2019年11月22日金曜日

「Steven Holl:Making Architecture」内覧会

建築倉庫ミュージアム 展示室A、Bにて、8日(金)から開催中のSteven Holl:Making Architecture」内覧会へ。
スティーブン・ホール氏、田中友章氏(明治大学)
アメリカを代表する建築家、スティーブン・ホールは72歳になった現在も、ニューヨークと北京にオフィスを構えながら精力的に活動を続けており、世界中で多くのプロジェクトが進行している。
ホールの設計の源は、毎朝描かれる水彩画であり、
愛用する5”x7”(12.7cm×17.8cm)のスケッチブックに描かれた水彩画はのべ3万枚を超える。
水彩画のイメージを基にし、3Dモデリングツールによってスタディされ、模型が制作され、またスケッチに戻る。原初的なアプローチと最先端デジタルツールの双方を駆使し、
検討を繰り返すというプロセスからホール独自の建築が生み出されてきた。


本展では、上海展から追加された6作品を含め、ホールの近作17作品を中心に、100点を超えるドローイングのほか、スタディ模型、プレゼンテーション模型、建築図面や映像など、のべ150点が日本初展示。
模型とドローイングによるスタディを繰り返し、ホールがどのようにアイデアから実作に進めていくかのメイキング(プロセス)を垣間見ることができる。

展示室AではPART Ⅰ:THINKINGとPART Ⅱ:BUILDINGが展示される。
PART Ⅰ:THINKINGではドローイングやコンセプト模型が6つのテーブルに並ぶ。テーブルはプロジェクトごとではなく、ホールの「構築する思考」と呼ぶ考えに従ったグループに分類される。ホールは毎日儀式のように、頭が最もクリアで、建築の創造で求められる直感的・創造的な考えを取り入れやすい1日の始めにドローイングを描く。

テーブル1:分野横断的空間とソーシャル・コンデンサー
このテーブルでは、従来切り離されていた分野間の対話を促す建築空間をつくるというアイデアが展開。
ルイス・センター・フォー・ジ・アーツのドローイングや、初期コンセプトスタディ模型など。

PART Ⅱ:BUILDINGでは、空間的関係性を認識し、建築内部の表現豊かな物質性の直接的な経験が高められるかを示すための模型が展示。縮尺の大きな模型の制作は、実現する建物の現象的・感覚的な体験を生み出すためにホールが行う膨大な認識・リサーチプロセスの綿密なスタディの一段階である。

到着ホールと色ガラスのトップライトのスタディ模型(縮尺:1/50)、2017年
金宝山景観墓園(台湾、台北市)
仏殿と生命の木 内部スタディ模型(縮尺:1/50)、2017年
金宝山景観墓園(台湾、台北市)

PART Ⅲ:CITY WITHIN A CITYでは、中国で過去10年間行われた、都市を対象にした複雑で大規模なプロジェクトが展示。入れ子状になった都市と建築のスケールに取り組み、都市空間に秩序を与えて配置する新しい方法を提案している。
展示室AとBをつなぐ廊下。展示室Bを含め、壁には45点のドローイングを展示
PART Ⅳ:REFLECTINGでは、ホールの著作や関連書籍、プロトタイプが展示され、スピリット・オブ・スペース・フィルムズによる映像が上映。ホールはコロンビア大学建築学部で終身在職権を持つ教授であり、30年以上にわたり小規模な設計スタジオの授業を教えている。

エックス・オブ・イン テーブルランプ
エックス・オブ・イン カーペット、2015年
『Making Architecture』、建築をつくる、そのシンプルかつ信念に溢れるホールの手法と、建築家がこだわり続ける創作の姿勢が見られる本展は1月18日(土)まで。
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