、ステーショナリーブランド「trystrams」(2010-11)、KDDI「iida」、サントリーシングルモルトウイスキー山崎ギフトパッケージ(2009)など。
これらの作品コンセプトは、場内で流している松井氏のインタビューで明らかにされている。スターフライヤーの機体は過去に例が無い色=黒と白をあえてチャレンジとして用い、どこにもない航空会社を表現した等、どの話も非常に興味深い。
ありふれた街の風景の中に既に在る「マネキン」の中に、ロボットの技術を入れたという「palete」。
明日のトークイベントは既に満員御礼。
会期は10月21日(日)まで、会期中無休。開廊は11-20時(入場は19:30まで)、入場無料。
2012年9月28日金曜日
2012年9月27日木曜日
新宿東口《ビックロ》オープン初日
新宿駅東口に(株)ビックカメラと(株)ユニクロによる新型コラボ店舗「ビックロ」が本日オープンした。各社報道によれば開店前に4000人が列をなし、一時は入場規制もかかったという。
今年3月に閉店するまで、ティファニーやルイ・ヴィトンが路面にあった《新宿三越アルコット》だったが、ニュートラルな白いパネルに全面が覆われ、イメージ刷新。
「ビックロ」のトータルプロデュースは《ユニクロ銀座店》に続いて佐藤可士和氏(SAMURAI)。建築・デザインディレクションおよびインテリアデザインは片山正通氏(Wonderwall)。店員の共同ユニフォームは佐藤氏監修のもと滝沢直己氏がデザイン。
新宿通に面した3カ所のエントランスの左右壁面にはモニターが設置され、絶えずインタラクティブな映像が流れている。中村勇吾氏が手掛けた「ビックロモニター」。
頭上に取り付けられたセンサーが取り込んだ来店者の映像がモニター上に反映され、かつ「ビックロ」の赤い大小の立体ロゴが猛スピードで流れてきて、その者に絡み付く。
三越のライオンが鎮座していた反対側。
店内は大変な盛況ぶりで、1〜2Fをわずかに回遊するにとどまる。営業時間は10〜22時。
今年3月に閉店するまで、ティファニーやルイ・ヴィトンが路面にあった《新宿三越アルコット》だったが、ニュートラルな白いパネルに全面が覆われ、イメージ刷新。
「ビックロ」のトータルプロデュースは《ユニクロ銀座店》に続いて佐藤可士和氏(SAMURAI)。建築・デザインディレクションおよびインテリアデザインは片山正通氏(Wonderwall)。店員の共同ユニフォームは佐藤氏監修のもと滝沢直己氏がデザイン。
新宿通に面した3カ所のエントランスの左右壁面にはモニターが設置され、絶えずインタラクティブな映像が流れている。中村勇吾氏が手掛けた「ビックロモニター」。
頭上に取り付けられたセンサーが取り込んだ来店者の映像がモニター上に反映され、かつ「ビックロ」の赤い大小の立体ロゴが猛スピードで流れてきて、その者に絡み付く。
店内は大変な盛況ぶりで、1〜2Fをわずかに回遊するにとどまる。営業時間は10〜22時。
ラベル:
architecture,
art,
design
2012年9月26日水曜日
東京ミッドタウンにて企画展「田中一光とデザインの前後左右」始まる
東京ミッドタウン・ガーデン内の21_21 DESIGN SIGHTで始まった企画展「田中一光とデザインの前後左右」へ(画像は9/20内覧会時のもの)。
日本のグラフィック界を代表するデザイナー田中一光氏の没後10年となる今年、氏のデザイン思想とはどのようなものだったのか、どのように表現されていたかを残された作品の数々からたどる。
展覧会ディレクターは、田中氏と仕事を共にしてきた小池一子氏、会場構成およびグラフィックデザインは、田中一光デザイン室に1977年から11年在籍した廣村正彰氏。
安藤建築×田中一光の世界。B1Fの会場へ降りる階段から見下ろすと、廣村氏によるインスタレーション「His Colors」が広がっている。
豊富なカラーバリエーションをもつ色紙「タント」が壁面に(協力:竹尾)、屋外サンクンコートにかけての床には中川ケミカルの「カッティングシート」が貼られている。共に田中氏が色選定に関与した。
ギャラリー1:「田中一光 本の世界」。
田中氏が職人達と手掛けた装丁の仕事美を堪能できる第1室。実際にページを捲ることは出来ないが、中身のレイアウトも来場者に見てもらおうと、展示150点のうち一部をデジタル化し、ディスプレイ上で表示している。このほか田中氏自邸の本棚に並んでいた蔵書のうち21点を展示。
ギャラリー2「田中一光:グラフィック表現の多様性」
オリジナルポスターやグラフィックアート(版画)計68点がズラリと壁面を飾る。計10のテーブルでは、「文字、タイポグラフィーの追求―フォントの誕生へ」から「生活美学:無印良品―生活者の視点でものづくり」まで、テーマごとに作品やフィニッシュ前の校正紙などをみることが出来る。
ギャラリー2でも一部のテーブルにiPadを用意。
田中氏は企業ロゴのデザインなども数多く手掛けた。1973年からは西武流通グループ(現・セゾングループ)のアートディレクターを務め、グラフィックのみならず、店舗空間、環境デザイン、CIなど幅広く手掛け、企業のイメージ戦略をデザインの面から総合的に支えた。デザイナーとはビジュアルだけでなく、企業と消費者との関係をもデザインするのだという意識が強くあったという。
西武美術館はじめ、田中氏が手掛けた美術展のエントランスデザインほか。
能や芝居のポスターの数々。田中氏は学生時代(現:京都市立芸術大学)は演劇部に在籍、役者として舞台に立ったことも。
田中氏のデザイン思想の流れを汲み、インスピレーションを受けた作家による作品も展示。
「継ぐものたち―三宅一生+Reality Lab.」。
会期は来年1月20日(日)まで。9月29日(土)のオープニングトークは既に定員に達しているが(立ち見は可能)、ほかにも会期中、いくつかの関連プログラムを開催予定。
日本のグラフィック界を代表するデザイナー田中一光氏の没後10年となる今年、氏のデザイン思想とはどのようなものだったのか、どのように表現されていたかを残された作品の数々からたどる。
展覧会ディレクターは、田中氏と仕事を共にしてきた小池一子氏、会場構成およびグラフィックデザインは、田中一光デザイン室に1977年から11年在籍した廣村正彰氏。
安藤建築×田中一光の世界。B1Fの会場へ降りる階段から見下ろすと、廣村氏によるインスタレーション「His Colors」が広がっている。
豊富なカラーバリエーションをもつ色紙「タント」が壁面に(協力:竹尾)、屋外サンクンコートにかけての床には中川ケミカルの「カッティングシート」が貼られている。共に田中氏が色選定に関与した。
ギャラリー1:「田中一光 本の世界」。
田中氏が職人達と手掛けた装丁の仕事美を堪能できる第1室。実際にページを捲ることは出来ないが、中身のレイアウトも来場者に見てもらおうと、展示150点のうち一部をデジタル化し、ディスプレイ上で表示している。このほか田中氏自邸の本棚に並んでいた蔵書のうち21点を展示。
ギャラリー2「田中一光:グラフィック表現の多様性」
オリジナルポスターやグラフィックアート(版画)計68点がズラリと壁面を飾る。計10のテーブルでは、「文字、タイポグラフィーの追求―フォントの誕生へ」から「生活美学:無印良品―生活者の視点でものづくり」まで、テーマごとに作品やフィニッシュ前の校正紙などをみることが出来る。
ギャラリー2でも一部のテーブルにiPadを用意。
田中氏は企業ロゴのデザインなども数多く手掛けた。1973年からは西武流通グループ(現・セゾングループ)のアートディレクターを務め、グラフィックのみならず、店舗空間、環境デザイン、CIなど幅広く手掛け、企業のイメージ戦略をデザインの面から総合的に支えた。デザイナーとはビジュアルだけでなく、企業と消費者との関係をもデザインするのだという意識が強くあったという。
西武美術館はじめ、田中氏が手掛けた美術展のエントランスデザインほか。
能や芝居のポスターの数々。田中氏は学生時代(現:京都市立芸術大学)は演劇部に在籍、役者として舞台に立ったことも。
田中氏のデザイン思想の流れを汲み、インスピレーションを受けた作家による作品も展示。
「継ぐものたち―三宅一生+Reality Lab.」。
会期は来年1月20日(日)まで。9月29日(土)のオープニングトークは既に定員に達しているが(立ち見は可能)、ほかにも会期中、いくつかの関連プログラムを開催予定。
ラベル:
art,
design,
exhibition
2012年9月23日日曜日
オリエンタルカーペット展示会
絨毯(じゅうたん)の製造販売を行なっているオリエンタルカーペット(株)の展示会へ。今年は表参道から水天宮に会場を移しての開催。
来場者を迎えるのは、隈研吾氏がデザインした「ガーデンカーペット」。「KOKE」と「ISHI」の2タイプがこのほどデビュー(製品概要は後述)。
同社を代表する製品「山形緞通(だんつう)」。緞通とは人の手だけで織られる最高級の絨毯を指し、中国で敷物を指す「毯子(tan-tsu)」が転化したのが語源らしい。
会場では、伝統の手織緞通をはじめ、手差緞通(クラフトン)、タピストリ、クッション、マットなど各種製品が一堂に展示されている。チラシによれば、半額の札がついた会場限定の特販品もあり。
同社の創業は昭和10年(1935年)。これまで官公庁や公共施設、ホテルのホールや会議室の敷物や壁掛けを多数手掛けてきた。戦前には戦艦大和および武蔵の長官室などに納品したことも(画像は会場配布物より)。
熟練のカッティング技術により、文様が立体的に浮かび上がった緞通と、その上に掛けられているのは、昭和39年(1964年)にバチカン宮殿に納品した特注品のレプリカ。中央の図柄は、当時のローマ法王パウロ六世の教皇紋章。技術的なことや紋章の絵解きを会場スタッフに教わり、いろいろと勉強になった。
壁側に掛かっているデザインラグは、奥山清行氏が主宰するモノづくりプロジェクト山形工房で展開している手刺緞通のシリーズ。
左:新作「INAHO」は風になびく黄金色の稲穂をイメージ。右の青いラグは、人気が高いという「UMI」。揺らぐ海面、その一瞬をカメラで切り取ったような。
来場者を迎えるのは、隈研吾氏がデザインした「ガーデンカーペット」。「KOKE」と「ISHI」の2タイプがこのほどデビュー(製品概要は後述)。
同社を代表する製品「山形緞通(だんつう)」。緞通とは人の手だけで織られる最高級の絨毯を指し、中国で敷物を指す「毯子(tan-tsu)」が転化したのが語源らしい。
会場では、伝統の手織緞通をはじめ、手差緞通(クラフトン)、タピストリ、クッション、マットなど各種製品が一堂に展示されている。チラシによれば、半額の札がついた会場限定の特販品もあり。
同社の創業は昭和10年(1935年)。これまで官公庁や公共施設、ホテルのホールや会議室の敷物や壁掛けを多数手掛けてきた。戦前には戦艦大和および武蔵の長官室などに納品したことも(画像は会場配布物より)。
熟練のカッティング技術により、文様が立体的に浮かび上がった緞通と、その上に掛けられているのは、昭和39年(1964年)にバチカン宮殿に納品した特注品のレプリカ。中央の図柄は、当時のローマ法王パウロ六世の教皇紋章。技術的なことや紋章の絵解きを会場スタッフに教わり、いろいろと勉強になった。
壁側に掛かっているデザインラグは、奥山清行氏が主宰するモノづくりプロジェクト山形工房で展開している手刺緞通のシリーズ。
左:新作「INAHO」は風になびく黄金色の稲穂をイメージ。右の青いラグは、人気が高いという「UMI」。揺らぐ海面、その一瞬をカメラで切り取ったような。
冒頭でふれた「ガーデンカーペット」は、隈研吾氏とのコラボレーションで誕生した最新の手刺緞通。2タイプとも日本的な「自然美」を意識してデザインされた。
モスグリーンの「KOKE」は、苔むした日本庭園をイメージ。羊毛に加えてシルク糸を多用しているので、細かな水泡がプチプチと弾ける音が指の間から聞こえてくるような瑞々しい触感がある。また撮影画像では「KOKE」の下になって一部しか見えていないが、ホワイトグレーの「ISHI」は、枯山水の砂紋を表現したもの(会場展示物は売約済み)。共に10月発売予定。
「日本の自然の豊かさは、色でもなく質感そのものの中にあるということを、この質感豊かなカーペットの中に発見して欲しい」(隈研吾氏からのメッセージ)。
会期は9/22(土)、23(日)の2日間のみ、10〜18時オープン。会場はT-CAT(東京シティターミナル)1F。入場自由。
2012年9月22日土曜日
丹青社による「人づくりプロジェクト SHELF展 2012」
六本木のアクシスギャラリーにて、3日限りの展覧会「人づくりプロジェクト SHELF展 2012 知恵を集めてカタチにするチカラ」へ。
本展主催丹青社が、新入社員研修の一環として2009年から取り組んでいる実践型研修において、外部の複数のデザイナーおよび協力会社と共に制作した成果物9点の展示。会場構成も同社による。
丹青社の新入社員17名が基本2名1組となり、後述する社内外のデザイナー9組が提案したSHELF(シェルフ)を、制作協力会社の協力のもと、約3ヶ月の間につくり上げた、その成果。展示は昨年に続く2回め。
小林幹也(MIKIYA KOBAYASHI INC.)「風景に溶け込むこと」
手前:寺田尚樹(テラダデザイン一級建築士事務所)「変化する楽しみ」
右奥:長岡勉(POINT)「なんでも受け入れる場所」
寺田氏の作品は、透明アクリルのボックスの上と下の面に小さな磁石が25個付いていて、1つずつ着脱でき、また面をずらしてつけかえることも可能。寺田さん謹製のプラモデルを収納するのにもってこい。
長岡作品の特筆すべきは、小口処理の美しさ。木目を見せるところと見せないところ、あらわれる木目の縦・横方向などが全て設計図面で指示している。
DRILL DESIGN(林裕輔、安西葉子)「シンプルな組み合わせと気持ち良いスタイル」
おさえの金属バーの加工および塗装に苦労したという作品。
丹青社社内デザイナー/永原健太郎「遊びやモノの居場所」
子どものために考案された家型のシェルフ。身体が大きくなってドアから出入りして遊べなくなったら、内側を収納棚として使える。
藤森泰司(藤森泰司アトリエ)「行儀が良い佇まい」
引き出しの付いたスタック式のチェア。四脚のプロポーションがとても細く、加工が甘いと反りが生じて重ねられなくなってしまうという。
橋本潤(Junio Design)「組み合わせて広がっていく期待感」
鈴野浩一(トラフ建築設計事務所)「シャープな外観に機能がある驚き」
目黒クラスカでの「トラフのコローロ展」にも出展された壁付け棚。紐がついた専用把っ手がないと開けられない(8/11ブログ掲載)。
芦沢啓治(芦沢啓治建築設計事務所)「興味の最大公約数」
アイデアがカタチとなり、美しいプロポーションをなすその陰には、シロウト目にはわからないが、極めて高い技術力が駆使されている(協力会社は画像参照)。
限られた予算と時間の中で具現化するには、デザイナーと制作会社の間に立った丹青社の新入社員が、デザイナーが表現したいものは何かをきちんと理解し、橋渡しを行なわねばならない。これに勝る経験はないと、この「人づくりプロジェクト」に情熱を注ぐ同社の人材企画室長松村氏は胸を張る。三者にとって刺激となるプロジェクトである。
展覧会会期は9/20(木)~9/22(土)、入場無料。
本展主催丹青社が、新入社員研修の一環として2009年から取り組んでいる実践型研修において、外部の複数のデザイナーおよび協力会社と共に制作した成果物9点の展示。会場構成も同社による。
丹青社の新入社員17名が基本2名1組となり、後述する社内外のデザイナー9組が提案したSHELF(シェルフ)を、制作協力会社の協力のもと、約3ヶ月の間につくり上げた、その成果。展示は昨年に続く2回め。
小林幹也(MIKIYA KOBAYASHI INC.)「風景に溶け込むこと」
手前:寺田尚樹(テラダデザイン一級建築士事務所)「変化する楽しみ」
右奥:長岡勉(POINT)「なんでも受け入れる場所」
寺田氏の作品は、透明アクリルのボックスの上と下の面に小さな磁石が25個付いていて、1つずつ着脱でき、また面をずらしてつけかえることも可能。寺田さん謹製のプラモデルを収納するのにもってこい。
長岡作品の特筆すべきは、小口処理の美しさ。木目を見せるところと見せないところ、あらわれる木目の縦・横方向などが全て設計図面で指示している。
DRILL DESIGN(林裕輔、安西葉子)「シンプルな組み合わせと気持ち良いスタイル」
おさえの金属バーの加工および塗装に苦労したという作品。
丹青社社内デザイナー/永原健太郎「遊びやモノの居場所」
子どものために考案された家型のシェルフ。身体が大きくなってドアから出入りして遊べなくなったら、内側を収納棚として使える。
藤森泰司(藤森泰司アトリエ)「行儀が良い佇まい」
引き出しの付いたスタック式のチェア。四脚のプロポーションがとても細く、加工が甘いと反りが生じて重ねられなくなってしまうという。
橋本潤(Junio Design)「組み合わせて広がっていく期待感」
鈴野浩一(トラフ建築設計事務所)「シャープな外観に機能がある驚き」
目黒クラスカでの「トラフのコローロ展」にも出展された壁付け棚。紐がついた専用把っ手がないと開けられない(8/11ブログ掲載)。
芦沢啓治(芦沢啓治建築設計事務所)「興味の最大公約数」
アイデアがカタチとなり、美しいプロポーションをなすその陰には、シロウト目にはわからないが、極めて高い技術力が駆使されている(協力会社は画像参照)。
限られた予算と時間の中で具現化するには、デザイナーと制作会社の間に立った丹青社の新入社員が、デザイナーが表現したいものは何かをきちんと理解し、橋渡しを行なわねばならない。これに勝る経験はないと、この「人づくりプロジェクト」に情熱を注ぐ同社の人材企画室長松村氏は胸を張る。三者にとって刺激となるプロジェクトである。
展覧会会期は9/20(木)~9/22(土)、入場無料。
ラベル:
design,
exhibition
2012年9月20日木曜日
くまもとアートポリス25周年
1988年から継続的に実施されてきたくまもとアートポリスプロジェクト。3代目コミッショナーの伊東豊雄氏、アドバイザー桂英昭氏、末廣香織氏、曽我部昌史氏、プロジェクトに参加した山本理顕氏、西沢立衞氏によるシンポジウム「アートポリス25年を振り返って」が伊東建築塾にて行われた。(9月8日)
伊東氏は「空間のデザインから時間のデザインへと変化していくのではないか。空間を創るのが建築家の仕事だが、どういう風に創っていって、どういう風に育てていくか。時間の長いところでどうやって建築家が関わっていくか、これがこれから重要になっていくのではないか。建築家の役割が変わっていくだろう」と述べた。
10月からくまもとアートポリス建築展2012「みんなで考える」が開催される。
ラベル:
イベント
2012年9月19日水曜日
ニコ設計室《尾曲さんの家》オープンハウス
ニコ設計室(代表西久保毅人)による《尾曲さんの家》オープンハウスへ。
構造設計:桑子亮/桑子建築設計事務所
施工:山懸建設(株)
現場は墨田区内の住宅街、角地でかつ裏の道にも2メートルほど接した珍しい三面接道の敷地(54平米)。「街の中の抜け道のような、シキチとしての風通しや見通しの良い感じをそのまま生かした家になるよう心掛けた」とのこと。
外装は1階が杉板、2階はジョリパッド。
1階の北西側壁面はカーブを描き、地面に砂利を敷いて「通り庭」とした。カーブの途中に玄関がある。砂利道以外は施主の要望で土を残して小庭を設け、枝が広がらず真っ直ぐのびるソヨゴをシンボリックツリーに、ほか複数の植物を選んで植えている。通り雨が降って濡れた土の色に緑が映えて鮮やか。
玄関を入ったところ。奥の階段まで土間になっている。右側のウッドの壁面は靴箱などの収納スペース。左側がトイレ、バスなどの水まわり。
2ヶ月前に見学した《三輪さんの家》でもそうだったが、ニコ設計室の住宅作品は色彩がとても美しい。今年の『コンフォルト』4月号で「スパイスの効いた壁」と評されていたが、まさにぴったり。設計者の西久保さんにとって「色は素材のひとつ」。
小さな縁側のある1階和室。右手は引き戸で仕切られたクローゼット。
1階浴室と洗面室。
1階トイレ。
1階土間がずいぶん明るいと思ったら、吹き抜けになっていた。会場配布物によれば「光井戸」とのこと。
1階から2階へ続く階段(後述・2階からの見おろし)。
2階、階段を昇りきったところ。カウンターデスクと椅子がふたつ。子供の勉強机やちょっとした作業スペースに。フレシキブルボードの床が続く先、奥にキッチンが見える。
キッチンカウンターはステンレス。対して、人の手が触れるデスクやテーブルは温かみのあるウッド仕様。
ニコ設計室のオープンハウスでは、家の中ができたてほやほやのガランとした空間ではなく、そこでの生活がイメージできるような小物類を毎回さりげなく配している。
キッチンからリビングにかけて大きなカウンターテーブルと、4つのペンダントライト(オーデリック社製)。キッチンとの境にできた段差は、人がよく通る側(画像右側)にはステップを設け、反対側はそのままにして大きめの引き出し収納に。
光井戸。桟の上に強化ガラスをわたした床には段差があるので光だけでなく風も通す。また家のあちこちに小さな小窓が開けられており、この日はまだまだ残暑が厳しかったが、キッチン上の冷蔵と自然風だけでとても涼しかった。
光井戸の横にもデスクが(5枚前の階段部分の画像は此処から1階を見下ろして撮ったもの)。
リビング見返り。左奥に上階に続く階段がみえる。 床はナラ材のフローリング。
上に上がる前にカウンターで一休み。すると窓の外に《東京スカイツリー》が! 画像では小さく写っているが、けっこう近い。
2階から上階へ。左側の壁は珪砂にAEPをまぜ、刷毛による手仕事を感じさせる仕上げ。
屋上テラスに続く右側の開口から光が差し込んでいる。
北側斜線ギリギリで設けた空間はロフトに。
テラスからの眺め。もしや夏の隅田川の花火も望めるのではなかろうか。
この日の見学者は、これまでの施主とこれから施主になるかもしれない方、そして近所の子供たち。あの子らはこれからきっと、通り庭を含むこの家の空間をフルに使いこなすことだろう。オトナになった身には羨ましい限りである。
構造設計:桑子亮/桑子建築設計事務所
施工:山懸建設(株)
現場は墨田区内の住宅街、角地でかつ裏の道にも2メートルほど接した珍しい三面接道の敷地(54平米)。「街の中の抜け道のような、シキチとしての風通しや見通しの良い感じをそのまま生かした家になるよう心掛けた」とのこと。
外装は1階が杉板、2階はジョリパッド。
1階の北西側壁面はカーブを描き、地面に砂利を敷いて「通り庭」とした。カーブの途中に玄関がある。砂利道以外は施主の要望で土を残して小庭を設け、枝が広がらず真っ直ぐのびるソヨゴをシンボリックツリーに、ほか複数の植物を選んで植えている。通り雨が降って濡れた土の色に緑が映えて鮮やか。
玄関を入ったところ。奥の階段まで土間になっている。右側のウッドの壁面は靴箱などの収納スペース。左側がトイレ、バスなどの水まわり。
2ヶ月前に見学した《三輪さんの家》でもそうだったが、ニコ設計室の住宅作品は色彩がとても美しい。今年の『コンフォルト』4月号で「スパイスの効いた壁」と評されていたが、まさにぴったり。設計者の西久保さんにとって「色は素材のひとつ」。
小さな縁側のある1階和室。右手は引き戸で仕切られたクローゼット。
1階浴室と洗面室。
1階トイレ。
1階土間がずいぶん明るいと思ったら、吹き抜けになっていた。会場配布物によれば「光井戸」とのこと。
1階から2階へ続く階段(後述・2階からの見おろし)。
2階、階段を昇りきったところ。カウンターデスクと椅子がふたつ。子供の勉強机やちょっとした作業スペースに。フレシキブルボードの床が続く先、奥にキッチンが見える。
キッチンカウンターはステンレス。対して、人の手が触れるデスクやテーブルは温かみのあるウッド仕様。
ニコ設計室のオープンハウスでは、家の中ができたてほやほやのガランとした空間ではなく、そこでの生活がイメージできるような小物類を毎回さりげなく配している。
キッチンからリビングにかけて大きなカウンターテーブルと、4つのペンダントライト(オーデリック社製)。キッチンとの境にできた段差は、人がよく通る側(画像右側)にはステップを設け、反対側はそのままにして大きめの引き出し収納に。
光井戸。桟の上に強化ガラスをわたした床には段差があるので光だけでなく風も通す。また家のあちこちに小さな小窓が開けられており、この日はまだまだ残暑が厳しかったが、キッチン上の冷蔵と自然風だけでとても涼しかった。
光井戸の横にもデスクが(5枚前の階段部分の画像は此処から1階を見下ろして撮ったもの)。
リビング見返り。左奥に上階に続く階段がみえる。 床はナラ材のフローリング。
上に上がる前にカウンターで一休み。すると窓の外に《東京スカイツリー》が! 画像では小さく写っているが、けっこう近い。
2階から上階へ。左側の壁は珪砂にAEPをまぜ、刷毛による手仕事を感じさせる仕上げ。
屋上テラスに続く右側の開口から光が差し込んでいる。
北側斜線ギリギリで設けた空間はロフトに。
テラスからの眺め。もしや夏の隅田川の花火も望めるのではなかろうか。
この日の見学者は、これまでの施主とこれから施主になるかもしれない方、そして近所の子供たち。あの子らはこれからきっと、通り庭を含むこの家の空間をフルに使いこなすことだろう。オトナになった身には羨ましい限りである。
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