2012年6月30日土曜日

写大ギャラリーにて「本城直季写真展 diorama」開催中

東京工芸大学・中野キャンパス内芸術情報館2Fにある写大ギャラリーにて「本城直季写真展 diorama」が開催されている。作家(本城直季)は2004年に同大学大学院を修了した卒業生。
4×5判のカメラ(+アオリ)で撮影、2006年度の木村伊兵衛写真賞を受賞したことで知られる「small planet」シリーズから6点、「Light House」シリーズ29点、計35点を対比的に配置した会場構成。
今日は『Newsweek』フォトディレクターの片岡英子氏とのトークイベントが開催され、昨年6月に東北の被災地の上を飛んで収めた作品や、商業誌に連載した舞台作品などもスライドで披露された。
今回出展した2つのシリーズについて、在学中から並行して撮っていたそうで、校内の実習用備品のトヨフィールド等を使っていた、という零れ話に場内思わず笑う。その若かりし頃の作品も出展中。
会期は8/5(日)まで、開廊時間は10-19時、会期中無休、入場無料。

2012年6月29日金曜日

都美館グランドオープン記念展「マウリッツハイス美術館展」

上野の東京都美術館がいよいよ明日グランドオープン。リニューアルオープン記念として「マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝」が始まる。前日にプレスビューが開催された。

マウリッツハイス美術館は元はハーグ市中心部に17世紀に建てられた個人邸。変遷を経て1822年に美術館としての歴史が始まるのだが、いかんせん手狭であり、運営面でも数々の難儀があった。対面の建物が空いたのを機に、2棟を地下で結んで増築することに。今年から2014年までクローズ、オランダ人建築家ハンス・ファン・ヘースウェイクによる「未来に向けたマウリッツハイス建設計画」が現在進行中。
本展では目玉となっているフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のほか、ヴァン・ダイクやレンブラントの肖像画、「フランダースの犬」に出て来るアントワープ大聖堂内の絵画の下絵=ルーベンス「聖母被昇天の下絵」など、名画48点が出品されている。
展示は企画棟の3フロアにて、第1から第6の章立てに。LBFが第1章:美術館の歴史、以降の章:風景画(画像)、歴史画(物語画)と続く。

エスカレーターを昇った1Fが第4章:肖像画と「トローニー」。「真珠の耳飾りの少女」はフロアの半分近くを専有、映画館かTDLでみるような順番待ちの動線が既に考案されていた。
2Fの生物画と風俗画も見応えあり。
同展専用ミュージアムショップは2Fの最後に。さすがに「真珠の耳飾りの少女」関連グッズが多い。青いターバンを巻いた限定ミッフイーも。
ナノブロック「マウリッツハイス美術館」や「ミッフィーとオランダの街並」もショップにて販売。
オランダデザイン(Dutch Design)コーナーもあり、なんとGazelle社の自転車まであった(¥84,900)。チェーンキーや空気入れまで並んだ光景は流石は自転車先進国。

会場である東京都美術館も2010年から閉館し、2年間におよぶ改修工事を行なった(参考:おやすみ都美館イベント)。エスカレータに乗る際、小窓の向こうの眺めに、1975年竣工の建物(前川國男設計)なのだと改めて実感。

同館ギャラリーA・Bでは「Arts&Life:生きるための家」展も7/15(日)より開催予定。「生きるための家」をテーマにこれからの住宅についての作品を募集、既に審査と入賞者が決定している。最優秀賞受賞作品が会場に原寸大で展示されるほか、審査委員と入賞者によるオープニングレクチャーおよびトークイベントも開催予定。

2012年6月28日木曜日

プリズミックギャラリーにて「LOUD/SILENT 太田拓実写真展」始まる

南青山4丁目のプリズミックギャラリーで、リニューアル後初となる展覧会「LOUD/SILENT 太田拓実写真展」が開催されている。

同ギャラリーはこれまでビルの5階にあったが、1階のフロアが空いたのを機会に、(株)プリズミックの事務所ごと移転した。内装は川辺直哉建築設計事務所が担当。

通りに面したガラス壁面は手をつけずにそのまま。ギャラリーであり、来客との商談も行なうスペースも必要な「企業の顔」としての空間をどうデザインするかが課題となった。

キーワードとなったのは、人が集ってある種の華やかさがあったり、逆に静かな場面もある「教会」のようなイメージ。昼夜、ガラスを通して中をみた時に、人がそこに居ても居なくても、ある一定の質に空間が保たれるようデザインしたという(オープニング時、川辺直哉さん談)。

内部は殆ど手を加えず、集成材を用いたパーテーション、事務所の扉、腰高の棚と、映写用プロジェクターを新たに設けた程度。天井はむき出しにして白く塗装した。 

集成材は建築現場の足場に使われるものを層にしている(棚は上から下までボルトを通して固定)。教会の擬似的なイメージを表現したとのこと。四角く開けたスペースには作品リストが収まっていた。
扉の奥が事務所。
BFは通常は商談やミーティングで使用し、今回のようなレセプションにも対応できるスペース。床は同じ集成材で統一。

外から内部を眺めると、集成材の壁、扉、棚が順番に現われてくるように配置している。


今回の出展作品は、太田さんが建築作品などの撮影の合間にコツコツと撮りためてきたもの。これらの作品と太田さんの人となりをよく知る川辺さんが、質感を重視したこのギャラリーのオープニングにふさわしい作家として推薦、実現した。

出展作品はガラス窓の作品「皆既日食中の笠利付近」を含め計14点。うち2点にH-2ロケットの打ち上げ写真が含まれている。太田さんに訊くと、夏に花火大会を観に行くような感覚で、これまで何度も観に行って撮影しているとのこと。
室内が透けて見える「皆既日食中の笠利付近」は、中川ケミカルの無色透明なインクジェット対応フィルム「001A」で表現されている。過去に同社CSデザインセンターで開催された企画展「透きとおる風景」に続くもの。

会期は7/31(火)まで、日曜・祝日定休。開廊時間は10時~18時、入場無料。

2012年6月27日水曜日

CSデザインセンター「空間見本帳Cutting Sheet展」開催中

東日本橋にある中川ケミカルのショールームCSデザインセンターにて企画展「空間見本帳 Cutting Sheet展」が開催されている。 同社の製品カッティングシート(CS)の特性をわかり易く可視化しようと、CSを最もよく解する同社デザイナーによるショールーム全体を使った展示である。

エレベーターを3Fで降りると、足元から受付カウンターを越えて奥へと伸びていく色の帯が出迎えてくれる。
表面に凹凸がなければ、壁、床、天井どこにでも貼ることが出来るカッティングシート。特にガラスとの相性が良く、デザイン次第でさまざまな表情をつくりだす。

大判のガラスパネルの両面に、上から下まで太さを微妙に変えて貼った例。

細い棒が並んでいるかのように立体的に見えるが、色の異なるCSを表と裏から2~10ミリで太さを変えて貼った平面作品。
白い棚の底にだけCSを貼り、その面にスポット照明をあてた例。ほかの4面には一切手を加えていないが、色がほんのりと浮かんで見える。
足元の光の帯は床、キャビネット、柱、窓ガラスへ、色相を変えて進んで行く。

製品について説明したガラスの仕切り。白をバックに不透過のグレー文字を貼り込んだ場合とインクジェットでガラスに出力した場合。文字のシャープさに微妙な違いが出るのがわかる。同ショールームではカラーサンプルを見ながら商談も行なわれるので、これなら仕上がりをイメージしやすい。透明ガラス上での比較もあり(照明で文字の影が生まれ、二重になって見える)。
3日ほどで終わったという展示設営。同社スタッフの細やかな職人芸を散見。
同展で使用されているのはCSの基本色と位置づけている標準の165色。 45年前はたった7色でのスタートだったとのこと。

会期は9月21日(金)まで、土日・祝日および8月13日(月)~15日(水)は休館。開館は10:30~18:30、入場無料。

2012年6月26日火曜日

ギャラリーヨルカにてRARI YOSHIO EXHIBITION「Plante.」開催中

東日本橋のMATERIO base.1階ギャラリーヨルカにて、RARI YOSHIO EXHIBITION「Plante.」開催中。
那須在住の作家RARI YOSHIOさんの個展(ブログはこちら)。自邸の庭で育てた植物や、タンポポなど庭のすみに咲いていた花たちが、作家の手で切り取られ、日に干され、額やガラス瓶におさめられている。
タンポポは綿毛になる前の花の状態で切り落としても、残った部分だけで種をつけた綿毛になるという。その不思議さ、生命力の輝きを、できる限り「生かして」あげようという想いが強くなるのだそうだ。

一度は枯れて「命を失ったもの」=わずかばかりの命であった筈の草花が、作家のRARIさんの手を経て、新たに生まれ変わり、ずっと永遠を生きる。
一輪挿しの小さな試験管がポケットに入った白い布バック(画像奥:壁に掛ければそのままインテリアになる)や、RARIさんのイラストが描かれたハガキなど、作品の一部は会期中、会場で販売されている。

展覧会は夏至の日にあわせ6/21(木)にスタート、7/1(日)まで。開廊時間は12~19時(最終日は18時終了)、入場無料。

2012年6月25日月曜日

「みんなの家・かだって」オープニング

6月23日、東日本大震災で多大な被害を受けた岩手県釜石市にて、帰心の会による「みんなの家・かだって」オープニングが行われた。(かだって・釜石の方言で「一緒にやりませんか。一緒にやろう。」という意味。)
このみんなの家は釜石市商店街復興の為、地元NPO@リアスと帰心の会が計画、伊東事務所・伊東塾メンバーが設計を行った。

設計を行った伊東豊雄氏は「みんなが力を合わせ、ここから新しい釜石が、草木から芽が出てくるような力になってくれればいい」と述べた。
住民代表の西条佳泰氏は「市民レベルの集会場の確保が難しく、この度、誰もが集えるみんなの家が出来たことは嬉しい。
ここで楽しみやきっかけと出会い、語り語らい、人と人とのふれあいを通して、人と人とのつながりを育み、そこから人と地域とのつながり、この地域で生きることへの誇りにつながっていけばと思う。
このような自然体で暖かく素晴らしい空間を通して生きることの意味を、生かされている感謝を、ふるさとの尊さと、絆の大切さを皆と楽しみながら築いて行きたい。」と述べた。


釜石にはもう一つ、帰心の会の山本理顕氏が設計、5月10日竣工したみんなの家が平田第6仮設団地内にある。ここは住民有志によって運営されており、昼はカフェ、夜は居酒屋になる。
屋根がテントで出来ているので、昼間は電気を付けなくとも明るい。建物中央には囲炉裏を配置。鉄骨柱が煙突を兼ねる5月10日の竣工から1ヶ月で1000人の来場があった。




みんなの家からほど近い根浜海岸にて、宝来館「星めぐりひろば」オープニングが23日に開催された。宮本佳明建築設計事務所設計。
津波で流されずに残った基礎に接木するようにウッドデッキを配置。中央に大きなコンクリート性テーブルを配置している。

2012年6月24日日曜日

伊勢丹新宿店のショーウィンドウが美しい

伊勢丹新宿店のショーウィンドウ。マネキンの背景は動物の骨かと思ったら、なんと植物の種子の拡大画像。大迫力。あらためて見ると、ものすごいカタチをしている。

※夜間の画像も併せて追加掲出(撮影日:2012.6.28)。4日経ったらマネキンが衣装変えしておりました。

「SEASON IN」と題した同店の秋冬コレクションのキャンペーンで、"実りの秋"とひっかけている(参考:伊勢丹本館ショーウィンドウサイトでは夜間の画像がひとつひとつ表示され、じっくり眺められる)。梅雨明けも夏のSALEもこれからだというのに、百貨店では早や秋の気配。


ガラス面の隅にはそれぞれ種子の解説が書かれていて勉強になる。
種子の所蔵元は大阪市立自然史博物館。解説文の下の画像はINAX BOOKLET『種子のデザイン 旅するかたち SEED DESIGN』(LIXIL出版、2011年9月刊行)の表紙。
「ライオンゴロシ」などとオソロシイ名前をもつ、アフリカのゴマ科の実。モニターで流れているのは立体。

マンモスの牙のような「ツノゴマ」のアップ。別名「悪魔の爪」または「旅人泣かせ」。

「オオオナモミ」は日本でいうところの「ひっつきむし」。面ファスナー(マジックテープ)の原型になったそうな。

背景は「カラスノエンドウ」の画像。
対面のビルのネオンが映り込んでしまうのはご容赦のほど。


これら種子の撮影は佐治康生氏(参照元:LIXILギャラリーニュースリリースPDF)。LIXILニュースリリースにも夜間のウィンドウ写真が数点あり。

展示期間は7/17(火)まで。新宿伊勢丹メンズ館と日本橋三越のウィンドウでも開催中。
ちなみに日本橋三越の中央通り沿いのウィンドウはこんな感じでデザインがまた違う。
モチーフの植物は「ウマセンナ」。

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