2023年10月13日金曜日

再生建築研究所「旧中野豊国ビル再生計画」見学会

中野区本町にて、再生建築研究所が手掛けた「旧中野豊国ビル再生計画」の見学会が9/22 に行われた。
再生建築研究所は、 「建築の不可能を可能に」 をテーマに建物の調査から企画・設計・運営までをトータルプランニングする会社。代表の神本豊秋氏を中心に、古い建物に新しい価値を見つけ、新築では生み出すことができないバリューを与え、新たな不動産価値をつくることをこれまでも行ってきた。

今回は、旧耐震・遵法性に課題のある、地上11F 建て・鉄骨鉄筋コンクリート造のオフィスビルの再生計画。耐震改修や外壁面をセットバックしバルコニーの新設・拡張を、オフィステナントの一部は入居したまま行う「居ながら施工」で再生建築研究所としてもチャレンジングな事例となった。
▲見学会で概要を説明する再生建築研究所代表の神本豊秋氏

築後50年の歴史の中で、容積率が基準を超過しており、ワンフロア分の面積を減築する必要があった。既存の外壁を大きくセットバックしバルコニーを南北に作ることを試みた。避難経路の既存不適格については、中廊下型の一方向避難だった既存建物に南北につなぐ廊下を新たに作り、避難上有効なバルコニーを設けることで二方向避難が確保されている。同時に空気の滞留も改善され、風の抜けるオフィスとなった。
また既存建物では、室外機を置くほどのスペースしかなかったバルコニーを広くすることで積載荷重を減らし、補強量を減少させている。
▲屋上からの眺め。周辺は第一種低層住居専用地域で、大きく景色が広がる。
▲既存:間口の狭いオフィス区画(左) 既存:室外機しか置けなかったバルコニー(右)
※写真提供:再生建築研究所

▲外壁をセットバックすることで減築し、入居者が使えるバルコニーにした。

▲人を引き込むようなエントランス

▲エントランスの形状が南側テラスの形状に反映されている。

耐震補強は、柱巻補強(化学繊維を包帯のように柱に巻き付けて補強する方法)を行い、ブレースをいれることを最小限にし、フロア内の自由度を担保した。
▲柱巻補強された柱
▲低層階はブレース補強も施されている。
▲階数によって1~4部屋に区分けされている。バリエーションのあるオフィス区画。
▲外観。施主の要望で壁面のタイルは部分的に補修しながら残し、
ファサードは既存建物と大きく変わらない形で再生した。

「居ながら施工」のプロセスとして、まずは一部のテナントに移動してもらい一か所に集中してテナントをまとめ、それ以外の場所を施工。その後、施工が済んだ場所に移ってもらい、残りの箇所の施工がなされた。
1階には以前入居していたケーキ屋が改めて入居することが決まっている。他スペースについては一部入居者を募集中。

<建築概要>
事業主:株式会社 東京アセットソリューション
設計監理:株式会社 再生建築研究所
施工:株式会社エフビーエス
構造規模:鉄骨鉄筋コンクリート造 地上11階
延床面積:1941.50 ㎡(2184.35 ㎡ ※既存時)
用途:事務所・店舗

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