栗原邸(旧鶴巻邸)は、京都高等工芸学校(現・京都工芸繊維大学)校長、鶴巻鶴一氏の住宅として1929年に建設された。設計は京都高等工芸学校教授の本野精吾氏。2007年には日本におけるDOCOMOMO150選に選定されている。
竣工から80年以上が経ち建物の傷みが激しくなってきたため、2011年より京都工芸繊維大学の教育プログラム「建築リソースマネージメントの人材育成」 (2013年日本建築学会教育賞受賞)により修復を行ってきた。
今回の一般公開は、5月25・26日、6月1・2日の4日間の期間限定で、現在の所有者である栗原眞純氏の協力の元に行われた。
栗原邸(旧鶴巻邸)は、当時の最先端技術であった特殊なコンクリートブロックを用いたモダニズム建築だが、室内には、ウィーン分離派やアールデコの影響を受けたと思われるデザインが用いられている。
北面外観。階段室の窓が階段に沿って配置されている。
南面玄関ポーチ。日本の気候を配慮し、庇を深く取っている。
改修は現在、屋上防水と室内3部屋の改修が終了している。屋上の防水は防水建材メーカーの田島ルーフィング株式会社による材料提供及び施工協力にて行われた。
改修された室内。殆どの家具は竣工当時のもの。
木製の階段は広く、重厚なもの。手摺子はアールデコ風デザインが施されている。
室内には鶴巻氏によるろうけつ染が描かれている。
一般公開への関心は高く、来場者は途切れることがなかった。当日(6月2日)に行われたギャラリートークは、初回が満席の為、急きょ2回に分けて行われた。
全体の修復工事はまだ途中段階である。一般公開の入場料は今後の修復に使用される。
栗原邸(旧鶴巻邸)改修についての問い合せ先
京都工芸繊維大学大学院 工芸科学研究科
助教 笠原一人
kasahara@kit.ac.jp
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