「MATERIAL DESIGN EXHIBITION」はMaterial ConneXion Tokyoが2015年から毎年開催している、企業とデザイナーが組み、デザイナーが素材から発想を得て新しい価値や用途を見出す過程を展示する企画展。
4回目となる今年はアートディレクションに建築家・芦沢啓治氏を迎え、6組の企業とデザイナーが参加。
今年のテーマは「CLUE」。
デザイナーの視点で広げられた素材の可能性は、素材の用途を広げる「糸口」となるだけでなく、見る人にとっても自身が抱えるプロジェクトの課題を解決する「糸口」や、自身のクリエイティビティーの可能性を広げる「手がかり」となるのではないか。
相互にとっての「CLUE=糸口、手がかり」が生まれる場となれば、と願いが込められている。
アートディレクションを担当した建築家・芦沢啓治氏は「デザイナーにとってのマテリアルはシェフにとっての食材だと思っている。つまりマテリアルを知らずに、あるいはその食材を食べたことがないのであれば、正しい形も美味しい料理もできないはずだ。ゆえにデザイナーはもっとマテリアルに対して真剣に向き合うべきだと考えている」という。
株式会社タイカ×DRILL DESIGN
非常に柔らかいゲル状素材であるαGELは温度特性、耐久性に優れており、衝撃吸収、防振、放熱、光学、防水・防塵といったさまざまな用途に応用されている。このオブジェクトは液体のような柔らかさ、高い透明度、感覚に響く特徴を結晶化したよう。
普段は工業用機械のフィルターとして使われているポリエステルの粗く、コシがあるメッシュに表面加工、立体加工をすることで新たな見せ方、新たな可能性を提案。コンクリートや木、大理石などの「塊」をモチーフに、正面から見ると中が見え、斜めから見ると中が見えなくなる不思議な箱になっている。
三菱ケミカル株式会社×吉田 真也
自動車用内装材、医療、産業用資材として幅広く使用されるMCCパフォーマンスポリマーズの高機能ポリマーの伸縮性と光透過性に着目。加工方法を射出成型と3Dプリントの二つに分け、エラストマーの性質がより魅力的に体感できるサンプルが生まれた。
BASFジャパン株式会社×狩野 佑真
耐摩耗性に優れ、柔軟で機械的強度の高い熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)を用いた。エラストランは硬度の種類が豊富で設計の自由度が高く、押出成型、射出成型などの加工が容易であり、今回はシート形状に着目し、椅子の座面に使用。
住友林業株式会社×荒木 宏介/村岡 明
素材は木に関するデータ。これらのデータをこれまでは住空間の設計手法など人の五感に訴えるシーンで活用してきたが、今後は木の価値の「定量化」「可視化」へと活用のシーンを広げようとしている。働き方や働く場所の変化に伴い求められる空間の在り方も変化していることを背景に、既存の空間の中に簡易的に木質空間を挿入。卓上パーテーションとしての使用を想定。
三井化学株式会社×森田 裕之/石河 泰治郎
三井化学が開発した世界初のウレタン新素材スタビオ。植物を原料とするバイオマスプラスチックで、自動車塗料などに使用され、短期間・低温で硬化する特徴から、作業時間短縮・エネルギー削減に貢献。高い透明性を保ったまま、幅広い高度での成形が可能な点と、軟質のスタビオの柔軟性によって生まれるシワに注目した、感触の面白さのあるオブジェクトが生まれた。
会期は12月21日(金)まで。
公式サイトはこちら。
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