2017年6月2日金曜日

東京大学新図書館計画「アカデミック・コモンズ」見学会

東京大学本郷キャンパスにて、進行中の東京大学新図書館計画「アカデミック・コモンズ」の見学会へ。(2016年11月に行われた現場見学会の様子はコチラ
本計画は、東京大学が教育と研究のための新たな拠点として、本郷キャンパス総合図書館を大幅に拡充する計画で、図書館前広場の地下に新館を建設し、伝統ある本館は外観を保存したまま内部を全面改修するというもの。
地下にできる新館には約300万冊収容可能な巨大な自動化書庫となる。
この新館は四方を建物に囲われた敷地に、地下約50mを掘って建物をつくるため、まず建物を地上でつくり、それを重さで沈めていくという土木技術の「ニューマチックケーソン工法」で進められた。

B1F ライブラリープラザ
今回の見学のメインでもある、5/31に工事が完了したばかりの「ライブラリープラザ」は、多様な分野の研究者、学生が集い、対話・交流できる空間。円形の壁全体がホワイトボードになっており、グループワークや研究発表が出来るようになっている。天井の国産杉無垢材による木格子や噴水を透かした外光により、自然の安らぎを感じられる空間。(※本館改修工事期間中は、個人学習のための静寂空間として利用)
冷暖房には、放射パネルによる空調システムで風や音の少ない環境となっている。放射状に配置された白いルーバーのようなものが放射パネルで、冷水(10~15℃)や温水(38~43℃)を循環させ、自然対流により周囲の空気を冷やしたり、温めたりするしくみ。
設計監修をしている、川添善行氏による計画概要説明。
中央部には、地上の噴水を透かした外光。見学会の日はあいにくの天気だったが、天気が良いと水のゆらいだ波紋が床面に木漏れ日のように落ちる。
 B2F~4F 自動化書庫
地下2~4階は、300万冊の資料が収蔵できる自動化書庫。前回の見学時は高さ約11mのがらんどうの空間でそれも圧巻だったが、そこに書棚が設置された。
この書棚には、本の入ったコンテナ(写真下)がいっぱいに収まり、本館より出庫指示を出すと5分前後で本が運ばれてくるようになる。(※稼働は建物環境が落ち着く平成30年度以降を予定)
 今回の見学会で特別に公開された、新館と改修中の本館との隙間の空間。高さに違いがあるがそれぞれの地下1階にあたる場所。
 地上の屋外広場には埋蔵文化財調査で発掘された加賀藩邸の石組と旧図書館のレンガ基礎部分をモニュメントとして残した。レンガについては、発掘されたそのままのカタマリの状態のものをライブラリープラザの入り口付近で展示。地上屋外広場には、カタマリだったものを一度、解体・保管し、当時の場所に配置している。
本館の改修工事を含めたすべての計画は2019年に完了予定。

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