高松宮殿下記念世界文化賞は、日本美術協会によって1988年に創設され、絵画、彫刻、建築、音楽、演劇・映像の各分野で、世界的に顕著な業績をあげた芸術家に毎年授与される。
2018年度建築部門ではクリスチャン・ド・ポルザンパルク氏が受賞。
クリスチャン・ド・ポルザンパルク氏は50歳の若さで、フランス人として初めて「建築のノーベル賞」と呼ばれるプリツカー賞を受賞するなど、フランスを代表する建築家・都市計画家。
大胆なデザインと芸術的アプローチ、水彩画の画家としての側面を活かした想像力豊かな作風が特徴で、とりわけ音楽施設の設計で高い評価を得ている。
本講演では代表作である
- ミッテラン大統領(当時)のプロジェクトで、複数のコンサートホールや音楽博物館、居住区、スポーツ施設などを備えた『音楽都市』(1995)
- 福岡市の『ネクサス集合住宅』(1991)
- ニューヨークの超高層ビル『LVMHタワー』(1999)
- ルクセンブルク・フィルハーモニー管弦楽団のコンサートホール『フィルハーモニー・ルクセンブルク』(2005)
- パリの『ホテル・ルネッサンス』(2009)
- リオデジャネイロの複合文化施設『芸術都市』(2013)
- パリ郊外の屋内スタジアム『パリ・ラ・デファンス・アリーナ』(2017)
などを敷地やプログラム、彼の思想を通して紹介。
現在は中国の『蘇州文化センター』(2019完成予定)に力を入れている。
モデレーター三宅理一氏(建築史家、東京理科大学客員教授)とのディスカッションでは自身の作品を通し、音楽団が好きなため音楽施設の設計が多いことや、都市計画をするにあたって調和を大切にしているなどの考え方が掘り下げられた。
また、都市内における建物の「位置」を重視してきたが、最も気をつけるのは、「空間にせよ形にせよ光にせよ、心地よさと使いやすさを常に結びつけること」だと始め、
「これまであった空間とどう調和を保つか、美しさを追求するだけでは成就できません。住んでみて幸福感を持てるようなスペースを作り出すのが肝要」と強調。
現在氏は国立の特別高等教育機関「コレージュ・ド・フランス」に2006年に新設された芸術創造講座の教授として、建築を「知の領域」の最先端に引き上げる役割も果たし、建築家・都市計画家のエリザベート夫人(ブラジル出身)と共同事務所を構えている。
2018年度他部門の受賞者はこちら。
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