2013年5月31日金曜日

LIXILによる資源循環型「インフラフリー・ユニット」コンセプトモデル

横浜で来月1日から三日間の会期で開催される「第5回アフリカ開発会議」の公式イベントとして、パシフィコ横浜で開催中の「アフリカン・フェア2013」のケニア共和国のブース(A-6)に、(株)LIXILが研究開発中の「インフラフリー・ユニット」が出展されている(フェアの会期は6/2まで、入場無料)。
地球上の水資源問題や衛生的な住生活のあり方について取り組んでいた同社が、アフリカ諸国における住環境の実情を踏まえた上で、先ず生活基盤となるインフラをユニットに集約し、ひとつのパッケージとして供給しようというもの(画像は見学者に説明する松村はるみ専務執行役員)。

(1)し尿を処理する完全無水型の「グリーントイレ」、(2)タンクに雨水を貯め、簡易浄化して生活水として利用するシステム、(3)食品などの生ごみをコンポスト化する装置、(4)廃バッテリーを再生利用した「蓄電システム」を備えた資源循環型ユニット。
今回の展示はあくまでコンセプトを説明する為の実物サイズのモデル。
アクリルの住宅模型。手前に「インフラフリー・ユニット」が付属し、奥が居住空間という想定。
ケニアでは現在「VISION2030」を掲げ、年間20万戸というペースで、郊外に住宅が建っているが、インフラ整備が追いついていないのが実情。また郊外で新しく家を建てる場合、経年ごとに部屋をひとつずつ増やしながら拡張していく住まい方が主流という。「インフラフリー・ユニット」は、それぞれの環境で求められる用途にあわせたソリューションとして提供できると考えている。

水を使わずに、し尿を液体と固体に分別、衛生処理して再利用する「グリーントイレ」。 ベトナムや徳島県上勝町での実証試験データを反映させている。カラーリングはケニア国旗に因んだ。
まだ技術面やコストの問題などが残っており、また現地の情報を幅広く正確に把握することも不可欠だ。同社では今回の開発に際し、ケニアと日本をつなぐ『虹プロジェクト』の日本活動拠点である社団法人OSAジャパンとパートナーシップを結んでいる。会長の坂田泉氏とマネージング・ディレクターのディック・オランゴ氏は、文化の違う土地に受け入れて貰う為の総合的な準備と、販売後の長期的なビジョンの必要性を説く。「単純にモノを大量に売ってサヨウナラということはしない。日本企業が得意とするソフト面の強みを生かして、設置後も継続して現地でサポートを行ない、新たな雇用をも現地で生み出したい」と今後の展望を語った。

2013年5月30日木曜日

ブルースタジオ『さくらアパートメント』内覧会

経堂でブルースタジオ(施工:シグマテック)がリノベーション計画を手がけた賃貸アパート『さくらアパートメント』の内覧会へ。
物件は築38年の2階建てのプレハブ軽量鉄骨アパートで、36㎡の住戸が2戸と24㎡の住戸が4戸の計6戸。設備配管、電気配線はすべて更新、壁天井に断熱材を充鎮。任意での耐震補強も行っている。
コンクリートブロック塀には白い木瓦を貼り付け。 風合いを出すために、あえてきれいにしすぎないよう大工と打ち合わせた上での施工。
この敷地は以前施主の母屋の傍ら松林だったとのことで、エントランスを入った共有部の小径には、その当時の苗木から育ったものが多く植わっている。
1F/36㎡の住戸(二人暮らし+αを想定)
型式軽量鉄骨アパートの工業製品らしさを活かしつつも、クルミの無垢フローリング、キッチンにはパイン材、洗面台にはタモを使うなど数種類の木材を使用し、木の温もりを感じられる住居スペース。
ベットルームとリビングは、天井に付けられた黒いポールを使いカーテンで仕切ることが可能。ベットルームの壁一面は、最初の入居者の希望カラー(ラルフローレンペイントの9色より。デニムやリネンといった布の風合いを出すペインティング技法を用いたもの)にペインティングすることができる。
1F/24㎡の住戸(二人暮らしを想定)※他24㎡の部屋もすべて同じ構成
ベットルームとリビングを仕切るポールに加え、“コの字”に設置されたポールは衣服のハンガーラックとして使用するもの。
2F/36㎡の住戸(二人暮らし+αを想定)
1F/36㎡の住戸とは違い、土間式のキッチンが配置。
建物の雰囲気に合わせ、各住戸の入口に新たに取り付けられたアンティーク調のエントランスライト。
そのほか、まだ取付工事が行われていないが、トイレのペーパーホルダー・タオル掛けは下記写真のものが取付予定。
賃料は7.8万円~12万円で、すでに4部屋は入居者が決定している。

2013年5月29日水曜日

ニコ設計室《安藤さんの家》オープンハウス

ニコ設計室(代表西久保毅人)が手掛けた《安藤さんの家》オープンハウスを見学。 都内にある昔ながらの住宅密集地域で、15.6坪の敷地の三方を囲まれ、北側斜線も厳しい立地。建物の建築面積は9.5坪、延床面積は26坪。
西側外観。地下室の分、1階フロアが上がっている。構造は桑子建築設計事務所
内部から玄関見返り。
1Fキッチンと食堂。
床は杉板にオイルステイン塗装。左の奥から外の小さなデッキに出られる。
配布された平面図を見るとよく判るのだが、隣接する他家住居の「すきま」に対して窓の開口や前述デッキが設けられていて、風が家の中を気持ちよく抜けていく。
1F開口部の柱を彩るモザイクタイル。ニコ設計室さんの作品は色づかいが美しいのが特徴。
食堂からキッチン方向。
手前のカウンターとキッチンの壁の一部は円形のモザイクタイル貼り。
今回、お施主さんの希望で、いわゆる「リビング」と称される空間は地下に設けられている。各階を結ぶ螺旋階段は北西側に配置。青く塗装された壁が見える。
トイレは階段室の向かい。壁の色はエンジ系の暖色。
トイレの引き戸を閉めると、昭和の香りがするガラスが嵌め込まれていた。戸もアンティークを再利用したもので、これから見る各室でも使われている。
階段室の仕切り戸にもレトロな曇りガラスが。

螺旋階段を降りて地下へ。
こちらは「家族の作業場」。 ダンスをしたり、音楽を聴いたり、勉強したり、TVを見ながらゴロゴロしたり、家族みんなで楽しむ多目的な空間を想定している。
南側の地上に露出したところに小窓を設け、また1F食堂の一部の床をガラス張りにして採光をとっている。

螺旋階段を上がって2階へ。
採光用の窓の手前、小さなウッドカウンターに置かれた小物を見るのも楽しい。ニコ設計室が用意したもので、同社主催のオープンハウスではいつも目にする光景。
青い壁に囲まれた階段を昇りきったところ。黄色い壁の洗面室と杉板の茶色い壁が目に入ってくる。右の奥は浴室。 見学時は取り外されていたが、手前にランドリーパイプがわたせるようになっていて、浴室を使用する際の着替えの目隠し用にカーテンで仕切る予定。
浴室はグリーンを基調とした配色。床と浴槽エプロンは茶系の石張り。
浴室から外に出られる小さなデッキ付き。小さいながらも三角に切り取られた空を独り占めする感。
洗面カウンターで使った茶色いモザイクタイルを床でもアクセントとして使っている。現場で閃いたアイデアとのこと。
2Fの奥は和室と子供部屋。
緑の壁に開いた小窓の奥に、階段室の青い壁が見えている。
内装用のインテリアペイント(ポーターズペイント)で緑色に塗装された子供部屋は、お施主の家族と事務所スタッフが一緒に作業して塗ったもの。
子供部屋部屋から、和室を見る。

子供部屋は床レベルをあえて上げている。段差があることで、ちょっと腰掛けたり、居場所のような空間が生まれる。
和室と洗面室を結ぶ廊下に洗濯機置き場があり、両側を引き戸で仕切れるようになっている。
専門店で見つけてきたアンティークの戸は、下端に詰め物をして尺を調整。
お施主さんからは「いかにもって感じでつくりこまれたカッコイイ家ではなくて、ちょっとダサいくらいが良いんです」という要望があったとのこと。各所で使われている古い部材によって、建てられたばかりの新品の住まいが、キラキラピカピカな感じにならずに、しっとりした佇まいを醸し出しているようだ。

2013年5月26日日曜日

イルマ・ブーム来日記念トーク

6/21(金)から21_21 DESIGN SIGHT で始まる企画展「カラーハンティング展 色からはじめるデザイン」関連プログラムとして、同展に新作ブックデザインを発表するイルマ・ブーム氏のトークイベントがオランダ王国大使館大使公邸で開催された。
イルマさんはアムステルダムを拠点に活躍する世界的なグラフィックデザイナー。
25年ほど前に手掛けた某美術評議会のためのアニュアルレポートブックを皮切りに、2136ページにおよぶ超ぶ厚い書籍から、レム・コールハース事務所(OMA)やテキスタイル作家のシーラ・ヒックス為のコンセプトブック、切手など、これまで手掛けた作品を実物を使って紹介。本を構成する素材、中身のレイアウト、小口の見せ方や断裁方法にいたるまで、イルマ氏による驚異的かつ強力なデザインの意思がはたらいている。
昨年2月に日本国内でも発行された『プロジェクト・ジャパン メタボリズムは語る』(レム・コールハース、ハンス=ウルリッヒ・オブリスト著 平凡社[海外版はTaschen])の帯は縦に巻かれている。何故こうなったか、その経緯も披露された。
場内がどよめいたのは、CHANEL「N°5」の為のスペシャルブックのページが繰られた時。インクは一切使われておらず、ページに浮き上がる文字や絵柄は全てエンボス加工によるもの! トーク終了後、聴講者が競って本を手にとり、その軽さにまた驚く。

6月からの「カラーハンティング展」では、同展ディレクターの藤原大氏と、今回のトークイベントで聞き手を務めたエディターの太田佳代子氏とのコラボレーションによる、新作ブックデザインが発表される。大いに楽しみである。

2013年5月23日木曜日

東急ホームズの輸入住宅<ミルクリーク>新商品内覧会

渋谷のこどもの城うらに新しくオープンした「TBSハウジング渋谷 東京ホームズコレクション」に出展する東急ホームズの新商品「Millcreek MASTERS Grace(ミルクリーク マスター・グレイス)」の内覧会へ。
伝統様式で商品展開してきたミルクリークに、革新的なデザイン性と機能を融合させ、インテリアコーディネーターの町田ひろ子氏のプロデュースのもと、“災害に備えながら明るく美しく暮らす”都市型三階建て住宅。

外観は石張りと窓まわりの陰影が重厚な英国の都市型住宅をモチーフにしたデザインで、白い外壁に赤いゼラニウムの花がとても映えている。
組込型防火シャッターと木製サッシを組合せ、防火・防犯性能を確保。
内部に入りウエルカムホール、グレートパーラーと名付けられた2層吹き抜けのリビングへ。英国の高級ファブリックブランド、デザイナーズ・ギルドの商品や英国・欧州のアンティーク家具を用い、伝統的な様式とモダンな要素を取り入れたインテリアデザイン。リビングのラグはバッキンガム宮殿の天井のデザインをモチーフにしたロイヤルコレクションで床はヘリンボーン貼りの無垢フロア。
鏡が高い位置に配置されたり、天井に銀窓からの入る光を反射させ、部屋を明るくする仕組み。
照明は人工衛星のたたみ方で用いられているミウラ折りの照明で、万が一落ちても怪我をしにくい素材。ほかの照明も転倒しやすいフロアスタンド型のものは避け、ブラケット照明を多用している。
ダイニングリビングには食事をしたあとも寛げるように、通常より低めのテーブルを設置。
ダイニングリビングに面して一階の中央に位置するパントリーシェルターは、災害時に命を守る一次避難場所。六面体の鋼製パネルでつくられている強固なシェルターは左の棚には防災用品の食料や水、マットレスが収納でき、右の棚は普段使いのワインセラーを兼ねた食品庫として使用できる多目的なもの。
 二階に上がって子供部屋へ。高校生の女の子を想定した部屋にはシャワールームも設置。床材は世界最大のコルクメーカーであるポルトガル・アモリン社のコルクフローリング(同じものを一階パントリーシェルターにも使用)。
ほか二階には東急ホームズの事業紹介展示スペースとなっている部屋が2部屋あり、これらは都市型ならではの賃貸用のスペースとして活用する想定。賃貸スペースは一階に独立した玄関があり、二階に2部屋、三階に1部屋の計3部屋。
三階の賃貸スペースがこちら。小さいながらも使い勝手のよいミニキッチンはグッドデザイン賞を受賞したもの。
三階のスペースは夫婦二人のプライベートフロアとしていて、バルコニーや8畳弱のウォークイン・フィッティングルームも完備。
ベットルームは、リフレッシュカラーを用いたり、ホテルのバーようのような語らいのスペースを設え寛ぎの空間となっている。刺繍がアクセントの手作りのカーテンもデザイナーズ・ギルドのもの。

もちろんホームエレベーターも完備。内部は真四角ではなく、左右が丸みおびたフォルムになっており、圧迫感が軽減。
内覧会当日にはイギリスよりデザイナーズ・ギルドの社長であるMr.Simon Jeffreys氏もスペシャルゲストとして来日した。
すでに販売は開始しており、展示場にて見学可能。