2019年5月30日木曜日

中山英之「中山英之展 , and then」内覧会

TOTOギャラリー・間にて2019年5月23日(木)から開催中の中山英之の展覧会「中山英之展 , and then」へ。

代表作の一つ「岡田邸」はO邸で発表していたが今回施主の名前が初めて公表された

人間・時間・空間それぞれの間合いという、日本特有の概念を表象する「間」の一字を名称とした「TOTOギャラリー・間(ま)」は、社会貢献活動の一環としてTOTOが運営する、建築とデザインの専門ギャラリー。
1985(昭和60)年10月の開設以来、国内外の建築家やデザイナーの個展にこだわり続け、今回、独自の繊細な作風で注目を集めている中山英之氏の展覧会「中山英之展 , and then」を開催。

内覧会当日は中山から20分間の趣旨説明が行われた後、実際に展示を見て回る20分間の会場ツアーが行われた。


本展ではギャラリー全体がミニシアターとなり、中山氏ではない6人の監督が今回のために撮り下ろした短編映画6作品を上映。(5作品の予定が急遽1本追加されたのは展覧会開催前日だそう)
ロビーに見立てた展示室には、映画のメイキングや、撮影された建築を紹介するためのドローイング、模型などが置かれている。

4階で6本の映画が上映される
3階ロビーにあるタイムテーブル
全6作品観るには1時間かかる
中山氏は1972年生まれで2000年に東京藝術大学大学院を修了しているが、学生でない空白の時間を数年過ごしている。
「通知表に1と2が並ぶような高校生で、ほとんど映画を見たことがない、本も読まない、好きな音楽もない、美術になんて全く興味がなかった。とある建築のギャラリーであったザハ・ハディドの展覧会で建築と出会い、色々な文化に興味を持つようになった。建築を知ることは世界が一つ始まることだった」とバックボーンを語り、「手を動かすのは早くない。そんな高校時代を過ごしたせいもあり作品は少ない」と話す氏は本展を開催するのが「怖かった」と胸の内を明かす。

「どんな展示にするのかを考えたとき、自分の世界観だけを展示し思想を伝える形は僕たちには早すぎる。僕が影響を受けた周りの出来事や文化を伝え、これから建築を学ぶ学生や建築の実務を行う者、建築を愛す方、建築に興味がない方が、ここで映画を見たり本を読んだりすることでどこか響くような場所づくりをしたい」という。
また、「ギャラリー・間のギャラリーをシネにするとシネ・間(シネマ)になるダジャレを思いついた」とし映画館にするコンセプトを膨らませていった。

本展は4階で上映される映画がメインになるが、ここでは3階ロビーに展示される模型中心に紹介する。

「岡田邸」(2009)
当時3人だった家族のための住宅。
今は5人が暮らしていて想定していなかった設計のため「カオス」な使われ方をしている。
映像にはその様子が隠されることなく映っている。

「2004」(2006)
氏の最初のプロジェクト。
施主が変わり、建築のそれからの時間「, and then」を撮影することができないため展示のリストから外れていたが、約10年前の卒業制作の展覧会で出会ったアーティストの協力のもとアニメーションとスライドショーによって映像化された。


「弦と弧」(2017)
2階建ての大きさに、かたちがばらばらな10層の平面が重なった住居件仕事場。
「映画全作品が4:3の画面で見ているのは退屈してしまうし、空間体験として建築家が参加するには」とリコーとの共同でカメラを開発。上下するカメラが朝から晩までを記録している。


「家と道」(2013)
未発表だった作品で、本展初公開。
映像は4台のカメラを同時に撮影している。映像は1台ずつ再生され、4回繰り返される。最後に4台同時に再生されるとき、音楽が1台ずつ違うことが分かる。4重奏となる設計。

「mitosaya 薬草園蒸留所」(2018)
人の来なくなってしまった薬草園を、果物と薬草を使った蒸留所に生まれ変わらせる計画。施主が頭につけたGoProで一人称目線でものを作る様子を伝える。

「かみのいし」
4階を映画館、3階をロビーにしたときテラスをどうするか。
氏は、もともとこの場所にあったおおきな岩へのオマージュとして石をつくることを思いつき、以前砂山太一氏との共同プロジェクトであった「かみのいし」の展開図を拡大出力し「きのいし」を置くことになった。
4階と3階を繋ぐプロジェクトとして映像を作成し、開催前日に急遽映画に加わった。

会場構成は「線形ではなくランダムで、ちょっとした思い付きから始まるエキシビジョンを許容できる余白をもった」中山事務所の設計プロセスと同じように考えられている。それは時間軸でも建築の機能でグループ分けされたわけでもない。「どこに何をおいてもいい」というフォーマットだけ決めたという。

客観的な視点で自身の建築と向きあうユニークな視点に裏打ちされた、中山氏の「思想」と「実験」を提示する本展は8月4日(日)まで。

会期中記念トークイベントが開催予定で、氏のおすすめは6月28日(金)にある安藤桃子氏(映画監督)と※ビデオ出演、7月5日(金)有坂塁氏(キノ・イグルー主催)を招いた映画観賞会。※安藤桃子氏ご本人のギャラリー来館は、621日。

TOTO出版より刊行される『建築のそれからにまつわる5本の映画 , and then: 5 films of 5 architectures』も要チェック。
詳細はこちら

2019年5月29日水曜日

「Wandering Wonder-ここが学ぶ場-」内覧会

寺田倉庫が運営する建築倉庫ミュージアムにて5月22日(水)から開催中の「Wandering Wonder-ここが学ぶ場-」内覧会へ。

自身のスマホで館内のQRコードを読み込み、全作品日本語と英語の音声ガイドが利用できる

「Wander」=さまよう、「Wonder」=驚き、をタイトルに据えた本展は、建築空間をフィルターに誰もが自由に歩き回り、驚きと出会うことをコンセプトとして企画された。

教育施設、生涯学習施設の枠にとどまらず、福祉施設、体験型学習施設などを含め、誰もが好奇心をもって訪れ、学びや育ちの場として計画された建築作品を14組の建築家による18作品21点の建築模型と、写真などの関連資料を通じて紹介する。

見どころの一つとして、本展のために特別制作された西田司+一色ヒロタカ+勝邦義+岩崎修/オンデザインによる「モリウミアス」(2015)とブルースタジオによる「まちのこども園 代々木公園」(2017)の模型がある。

西田司+一色ヒロタカ+勝邦義+岩崎修/オンデザイン「モリウミアス」(2015)

ブルースタジオ「まちのこども園 代々木公園」(2017)

また、内部が一般公開されていない建築物について一部の作品では内部の画像をディスプレイ展示している。

川原田康子+比嘉武彦|kw+hg アーキテクツ「ひと・まち・情報 創造館 武蔵野プレイス」(2011)

長坂大 東畑建築事務所 Méga「KYOTO Design Lab」(2017)

広いフィールドで、場を創るひとがいて、場を活かすひとがいる。広いフィールドで誰もが自由に歩き回り、驚きと出会い、遊びながら探求してほしい。そんな思いが込められたSuperorganismのOronoの原画「Trying to be Everything」も展示されている。


6/22に志茂田景樹氏登壇イベント、6/23に出展作家の講演会が開催される。

タイトル:令和は創造力が立役者になる! 〜みんな自分の個性を知って楽しく磨こう〜
登 壇 者:志茂田 景樹
日  時:2019622日(土)14:0015:3013:30受付開始)
会  場:寺田倉庫 TERRATORIA(〒140-0002 東京都品川区東品川 2-6-10
料  金:一般3,000円、大学生/専門学生 2,000円、高校生以下 1,000
(当日有効のミュージアム入館チケット付)

1
)講演会
日  時:2019 6 23 日(日)14:0016:30(受付開始13:30
場  所:寺田倉庫 TERRATORIA
講 演:赤松 佳珠子|シーラカンスアンドアソシエイツ 「地域と学びの場のアクティビティ」
講 演:比嘉 武彦|kw+hg アーキテクツ 「武蔵野プレイスはなぜまるいのか」
申  込:https://www.e-tix.jp/archi-depot/event.html#1906023
2
)企画担当による鑑賞サポート「おしゃべりナイト」
日  時: 626日までの毎週水曜日18:0018:306回限定)
場  所:建築倉庫ミュージアム展示室
B  


また、夏休み期間には親子参加が可能なものを含む様々な関連イベントを開催予定。
会期は9月1日(日)まで。
詳細はこちらを参考のこと。



展示室Aではガウディをはかる – GAUDI QUEST –」も同時開催中で一緒に観覧できる。

2019年5月28日火曜日

6/1リニューアルオープン、ハンスグローエジャパン ショールーム

天王洲にあるハンスグローエジャパンのショールームが6/1にリニューアルオープンする。約2倍に増床し、同社のもつ2つのブランド「ハンスグローエ」と「アクサ―」の世界観を体感し、様々な製品を実際に通水して体験できる。新カタログも発刊。
6/1のグランドオープンに先駆け、先日関係者向けの内覧会が行われた。
「アクサーマイエディション」
ボディとプレートを組み合せてオリジナルデザインを楽しめる洗面水栓。
 通水が出来るコーナー。
日本の浄水器メーカーとのコラボレーション商品も。
写真右:メイスイより2015年春から販売している引出シャワー付複合水栓
写真左:タカギより2019年4月1日より販売開始した蛇口一体型浄水器 「Allegro(アレグロ)」
ショールームは、月~土(祝祭日除く)10:00~17:00で事前予約制。

2019年5月27日月曜日

マルニ木工「MARUNI COLLECTION 2019 東京展」

東日本橋にあるマルニ木工のショールーム maruni tokyo にて、「MARUNI COLLECTION 2019 東京展」が開催された(5/20・21)。先日開催のミラノサローネ国際家具見本市で発表した「MARUNI COLLECTION 2019」の国内初披露の場となった。
新作は、深澤直人氏デザインによるRoundishアームチェアの張座バージョンと6.4mのMALTAダイニングテーブルのスペシャルバージョン、そしてジャスパー・モリソン氏デザインによるFuguダイニングチェア。

<MALTA ダイニングテーブル/深澤直人氏>
<Roundish アームチェア/深澤直人氏>
<Fugu ダイニングチェア/ジャスパー・モリソン氏>
会期終了後も新商品のいくつかはmaruni tokyoで見ることができる。

2019年5月23日木曜日

「三栄建築設計住宅設計競技 北沢住宅計画」最優秀賞案 実作完成内覧会

2016年に三栄建築設計の企画主催した「三栄建築設計住宅設計競技 北沢住宅計画」コンペティションの最優秀賞に選ばれた案が、今年春に実作として完成した。
広いガラス面が印象的な外観
「三栄建築設計住宅設計競技 北沢住宅計画」は、40歳以下の若手建築家の育成・支援を目的に、2016年に実施された。
応募96作品の中から最優秀賞に選ばれた本作品の設計者は常橋明浩氏。「7.1×7.1×3.8m=191.5㎥の気積を持つ都市の大きなワンルーム」がコンセプトで地下1階・地上2階建ての木造住宅は、83年生まれの常橋氏の新築デビュー作でもある。

1階リビングの奥には緑豊かな庭
ダイニングルームは高低差が活かされ、開放感がある
3フロアを繋ぐ螺旋階段は部屋の中央に位置し、起伏に富んだ周辺環境を実感させる
シックな雰囲気のバスルーム
地下1階に位置するエントランスは、1階の窓がハイサイドライトとして機能する
光と風が心地よく通り抜ける、透明で巨大な空間の1階リビングダイニングキッチンは、「風や気流など建築物理に興味がある」という常橋氏のコンセプトから生まれている。

分譲住宅のプロが若手建築家の住宅設計コンペを企画し、優れた提案を具現化し販売するこの取り組みは、都市住宅を進化させる可能性として大きなチャレンジである。

三栄建築設計 https://san-a.com/

2019年5月22日水曜日

「Taichi Mitsuya & Associate/建築の規模」展

PRISMIC GALLERYにて開催中の建築家・三家 大地個展「Taichi Mitsuya & Associate/建築の規模」展へ。

建築はさまざまな図面や模型、写真などを用いてつくられる。建物規模によっても異なるが、縮尺1/1~1/100くらいまでの図面や模型を用い、それらを行き来しながら建築を立ち上げる。
すべての縮尺には意味があり、建築の規模(構え・仕組みの大きさ)を規定する唯一無二の要素となる。
今回の展示では私の建築の規模を規定した1/100模型と詳細図の一部をピックアップした。それら縮尺の異なる図面と模型から建築の規模を想像しながらご覧いただきたい。
’19.05.11 三家 大地


畝森泰行建築設計事務所と共同設計した「山手通りの住宅」

第31回SDレビュー奨励賞受賞作品「川崎の住宅」

2017「二子アパートメント」

2016「安城の住宅」

2018「上馬アパートメント」

2019「深沢の住宅」

 2019「代沢プロジェクト」

会期は6月22日(土)まで。

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