2016年10月24日月曜日

高松宮殿下記念世界文化賞受賞記念建築講演会2016 「パウロ・メンデス・ダ・ホッシャ建築を語る」へ。


18日に授賞式が行なわれた「高松宮殿下記念世界文化賞」。
建築部門では翌19日に300名を招いての記念講演会が開催された。
講演は発表会・授賞式と同様に、受賞者のパウロ・メンデス・ダ・ホッシャ氏の息子で建築家のペドロ・メンデス・ダ・ホッシャ氏が代理を務めた。
© The Japan Art Association/The Sankei Shimbun

▲左から鹿島建設株式会社 専務取締役 建築設計本部長 尾崎勝氏、建築家のジョゼ・パウロ・ゴウヴェア氏、講演を行なったパウロ氏のご子息で建築家のペドロ・メンデス・ダ・ホッシャ氏、鹿島建設株式会社 代表取締役社長 押味至一氏、藤女子大学・三宅理一氏。


パウロ氏へのインタビューを交えた紹介映像の後、スクリーンにはスケッチや設計図等が映し出され、氏を代表する5つの建築――『パウリスターノ・アスレチック・クラブ』『パオロ・メンデス・ダ・ロカ自邸』『大阪万博・ブラジル館』『ブラジル彫刻美術館』『サンパウロ州立美術館』――を取り上げ、パウロ・メンデス・ダ・ホッシャ建築とブラジル建築について語られた。

 

▲パウロ氏のスケッチ

ペドロ氏によればパウロ氏は、「ありのままの自然は、人間が住む場所ではない。知識や技術を使ってどう変化を与えて快適な環境にするか」といった意識を持って構造物と向かい合っているのだそう。また、「人類は共通の『地球』というものを共有している。だからこそ、環境に変化を与える建築は、情報・文化を共有してよりよい都市をつくらなければならない」という一貫した思いでプロジェクトに当たっている、とも述べ、とりわけ「人生において、建築家として、そして人間として最も重要な経験の一つは、文化に触れることだ」と「文化」を理解することの重要性を強調した。この意識が、パウロ氏の持ち味である「自然と建造物の対話」につながっているのだろう。

後半は、大阪万博・ブラジル館の研究を行なう建築家のジョゼ・パウロ・ゴウヴェア氏、
建築史が専門の藤女子大学・三宅理一氏を交えたトークセッションに。


▲トークセッションの様子

その中でジョゼ氏は、「パウロ氏は今年、その長年の功績が評価され国際的な賞を3つも受賞したが、その答えは大阪万博のパビリオンにすべてが詰まっている」とし、その理由として「設計の強い自由さ、大阪という土地への理解の深さ、そしてブラジルの文化を伝えること――これら3点を見事に体現している」と述べた。

三宅氏は「パウロ氏は87歳になった今も、「水平線」と「空中に持ち上がる」という2つのコンセプトを一貫して表現し続けている。打ちっぱなしのコンクリートで作られた彫刻のような建築が持つ圧倒的な迫力は、後進たちに大きな影響を与えている」と総括。「ブラジルの建築家は長生きな人が多い。パウロ氏の今後のますますのご活躍に期待したい」と述べ、講演会を締めくくった。

なお、パウロ氏の受賞を記念した展覧会が、116日まで渋谷区のGAギャラリーにて開催中。現代ブラジル建築界の精神的指導者とも言える氏の半世紀以上の軌跡を、写真や図面、模型で紹介している貴重な展覧会だ。



【パウロ・メンデス・ダ・ローシャ展】
2016924日~116日/会期中無休
会場:GA gallery/〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷3-12-14
(最寄駅:東京メトロ副都心線 北参道駅 徒歩2分)
開館時間:12001830(会期中無休)
入場料:600円(前売券,団体10名以上:500円)

主催:GA gallery
協賛:駐日ブラジル大使館
模型デザイン・制作:野口直人建築設計事務所
模型制作協力:横浜国立大学 都市イノベーション研究院


お問い合わせ:03-3403-1581 | info@ga-ada.co.jp | http://www.ga-ada.co.jp

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