同ギャラリーでは1999年に一度坂茂氏の個展を行っており、今回は18年ぶり2回目の個展となるという。
本展は「展覧会でしか見れない表現」にしたいという坂氏。雑誌等で未発表の最新の作品を選んで展示した。
これまで安価で施工性に優れた「紙管」を使い、紙の建築の可能性を切り開いてきた坂氏だが、今回の展示会では「木」という素材の特徴や可能性に注目し挑戦した様々な大規模プロジェクトや、熊本の仮設住宅・ネパール復興プロジェクトなど、氏が尽力する人道支援活動にもフォーカスした内容となっている。
また本展が初のお披露目となった複数のプロジェクトも、模型や実寸大のモックアップを使うことで臨場感溢れる展示がなされている。
会場3階には4月22日にオープンとなったパリの「ラ・セーヌ・ミュジカル」の模型が中央に鎮座し、本展の目玉となっている。
こちらは約1,200人収容のクラシック音楽専用のホールを中心とした複合音楽施設で、氏のこれまでのキャリアの中でも最大規模となるとのこと。
内部を説明する坂茂氏
PFI方式の国際コンペとして募集され、フランスの西の玄関口としてシドニーのオペラハウスのようなモニュメンタルなものをとの要求に対し「形で遊んでモニュメンタルなものをつくるのは得意ではないので、提案条件の中にある3000㎡のソーラーパネルを屋根の上に隠さず、船の「帆」状にし太陽の動きに連動することで、時間・季節ごとに違った姿を見せ一つのモニュメンタルを表現した」という。
さらに会場にはコンペで実際に提出したコンセプト映像・完成イメージ映像・竣工写真や、ホール内装のモックアップが展示されている
ホール内で使われている紙管を使った椅子
イタリア製の玉虫色の特注モザイクタイル。見る角度によって色が変化する。
周辺のグリーンベルトに合わせた緑色のソーラーパネル。
ホール内装に使われたべニア合板と紙管を組み合わせた天井。
曲げ方・径を変えることで音響機能を調整した。
中庭に出ると、熊本地震の仮設住宅、ネパールの復興プロジェクト、竹田市クアハウスの屋根のモックアップが展示されている。
熊本木造仮設住宅のモックアップ。
住戸間に収納スペースを付けることで防音がなされている。
ネパール震災後の復興住宅・学校に使われている壁ユニットのモックアップ。
地震によるレンガの瓦礫を木造フレーム構造のドア枠に埋めて再利用。
大分県竹田市の温泉利用型健康増進施設(クアハウス)のレシプロカル構造の屋根のモックアップ。
本展時では、滋賀県立大学と慶応大学SFCの学生が共同で施工した。
4階へ上がると、今夏竣工予定の富士山世界遺産センターやスイスの某時計会社本社、慶応大学SFC教育研究開発棟など、模型と実寸大モックアップから1/10サイズのモックアップが展示され、氏の現場そのものが展示され、雑誌や本などの印刷媒体では伝わらない情報を得ることが出来る。
4階展示スペース
富士山世界遺産センター 木格子のモックアップ 1/1
慶応大学SFC教育研究発表棟 構造フレーム(PHPパネル)モックアップ 1/10
建築関係者だけに理解できる図面ではなく、一般の方でも理解していただけるような形の展示となっている。
展示は7月16日(日)まで
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