世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(公益財団法人 日本美術協会主催)の第36回受賞者と同賞国際顧問による合同記者会見が10月21日、東京・虎ノ門のホテルオークラ東京にて行われた。
建築部門で受賞したのは、アルヴァロ・シザ氏(1998年世界文化賞受賞者)に師事し、ポルトガル建築界を率先するエドゥアルド・ソウト・デ・モウラ氏。モダン建築と自然を融合させた建築を次々と生み出し、世界的に高い評価を得てきた。2011年にプリツカー賞、2018年ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞を受賞、2024年には、フランス文科省から芸術文化勲章を授与されている。
代表作には、二つの山のような赤レンガ色の〝ピラミッド屋根〟を持ち、周囲の緑と美しい対照をなす首都リスボン近郊の『ポーラ・レゴ美術館』(2009年)や、廃墟となっていたポルトガル北部の修道院を改修した国営ホテル『ポウザダ・モステイロ・デ・アマレス』(1997年)がある。国営ホテルは、建立された12世紀当時のものと思われる古い石を使い、かつての面影を残す現代建築として再生した。自身の設計活動だけでなく、米ハーバード大学やスイス・チューリヒ工科大学など、世界各地の建築学校で教壇に立ち、若者たちに「懸命な勉強、旅行、猛烈な仕事」の重要性を訴えている。
▲第36回受賞者の記念撮影
中央が建築部門受賞者、エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ氏
記者会見の後には個別懇談会が開催され、受賞に関して「これまでやってきたことを認めてもらい、一筋の光が差したように大変嬉しく思う」、また若い人たちに向けて「建築は多くのことを考えなければならない、年々がそれが増えている。学生や若い人たちは、読書して働いて旅行して体感し真似をして、、色々なことにチャレンジしていくことが大切」などと記者たちの質問に答えた。アルヴァロ・シザ氏とは同じ建物の中に事務所があり、今でも一緒に仕事をすることがあるという。
▲建築部門個別懇談会の様子
他、各部門の受賞者は下記の通り。
第36回「高松宮殿下記念世界文化賞」受賞者
■絵画部門:ピーター・ドイグ(イギリス)
■彫刻部門:マリーナ・アブラモヴィッチ(セルビア)
■建築部門:エドゥアルド・ソウト・デ・モウラ(ポルトガル)
■音楽部門:アンドラーシュ・シフ(イギリス)
■演劇・映像部門:アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケル(ベルギー)
第28回 若手芸術家奨励制度 対象団体
■ナショナル・ユース・シアター (イギリス)
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