(以下小文字、計画概要について配布資料より)
本計画は昭和41年に新築された「検査済証のない共同住宅兼店舗」を耐震補強と同時に「大規模の修繕」で検査済証を取得するリファイニング計画である。 オーナーは当建物が耐震性の問題、老朽化が進行していることから、三井不動産、青木茂建築工房と総合的に検討を行い、建替えた場合、現行法の日影規制・ 高度地区の高さ制限・容積率制限等(既存不適格箇所)により、既存建物のボリュームが確保できないことを踏まえ、最終的には既存建物のボリュームが維持で き、コスト削減・相続対策・環境負荷低減などにつながるリファイニング建築手法を選択された。行政対応について検査済証がないことから、平成26年7月国土 交通省から公表された「検査済証のない建築物に係る指定確認検査機関を活用した建築基準法適合状況調査のためのガイドライン」、及び大田区建築指導課 の指導を基に「建築基準法第12条5項の規定に基づく既存建築物調査結果報告書(法適合状況調査報告書及び既存不適格調書等)」を提出した。既存EVは 当初確認申請図書には記載がなく、完了検査までに現行法に適合するよう是正する前提(既存EVシャフト拡幅を伴う)で確認申請の提出が承認された。さらに、 建築基準法による確認申請では既存屋内避難階段(既存不適格)を屋外避難階段(避難規定は既存不適格対象外)に是正する必要があったため、最終的には耐 震促進法による認定に伴う確認申請提出を行い、確認済証を取得している。構造補強について既存フレーム内に耐震補強壁を新設(地下1階;柱鉄板巻き及び 柱増打ち補強)、塔屋の解体、廊下側壁の乾式化等による軽量化により、耐震指標Is値を0.6以上確保することで耐震評定を取得している。計画について既存3 つのフレーム(スパン)内に各階4住戸(界壁:CB)だった既存計画を、フレーム内に新規耐震補強壁を設け、各階3住戸に変更(現ニーズに合う間取り、住戸面積 確保)、1階を店舗から長屋へ(用途変更対象外)変更している。なお、特定緊急輸送道路沿いの耐震助成金の交付が予定されており、2018年3月末日には建物全体にて検査済証を取得する予定で、三井不動 産レジデンシャルリースがサブリースすることになる。
概要を説明する青木茂氏。
今回の見学会では中性化対策として亜硝酸リチウム圧入工法「リハビリカプセル工法」(4~6F梁)の様子が見れた。
「リハビリカプセル工法」は、アルカリシリカ反応(ASR)によって著しく劣化した小規模なコンクリート構造物または部位を根本的に治療する補修技術で、劣化した範囲全体に浸透拡散型亜硝酸リチウム40%水溶液を内部圧入することにより、ASRの原因であるアルカリシリカゲルを非膨張化するため、以後のASR劣化の進行を根本的に抑制するしくみ。
土木では採用事例があるが、建築では初めての採用・実施となる。
開口移動・閉塞補強住戸計画は、既存3つのフレーム(スパン)内に各階4住戸だった既存計画を、フレーム内に新規耐震壁を設け、各階3住戸に変更している(現ニーズに合う間取り、住戸面積の確保)。
既存EVシャフトは現行法を満たすEV設置のため、壁一面を解体し拡幅工事。
竣工は2018年3月末の予定で、竣工の様子も本ブログにて掲載予定。
0 件のコメント:
コメントを投稿