2016年12月27日火曜日

青木茂建築工房「(仮称)井の頭ビルリファイニング工事」解体見学会

三鷹市下連雀で青木茂建築工房が進行中の「(仮称)井の頭リファイニング工事」解体見学会へ。
青木茂氏は、リファイニング建築〈再生建築〉の提唱者で、リファイニング建築については、事務所HPコンセプト参照。

 
以下斜体、計画概要について配布資料より)
本計画は、昭和47に確認済証を取得している鉄骨鉄筋コンクリート造(HPC)地上9階建ての寄宿舎を賃貸共同住宅として再生させるリファイニング工事である。当建物は検査済証がないため、国土交通省の「検査済証のない建築物に係る指定確認審査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」、および三鷹市建築指導課の指導にもとづき既存不適格建築物であることを証明し、現行法における新たな確認済証を取得したうえで、工事完了後には検査済証の取得を目指す。具体的には既存階段を撤去し、新たに特別避難階段を設置することによる大規模の模様替、寄宿舎用途部分を共同住宅に用途変更の確認申請を行うことで法規的な遵法性を確保し、既存建物の価値向上を図る。耐震改修促進法にもとづいた構造調査および耐震診断を実施し、診断結果により補強が必要となったためPG工法による補強を行う。また、第三者機関の耐震診断および補強設計に関する耐震評定書を取得することで構造的な安全性を担保する。また、耐震補強にあわせて内外装および設備を一新し、建物長寿命化を図ることで、老朽化した建物の価値向上を図る。既存の内外装設備の全てを解体して構造躯体のみにし、経年劣化や建物当時の施工不良などに対して補修を行い、耐久性を確保する。平面計画は住民間の交流を図るために、1階には談話室を設け、エントランスホールとあわせた、交流空間を配置している。また、寄宿舎として利用されていた各住戸に水廻りのない住戸プランにあわせた多様なプランに更新する。


見学者に説明をする青木茂氏(写真:エントランス)

軽量化による補強
1階下屋部分減築による建物重量の軽減。立面剛性バランスの改善(1Y方向)



















(写真:1階減築部分) 

                          

現行法における階段の規定を満たすため、特別避難階段を新たに設置




                              (写真:新規階段)


(写真:上階より見た新規階段)

見学会当日は100名を超す人々が集まり、本計画への関心の
 高さが伺えた。

















業務用エレベーターにて屋上へ移動(写真:エレベーターへの移動、エレベーター内から上を見た光景)










エレベーターから降りると屋上(写真:屋上から見たエレベーター)


・本建物の周辺には低層の住宅がひろがっており、屋上からの景色は非常に良い。

・寄宿舎として利用されていた水廻りのない各住戸は、新たに水廻り(トイレ、ユニットシャワー
 もしくはUB、キッチン)を設置

(写真:8階の一室)

構造物の長寿命化及び、構造物の安全性を重視し、各住戸の配管は構造体内部を通すのではなく、各住戸の床を上げることで対応。
また、改修後の1階には談話室が設置される。これは本建物のコンセプトである、みんなが集まって住まう楽しさを感じることができる計画だ。さらに青木茂建築工房が業務提携している、りそな銀行より耐用年数調査を行い、35年の融資を受けることとしている。
竣工した様子も、本ブログにて掲載予定。最後の質疑応答では、よく耐震補強で目にする大型のX字状の筋かいを使用していないがなぜなのかという質問があり、それに対し青木氏が「補強をわからないようにするのが私のデザイン」と語ったのが非常に印象に残った。


建物概要

工事名称 (仮称)井の頭ビルリファイニング工事
建築主  株式会社レーサム(本社:千代田区霞が関)
設計監理 株式会社青木茂建築工房
施工会社 日本建設株式会社
住居表示 東京都三鷹市下連雀2-21-19
構造   鉄筋鉄骨コンクリート造(29階 HPC造)

規模   地上 9

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