ホテルニューオータニ・ガーデンコート3Fにある(株)岡村製作所のショールーム「オカムラ・ガーデンコート・ショールーム」にて、オカムラデザインスペースR 第10回企画展「Flow_er」が開催されている。
「建築家と建築以外の領域の表現者との協働」をコンセプトに、これまで妹島和世氏と荒神明香氏による「透明なかたち」展、小嶋一浩+赤松佳珠子/CAtと諏訪綾子氏による「PARTY PARTY」などを開催してきた同スペース。10回めとなる今回は、平田晃久氏とガーデンプランナーでフラワーアーティストの塚田有一氏によるインスタレーション。
会場には、末広がりのジャングルジムのように組み上げられたアクリル構造物に、多種多様な植物が絡み合っている。作品の上から下に水が静かに流れ落ち、清流のようなせせらぎが会場に満ちている。
「オフィス空間に、水と構造体と植物がからみ合った、庭とも建築ともつかない光景をつくりたい。中央のアクリル構造体を伝って、水が一枚の花のように広がりながら流れ落ちます。人はその世界に入り、目に見え、あるいは見えない様々な流れに耳をすまします。これは庭師の思考に導かれながら、建築のかたい殻を水の流れの中に解き放ち、私たちのからだを、変化する水の様態の中に解き放つ試み」であり、また「人口化されたオフィス空間に『溢れる水と植物の力』を導入することにもチャレンジ」した作品。(カッコ内文章はリリースより転載)。会期中、水は流れ続け、植物も成長を続けて変化していく。
会場では東西南北が設定されていて、上の画像は南西から見たところ。奥が北で、右奥のガラス壁面側が東。
西側からの眺め。
会場では東西南北とともに季節も設定されていて、東=春、正面・南=夏、西=秋。植栽も季節に合わせて塚田氏が配した。西側のイチジクの木の枝には実がなっていて、赤く熟した実も。
北東側からの眺め。
天井照明は入口・南東側(画像向かって左奥)からのライティングで、春の陽射しをイメージしている(協力:岡安泉照明計画事務所)。
アクリル構造体の基本形は正方形。対する辺の中心を結んでできる1/4の正方形のひとつを90度に折り曲げたが基本パーツ。大きさはS、M、Lの3タイプあり、一辺が36cmのSサイズの倍の大きさがM、Mの倍がLサイズ。これらが段々に組み合わさって、高さ2メートル強の構造体となっている。
スタイロフォームを敷くなど防水加工を施した上に小石が敷かれ、上から流れ落ちてくる水を受ける。南北に置かれた飛び石をわたると、構造体の中心部に辿り着く。
中心部には屋根があって、水は落ちてこない。やや身を屈めて、垂れ下がった植物を避けながら空間の中へ。
真ん中の空間の見上げ。
絶えず流れ落ちる水の音が、下界の暑さを束の間、忘れさせてくれる。水がないところに置かれた植物は2-3日おきに新しくしているとのこと。
「北側」に続く飛び石を渡りきったところから、中心部の見返り。
8/1追記:タイトルが途中で区切ってある意図を平田事務所に確認しました。
「植物が根から水を吸い上げて、それを細分化して葉まで浸透させるような形だとすると、このアクリル構造体では逆に、上から落ちた水を立体的に 薄く引き延ばしながら地面へと流している。共に水の流れを具現化したもの、流れる-ものということでflow_erにしている」とのこと。
会期は8月10日(金)まで(8月4、5日は休館)。
2日(木)19時から平田氏と塚田氏によるワークショップ「廻り花」、3日(金)19時半からは能楽公演「水の音」が開催される(共に定員あり要予約)。
参考リンク:出展者である塚田有一さんのFacebookはこちら。会場画像がウォールに数枚あり。
2012年7月31日火曜日
2012年7月26日木曜日
旧《赤プリ》解体始まる
Facebookに掲載したら反響の大きかった、いよいよ解体に向けて動き出した、丹下健三設計の旧《赤坂プリンスホテル》を別の角度から。
赤プリばかり見上げてパシパシ撮っていたら、《ホテルニューオータニ》前の街路樹(桜)の葉がおそろしく藝術的な形状になっていて、思わず後ずさる。
赤プリばかり見上げてパシパシ撮っていたら、《ホテルニューオータニ》前の街路樹(桜)の葉がおそろしく藝術的な形状になっていて、思わず後ずさる。
ラベル:
東京建築中MAP
2012年7月25日水曜日
都美館「Arts&Life:生きるための家」展 開催中
東京都美術館で開催中の「Arts&Life:生きるための家」展会場。以下は7月15日(日)に行なわれたオープニング・レセプションの様子。
6日前に上棟していた最優秀受賞作品の1/1モデルがいよいよ完成した。審査委員長の小嶋一浩氏ら5名の審査委員も出席し、最優秀賞以下審査委員賞受賞者の発表と表彰が行なわれた。
最優秀賞は山田紗子氏が受賞。受賞作《家族の生きるための家 ―大柱と屋根のつくる、住むための濃度》の最終プレゼン時の模型(手前)と、組みあがった1/1原寸大モデル(後ろ)。
模型ではガラスの壁と屋根が付属していたが、最終的に無しに。また木造で考えていたが、搬入制限を受けて鉄骨造になった(審査委員の西沢氏が「暴力的」と評した大黒柱の表面は木に見えるが中身は鉄骨)。
6日前の上棟後に見た時は構造だけで完成形がイメージできなかったが、仕上がってみると、模型の雰囲気そのままの出来栄え。
1階は土間で、誰でも自由に出入りし、人々が集える場となるイメージ。
大テーブルの上に置かれたパソコンの周りには、作品の模型が複数置かれていた。
以下はファイナリストを含む佳作入賞作品。
右:竹田和行「吹き抜けのある共同生活」※小嶋一浩賞
sky|studio kikuchi yamamoto「階段でつくる家」※藤本壮介賞
marikoabe「Unfolded Houses ―for all architectural space」※平田晃久賞
ファイナルには残らなかったが、西沢立衛賞を受賞した作品。
坂本尚朗・村口勇太・辺見英俊「一本の大きな木の中に彫りながら棲む」
展示は模型のほかパネルもあり。
秦彩奈「集合しようとする住宅」※東京都美術館館長賞
このほか佳作は小社サイト>コンペ結果>各賞発表ページを参照のこと。
レセプションに先立ち、同館地下1階講堂にて、審査委員長の小嶋氏、審査委員の西沢立衛氏、平田晃久氏、藤本壮介氏、最優秀賞受賞者山田紗子氏らが登壇、担当学芸員の司会進行で、オープニング・レクチャーも開催された。
同展は地下2階ギャラリーA・Bにて9/30(日)まで(9/17を除く月曜と9/18(火)休館)。また会期中には審査委員賞受賞者と贈賞した審査委員によるアーキテクト・トークも開催される予定。
6日前に上棟していた最優秀受賞作品の1/1モデルがいよいよ完成した。審査委員長の小嶋一浩氏ら5名の審査委員も出席し、最優秀賞以下審査委員賞受賞者の発表と表彰が行なわれた。
最優秀賞は山田紗子氏が受賞。受賞作《家族の生きるための家 ―大柱と屋根のつくる、住むための濃度》の最終プレゼン時の模型(手前)と、組みあがった1/1原寸大モデル(後ろ)。
模型ではガラスの壁と屋根が付属していたが、最終的に無しに。また木造で考えていたが、搬入制限を受けて鉄骨造になった(審査委員の西沢氏が「暴力的」と評した大黒柱の表面は木に見えるが中身は鉄骨)。
6日前の上棟後に見た時は構造だけで完成形がイメージできなかったが、仕上がってみると、模型の雰囲気そのままの出来栄え。
1階は土間で、誰でも自由に出入りし、人々が集える場となるイメージ。
大テーブルの上に置かれたパソコンの周りには、作品の模型が複数置かれていた。
以下はファイナリストを含む佳作入賞作品。
右:竹田和行「吹き抜けのある共同生活」※小嶋一浩賞
sky|studio kikuchi yamamoto「階段でつくる家」※藤本壮介賞
marikoabe「Unfolded Houses ―for all architectural space」※平田晃久賞
ファイナルには残らなかったが、西沢立衛賞を受賞した作品。
坂本尚朗・村口勇太・辺見英俊「一本の大きな木の中に彫りながら棲む」
展示は模型のほかパネルもあり。
秦彩奈「集合しようとする住宅」※東京都美術館館長賞
このほか佳作は小社サイト>コンペ結果>各賞発表ページを参照のこと。
レセプションに先立ち、同館地下1階講堂にて、審査委員長の小嶋氏、審査委員の西沢立衛氏、平田晃久氏、藤本壮介氏、最優秀賞受賞者山田紗子氏らが登壇、担当学芸員の司会進行で、オープニング・レクチャーも開催された。
同展は地下2階ギャラリーA・Bにて9/30(日)まで(9/17を除く月曜と9/18(火)休館)。また会期中には審査委員賞受賞者と贈賞した審査委員によるアーキテクト・トークも開催される予定。
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コンペ
2012年7月24日火曜日
パンダバス(メス)走る
ロンドンバスに続いて、
昨春、春日通りに「サイ(車)」が走っているのを目撃したが、今度は上野松坂屋の前で「パンダ」を見る。上野界隈を巡回している無料バスで、赤いリボンをつけた女のコ。足回りなどディテールがけっこう凝っている。公式サイトによると、男のコ(オス)は浅草がナワバリらしい。
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2012年7月23日月曜日
ロンドンバス「I BELIEVE号」中央通りを走る
中央区京橋1丁目付近にて、五輪カラーのロンドンバスを見かける。ボディに貼られているのは5色の丸いシール、何か手描きで書かれている。ミズノの応援PJとのこと。
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アド
2012年7月21日土曜日
《新国立競技場》国際デザイン・コンクール 公示
神宮外苑の《国立競技場》(新宿区霞ヶ丘町、1958年竣工)が2018年度の完成を目指して建て替えられる。画像は今朝の朝刊に見開きで出た「新国立競技場基本構想国際デザイン競技」の公募広告。
作品受付は今秋9/10〜9/25、応募資格には"国際的な建築賞の受賞経験を有する者、または…"など条件あり。詳細は日本スポーツ振興センター(JAPAN SPORT COUNCIL)公式サイトに昨日付けで掲載されている。専用サイトもあり。
審査委員長:安藤忠雄、審査委員:鈴木博之、岸井隆幸、内藤廣、安岡正人、小倉純二、都倉俊一、ノーマン・フォスター、リチャード・ロジャース、河野一郎
作品受付は今秋9/10〜9/25、応募資格には"国際的な建築賞の受賞経験を有する者、または…"など条件あり。詳細は日本スポーツ振興センター(JAPAN SPORT COUNCIL)公式サイトに昨日付けで掲載されている。専用サイトもあり。
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コンペ
2012年7月18日水曜日
ニコ設計室《三輪さんの家》オープンハウス
西久保毅人さんが代表を務めるニコ設計室によるオープンハウス《三輪さんの家》を見学。同事務所は先の東京建築士会「住宅建築賞」において作品《ISANA(いさな)》で上位入賞している。
杉並区内の閑静な住宅地にある旗竿敷地。地下1階+地上2階の木造住宅(一部RC造)。
長年、住んでいた建売住宅の建て替えで、隣接する生産緑地のグリーンを室内にとり込んだ住まい。
ステップを上がったところが玄関。
玄関の床は玄昌石。裸足になると解る程度の若干の凹凸がある石。
床の石張りはそのまま土間として右側の納戸、さらに奥のキッチン水まわりに続いている。
玄関横のトイレ。
玄関からの眺め。南面の生産緑地に対して大きく開かれた窓と縁側テラスが見える。
広々としたリビング。床はナラ材のフローリング。
畳敷きの座でL字に囲んだダイニング。画像左側に置かれた4つは動かしてレイアウトを変えられる。テーブル天板の下は2センチほどの引き出しが収納されている。
キッチン。玄関と納戸から連続した玄昌石の土間はここまで。
施主の要望のひとつであり、設計者の西久保さんもこだわって最優先で確保したこの眺め。縁側テラスとの境の窓サッシは、網などが入っていない透明なガラスに。防火認定は防犯も兼ねて電動シャッターを設けることでクリアした。
縁側から降りたテラスから、1階外観。地面から1.4メートル上げたところが1階の床レベル。
地下の書斎。
半地下の壁面の要所に開けられた小窓が風の通り道になっている。
1階から2階への階段。地下から上がってくる空気が冷んやりとしてとても気持ち良い。この日(7/15)の都内最高気温は32.7℃を記録したが、室内は冷房なしでも快適だった。
2階にあがり、左側に居室が2つ。
2つの居室は施主からのリクエストのひとつだが、間仕切りは引き戸で、将来的に取り払うことも可能。
最初の居室から反対側の眺め。あえて引き戸を開け放って撮影した2階のトイレは壁は紫色。
ところどころの壁は紫、緑、黄色に塗装されている。洋服の裏地の色がふとした時にチラと見えるようなイメージの差し色。パステルのような淡い色は避け、生産緑地のグリーン(緑)の強さとのバランスを考えて配した。
2階の水まわり。
洗面台の前に置かれた椅子やベンチ、フラワーベースなどは、ニコ設計室が用意したもの。「何もないガランとした空間だと、見学者にこれから此処に人が住むイメージが沸きにくいから」と西久保さん。生けた花はそのまま施主にプレゼント。
洗濯機用水栓に引っ掛けられたオブジェも事務所のさりげない演出。
洗面台の反対側の浴室。バスタブに水を張った状態はオープンハウスでは珍しい。
窓の外はぐるりとテラスになっているが、当初のプランと異なる。上棟後に此処からの眺めを確認し、急遽変更に。
浴室を囲ったテラスには、居室側からも出ることができる。
テラスは屋上にもある。此処からの眺めがまた素晴らしかった。
設計:ニコ設計室、構造設計:桑子建築構造事務所、施工:有限会社匠陽。
杉並区内の閑静な住宅地にある旗竿敷地。地下1階+地上2階の木造住宅(一部RC造)。
長年、住んでいた建売住宅の建て替えで、隣接する生産緑地のグリーンを室内にとり込んだ住まい。
ステップを上がったところが玄関。
玄関の床は玄昌石。裸足になると解る程度の若干の凹凸がある石。
床の石張りはそのまま土間として右側の納戸、さらに奥のキッチン水まわりに続いている。
玄関横のトイレ。
玄関からの眺め。南面の生産緑地に対して大きく開かれた窓と縁側テラスが見える。
広々としたリビング。床はナラ材のフローリング。
畳敷きの座でL字に囲んだダイニング。画像左側に置かれた4つは動かしてレイアウトを変えられる。テーブル天板の下は2センチほどの引き出しが収納されている。
キッチン。玄関と納戸から連続した玄昌石の土間はここまで。
施主の要望のひとつであり、設計者の西久保さんもこだわって最優先で確保したこの眺め。縁側テラスとの境の窓サッシは、網などが入っていない透明なガラスに。防火認定は防犯も兼ねて電動シャッターを設けることでクリアした。
縁側から降りたテラスから、1階外観。地面から1.4メートル上げたところが1階の床レベル。
地下の書斎。
半地下の壁面の要所に開けられた小窓が風の通り道になっている。
1階から2階への階段。地下から上がってくる空気が冷んやりとしてとても気持ち良い。この日(7/15)の都内最高気温は32.7℃を記録したが、室内は冷房なしでも快適だった。
2階にあがり、左側に居室が2つ。
2つの居室は施主からのリクエストのひとつだが、間仕切りは引き戸で、将来的に取り払うことも可能。
最初の居室から反対側の眺め。あえて引き戸を開け放って撮影した2階のトイレは壁は紫色。
ところどころの壁は紫、緑、黄色に塗装されている。洋服の裏地の色がふとした時にチラと見えるようなイメージの差し色。パステルのような淡い色は避け、生産緑地のグリーン(緑)の強さとのバランスを考えて配した。
2階の水まわり。
洗面台の前に置かれた椅子やベンチ、フラワーベースなどは、ニコ設計室が用意したもの。「何もないガランとした空間だと、見学者にこれから此処に人が住むイメージが沸きにくいから」と西久保さん。生けた花はそのまま施主にプレゼント。
洗濯機用水栓に引っ掛けられたオブジェも事務所のさりげない演出。
洗面台の反対側の浴室。バスタブに水を張った状態はオープンハウスでは珍しい。
窓の外はぐるりとテラスになっているが、当初のプランと異なる。上棟後に此処からの眺めを確認し、急遽変更に。
浴室を囲ったテラスには、居室側からも出ることができる。
テラスは屋上にもある。此処からの眺めがまた素晴らしかった。
設計:ニコ設計室、構造設計:桑子建築構造事務所、施工:有限会社匠陽。
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