2010年9月30日木曜日

隈研吾氏 講演会 『キノコと建築』

東西アスファルト協会・田嶋ルーフィング主催、「東西アス協組建築講演会」が御堂筋会館にて行われた。
講演は、隈研吾氏。テーマは『キノコと建築』。


粘菌のお話ではなく、キノコのように粒子の集合体として建築物をとらえていくそんな隈氏の設計思想で作られた作品について語られた。
小さなものを組み合わせ形成された建築作品を中心に紹介。
紹介作品の中には、西洋傘の優れた耐久性を活かし15本の傘を集め作るシェルターのプロジェクトなども紹介された。

2010年9月29日水曜日

トステム財団「完成させない家」シンポジウム開催

すまい・るホールにて「完成させない家 トステム財団が提案する新しい住まいのかたち」シンポジウム開催。基調講演は東大生産技術研究所所長/野城教授、ほか不動産、建築構造の専門家が出席。

7月にKENCHIKU>NEWS掲載の[野城先生インタビュー]で先行して紹介したが、より豊かな住環境の実現を目指し、従来の"たし算"オンリーでなはく"引き算"もアリという提言。その為に何が必要かを来場者と一緒に考える場。休憩を2回挟んで3時間半の長丁場だったが、会場からの質疑に答えつつも議論は尽きず、盛会。

2010年9月25日土曜日

石上純也展ギャラリートーク

石上純也展が開催されている資生堂ギャラリーで、石上純也氏によるギャラリートークが行われた。



先日のヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展にて金獅子賞を受賞した「Architecture as air: Study for château la coste」や、計画中の作品などが紹介された。
石上氏は「現在の価値観が多様化している様に、建築も新たなフェーズに移行している。クライアントの要求を満たすだけでなく、広い視野で建築を考えなくてはいけない。建築の可能性を展示会で表現した」と述べた。

石上純也展「建築はどこまで小さく、あるいは、どこまで大きくひろがっていくのだろうか?」は10月17日まで

2010年9月22日水曜日

地上52階でみる「地球最古の恐竜展」


恐竜の"足跡"を辿り、六本木ヒルズ森アーツセンター「地球最古の恐竜展」へ。場内写真撮影可。

夜遅い時間帯にもかかわらず、祝日前だからか、小さい子供連れが多かった。その一方で、入口で泣きじゃくって「イヤー!」と激しく抵抗する幼児も1名、その必死の形相たるや推し量るべし(こんなの↓に左右から出迎えられたら、食われるかと思うだろう)。


場内展示解説は壁パネルではなく小型ディスプレイ、照明もLEDがふんだんに使用されている(展示協力:NECディスプレイソリューションンズカラーキネティクス・ジャパンほか)。一昔前の恐竜展とは様変わりの感。


会期は9/26まで、夜22時まで開館。22:15以降に懐中電灯を片手に真っ暗な会場内を巡るナイトミュージアム(24日まで)も楽しそう。
この後、大阪、松山、札幌に巡回予定。

2010年9月21日火曜日

「バルバラ・カポキン国際建築ビエンナーレ」日本巡回展 始まる

イタリア文化会館 東京にて、「バルバラ・カポキン国際建築ビエンナーレ」日本巡回展 始まる。15:30よりオープニングセレモニー、過去の上位入賞者である山口隆、窪田勝文、五十嵐淳、小西彦仁
の4氏と、前回2009年に審査員を務め、2007年の同建築展に出展している隈研吾氏が出席。

若くして亡くなった、パドヴァ県建築家協会会長カポキン氏のお嬢さんの名を冠した、2003年から隔年で計4回開催される建築賞および建築展。日本では初の巡回展(会期10/10まで、入場無料)。

隈氏が絶賛したラジョーネ宮を会場とした同建築展は、隈氏のほかにザハ・ハディド、マリオ・ポッタ、D.チッパーフィールドが出展。


17:00より記念シンポジウム。入賞、最優秀賞などに選ばれた4氏によるレクチャーとパネルディスカッション。

同会館地下のアニェッリホールには初めて入ったが、椅子が革の匂いからしてプンプンで、とてもカッコ良かった。流石はイタリア。

2010年9月20日月曜日

廣村正彰さんと行く西武池袋本店「こんなのどうかなプロジェクト」

9/7にグランドオープンした西武池袋本店を2時間半で巡る「AXIS モバイル・トークセッション5」に参加。各所ロゴを含めてデザインを監修した廣村正彰氏(廣村デザイン事務所)と、参画デザイナーの一人である米谷ひろし氏(トネリコ)の解説付きという贅沢なツアーの集合場所は、地下中央口「光の時計口」。

11000個のLEDが使われている「光の時計」 インテリアデザイン:トネリコ、光の演出:中村勇吾、時を告げる音楽:高橋幸宏


本館中央2F「トランスマーケット」


以下5点:本館中央3〜7Fシーティングスペースデザイン:トネリコ



コンシェルジュデスクの並び、様々なインフォメーションが交錯しがちだが、全体的に上手くいった好例、と廣村氏。


かつては売り場だったというエスカレーター脇の一角。売り場面積を休憩スペースにあてる事は百貨店としては好ましくないが、お客様を迎える側として豊かな場所を提供する必要性を「こんなのどうかなPJ」では説いた。また、シーティングスペースは、従来は避けられてきた白で統一されている(汚れにくい合皮にするなど対策も講じた上で)。


本館北7Fシーティングスペースデザイン:中村竜治
本日最大のお目当て、S氏のブログを見た時からずっと気になっていた。

吊るされた白い"シート"は床材リノリウム、安全面など改良された末の3年越しのプラン成就だったらしい。
グレーのシート(無印良品製)は後付けの品。「遊具ではございません」表示も後から付いた。"人気"のほどが窺える。


本館「be my Gift」インテリアデザイン:トネリコ、ロゴデザイン:廣村正彰
閉店後の一晩でほぼ改装してオープンできることがデザインにも求められた。柱側のディスプレイで目をひきつけ、中央の箱型什器(「金魚すくい」をイメージ)は近付いて覗き込まないと中の商品が見えない、これまでのタブーを逆手にとった。店の感じが羽田空港内の[Tokyo's Tokyo]に似ていると思ったら、やはりマーチャンダイザーに山田遊氏の名が。


本館南8F「カラダステーション」ロゴデザイン:廣村正彰


本館南6Fシーティングスペースデザイン:KEIKO+MANABU

下って5F、ケイコとマナブらしい、蝶々がモチーフのデザイン

4Fもケイコとマナブ。テーブル天板の樹脂は住宅設備機器メーカーT社製


本館南1F「ikeseikirei station(イケセイキレイステーション)」ロゴデザイン:廣村正彰
同店で扱う化粧品28ブランド(ネット上は150以上)を横断して取り扱う(予約制)。顔全体の肌の状態を調べる全顔診断が、貴女に最適な化粧品4-5品目を無料で自動的にセレクトしてくれる。


このほか廣村氏がロゴを手掛けた「サンイデー」や、地下食料品街「生鮮倶楽部」、改装を控えてデザイン新旧分かれているレストラン街を抜ける([美登利寿司]の注文システムにiPadが導入されていたのには驚いた)。

終点は池袋コミュニティカレッジ。カルチャーの分野別に色分けされ、休憩スペースもトイレもロゴを含めて一新された(デザイン:廣村正彰)。うち1室で、参加者からの質疑を廣村氏、米谷氏が受ける。



複雑になりすぎていたという店内のサインは、日本語/英語のバイリンガルでシンプルに統一。アイコンを大きめに設定。百貨店にとって大きな購買層である中国語・ハングルは敢えて出さなかった。「こんなのどうかなプロジェクト」の柱である"人と人とのコミュニケーション"を重視した百貨店側の姿勢の現われ。


「究極の空間はサインなど無い空間。ケアしきれていないから誘導が必要」と述べた廣村氏のコメントには驚かされた。その廣村氏が仕掛けた「こんなのどうかなプロジェクト」は見た目だけのPJではない、と最後の質疑応答で明確に示された。デザインとは、人の内面をも変える力を持つ事を改めて認識。
このような目で商業施設を見る機会は貴重。好評で10/11にも追加ツアーが組まれたとのこと、同様の見学会が今後も増えると良い。

2010年9月18日土曜日

「"ゼロ年世代"の都市・建築・アート」展 始まる

表参道GYRE|EYE OF GYRE にて「"ゼロ年世代"の都市・建築・アート」展 始まる。リードに「CITI2.0——WEB世代の都市進化論」を問う、とある本展は、昨年同会場にて開催された「ARCHITECT 2.0 WEB世代の建築進化論展」に続くもの。
16時からのプレスカンファレンスには、2年連続でキュレーションを担当した藤村龍至氏+TEAM ROUNDABOUT、監修の飯田高誉氏が出席、出展15組の各作品を駆け足でレクチャー。

作品1:「海市 Mirage City」、作品2:「孵化過程」共に磯崎新

色とりどりの針金チューブが目をひく作品は、1962年初出品された後、1997年水戸芸術館「日本の夏」展開催時の「孵化過程」の予備模型。24日には磯崎氏が来場、上から石膏を流し込むパフォーマンスを行なう予定。
1997年にICCで開催された企画展「海市」を、現代のweb環境で捉え直しているのが本展の大筋。作品をかたち作っている針金を、来場者も自由に生成できる。


作品2: 「海市2.0」
5週間の会期中、残り空いている5つのフィールドに、15組の建築家(乾久美子、五十嵐淳、垣内光司、木村松本、SPACESPACE、徳山知永、dot architects、中村竜治、中山英之、長谷川豪、藤本壮介、松岡聡田村裕希、満田衛資、森田一弥、吉村靖孝)が3人一組で、かつて磯崎氏が提唱した、連歌のように模型をつくっていく。共同制作の過程はBIMデータで残る(協力:GRAPHISOFT)。


壁の奥の3枚のパネル=作品3: mashcomix + TEAM ROUNDABOUT「海市2.0マンガ」は未だ"白紙"。会期中、変容する前述「作品2」の世界をマンガに起こす予定。此処でも連歌のコンセプトに準じて、複数の人間が鉛筆を使って書き足していく(ペン入れは最後)。


作品4: 名和晃平「element」


作品5: カオス*ラウンジ「カオス*ハウス プロジェクト」+作品6: 梅沢和木「テラストラクチャー・オブ・クイアパイン」
表参道に面したこの一室は、藤村事務所が手掛けているカオス*ラウンジの為の住宅PJのミーティングルームという位置付け。会期中、何度か実際に此処で打合せが行われ、デスクの上の模型も生成される予定という。


作品7: 濱野智史「アーキテクチャの生態系マップ」を解説する藤村氏。右は作品8:「The Region Maker」MVRDV


作品9:「誘導都市」から「太陽神の都市」/「反太陽神の都市」渡辺誠


作品10:「Continuum of Normal」日建設計
某企業の本社ビル計画案。



作品11:瀋陽市方域地区計画 柄沢祐輔
サイトは世界遺産地区の地下に新しく誕生する483万平米の地下空間。このメガスケールのPJに与えられた期間は僅か半年、柄沢氏はコンピュータ・アルゴリズムを用いて設計した。


作品12:「TOKYO MODEL」森ビル
半年に一度、実際の東京の建替状況に応じて更新される、森ビルの1/1000巨大都市模型の一部。


作品13:「さわれないやまびこの眺め」泉太郎
泉氏の彫刻作品を街の人に見せて、その見た目の反応から、段階的に変容していく作品。「海市」のアート版。


作品14: Pingpong「pingpong005 verb Line / verg track for CITY2.0」
会場GYREを中心に、ネット上でつぶやかれている状況を可視化している。そのツイートがRTされればされるほど、画面上の表示も大きくなる仕組み。


作品15:「Shenzhen Logistic City / Rue De La Loi」Julian De Smedy
ブリュッセル/ベルギーに計画されたマスタープランのPJほか。


会期は5週間、10/14まで。作品2や3の共同作業(ワークショップ)は毎週土曜に開催の予定。会場配布のチラシも同じく更新される。

2010年9月17日金曜日

ワタリウム「藤本壮介展」開催中

ワタリウム美術館にて藤本壮介展「山のような建築 雲のような建築 森のような建築」開催中(11/28まで→2011.1/16まで延長)。会期中、何度も入場できるパスポート・チケット制なのが嬉しい。
2Fの作品「雲のような未来の住居」は、マリオ・ボッタ設計のビルの外からも垣間見える。ちょうどこの窓に面して、作品には"ベンチ"が付いているので、通りを眺めながら一休息するのも良い。
3Fはこれまでの作品模型が多数(展示方法が面白い)、4Fには昨年9月にINAX:GINZAで観た「20XX年の建築原理展」の出展模型のリニューアル版を中心に据えた、未来にありうるかもしれない東京の風景が広がっていた。

1Fでは「かみの工作所のひとたちのかみにかけるおもい展」も開催中(9/26まで)。寺田尚樹作品「添景セット」やトラフ「空気の器」など販売中。

2010年9月15日水曜日

KENCHIKU 月間アクセスランキング 2010年8月

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2010年8月注目された各コンテンツ記事TOP5はこちら

=[ ニュース ]========================
1位  最優秀賞に乾久美子氏。共愛学園前橋国際大学設計4号館設計プロポーザル

2位  「完成させない家」とは何か? ~住宅産業界に一石を投じる新しい住まいの可能性~

3位  AR Commons Summer Bash 2010 学生コンテスト ~原寸大の建築物を投影する~

4位  「建物に服を着せると、社会が変わる。」 ソトエコWEBサイトオープン

5位  「JCD デザインアワード2010」大賞決まる


=[ Products ]========================
1位  多彩な空間演出を可能にする ハイパワーLEDダウンライト

2位  プレーンでナチュラルな風合いの金属サイディング

3位  タジマより、発泡ビニル床シート「エコ・ディライトEM」が発売

4位  東リ2010年新作発表

5位  急熱・急冷に強く、衝撃安全性を兼ね備えたガラス「ファイアライトプラス」発売開始!


=[ イベント ]=========================
1位  Architects from HYPER VILLAGE “超都市”からの建築家たち

2位  「完成させない家」 ~トステム財団が提案する新しいすまいのかたち~

3位  トステム財団 都市・建築セミナー2010 トム・メイン(モーフォシス)

4位  山のような建築 雲のような建築 森のような建築 建築と東京

5位  GALLERY A4の催し WORLD ARCHITECTURE SCHOOLS 2


=[ コンペ ]=========================
1位  第12回 シェルター学生設計競技2010 募集要項

2位  第24回 建築環境デザインコンペティション ~建築と設備のトータルな調和を求めて~

3位  早稲田大学建築学科 創設100周年記念設計競技

4位  第4回長谷工住まいのデザインコンペティション

5位  建築新人戦 作品募集 【終了】


=[野良犬Blog ]=======================
1位  hiromiyoshii にて「Architects from HYPER VILLAGE」始まる

2位  銀座・資生堂ギャラリーにて「石上純也展」開催

3位  GOOD DESIGN EXPO 2010 開催

4位  長谷川豪《練馬のアパートメント》を見学

5位  次世代スタンダードウィンドウ「サーモス」 発表

高松宮殿下記念世界文化賞 伊東豊雄氏が受賞

第22回高松宮殿下記念世界文化賞発表、建築部門で伊東豊雄氏が受賞。同部門での日本人の受賞は2005年の谷口吉生氏に次いで5人め。

2010年9月14日火曜日

永山祐子事務所改修《カヤバ珈琲》でタマゴサンドを久々に食べる

久々に《カヤバ珈琲》へ。14時を過ぎていたのでランチが終わっており、それでは、と看板メニュー「タマゴサンド」と、谷中生姜を使っているという「谷中ジンジャー」をオーダー。7ヶ月振りのあったかタマゴの味、うんまい。

2010年9月13日月曜日

ココラボ環境共生住宅 内覧会

9/10(金)見学。京王堀之内「東京デコルテグロ-イングヒルズ」にて、ココラボモデル環境共生住宅オープンハウス。「太陽と風と木の家」は、産学民共同PJ「ココラボ」の研究成果を踏まえた、自然の力を上手に活かしたパッシブ設計(6/30東大弥生講堂でのプレス発表の通り)。

主催者である(株)コスモスイニシアおよび(株)細田工務店のレクチャーの後、メガリビングプランのA棟(画像手前)、スキップフロアタイプのB棟(画像右奥)の2戸を見学。

A棟西側。



柱や梁は国産杉無垢材を採用。


袖壁がウィンドキャッチャーの役目を果たし、丘陵地にある街区の風を室内に取り込む。入ってきて上昇する空気を、天井付近の小窓から逃がすという流れ。この日の外気温は猛暑が一段落した29℃で、室内はほぼ同等かマイナス1℃、冷房無しで涼しかった。


南に張り出した庇が夏の直射を遮り、逆に冬場は家の奥まで届く。この辺りはココラボ環境共生住宅建設委員会に名を連ね、同産学共同PJに数年来関与してきた難波和彦氏(界工作舎)のシリーズ「箱の家」に準じている。


一般向け体感セミナーは今週末から来週にかけて4日間開催予定(予約制)。