アンリ・マティス 《待つ》 1921-22年 油彩・キャンバス 61×50cm 愛知県美術館
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また、東北大学 五十嵐太郎研究室制作の、窓を切り口に建築とアートの歴史をたどる全長12メートルの年表の展示や、「窓研プロジェクト」として、同館前庭に建築家 藤本壮介の《窓に住む家/窓のない家》が出現するなど「窓」の切り口が今までにない新しい企画展となっている。
14の章には、絵画に描かれた窓、室内・屋外の接点としての窓、窓をめぐる建築とアートの歴史などのテーマでさまざまな作品が並ぶ。絵画、写真、版画、映像、インスタレーション、建築など、ジャンルを超えて58作家、 117点を紹介している。 (会場構成:西澤徹夫建築設計事務所)
■1. 窓の世界
バスター・キートンの名作映画《キートンの蒸気船》(1928年、株式会社アイ・ヴィ―・シー)からスタート。窓の世界へいざなうイントロダクション。
■2. 窓からながめる建築とアート
東北大学 五十嵐太郎研究室が、時代や洋の東西を問わず窓と建築とアートの歴史をたどる全長12メートルの年表を制作。ル・コルビュジエ、ルイス・カーン、ジェームズ・スターリング、ピーター・アイゼンマンなどの建築家による窓のドローイングや貴重書もあわせて展示。
■3. 窓の20世紀美術 Ⅰ
アンリ・マティス、パウル・クレー、岸田劉生など20世紀絵画でおなじみの巨匠が描く窓を紹介。あっ、これも窓だったのか!という驚きの一枚も。
■4. 窓の20世紀美術 Ⅱ
四角を用いた抽象絵画のイメージ源は窓?難しそうな抽象絵画を「こころの窓を開くもの」と捉えることで、鑑賞がぐっと楽しくなる。マーク・ロスコ、 ロイ・リキテンシュタインなどの作品を展示。
■5. 窓からのぞく人 Ⅰ
外の世界はこわいもの。でも窓から外をのぞいてみずにはいられない。安井仲治、林田嶺一、ジェイムズ・キャッスルなどの緊張感に満ちた作品を紹介。
日本を代表する写真家、奈良原一高の名を一躍高めた初期の作品。男子修道院と女子刑務所、閉ざされた場所で暮らす人々と窓の姿を追う。
■7. 世界の窓:西京人(小沢剛、チェン・シャオション、ギムホンソック)《第3章:ようこそ西京に―西京入国管理局》
歌ったり踊ったり笑ったりしないと前に進めない入国管理局⁉ 架空の国の入国管理局で、世界に開かれた窓について考える。
■8. 窓からのぞく人 Ⅱ:ユゼフ・ロバコフスキ《わたしの窓から》
ポーランドを代表する映像作家。22年にわたり自宅の高層アパートの窓から中庭を実況中継した、驚異の、かつユーモアあふれる作品。
■9. 窓からのぞく人 Ⅲ:タデウシュ・カントル《教室―閉ざされた作品》
戦後を代表するポーランドの演劇人。その原風景となるふるさとの小学校の教室をかたどった大型インスタレーションを日本初公開。
Tadeusz Kantor ©Maria Kantor&Dorota |
■10. 窓はスクリーン
現代において、絵画の代わりに遠い世界の光景を室内まで運んできてくれるのは、テレビやPCといったスクリーン。ロバート・ラウシェンバーグ、ナム・ジュン・パイク、久保田成子などの作品でクールな電子の窓を紹介。
■11. 窓の運動学
空気や光を入れたり、湿気や暑さ、寒さを追い出したり。窓には私たちの生活に欠かせない機能がある。でもその機能を取り払って、ただ開いたり閉まったりするものとして窓を捉え直してみたら?ひたすら動く窓が、なんだかいとおしい生き物のように思えてくる。スイスの大御所、ローマン・シグネールや、伝説のアート・ユニット、THE PLAYの破天荒なプロジェクトを紹介。
ローマン・シグネール《よろい戸》 |
ズビグニエフ・リプチンスキ《タンゴ》 |
自室を丸ごとピンホール・カメラに変えた青年、山中信夫。山中に対するオマージュ作品〈Camera obscura — thirty six views of mount fuji〉より、新作を含め展示予定のホンマタカシ。世代の異なる二人のアーティストの作品を紹介。
■13. 窓は希望:ゲルハルト・リヒター《8枚のガラス》
8枚の大きなガラス板が鑑賞者の姿をさまざまに映し出す、ドイツの巨匠ゲルハルト・リヒターの超重量級立体作品。
■14. 窓の家:藤本壮介《窓に住む家/窓のない家》
同館前庭に建築家、藤本壮介の《窓に住む家/窓のない家》(2019年)が出現。高さ約7m、藤本の代表作の一つ、《House N》(2008年)の大型コンセプトモデル。
夜間開館(毎週金、土曜は夜20時まで開館)を中心に、同展担当キュレーターによるギャラリートークを開催。詳しいスケジュールは随時同館WEBサイトにて。
会期は2020年2月2日(日)まで。
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